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2025年7月30日視覚障害者向け歩行ナビゲーションデバイスを開発・提供する「Ashirase」が資金調達

2025年7月29日、株式会社Ashiraseは、資金調達を発表しました。
今回の資金調達により、累計調達額は7.15億円となりました。
Ashiraseは、視覚障害者向け歩行ナビゲーションデバイス「あしらせ」を開発・提供しています。
靴に装着するデバイスを通じ、振動によって目的地までのルート、曲がる方向、タイミングなどを知らせ、手や耳が自由なまま目的地までのナビゲーションを行うシステムです。
またアプリを通じて、視覚障害者にとって歩きやすいルート提案機能、AIを活用したスポット検索機能や画像認識機能などを提供しています。
今回調達した資金は、海外展開に向けた体制強化と規格取得、プロダクトのアップデートおよび新機能追加によるユーザー体験の向上に活用します。
プロダクトのアップデートおよび新機能追加では、屋内外でのより高精度な位置測位技術の開発、地図データの拡充によるより高精度なルート生成技術の開発、生成AIを活用したよりユーザーフレンドリーなUIの開発を予定しています。
国内で身体障害者手帳を交付されている視覚障害者は約31万人とされています。一方、日本眼科医会の推計によれば、米国の視覚障害者基準を適用した場合、日本には約164万人の視覚障害者が存在するとされています。つまり、国の基準には該当しないものの、日常生活に大きな支障を感じている人が数多く存在しているのです。
視覚に障害を抱える人が外出する際には、盲導犬やガイドヘルパーに頼る手段があります。しかし、2025年3月31日時点で実働している盲導犬はわずか768頭にとどまり、その数は年々減少傾向にあります。ガイドヘルパーについても自治体ごとに利用制限があり、自由な外出には依然として制約が残されています。
このような背景を踏まえ、視覚障害者を支援するテクノロジーや製品の研究開発・実用化が進められています。すでに普及している技術としては、スマートフォンやパソコンの音声読み上げ機能、視覚情報を音声で伝える製品などが挙げられます。
しかし、音声を主体とした支援技術には、聞き逃しのリスクや、聴覚を重要視する視覚障害者にとって聴覚情報を妨げるといった課題も存在します。
こうした課題を解決するためAshiraseは、歩行ナビゲーションデバイス「あしらせ」を開発・提供しています。このデバイスは、既存の靴に取り付け可能な振動デバイスとスマートフォンアプリを組み合わせ、誘導情報を伝えるナビゲーションシステムです。聴覚や白杖による感覚情報を妨げることなく、直感的かつ安全に移動をサポートできるという特徴を有しています。現在、ユーザー体験の向上を目的とした開発やアップデートを進めているほか、2025年度内に欧州での販売開始を予定しています。
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