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2024年9月10日令和7年度農林水産予算概算要求の概要
農林水産省は、令和7年度農林水産予算概算要求の概要を公表しました。概算要求とは、翌年度に向けて各省庁が財務省に提出する予算方針です。 財務省が予算の内容を確認し、認めるかどうかを決定します。
食料・農業・農村基本法の改正を踏まえ、食料安全保障の強化、環境と調和のとれた食料システムの確立、農業の持続的な発展、農村の振興等を図るため、農業の構造転換の実現に向けた施策を初動の5年間で集中的に実行するとともに、農林水産業の持続可能な成長を推進するための農林水産予算を要求しています。
総額2兆6,389億円(2兆2,686億円) ※( )内は令和6年度当初予算額
食料安全保障の強化
水田活用の直接支払交付金等 3,015億円(3,015億円) 等
・水田での戦略作物の本作化・畑地化、麦・大豆の作付拡大やブロックローテーション、保管施設の整備、商品開発、米粉の利用拡大等の取組を推進
持続的生産強化対策事業 166億円(148億円)等
・野菜、果樹、花き、茶・薬用作物、養蜂等の生産基盤の強化、家畜改良の推進、肉用牛の出荷月齢の早期化、乳用牛の長命連産性向上
食料供給困難事態対策事業 3億円(ー)等
・総合的な備蓄の推進に向けた民間在庫等の実態調査、安定的な輸入の確保、野菜種子の安定供給体制強化、国際協力の推進
飼料生産基盤立脚型酪農・肉用牛産地支援 61億円(ー)等
・国産肥料の生産・利用拡大に向けた堆肥等の代替資源への転換推進、飼料生産に立脚した酪農・肉用牛支援、飼料の増産や備蓄・流通合理化
合理的な価格の形成 4億円(0.3億円)
・合理的な価格の形成に向けた、コスト構造等に関する調査、コスト指標の作成・検証、取引実態調査、消費者等理解醸成
持続可能な食品等流通総合対策事業 32億円(2億円)等
・物流の効率化、中継共同物流拠点の整備、フードバンクやこども食堂等への多様な食料提供に向けて地域の関係者が連携する体制づくり
輸出産地・事業者の育成・展開 37億円(32億円)等
・輸出産地形成、国内外事業者のサプライチェーン連結強化、品目団体・輸出支援プラットフォーム等の強化、知的財産の保護・活用
消費者理解醸成・行動変容推進事業 1億円(1億円)等
・SNS等を活用した情報発信、学校給食での地場産物活用、農業体験の促進、食育の推進などによる国民理解の醸成
農業と食品産業の連携強化 3億円(-)等
・食品産業の持続的な発展のための、食品産業と農業との協調・連携に向けたプラットフォームの構築、食品ロスの削減、フードテック等の活用
農業の持続的な発展
地域計画実現総合対策 482億円
・地域計画により、地域が置かれている状況や抱える課題が見える化されることから、地域計画を核として、現場の状況に応じた事業を総合的に実施することで、地域計画の実現を強力に後押し農業の構造転換を実現するための
・共同利用施設の新設・再編や
・担い手の農地引受力の向上に必要な機械等の導入
を図る事業を充実・強化
新規就農者育成総合対策 149億円(96億円)等
・新規就農者の育成・確保、雇用労働環境の整備、農地バンク等による農地の集積・集約化、サービス事業体の活用
スマート農業技術活用促進集中支援プログラム 410億円
・スマート農業技術活用促進法に基づくスマート農業技術の社会実装の加速化を強力に推進するため、各種事業により集中的に支援
・生産性の飛躍的向上に資するスマート農業技術や新品種の開発、スタートアップへの総合的支援
・サービス事業体による農産物の生産・流通等の方式を転換するモデル的な取組やサービス事業体の育成・活動の促進を支援
農業農村整備事業<公共> 3,952億円(3,326億円)等
・農地の大区画化、水田の汎用化・畑地化、水利施設の集約等を含む計画的な更新や省エネ化・管理省力化、ため池の防災・減災対策
収入保険制度の実施 458億円(348億円)等
・収入保険、ゲタ・ナラシ、野菜価格安定対策、マルキンなどの経営安定対策の充実
家畜衛生等総合対策 93億円(88億円)等
・飼養衛生管理の向上や監視・防疫体制の強化、分割管理の推進、獣医療の提供体制整備、総合防除の推進など家畜伝染病、病害虫等への対応強化
農村の振興(農村の活性化)
農山漁村振興交付金 104億円(84億円)
・官民共創、農泊・農福連携等の地域資源を活用した付加価値の創出、農村RMOの形成、棚田地域の振興、中山間地域等の農用地保全の推進
鳥獣被害防止対策とジビエ利活用の推進 123億円(100億円)
・ICT等を活用したスマート鳥獣害対策の推進やシカ・クマの捕獲対策の強化など鳥獣被害防止対策の推進と更なるジビエ利活用の拡大
みどりの食料システム戦略による環境負荷低減に向けた取組強化
みどりの食料システム戦略実現技術開発・社会実装促進事業 31億円(18億円)
・環境負荷低減や気候変動等に対応する新品種・技術の開発等を実施するとともに、研究成果の社会実装に向けた環境整備を一体的に推進
環境保全型農業直接支払交付金 31億円(26億円)
・地球温暖化防止や生物多様性等に効果の高い営農活動への支援(有機農業について単収が低く不安定な移行期を重点的に支援)
みどりの食料システム戦略推進総合対策 35億円(7億円)
・グリーンな栽培体系への転換の加速化、有機農産物の生産・需要拡大、環境負荷低減の取組を支援する新制度構築に向けた調査、環境負荷低減の「見える化」やJ-クレジットを通じた関係者の行動変容、理解醸成
多面的機能の発揮
多面的機能支払交付金 512億円(486億円)
・地域資源を適切に保全管理するための共同活動への支援(活動組織の体制強化、地域共同で行う環境負荷低減の取組の促進)
中山間地域等直接支払交付金 301億円(261億円)
・中山間地域等での農業生産活動継続への支援(集落協定のネットワーク化、スマート農業による作業の省力化への加算の充実)
カーボンニュートラルの実現・花粉症解決に向けた森林・林業・木材産業総合対策
成長総合対策 156億円(144億円)
・循環利用に取り組む林業経営体への森林の集積・集約化、国産材安定供給に向けた林業・木材産業の生産基盤強化、林業のデジタル化・イノベーションの推進、JAS構造材やCLT等の建築物への利用促進、「緑の雇用」等による担い手の育成・確保、山村地域の活性化森林・林業・木材産業グリーン
花粉症解決に向けた総合対策 35億円(-)
・花粉症対策として、伐採・植替え等の加速化、スギ材需要の拡大、花粉の少ない苗木の生産拡大、林業の生産性向上及び労働力の確保、花粉の飛散防止などを実施
森林整備事業<公共> 1,489億円(1,254億円)等
・森林吸収源の機能強化、国土強靱化に資する森林整備・治山対策の着実な推進
水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化
漁業経営安定対策の着実な実施 564億円(351億円)等
・資源調査・評価の高度化、漁業取締りの万全な実施、漁業経営安定対策の着実な実施
漁業構造改革総合対策事業 85億円(11億円)等
・海洋環境の変化や資源管理の必要性を踏まえた漁獲対象魚種・漁法の拡大・転換、養殖転換など新たな操業・生産体制への転換、スマート水産業の推進、人材確保・育成、水産物の安定供給に向けた持続可能な加工・流通システムの推進
漁場生産力・水産多面的機能の 発揮等 56億円(38億円)等
・共同利用施設の整備、漁場生産力の強化やブルーカーボンに資する藻場・干潟の保全等の多面的機能対策の実施、漁場環境の改善
水産基盤整備事業<公共> 867億円(730億円)等
・海業の全国展開、拠点漁港の機能強化、国土強靱化等を推進する水産基盤の整備
概算要求とは、政府の各省庁が毎年8月末までに、財務省に提出する翌年度の予算要求のことです。
具体的には、来年度はこれだけの予算が欲しい、と各省庁が政策を実施するために必要な経費を要望書にまとめ、財務省に送ります。
また、その概要は各省庁のHPで公表されており、これを通じて来年度の政策の概要や方向性を知ることができます。
農林水産省は、食料・農業・農村基本法の改正を踏まえ、農林水産業の持続可能な成長を推進するための予算を要求しています。
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