注目のスタートアップ

便失禁・尿失禁の治療を目的とした細胞治療を開発する「イノバセル」が4億円調達

company

2025年5月14日、イノバセル株式会社は、約4億円の資金調達を発表しました。

イノバセルは、切迫性/漏出性便失禁や腹圧性尿失禁を治療するための再生医療等製品の研究開発・事業化に取り組んでいます。

もっとも開発が進んでいる「ICEF15」は、患者の筋芽細胞を利用し、細胞注入によって筋肉の再生を図ることで切迫性便失禁の根治を目指すものです。

欧州10か国・日本で第Ⅲ相国際共同治験であるFidelia試験を実施中です。

今回調達した資金は、「ICEF15」の第Ⅲ相日欧国際共同治験の推進、米国における「ICEF15」第Ⅲ相治験開始準備、日米欧におけるICEF15市販品製造販売体制の構築、「ICEF15」以外のパイプライン製品の研究開発、株式上場準備などに活用します。


便意を感じているにもかかわらず我慢できずに漏れてしまう症状は「切迫性便失禁」、便意を感じないまま、無意識あるいは意志に反して便が漏れてしまう症状は「漏出性便失禁」と呼ばれています。

切迫性便失禁は、外肛門括約筋の収縮力の低下や腸炎などが原因です。外肛門括約筋の機能が低下する背景には、加齢による筋力低下や出産時の肛門括約筋断裂が多く、女性に多く見られる症状となっています。

一方、漏出性便失禁の原因の多くは内肛門括約筋の機能低下にあります。内肛門括約筋は外肛門括約筋と異なり、自分の意志で動かすことができない不随意筋で構成されており、その働きが弱まることで便漏れが起こります。

また、尿失禁でもっとも多いのが「腹圧性尿失禁」です。これは咳やくしゃみ、階段の昇降といった腹圧が高まる動作の際に、意志とは無関係に尿が漏れてしまうもので、主に尿道括約筋や骨盤底筋群の機能低下が原因となっています。

このように、便失禁や尿失禁の多くは筋機能の低下が要因であるため、イノバセルでは対象となる筋機能の回復を目指した再生医療に取り組んでおり、根治を目指す新しい治療法の開発を進めています。

従来の治療法では、症状が軽度の場合は食生活の改善や下痢止め薬の服用などの保存的療法が選択され、重症化すると括約筋形成術などの外科的手術が行われます。

しかし、重度のケースでは手術を行っても根治が難しい場合があるため、身体への負担が少なく、かつ根本的に治療できる方法が強く求められています。

企業の成長には戦略的な資金調達や、シナジーの見込める企業との連携・提携が重要です。シリーズ累計発行部数250万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ イノバセル 再生医療 切迫性便失禁 株式会社 治療 治療薬 漏出性便失禁 研究開発 細胞 腹圧性尿失禁 資金調達
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
一人会社と個人事業主の違いとは。一人でも法人にするメリット・デメリット
クラウド会計ソフト「freee(フリー)会計」を実際に使ってみた
NPO法人設立サムネイル
【保存版】NPO法人の設立は難しい?メリットや設立費用、条件など徹底解説
【起業準備】会社設立前に絶対にやるべき10のアクションリスト
合同会社とは?メリット・デメリット、株式会社との違いをわかりやすく解説
持続化給付金の申請開始!最大200万円給付で事業を下支えー概要やポイントは?

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

再生医療による不妊治療の実現を目指す「Dioseve」が4億円調達
2022年8月18日、株式会社Dioseveは、総額4億円の資金調達を実施したことを発表しました。 Dioseveは、iPS細胞の分化誘導により、卵子(卵母細胞)を短期間に大量に作成できる独自技術「D…
パートナー関係管理システム(PRM)「PartnerProp」を提供する「パートナープロップ」が資金調達
2025年1月29日、株式会社パートナープロップは、資金調達を実施したことを発表しました。 今回の資金調達により、累計調達額は9億円超となります。 パートナープロップは、パートナー関係管理システム(P…
保険証券登録済みの加入保険一元管理アプリ「保険簿」運営の「IB」が1億円超調達
2020年8月27日、株式会社IBは、総額1億円超の資金調達を実施したことを発表しました。 コンシューマー向けの加入保険情報管理アプリ「保険簿」を運営しています。 保険書類をスマートフォンで撮影するこ…
自転車ロードレースのプロリーグを主催する「ジャパンサイクルリーグ」が「経営共創基盤」から資金調達・パートナーシップ強化
2023年4月12日、株式会社ジャパンサイクルリーグ(JCL)は、株式会社経営共創基盤(IGPI)から、パートナーシップ強化にあたり追加出資を受けたことを発表しました。 JCLは、自転車ロードレースの…
食品小売業界の商品提案管理クラウドを手がける「デリズマート」が資金調達
2023年2月9日、株式会社デリズマートは、資金調達を実施したことを発表しました。 デリズマートは、食品小売業界の商品提案管理クラウド「Delizmart(デリズマート)」を提供しています。 生産者・…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集