公正取引委員会「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」

tips

公正取引委員会は、内閣官房および公正取引委員会の連名で「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を策定し、公表したことを発表しました。

2023年の春季労使交渉の賃上げ率は約30年ぶりの高い伸びとなったものの、2022年4月以降、現時点に至るまで、急激な物価上昇に対して賃金の上昇が追いついていません。この急激な物価上昇を乗り越え、持続的な構造的賃上げを実現するためには、特に我が国の雇用の7割を占める中小企業がその原資を確保できる取引環境を整備することが重要です。

その取引環境の整備の一環として、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を策定し、公表しました。

指針の性格

・労務費の転嫁に関する事業者の発注者・受注者の双方の立場からの行動指針。
・発注者および受注者が採るべき行動/求められる行動を12の行動指針として取りまとめ、それぞれに「労務費の適切な転嫁に向けた取組事例」、「留意すべき点」などを記載。
・本指針に記載の12の行動指針に沿わないような行為をすることにより、公正な競争を阻害するおそれがある場合には、公正取引委員会において独占禁止法および下請代金法に基づき厳正に対処することを明記。
・他方で、発注者としての行動を全て適切に行っている場合、取引当事者間で十分に協議が行われたものと考えられ、通常は独占禁止法および下請代金法上の問題が生じない旨を明記。


先日発表された中小企業庁の「中小企業の価格転嫁に関する調査結果」(2023年9月)では、価格交渉がしやすい土壌が醸成されてきていることが指摘されています。

他方で、3月調査(前回調査)と9月調査を比較すると、前回の方が価格交渉を行った企業が多く、今回交渉を行わなかった理由として、コスト上昇が落ち着いた、あるいはすでに価格転嫁しているため価格転嫁が不要であると回答している企業が見受けられます。

しかし、今般の物価高騰に対し、賃金の上昇はまったく追いついていない、つまり十分な賃上げがなされていないという現状があります。

こうした状況を踏まえ、公正取引委員会は内閣官房との連名で「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」」を公表しました。これにより中小企業が賃上げの原資を確保するのが狙いです。

違反行為は独占禁止法に抵触する恐れがあることを示し、それを全国的に周知徹底を図ることで、中小企業・小規模企業の賃上げを支援するとしています。

企業を成長させていくにはさまざまな知識を身につけることが重要です。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」では、資金繰り、会計・経理、販路拡大、ネット活用、人材採用、契約など、あらゆるノウハウについて詳しく解説しています。

また、別冊の資金調達に特化した「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるための方法や、融資制度の活用法、クラウドファンディングを成功させるためのノウハウなど、資金調達に関するノウハウを詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ トレンド
関連タグ 人件費 価格交渉 価格転嫁 労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針 取引 賃上げ
詳細はこちら

(令和5年11月29日)「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の公表について

創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
【2025年最新】起業・開業の強い味方!補助金・助成金おすすめ15選
一人会社と個人事業主の違いとは。一人でも法人にするメリット・デメリット
起業の仕方サムネイル
起業の6ステップ。素人でも失敗しない起業の仕方を大解剖。起業の専門家が体験とデータで解説。
合同会社とは?メリット・デメリット、株式会社との違いをわかりやすく解説
一般社団法人設立サムネイル
「一般社団法人」の設立方法完全ガイド|流れ・費用・必要書類など解説
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!

トレンドの創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

【8/8締切】「中堅・中小成長投資補助金」4次公募が開始
「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)」4次公募のお知らせです。 地域の雇用を支える中堅・中小企業が、足元の人手不足等の課題に対応し、成長していくこ…
【中小企業庁】フリーランス法に関する説明会のアーカイブ動画を公開
2024年8月22日、中小企業庁は、フリーランス法に関する説明会のアーカイブ動画を公開したことを発表しました。 7月24日に開催されたフリーランス法に関する説明会の動画と、相談窓口(フリーランス110…
旅行会社と鉄道会社・観光施設のBtoB取引プラットフォームなど展開の「リンクティビティ」が「NTT西日本」と資本業務提携
2021年12月22日、リンクティビティ株式会社は、西日本電信電話株式会社と資本業務提携契約を締結したことを発表しました。 リンクティビティは、鉄道・バスなどの交通会社や観光施設・アクティビティ事業者…
【5/20締切】「小規模事業者持続化補助金」第16回公募
「小規模事業者持続化補助金」第16回公募のご案内です。 小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層…
中小企業庁「価格交渉フォローアップ調査」価格交渉が行われた割合は59.4%と微増に
2024年6月21日、経済産業省は、価格交渉促進月間(2024年3月)フォローアップ調査の結果を公表しました。 中小企業庁は、毎年3月と9月の「価格交渉促進月間」に合わせ、受注企業が、発注企業にどの程…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集