注目のスタートアップ

視覚障害者向け歩行ナビゲーションデバイスを開発・提供する「Ashirase」が資金調達

company

2025年7月29日、株式会社Ashiraseは、資金調達を発表しました。

今回の資金調達により、累計調達額は7.15億円となりました。

Ashiraseは、視覚障害者向け歩行ナビゲーションデバイス「あしらせ」を開発・提供しています。

靴に装着するデバイスを通じ、振動によって目的地までのルート、曲がる方向、タイミングなどを知らせ、手や耳が自由なまま目的地までのナビゲーションを行うシステムです。

またアプリを通じて、視覚障害者にとって歩きやすいルート提案機能、AIを活用したスポット検索機能や画像認識機能などを提供しています。

今回調達した資金は、海外展開に向けた体制強化と規格取得、プロダクトのアップデートおよび新機能追加によるユーザー体験の向上に活用します。

プロダクトのアップデートおよび新機能追加では、屋内外でのより高精度な位置測位技術の開発、地図データの拡充によるより高精度なルート生成技術の開発、生成AIを活用したよりユーザーフレンドリーなUIの開発を予定しています。


国内で身体障害者手帳を交付されている視覚障害者は約31万人とされています。一方、日本眼科医会の推計によれば、米国の視覚障害者基準を適用した場合、日本には約164万人の視覚障害者が存在するとされています。つまり、国の基準には該当しないものの、日常生活に大きな支障を感じている人が数多く存在しているのです。

視覚に障害を抱える人が外出する際には、盲導犬やガイドヘルパーに頼る手段があります。しかし、2025年3月31日時点で実働している盲導犬はわずか768頭にとどまり、その数は年々減少傾向にあります。ガイドヘルパーについても自治体ごとに利用制限があり、自由な外出には依然として制約が残されています。

このような背景を踏まえ、視覚障害者を支援するテクノロジーや製品の研究開発・実用化が進められています。すでに普及している技術としては、スマートフォンやパソコンの音声読み上げ機能、視覚情報を音声で伝える製品などが挙げられます。

しかし、音声を主体とした支援技術には、聞き逃しのリスクや、聴覚を重要視する視覚障害者にとって聴覚情報を妨げるといった課題も存在します。

こうした課題を解決するためAshiraseは、歩行ナビゲーションデバイス「あしらせ」を開発・提供しています。このデバイスは、既存の靴に取り付け可能な振動デバイスとスマートフォンアプリを組み合わせ、誘導情報を伝えるナビゲーションシステムです。聴覚や白杖による感覚情報を妨げることなく、直感的かつ安全に移動をサポートできるという特徴を有しています。現在、ユーザー体験の向上を目的とした開発やアップデートを進めているほか、2025年度内に欧州での販売開始を予定しています。

事業の拡大には戦略的な資金調達や、シナジーの見込める企業との提携が重要です。シリーズ累計発行部数250万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報を掲載しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ AI Ashirase IoT あしらせ アプリ デバイス ナビゲーション 情報 振動 支援 株式会社 歩行 福祉 福祉機器 視覚 視覚障害者 触覚 資金調達 障害者
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
クラウド会計ソフト「freee(フリー)会計」を実際に使ってみた
一人会社と個人事業主の違いとは。一人でも法人にするメリット・デメリット
法人の印鑑証明書の取り方 | 手数料は?どこで?郵送は可能?
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!
キャッシュフロー計算書のサムネイル
キャッシュフローとは?計算書(C/F)の見方や作り方などをわかりやすく解説!
【2025年最新】起業・開業の強い味方!補助金・助成金おすすめ15選

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

観光事業者向けDXプラットフォーム「Nutmeg」を提供する「NutmegLabs Japan」が4億円調達
2023年5月17日、NutmegLabs Japan株式会社は、親会社であるNutmegLabs, Inc.(CEO:中口 貴志、本社:サンフランシスコ)が総額約4億円の資金調達を実施したことを発表…
電気運搬船や大型蓄電池を開発する「パワーエックス」が「電源開発」より出資受入
2022年7月5日、株式会社パワーエックスは、電源開発株式会社より出資を受けることを決定したと発表しました。 パワーエックスは、電気運搬船「Power Ark」の開発や、大型蓄電池の製造・販売を行って…
がん再発を早期発見するゲノム検査を手がける「クオントディテクト」に「フューチャーベンチャーキャピタル」が出資
2023年9月11日、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社は、株式会社クオントディテクトに投資を実行したことを発表しました。 クオントディテクトは、高頻度に検出が予想される遺伝子変異を対象に、血液…
法務管理クラウド「GVA manage」やAI契約書レビュー支援クラウド「GVA assist」などを手がける「GVA TECH」が8億円調達
2023年7月21日、GVA TECH株式会社は、総額約8億円の資金調達を実施したことを発表しました。 GVA TECHは、法務管理クラウド「GVA manage」、AI契約書レビュー支援クラウド「G…
エッジAIによる現場データ収集プラットフォーム「Actcast」などを提供する「Idein」と「伊藤忠商事」が資本業務提携
2022年12月23日、Idein株式会社は、伊藤忠商事株式会社と資本業務提携契約を締結したことを発表しました。 Ideinは、エッジAIによる現場データ収集プラットフォーム「Actcast」を提供し…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集