注目のスタートアップ

FreeMile株式会社 三本茜|電動モビリティ・キックボードの事業開発が注目の企業


電動モビリティの事業開発で注目なのが、三本茜さんが2014年7月に創業したFreeMile株式会社です。

2022年、モビリティの波がますます高まりを見せています。SDGs達成や地球温暖化抑止に向け、電気自動車や水素自動車、自動走行車、ドローン、空飛ぶ車など、新しい移動手段が開発され、一般にも出回りだしました。

その中で、近年ひときわ注目されだしているのが『電動キックボード』です。2022年3月には道路交通法の一部が改訂され、既に都内の一部では公道を使った電動キックボードの試験導入も実施されており、その有用性に大きな期待が寄せられています。
電動式で小回りが利く上、コンパクトなので持ち運びや置き場所の手軽さがあり運転も簡単、といったことから、今後新たな移動手段として一般普及していくことが予測されます。

ただし、キックボードといっても電動式はそれなりのスピードが出ます。従来からある一般的な2輪キックボードの場合、重たい荷物を載せて走行したり、スピードを出して走行すると、バランスを崩したりハンドルを取られたりする可能性も考えられます。その結果、運転者の転倒や、歩行者・車などとの接触事故にもつながりかねません。
実際に、既に電動キックボードが普及している世界各国においては、こうした事故や問題が浮き彫りになっています。

こうした問題を引き起こさないためにも、より安定性があり頑丈で誰にでも扱いやすくユーザビリティが高い電動キックボード開発が望まれています。
そんな今、その実現と普及に挑むある女性起業家に、大きな注目が集まっています。

FreeMile株式会社の電動モビリティ(キックボード)事業開発の特徴は、電動キックボード黎明期の2014年時点からその有用性に着目し、女性やお年寄りにも乗れる安心・安全設計と、パワフルさ、メンテナンスのしやすさを兼ね備えた、日常生活への汎用性が高いキックボードを開発してきた、という点です。

FreeMile株式会社の三本茜さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

・このプロダクト開発するに至った経緯について教えてください。

もともと飲食業を約15年ほど経営してきましたが、海外で電動モビリティを見て、「店舗でのフードデリバリーでも使えそうだ」と思ったことがきっかけです。
ただ、海外では結局電動モビリティは怖くて乗れずじまいで、国内外を調べても、女性でも安心して乗れるような電動キックボードはありませんでした。

そこで大手電機メーカー出身だったこともあり、女性でも乗れるような安心・安全な電動モビリティを自分自身で開発することを決めました。
海外で行われている二輪車やモビリティのモーターショーに回り、あらゆる電動モビリティを体験し、知見を深めました。

そして自分の足で海外のサプライヤーや工場を回り、モビリティ専門のデザイン会社、何度も変更に付き合ってくれる設計会社、無理難題を叶えてくれる部品サプライヤーの協力を得て、日々製品開発に挑戦しています。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

女性目線で、安心・安全で乗れるスタイリッシュな移動手段を目指しました。
特にFree Mile plusは、
「大きなタイヤでの走行の安定性の追求」
「部品交換のしやすさ(ユーザーが自分で交換できるのは珍しいです)」
「デザイン性」
「全国にある代理店網 試乗、メンテナンス」
という4つにこだわっており、老若男女あらゆる人が安心して快適に乗れる電動モビリティです。


耐過重120Kg、坂道の傾斜も20度をしっかり登ることが出来るパワフルさを兼ね備えています。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

老若男女、誰でも安心・安全に快適に乗っていただけるモビリティを目指しています。
最高時速45kmとパワフルで、立って乗ることも座って乗ることも気分や距離に応じて選べます。立って乗っても安定性もかなり高いので、お客様の中には女性や免許を返納した高齢者の方が日常生活の足として購入されたりもします。

他には企業や自治体でも導入いただいており、飲食店のデリバリーの手段として、島や地域での観光の手段としてなど様々な使われ方をされています。
電動モビリティは単なる移動手段ではなくて、乗っていただくと本当に今まで味わったことのない心躍る体験ができる乗り物です。しかし電動キックスクーターの多くは、乗っている時の振動が激しかったり、パワーが足りないので坂道を登れなかったり、と使ってみて後悔する方も多いです。

行政にも新たな移動手段として規制整備をされつつあり、良くも悪くも話題の電動キックスクーターだからこそ、Free Mile Plusで安心・安全で快適な新体験を提供したいです。

・このサービスが解決する社会課題はなんですか?

都市では電車での密や自動車の渋滞が課題になっています。地方では移動距離が長い一方で、高齢者の免許返納やバスや電車の廃線などによる生活の足がなくなっています。そうした状況において、新たな移動手段として期待されています。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

新しい乗り物、未体験の乗り物なので「危ない・危険・自動車の迷惑等」反対意見も沢山届きました。
私は2019年初めにはplusを街で試乗していたのですが、ある時「世間で流行ったら危ないから乗らないでくれ」とトラックドライバーから道で苦情を受けました。
危なくない、楽しいからとちょっと乗ってみてと、逆に試乗してもらうことに成功!そのドライバーには安定感があってこれなら大丈夫そうだなっと言ってもらった訳です
が、結局運転者のマナーだと感じました。道路は共走(自動車、バイク、自転車)ですので、互いに交通ルールを守り、他車に迷惑が掛かることをしてはなりません。
それには交通ルールの認知やこの乗り物への理解が必要だと感じ、毎週試乗会を開催して、誰もが安全に、安心して乗っていただけるように努めました。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

現在も規制緩和に向け議論されていますが、今後電動モビリティはより一般的になっていくと考えられます。そうした中で、より安全・安心で快適な感動体験を提供できるように、新たな三輪キックスクーターの開発やシェアリング用のキックスクーターなどを開発中です。

・今の課題はなんですか?

電動キックスクーターは若い人だけの乗り物ではありませんが、実際には若い人しか乗らない傾向にあります。誰もが乗れないと意味がない、根付かないと思っています。
どうしたら老若男女が安心して乗りたいと思えるようになるのか、そこに集中して、日本人に優しい乗り物を実現させるため、ゼロから開発していたら、もう2年も掛かっています。

・読者にメッセージをお願いします。

海外メーカーが開発したOEM製品を日本仕様に改造した安価な乗り物が市場に多く出回っています。命を預ける乗り物を、安易に価格だけで選んでる方が多いように思います。粗悪なバッテリーの設計とセル材質、ピタっと止まらないブレーキ、坂が登れないトルク、行動範囲に適さないスペック等々、間違った選び方をして後悔しないでください。

会社名 FreeMile株式会社
代表者名 三本茜
創業年 2014年7月
事業内容 Ev Movility事業
サービス名 電動モビリティ「Free Mile」
所在地 東京都渋谷区恵比寿南3-1-24 恵比寿斉信ビル7F
代表者プロフィール ⼤学卒業後、⼤⼿電機メーカーへ就職、 CS部⾨、R&D部⾨を経て、他の大手電機メーカーのグループ会社に転職。海外サプライヤーからの部品調達や管理を担当。
こうした経験から、ものづくりと部品にまつわる造詣が深まり、現在の知財戦略にも繋がっている。
海外でのビジネス展開を検討している際、2018年後半、アメリカやヨーロッパで普及し始めていた「電動キックボード」に着目し、日本で先駆けて導入を検討。「誰でも⽇本の公道で安⼼して乗れる乗り物を、⼥性ならではの視点で創りたい」という想いから、本事業を本格スタート。移動に新しい喜びと楽しさを与えるべく、多彩なイノベーション活動に挑戦している。
《特技・趣味》
海外旅行、美容
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
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