注目のスタートアップ

再生医療ベンチャーの「ひろさきLI」が「サイバーダイングループ」と資本業務提携

company

2022年8月17日、ひろさきLI株式会社は資金調達を実施したことを発表しました。

引受先は、CYBERDYNE株式会社と同社子会社が運営する「CEJファンド(サイバニクス・エクセレンス・ジャパン 1 号投資事業有限責任組合)」です。

ひろさきLIは、青森県弘前市を拠点とする再生医療ベンチャーです。

コラーゲン加工技術をベースとした自家細胞培養による再生医療等製品の研究開発を行っています。

神戸医療産業都市推進機構との共同研究によって開発したヒト羊膜基質使用ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート「サクラシー」は、2022年1月に製造販売承認を取得しており、2022年9月1日に保険収載が予定されています。

「サクラシー」は、眼表面の癒着を伴う角膜上皮幹細胞疲弊症を対象とした新たな治療法です。

患者から採取した口腔粘膜上皮細胞を、ヒト羊膜から調整した羊膜基質上に播種・培養して製造する細胞シートです。眼表面に移植することで眼表面の異常を修復し、癒着を軽減することを目的としています。

また、自己軟骨培養細胞含有コラーゲンマトリックス「開発名:IK-01」については、神戸医療産業都市推進機構と神戸大学医学部附属病院による医師主導治験を引き継ぎ、製造販売承認を受けるため、企業治験「外傷性軟骨損傷を対象とした検証的治験」を実施しています。

「IK-01」は、患者の自己軟骨細胞を培養し移植することで、膝関節の軟骨の損傷部位を修復する再生医療等製品です。

今回の資金調達により、変形性膝関節症の患者に対する根治療法を目指して開発を進めます。

CYBERDYNEは、身体機能を改善・補助・拡張・再生する装着型サイボーグ「HAL(Hybrid Assistive Limb)」の開発・提供と、「HAL」を活用した「サイバニクス治療」を展開しています。

「サイバニクス治療」は、脊髄損傷・脳卒中・神経筋難病疾患の患者を対象とした、「HAL」を用いた機能改善・機能再生医療です。

ひろさきLIはCYBERDYNEとの提携により、「IK-01」とサイバニクス治療で培った知見を融合し、革新的な再生医療等製品を開発します。

変形性膝関節症とは、加齢や筋肉量の低下などによって膝の軟骨がすり減り、痛みが生じる病気です。

時間をかけて進行し、徐々に症状が重くなっていきます。重い症状となると関節の軟骨がなくなり、骨同士が直接ぶつかるようになります。安静時でも痛みを感じ、さらに歩く・座る・しゃがむといった動作が困難となり、日常生活に大きな支障をきたします。

治療法としては、症状が軽い場合はヒアルロン酸の注射や、大腿四頭筋のトレーニング、リハビリテーションなどを行います。

これによって治る場合もありますが、もし治らなかった場合は外科手術が検討されます。骨を切って変形を矯正するものや、人工関節に置換する手術などがあります。

病状が進行すると人工関節にするケースが多いのですが、人工関節には、感染が起こりやすい状態になること、手術によって血栓症を発症する確率が高いこと、耐用年数があるため再置換手術が必要となることといった課題があります。

国内において変形性膝関節症の自覚症状がある人は約780万人、潜在的患者数は約2,530万人と推定されています。さらに高齢化によって患者は増加しています。

また、変形性膝関節症における人工関節手術件数は年間約9万件となっています。

ひろさきLIの「IK-01」は、軟骨の損傷部位を修復する再生医療等製品であるため、今までの手術による治療よりも身体に負荷をかけることなく変形性膝関節症を治療することが可能になると考えられます。

研究開発型のビジネスでは資金調達が非常に重要です。起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関するノウハウを詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ CYBERDYNE サクラシー ヒト羊膜基質使用ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート ひろさきLI 再生医療 変形性膝関節症 株式会社 角膜上皮幹細胞疲弊症 資本業務提携 資金調達 関節
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
酒類販売業免許とは?お酒の販売には免許が必要!飲食店開業のための酒販免許取得を専門家が解説
【2025年最新】起業・開業の強い味方!補助金・助成金おすすめ15選
家族を従業員にする4つのメリットと注意するべきポイント
NPO法人設立サムネイル
【2025年最新】NPO法人の設立ガイド|費用・条件・手順を徹底解説
法人の印鑑証明書の取り方 | 手数料は?どこで?郵送は可能?
法人成りとは?個人事業主が「法人化」をするメリット・デメリットや手続きなどを解説!

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

分散型コンピューティングパワー(計算力)を提供する「モルゲンロット」が「三菱商事」と資本業務提携
2022年5月20日、モルゲンロット株式会社は、三菱商事株式会社と、資本業務提携契約を締結したことを発表しました。 モルゲンロットは、分散処理コア技術「Excalibur」を中核としたソフトウェア開発…
「バルテス」がコレクションマネジメントプラットフォーム「COLLET」を展開する「between the arts」に出資
2023年3月10日、バルテス株式会社は、グループ会社であるバルテス・モバイルテクノロジー株式会社が、株式会社between the artsに出資したことを発表しました。 between the a…
医療機器一元管理システム提供の「HITOTSU」が2億円調達
2022年5月24日、HITOTSU株式会社は、総額約2億円の資金調達を実施したことを発表しました。 HITOTSUは、医療機器一元管理システム「HITOTSU」を提供しています。 医療機器に関するす…
製造業特化の設備保全業務効率化SaaSを開発する「FAcraft」が資金調達
2024年4月9日、株式会社FAcraftは、資金調達を実施したことを発表しました。 FAcraftは、製造業に特化した設備保全業務効率化SaaSを開発しています。 修理状況を把握・共有できる機能、画…
カーボンクレジットの生成・販売を通じた環境価値市場創出と農業体系の構築を手がける「フェイガー」が資金調達
2025年7月23日、株式会社フェイガーは、資金調達を発表しました。 この調達によりシリーズAラウンド全体の調達総額は約24億円となりました。 フェイガーは、カーボンクレジットの仕組みを活用し脱炭素農…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集