ミーク 峯村 竜太|主要3キャリアから選べるプラットフォーム「MEEQ」で企業のDXをサポート

創業手帳
※このインタビュー内容は2024年03月に行われた取材時点のものです。

SIM1枚からでも発注可能、豊富なプランが揃った「MEEQ」でIoT・DXを実現


「IoT」という言葉が普及し、様々な電子機器に通信機能が組み込まれるようになりました。しかし、一言で「モノに通信回線を組み込む」といっても、月に1度通信すれば良い場合もあれば、常に情報を送り続けなければいけない場合など、使い方により通信頻度は様々です。

そこで、用途に応じて最適なプランを選べる主要3キャリアの通信回線を法人向けに提供し、企業のDXをサポートしているのがミーク株式会社です。

今回の記事では、代表取締役の峯村さんがソニーグループに入社した背景やカーブアウトしてミークを創業するまでの経緯、モノの通信を通じて成し遂げたい未来について、創業手帳の大久保が聞きました。

峯村 竜太(みねむら りゅうた)
ミーク株式会社 代表取締役 執行役員社長
静岡県出身。東京工業大学修士課程修了。通信系ベンチャー企業を経て、2011年にソネットエンタテインメント株式会社(現 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)へ入社。同社にてNURO事業、MVNE事業等の立ち上げに従事。その後、スマートフォン向けを中心としたMVNE事業に加え、IoT向け通信の領域でも新規事業を立ち上げるため、2019年3月にソニーネットワークコミュニケーションズ スマートプラットフォーム株式会社(現 ミーク株式会社)を設立、同社代表取締役に就任。IoTソリューションを提供・活用する企業に向け、IoT回線プラットフォーム「MEEQ」を展開。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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ファーストキャリアでベンチャー企業を選んだ理由

大久保:起業する前の経歴を教えてください。

峯村:東京工業大学修士課程修了後に、法人向けにIP電話や光ファイバー回線を提供している通信系のベンチャー企業に入社しました。その5年後にソネットエンタテインメント株式会社(現 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)へ転職したという経歴です。

大久保:なぜファーストキャリアとしてベンチャー企業を選ばれたのですか?

峯村:当時、就職活動をしていて、ベンチャー企業も大企業もどちらでも働いてみたいと思っていました。

その頃は、大企業からベンチャー企業への転職はできても、ベンチャー企業から大企業への転職は難しいという考えが一般的でした。

このことを生意気にもベンチャー企業の面接官の方に質問したところ「私は今のあなたには可能性を感じていますが、大企業を3年経験した後、大きく成長していなかったのであれば、その時はあなたを採用したいとは思わないでしょう。」と言われました。

この言葉が印象的で、重要なのは企業の規模ではなく、その企業で自分が何を吸収できるかだと気づきました。

この会社でこの人たちとなら自分自身もより成長できると率直に思えたことを覚えています。

ソニーネットワークコミュニケーションズへ転職し「NURO 光」とモバイル(MVNO/MVNE)事業の立ち上げに参画

大久保:ソネットエンタテインメントでは、どのような業務を担当されていましたか?

峯村NURO 光およびモバイル(MVNO/MVNE)事業の立ち上げを担当しました。

この他に、経営企画部門の担当も兼務させていただき、会社全体の次の企画を考えたり、M&Aに関する業務を担当したりしていました。

大久保:大企業での新規事業の立ち上げから参画したということですが、大企業で新規事業を立ち上げるコツがあれば教えてください。

峯村:大企業には資金や人材などのリソースが多くありますが、ロジックが通った計画であることはもとより、ある程度の成長軌道を示せないと、大企業であってもいきなり大きなリソースを投下することは難しいと思います。

そのため、まずは小さな成功事例を積み重ねて、この軌道で進めば大きなリターンが期待できるだろうと会社に思ってもらえるような運営や説明を尽くすことが、大企業で新規事業を立ち上げるコツだと考えています。

大久保:モバイル(MVNO/MVNE)事業は、NURO 光の後に新規で立ち上げたのですか?

峯村:NURO 光とモバイル(MVNO/MVNE)事業は、全く同じタイミングに同じメンバーで立ち上げました。

大久保:それは大変そうですね。

峯村:とても大変でしたね。笑

ソニーグループからカーブアウトして「ミーク」を創業

大久保:ソニーグループでの新規事業の立ち上げには、決まったパターンや流れがありますか?

峯村社内のアクセラレーションプログラムから新規事業が立ち上がることもあれば、1社員が考えているアイディアを形にして新規事業になる場合もあります。

大久保:峯村さんが社長を務められているMEEQの事業はどちらのパターンでしたか?

峯村私が提案してMEEQの新規事業が立ち上がりました。

大久保:どのような経緯でMEEQを別会社として立ち上げることになりましたか?

峯村:NURO 光とモバイル(MVNO/MVNE)事業が動き始めた後は、一度ソニーネットワークコミュニケーションズを離れて、他のグループ会社の新規事業の立ち上げをはじめ、色々な業務を担当していました。

ソニーネットワークコミュニケーションズのモバイル(MVNO/MVNE)事業の成長が落ち着いたタイミングで、もう一度、中長期的な戦略を考える必要が出てきたので、ソニーネットワークコミュニケーションズに戻りました。

モバイル(MVNO/MVNE)事業の成長をもう一段階上げるために何ができるかと考えて、スマートフォンの通信だけでなく、IoT機器を始めとしたモノのネットワークも追加で対応すべきだと考えました。

この分野を新規事業で始めるのであれば、別会社としてやるべきだと考えていたので、会社に提案し、私が社長としてミークを設立したという流れです。

大久保:別会社にすべきだと判断した理由についても教えていただけますか?

峯村通信事業はボリュームを集めれば集めるほど、設備効率やトラフィック効率が上がります。そして、ボリュームを増やすには拡大中のIoT市場でスピーディに小回りの利く形で事業を拡大していく必要があります。

また、私たちが今まで行ってきたモバイル事業はスマートフォン向けのものでした。しかし、IoTとなると、カメラやセンサーなどの様々なデバイスに組み込まれ、利用される産業領域やユースケースも多岐に渡ります。

ミークには通信についての知識やノウハウはありますが、各産業領域の知見は不足しています。そこで、色々な企業とアライアンスを組みながら、成長を目指す必要があると考えたため、別会社にするべきだと判断しました。

大企業発のベンチャー企業が独自の文化形成に必要なこと

大久保:大企業から別会社としてスタートされましたが、社内や周りからの見られ方として「ソニーグループの1つの部門」と「新しいベンチャー企業」のどちらの雰囲気が強かったですか?

峯村ミークとしてオフィスを開設していることもあり、ソニーグループでありながら、別会社という雰囲気がしっかりとありました。

ソニーグループからカーブアウトしてミークを立ち上げた当初は20名ほどの社員数でした。現在は60名ほどになっており、ミークとして採用したメンバーの方が多くなっているため、ミーク独自の文化がより強くなってきていると感じます。

大久保:どの大企業にも「独自の文化」と「成功の型」があると思います。新規事業の立ち上げに関して気をつけることがあれば、峯村さんのお考えをお聞かせください。

峯村ソニーに限らず、母体の事業規模が大きいと、新規事業の規模が小さく見えてしまいがちです。

例えば、売り上げが1兆円ある大会社にとって10億円は誤差に見えるかもしれませんが、ベンチャー企業であれば上場も狙えます。同じ10億円規模のビジネスでも、見る人によって捉え方が全く変わりますよね。

また、母体事業の業務が正しいという視点に立ち続けると、新規事業の規模やフェーズにとっては最適ではない業務フローが出来上がってしまうかもしれません。

つまり、新規事業を立ち上げるのであれば、基本的に母体事業とは別の全く新しい事業だと認識を切り分けて取り組むべきではないかと思っています。良くも悪くも母体事業の常識を疑う意識を持つ必要がありますね。

MEEQなら誰でも簡単に「IoT向けの通信回線」を利用できる

大久保:ベンチャー企業にとって、MEEQを利用するメリットを教えていただけますか?

峯村:MEEQは、IoTやDXサービスを提供する事業者や、DXを検討している企業向けに通信回線(SIM)やデータ蓄積システムなどIoT・DXで必要とされる機能をワンストップで提供しているプラットフォームサービスです。注文や解約、プランの変更もプラットフォーム上で完結できますし、SIM1枚から発注可能なため気軽に導入できます。

さらに、MEEQ AIや他社クラウドサービスとの連携を通じてデータ活用に取り組むことも可能です。

大久保:ミークと競合他社の一番の違いは何ですか?

峯村:ミークの主な競合は、通信キャリアのグループ会社に当たる事業者であるため、提供する回線(キャリア種別)に制限があります。

ミークはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの通信回線を扱っているため、その点が大きな違いです。

大久保:具体的にどのような使われ方をしていますか?

峯村:お客様のニーズにより、プランも料金も多種多様です。

例えば、監視カメラの例をお話しすると、1ヶ月に1回程度カメラから画像をクラウドに移すだけで良ければ、通信容量を少なくしたプランが提供可能です。

一方で、常にリアルタイム情報をカメラからクラウドに送り続ける必要があれば、その使い方に対応した通信回線を提供しています。

大久保:最後に起業家に向けてのメッセージをお願いします。

峯村:起業家1人でできること、自社1社でできることには限界があります。実際に私自身がミークを立ち上げて経営に挑戦する中でも、社内外の多くの人々や企業に助けていただきました。

ミークでは、通信回線をはじめとして、その周辺のサービスをワンストップで提供しています。デバイス(ハードウェア)やソフトウェアのパートナーも増えてきているため、私たちにご相談いただくことで皆さんに最適なIoT・DXを提案できると思います。今後は多くの企業かと一緒に色々な事業を作っていければと思っているので、気軽にご相談いただけると嬉しいです。

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(取材協力: ミーク株式会社 代表取締役 執行役員社長 峯村 竜太
(編集: 創業手帳編集部)



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