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2025年1月14日宇宙に熱を逃がしてゼロエネルギーの冷却を実現する放射冷却素材を開発・販売する「SPACECOOL」が9億円調達

2025年1月14日、SPACECOOL株式会社は、総額9億円の資金調達を実施したことを発表しました。
SPACECOOLは、宇宙に熱を逃がしてゼロエネルギーの冷却を実現する放射冷却素材「SPACECOOL」を開発・販売しています。
放射冷却の原理を活用し、熱を赤外線に変換して宇宙に放射する放射冷却素材です。これにより直射日光下でもゼロエネルギーでの冷却を実現します。
屋外機器や建物などの表面に導入することで、冷却に必要なエネルギーの消費量を削減します。
今回の資金は、海外での事業展開、さらなる研究開発、組織体制・事業基盤の強化に充当します。
世界的な気候変動により冷房の需要が高まっています。しかし従来の空調システムは、大量のエネルギーを消費する要因のひとつであり、気候変動の原因のひとつともされています。
そのため、より効率的な空調システムやエネルギーを消費しない革新的な技術が求められています。
放射冷却は、物体が外に電磁波として熱を出して冷える現象のことです。熱を持つ物体はその温度に応じた電磁波(主に赤外線)を放射しています。電磁波を放射するとエネルギーを失い、それに応じて冷えることになります。この電磁波は不可逆的に宇宙空間へと放出されているため、地球の視点から見れば純粋に冷えていることになります。
もしこの放射冷却の効果を強めることができれば、外部からエネルギーを必要としない形で物体を冷やすことが可能となります。
SPACECOOLが開発・販売する放射冷却素材「SPACECOOL」は、太陽光からの入熱よりも放射冷却による出熱を大きくした素材です。これにより直射日光下でもゼロエネルギーでの冷却を実現しています。
SPACECOOL株式会社のコメント
このニュースを受けまして、SPACECOOL株式会社よりコメントが届きました。
SPACECOOL株式会社 代表取締役CEO 兼 CTO、共同創業者
2012年大阪大学大学院工学研究科を修了後、大阪ガス(株)に入社し、同時並行で複数の研究テーマを立案・遂行し、基礎研究からメーカーや大学との共同開発まで幅広く経験。
2013年より大阪ガスにとって新領域であったフォトニクス(光工学)分野の研究開発の立ち上げを行い、京都大学大学院電子工学専攻野田進教授と共同実施した熱光発電(TPV)の研究ではフォトニック結晶を用いた光制御によって、当時MITが保有していた発電効率の世界記録を大きく超える効率を記録し、Nature Photonicsをはじめ数々の媒体で成果が取り上げられる。社会人博士として京都大学大学院に進学し、2019年に博士(工学)を取得。
SPACECOOL(株)に繋がる「放射冷却素材」の研究開発は2017年に大阪ガスで独自に立ち上げ。事業化のために2021年4月に(株)WiLと大阪ガスの出資を受けスタートアップSPACECOOLを設立し、出向する形でCTOに就任。2023年12月に大阪ガスを退職。2024年4月より代表取締役CEOに就任。
受賞歴:SPIE Green Photonics Award (2016), 応用物理学会奨励賞(2019), 近畿化学協会環境技術賞(2021)、気候変動アクション大賞(2023)など。
・今回の資金調達の目的は何ですか?
海外での事業展開や更なる研究開発、組織体制・事業基盤の強化が目的となります。
・今後の展望を教えてください。
現在、地球温暖化による問題が顕在化し、我々人類はその影響を他人ごととして見過ごせない状況にあります。私たちは「世界に木陰の涼しさを」をビジョンに、宇宙に熱を逃がしてゼロエネルギーの冷却を実現する放射冷却素材によって、地球温暖化への適応策と緩和策の両方に貢献することを目指しています。
このビジョンを実現するために、放射冷却素材を誰しもが利用しやすい形で提供すること、そしてグローバルに普及させること、これこそが我々の挑戦と考えており、今回の資金調達は、これらの取り組みを力強く加速させるものです。
(プレスリリース「SPACECOOLがプレシリーズAラウンド及びシリーズAラウンドで総額9億円の資金調達を完了 さらなるグローバル展開の拡大により「世界に木陰の涼しさを」届ける」(2025年1月14日発表)より引用)
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