中小企業の価格転嫁に関する調査結果(速報版)が発表

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中小企業庁は、毎年3月と9月の「価格交渉促進月間」に合わせ、受注企業が、実際にどの程度価格交渉・価格転嫁できたかを把握するための調査を実施しています。

2023年9月「価格交渉促進月間」では、中小企業・小規模事業者の取引状況を正確に把握するため、「アンケート調査」と「下請Gメンによるヒアリング」を実施しました。

アンケート調査

中小企業・小規模事業者を対象に、主な取引先となる発注企業との間で、どの程度価格交渉・価格転嫁が行われたかを問うアンケート調査を実施しました。調査票の配布先は、我が国の産業構造との整合性を確保するため、経済センサスの産業別法人企業数の割合(BtoC取引が中心の業種を除く)を参考にして、抽出しています。

配布先の企業数:30万社
調査期間:2023年10月10日から11月10日
回答企業数:35,175社(※回答から抽出される発注側企業数は延べ42,924社)
主な質問項目
・主な取引先となる発注企業(最大3社)との価格交渉・価格転嫁の実施状況
・回答者が生産する財・サービスのコスト構造

下請Gメンによるヒアリング

中小企業・小規模事業者に対し、価格交渉・価格転嫁の状況について、下請Gメンによるヒアリング調査を実施しています(現在も実施中)。なお、ヒアリング先は、地域特性や業種バランスに配慮した上で、商慣習等によりコストが取引価格に反映できていない状況や、発注側企業との間で、十分な価格交渉が行われていない状況が見られた事業者等も含め、対象先を選定しました。

調査期間:2023年10月23日から12月6日(予定・実施中)
ヒアリング件数:約2,000社

調査結果(速報版)の概要

全体的な傾向として、価格転嫁・価格交渉ともに、「コストが上昇していないため、価格転嫁は不要である」旨の回答の割合が、約2倍に増加しました。

価格交渉については、

・「発注企業からの交渉申し入れをきっかけに交渉が行われた」企業の割合が約2倍に増加
・また、「コストが上昇し、交渉を希望したが、交渉が行われなかった」企業の割合は減少

という結果となり、価格交渉しやすい雰囲気が徐々に醸成されつつあります。

価格転嫁については、

・コスト全体の転嫁率は、前回調査と比較して微減し、45.7%となったものの、
・「全く転嫁できなかった」または「コストが上昇したのに減額された」企業の割合は減少

という結果となり、価格転嫁の裾野は広がりつつあります。


価格転嫁とは、企業が原材料やサービスのコストの変動を、製品やサービスの価格に反映させることです。

エネルギー価格高騰・物価高騰が経済や国民生活に与える中、適切な価格転嫁は、事業を継続していくために重要な戦略です。

大企業などを取引先とする下請企業などは立場が弱いことが多く、価格面でしわ寄せを被っているケースが見られます。

したがって、中小企業庁は、価格交渉・価格転嫁を促進するため、さまざまな取り組みを行っています。

「価格交渉促進月間」は、価格交渉・価格転嫁を促進するため、広報・講習会・業界団体を通じた価格転嫁の要請などを行う月間であり、それに合わせ、どの程度価格交渉・価格転嫁できたかを把握するための調査を実施しています。

今回の調査では、コスト上昇が落ち着いた、あるいはすでに価格転嫁しているため価格転嫁が不要であると考えている企業が増加しています。

また、その他のデータからは、交渉を希望したものの価格転嫁が行われなかったと回答した企業が、3月時と比べると減少しているほか、発注企業(取引先)から交渉の申し入れがあり価格交渉が行われたという企業が倍程度に増加しており、発注企業の意識向上が見られます。

また、こうした発注企業の意識向上は、受注企業側から価格交渉ができるという雰囲気にもつながるものとして肯定的に捉えられます。

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