【2025年最新・税理士監修】副業(ダブルワーク)したら年末調整はどうなる?確定申告や税金などを解説

創業手帳

副業の稼ぎが年間20万円超なら確定申告の準備をしよう


副業(ダブルワーク)をしている場合、本業の会社での年末調整とは別に、副業分の確定申告が必要な可能性があります。

副業分の収入が一定額以上であれば確定申告の義務が生じるため、正しい判断軸を知っておかないと、税金の未納によるペナルティーのリスクにもつながりかねません。

そもそも副業も年末調整できないのか、なぜ副業だけ確定申告が必要なのかなど、ダブルワーカーにありがちな悩みをクリアにし、スムーズな手続きを実現しましょう。

監修者:三輪篤史(みわあつし)三輪税理士事務所 代表税理士 /(会計法人)クローバーズ経営合同会社 代表社員
平成18年税理士登録(東京税理士会)。
総合経営支援グループの税理士法人、大手薬局の管理本部長を経て、平成26年財務局・経済産業局認定の「経営革新等支援機関」登録。
品川を拠点に起業支援・財務や経営支援に特化した税理士事務所として、税務会計はもとより政策公庫と連携した融資支援や事業計画作成・経営改善支援など展開。
InstagramSpotifyなど、各種メディアで発信中。

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副業(ダブルワーク)したら年末調整と確定申告のどちらをするべき?


副業の税金は、原則として年末調整では処理できません

そのため副業に関しては、年末調整ではなく「確定申告をするかどうか」で判断する必要があります。

分類 必要な手続き
本業 本業の会社での年末調整
副業 確定申告(年間20万円超で申告義務が発生)

本業の会社では通常通り年末調整を行い、副業については副業の収入・所得の金額に応じて確定申告の必要性を判断しましょう。

年末調整と確定申告の違いについて、詳しくはこちらの記事を>>
年末調整と確定申告の違いと注意点

年末調整は最も給与の多い1社で受ける

年末調整は「主たる給与等の支払者」である1社が実施するのが原則です。
つまり、最も多く給与をもらっている会社1か所にて受けることになります。

年末調整では、扶養控除や基礎控除などの各種控除が納税者1人に対し1回ずつ適用されますが、もし本業と副業の会社(2か所)で年末調整を受けると、控除の二重適用となってしまうのです。

そのため年末調整は必ず1社でしか実施しません。手続きも副業をしていない従業員と変わらず、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」などを作成して提出してください。

2025年分年末調整の変更点について、詳しくはこちらの記事を>>
2025年(令和7年)年末調整の変更点は?基礎控除の引き上げなどわかりやすく解説

三輪税理士事務所 代表・税理士 三輪篤史’s ポイント

最近では副業をする方が増え、「年末調整+確定申告」というケースも多くなってきました。中には「確定申告をするので、年末調整はしなくても大丈夫です」と会社に申し出る方もいるようですが、年末調整は会社の義務です。対象となる方は、きちんと年末調整を受けるようにしましょう。

住民税の申告は必ず必要になる

副業の確定申告は年間20万円をラインに必要性が変わりますが、住民税の申告は金額にかかわらず必須です。

通常、本業の分は会社が処理してくれるため、副業の所得にかかる住民税は自分で別途申告するか、確定申告によって済ませる必要があります。

副業の状況 副業分の住民税の申告
年間20万円以下 住民税の申告のみ必要
年間20万円超 確定申告をするため住民税の申告は不要

確定申告を行えば申告情報が市区町村にも共有されるため、別途で住民税の申告をする必要はありません。

住民税の申告は確定申告と同様に2月16日から3月15日までに、1月1日に住所のある市区町村の役所で行います。
住民税の申告に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 市民税・県民税申告書
  • マイナンバーを確認できる書類(マイナンバーカード・通知カードなど)
  • 所得の証明書(源泉徴収票・支払い調書・支払った経費がわかる書類など)
  • 各種控除の証明書(生命保険料の控除証明書・医療費控除の明細書など)
住民税の申告について、詳しくはこちらの記事を>>
はじめての住民税申告とは|確定申告との違い?住民税の申告が必要な人は?住民税の還付って?

副業は年末調整ではなく「確定申告」が必要!判断軸や申告メリット

副業の所得にかかる税金等を計算するには、年末調整ではなく確定申告が必要です。
確定申告の必要性は、副業でいくら稼いでいるかを基準に判断します。

収入・所得額に関係なく申告したほうがいいケースもあるので、あわせて知っておきましょう。

申告義務の判断ラインは「年間20万円超」

副業をしている場合の確定申告の必要性は、年間20万円が判断ラインになります。

ただし、厳密にはどんな副業をしているかで次のように変わるため、自分の副業の種類で判断してください。

副業収入の種類 確定申告の判断軸 副業例
給与以外
(雑所得・事業所得)
所得額(収入ー経費) 個人事業主、小規模な在宅ワークなど
給与 収入額 パート、アルバイトなど
上記の両方 所得額+収入額 バイト+個人事業主など

基本は年間の「所得額(収入から経費や控除を差し引いた金額)」が20万円を超えているかで判断しますが、副業の収入が「給与」の場合、給与所得控除の関係から所得で判断するのが難しくなります。

そのため給与の副業は「収入額」で判断したほうが簡単です。保険や控除などが差し引かれる前の収入額が20万円を超えていたら、確定申告しましょう。なお、給与に経費は適用できません。

給与とそれ以外(雑所得・事業所得)が混在している場合は、双方のルールを適用して合算してください。

副業の確定申告の判断目安について、詳しくはこちらの記事を>>
副業の確定申告はいくらから?やり方、必要書類やスマホでの申告などを解説

義務がなくても確定申告するメリット

確定申告の義務がなくても、確定申告をしたほうがメリットにつながる場合があります。
主に以下のシーンが例です。

  • 払いすぎた税金を還付金で受け取る
  • 確定申告でしか適用できない控除を適用する
  • 住民税の納付方法を選んで「会社バレ」を防ぐ

副業先で給与から源泉徴収された所得税がある場合、確定申告をすることで、払いすぎた税金が還付金として戻ってくる可能性があります。

年末調整では申請できなかった医療費控除や雑損控除などの各種控除も、確定申告で適用できるため、税金を取り戻すために有効です。

確定申告時に住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」にチェックすることで、副業分の住民税額が原因による副業の会社バレリスクを軽減できます。

副業の会社バレを回避する方法について、詳しくはこちらの記事を>>
会社にバレない副業のやり方|いくらから確定申告するべき?税金の注意点も解説

三輪税理士事務所 代表・税理士 三輪篤史’s ポイント

「住民税の納付方法を選んで会社バレを防ぐ」という例ですが、1点、注意が必要です。
副業が給与収入(パート・アルバイトなど)の場合、確定申告で住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」にチェックしても、実際には本業の会社でまとめて天引き(特別徴収)されるケースが多くなっています。ここ数年は、自治体側が「主たる給与の事業者(本業の会社)」から特別徴収する運用を原則としているためです。 そのため、副業が給与収入にあたる場合は、お住まいの市区町村にて取り扱いを確認するようにしましょう。

副業(ダブルワーク)の年末調整で注意すべきケース

副業をしている人は本業の勤務先で年末調整をして、副業の所得は確定申告するのが基本です。ここでは、注意が必要なケースについて解説します。

本業・副業のどちらでも年末調整していない

本業と副業、いずれの勤務先でも年末調整を受けていない場合には、確定申告で所得税を申告しなければいけません。

この場合、給与から引かれている税金が多く、還付されるお金がある可能性が高いため、自分で確定申告することをおすすめします。

年末調整を2か所でしてしまった

前述したように年末調整を受けられるのは、1か所だけです。

しかし、2か所の勤務先がある場合、両方で年末調整書類を渡されて、その両方を提出してしまう場合もあります。

複数か所で年末調整されると、所得控除が重複で使用されてしまうため、正しく納税額を計算できません。そのため、改めて所得税の確定申告をし、正しく計算しなおすことになります。

所得控除を重複して受けている=控除されすぎているため、本来納める税金が未納になり、滞納につながる恐れも生じかねません。

延滞税や無申告課税といったペナルティを課せられる可能性もあるので注意してください。

副業(ダブルワーク)で年末調整を実施する流れ


ダブルワークで年末調整を実施する流れは、他の従業員と特に変わりありません。提出する書類・書き方なども同様です。

記入例を元に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」などを作成します。どちらの企業で行うかは、もらっている給与がより多いほうを選んでください。

1社分のみの年末調整を行ったら、次は確定申告の準備を進めていきます。

副業中の確定申告については、副業版確定申告ガイドがおすすめ!以下のバナーから!


副業(ダブルワーク)の確定申告の方法


普段は会社員で今年から副業をスタートした人では、確定申告をしたことがない人も多いかもしれません。

副業の形態、所得の種類によって確定申告の方法も変わります。副業をしている人の確定申告の方法についてまとめました。

本業と副業で給与をもらっている場合

本業と副業で給料を受け取っている人は、どちらも給与所得となります。

毎年10月から12月ごろに年末調整の書類が勤務先で配布されるので、必要事項を記入して提出してください。本業の手続きはこれで終わりです。

副業やダブルワークの勤務先(年末調整を受ける本業先以外)で年末調整の書類を受け取った場合には提出せずに自分で確定申告を行います

本業と副業の両方で受け取った源泉徴収票をもとにして確定申告をしましょう。
源泉徴収票に記載された給与収入を合算して、給与所得として確定申告してください。

個人事業主の形態になっている場合

副業やダブルワークが、どこかに雇用されているのではなく個人事業主やフリーランスとして働いている場合もあります。

この場合は、本業で年末調整をして、副業の確定申告を行ってください。

副業の規模によって事業所得となるか、雑所得となるかが決まります。この場合でも本業の源泉徴収票を用意して、正確な税額を算出します。

副業(ダブルワーク)で確定申告をする流れ

確定申告は、1年分の所得を原則として翌年の2月16日から3月15日に申告します。ただし、それぞれの日にちが土日や祝日の場合には翌日とします。

確定申告の提出期限に遅れると、延滞税や無申告課税といったペナルティが課せられるので余裕をもって手続きしてください。

STEP1.確定申告書類を用意する

確定申告は、e-Taxと郵送、税務署窓口の3つの方法で提出できます。

税務署の窓口に提出する方法は、確定申告を初めてする場合や、質問してから確定申告書を作成したい人におすすめの方法です。

e-Taxの場合は、インターネット上のシステムで確定申告を作成して、提出まで行います。
自宅から税務署やポストに出向くことがなく確定申告ができる点が大きな魅力です。

e-Taxの使い方について、詳しくはこちらの記事を>>
e-Taxの使い方とは?確定申告や納税もオンラインで手続きがスムーズに!

郵送提出の場合には、自宅で確定申告書を作成して郵送します。
確定申告書は、窓口で受け取ることもできますが、税務署や確定申告会場、さらに市区町村の担当窓口、指導相談会場でも受け取り可能です。

それぞれ窓口ごとに受付時間や整理券の配布があるので、前もって確認してください。

国税庁ホームページ「確定申告書等の様式・手引き等」では、確定申告書を掲載しているので必要な用紙を印刷して利用できます。

確定申告書以外の付表・計算書・明細書や手引きといった書類も掲載しています。

STEP2.源泉徴収票や領収書を準備する

確定申告書を用意したら、ほかの必要書類も揃えてください。
ダブルワークしていて給与を2か所以上から受け取っている場合には、すべての源泉徴収票を用意します。

また、医療費控除を受ける場合には、1年間にかかった医療費を記載するため、領収書やレシートを準備しましょう。

STEP3.確定申告書を作成して提出する

必要なものが揃ったら、いよいよ確定申告書を作成していきます。税務署の窓口が空いているのは、原則として平日の8時半から17時です。

ただし、確定申告期間中は休日に開いていたり、確定申告会場が用意されていたりすることがあります。
お住まいの地域にある税務署を検索してみましょう。

e-Taxの提出期限は、3月15日の23時59分なので期限ぎりぎりになってもデータ送信が完了すれば期限内の提出になります。

しかし、あまりにギリギリに提出しようとすると送信ミスで提出が遅れてしまうかもしれません。ある程度の余裕をもって提出するようにしてください。

郵送で確定申告書を送る場合の宛先は納税地の税務署です。確定申告書は郵便法で定められる信書に該当します。

税務署に送付する場合には、「郵便物」(第一種郵便物)又は「信書便物」として送付しなければいけません。ゆうパック、ゆうメール、ゆうパケットでは確定申告書を送付できないので注意してください。

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2025年(2024年・令和6年分)の確定申告期間はいつからいつまで?納税期限などもチェック
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副業の確定申告し忘れたら期限後申告をする

副業で20万円超の所得がある人が期限内の確定申告をしなかった場合、わかった時点で速やかに申告するようにします。これを期限後申告といい、本来納める税金以外に無申告加算税と延滞税が課される可能性があります

無申告加算税と延滞税が課される場合の税率は、以下のとおりです。

無申告加算税 ・納税額の50万円までの部分:15%
・納税額の50万円超300万円までの部分:20%
・納税額の300万円超の部分:30%
延滞税 ・納期限の翌日から数えて2か月まで:年7.3%と延滞税特例基準割合※+1%のいずれか低い割合
・納期限の翌日から2か月を経過した日以後:年14.6%と延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合

※延滞金特例基準割合とは、平均貸付割合に1%を加算した割合。平均貸付割合とは財務大臣が前年の11月30日までに告示する、その年の前々年9月から前年8月の各月の銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で割った割合。

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まとめ・副業(ダブルワーク)を始めたら年末調整・確定申告には注意しよう!

副業やダブルワークをしていると収入額が変わります。その結果、初めて行う手続きが必要になり、戸惑うかもしれません。
これから副業をスタートする場合には、どのような手続きが必要なのか事前にチェックしましょう。

個人事業主の場合であれば、必要経費の領収書や青色申告の申請のように早い段階で整理・手続きしておいた方が良いものもあります。
働き方に合わせて必要な手続きをまとめてみましょう。

三輪税理士事務所 代表・税理士 三輪篤史’s ポイント

確定申告は、1年分の所得を原則として翌年の2月16日から3月15日までに申告します。ただ、2月は日数も少なく、気づけば期限が目前という方も少なくありません。
特に個人事業主の方にとっては、この時期に1年分の売上や経費をまとめる作業は想像以上に大変です。日々の業務に追われながら帳簿を整理するのは、精神的にも負担が大きくなりがちです。
そうならないためにも、普段から「領収書を内容ごとに分けて整理しておく」「エクセルなどにこまめに入力しておく」といった工夫をしておくだけで、申告時の負担がぐっと軽くなります。
ギリギリになって焦らないよう、余裕をもって計画的に進め、ミスや申告漏れを防ぎましょう。
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年末調整と確定申告の違いと注意点

(編集:創業手帳編集部)

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(監修: 三輪税理士事務所 代表税理士 /(会計法人)クローバーズ経営合同会社 代表社員 三輪篤史(みわあつし)
(編集: 創業手帳編集部)

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