はじめての住民税申告とは|住民税申告(市民税申告)が必要な人、確定申告との違い、住民税の還付など解説

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【2024年最新】住民税の申告をしないとどうなる?など疑問をまとめて解決します!

私たちが納めている「所得税」と「住民税」。これらの税金は、それぞれ毎年の所得から税額を計算しています。

そして、年末調整や確定申告をしていない方の中には、自身の所得を報告するために「住民税の申告」をしなくてはならない人がいるのです。そこで今回は、住民税の課税対象期間や申告方法、住民税の還付や計算方法についてまとめて解説します。

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私たちが支払っている「所得税」と「住民税」

住民税の申告方法を確認する前に、まずは私たちが支払っている税金の基本をおさらいしましょう。私たちが納めている主な税金には「所得税」「住民税」「消費税」があります。

住民税とは、都道府県に支払う税金と市町村に支払う税金を合わせたものです。一般的には住民税と呼ばれていますが、市民税ともいいます。住民税は地方税であることから、申告先は区役所や市役所です。一方で所得税は国税のため、税務署に申告する違いがあります。

所得税と住民税のどちらも所得に対してかかる税金ですが、課税対象期間に違いがあります。所得税は「その年の所得」に対して課税されますが、住民税は「前年の所得」に対して課税されるのです。

極端な話ですが、今年が無収入だったとしても、前年に稼いでいたら住民税は支払わなければなりません。

なお、住民税の支払い方法は、普通徴収と特別徴収の2種類があります。サラリーマンやパート主婦など年末調整をされている場合は特別徴収となり、給与から住民税が天引きされています。普通徴収は個人事業主や無職の人が対象となり、納付書が送付されるので6月・8月・10月・翌1月の年4回または一括で支払が必要です。

住民税と所得税の「課税対象期間」の違いとは?
  • 住民税は「その年の所得」に対して課税される
  • 所得税は「前年の所得」に対して課税される
法人住民税について、詳しくはこちらの記事を>>
法人住民税はいくらかかる?赤字の場合や会計処理についてまとめ

確定申告と住民税申告の違いとは?

「住民税の申告」という言葉自体、あまり聞いたことがないという方も多くいると思います。「確定申告はしたことあるけど、住民税の申告はしたことない。何か違いがあるの?」と思う方もいるでしょう。

確定申告とは、自身の所得を申告し所得税を支払うための手続きです。確定申告の際には税務署に届け出る必要があります。これは、所得税が「国税」のため、国に収める税金を管轄する税務署に提出しなければならないからです。

一方、住民税の申告は市役所の市民税課などに届け出る必要があります。これは、住民税が「地方税」のため、居住している自治体に提出しなければならないからです。

よって、確定申告と住民税の申告は目的そのものが違います。

ただし、どちらも提出する人の所得に対してかかる税金です。つまり、同じ情報を元に税金の計算をしていることになります。

確定申告を行った場合は、その人の所得の情報が税務署から市町村へ送られ、それをもとに市町村が住民税の計算をしているという仕組みです。

したがって、確定申告をすれば自動的に住民税の申告をしたことになり、通常であればわざわざ住民税の申告をする必要はありません。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」があります。大抵の場合は「青色申告」で申告しているはずですが、「白色申告」と比べてどれだけのメリットがあるのかを理解しているでしょうか。冊子版の創業手帳では、確定申告の基本について詳しく解説しています。

イ青色申告と白色申告の違いについて、詳しくはこちらの記事を>>
法人/個人の青色申告と白色申告の違い、それぞれのメリット・デメリットとは

住民税の申告をしないとどうなる?


住民税を申告しなかった場合、「非課税証明書」「所得証明書」の2点が発行(※)できないため、以下に該当する方は注意しましょう。

(※)確定申告をしている場合は、2点とも発行されます。

「非課税証明書」を取得できない

基本的に、課税対象の給与所得(※)がない場合は、住民税申告の義務はありません。そのため、「非課税証明書」「所得証明書」が必要ない方で、課税対象でない場合は申告する必要がありません。

ただし、給与所得がなくても、「非課税証明書」が必要な場合は申告書の提出がないと交付されないケースがあります。

非課税証明書は、銀行でローンを組む際や奨学金の申請などで使用するため、申請する可能性がある方は注意しましょう。

(※)住民税の「申告が必要な人」の条件は、後述いたします。

「所得証明書」を取得できない

課税対象の給与所得がなくても、国民健康保険料や介護保険料などの「減額の手続き」が必要な場合は、住民税申告書の提出が必要です。

申告書を提出しなかった場合、減税の手続きに必要な「所得証明書」が発行されなかったり、保険料等の減額制度が正しく適用されないケースがあります。

そのため、課税対象の給与所得がなくても、上記2点に関する方は住民税申告書を提出しましょう。

対象者が申告しない場合はどうなる?

住民税を収める必要があるのに申告をしないと、延滞金が課せられます。本来支払う住民税に加えて、延滞金がかかるため注意しましょう。

延滞税率は2.8%か9.1%のどちらかで、日数分がかかるため注意してください。日数分の延滞金がかかるとはいっても、自治体から所得の調査書類が送付されることが多いため、何年も渡って請求される心配は少ないでしょう。

ただし、副業している人や個人事業主の場合は自己申告が義務となっており、申告忘れに注意してください。なお、これらの場合でも確定申告をすれば、住民税の申告もしたことになります。

住民税の申告が必要な人

住民税の申告が必要な人は、確定申告や年末調整をしておらず、以下に該当している人です。

【2024年最新】住民税の申告が必要な人とは?
  • 配偶者控除を受けるために年間103万円以下に給与所得を抑えているが、年間100万円以上の給与所得がある人
  • 20万円以下の給与所得以外の所得がある人(配当所得、事業所得、雑所得など)
  • 非課税対象者で、各種控除を受ける人(国民健康保険・国民年金・介護保険・後期高齢者医療保険の加入者、児童手当・就学援助などの受給対象者)
  •     

  • 課税・非課税証明が必要となる人(公営住宅入居者など)
  • 退職などで年末調整をしていない給与所得者
  • 年金受給者の確定申告不要制度を利用した公的年金受給者で、年金以外の所得があった人
  • 所得がなかった人(国民健康保険料等の負担額に影響が出る可能性があるため)

このなかでも特に気をつけたいのが「配偶者控除を受けるために年間103万円以下に給与所得を抑えているが、年間100万円以上の給与所得がある人」です。

実は、所得税は103万円からかかってきますが、住民税は100万円からになります。(所得税と住民税では、基礎控除額が48万円と住民税の非課税限度額は45万円となっており、3万円の差があります)。

よく「103万円の壁」と言ったりしますが、該当する方は、住民税も踏まえて「100万円の壁」として考えておいたほうがいいでしょう。(※住民税非課税限度額は市町村によって異なるため、100万円以下でも住民税がかかる場合があります。詳しくはお住いの市町村窓口にお尋ねください。)

住民税の申告が不要な人

確定申告や年末調整をしている、所得が公的年金のみで住民税の特別控除を使わないなど、上記の場合に「該当しない人」は住民税の申告が不要です。
詳細については、各自治体の公式サイトを確認するようにして下さい。

住民税の計算方法とは?


こちらでは、住民税の計算方法について詳しくみていきます。

住民税の計算方法の大まかな流れは以下です。

住民税の計算方法の大まかな流れ
  • 1.合計所得金額ー所得控除額=課税所得額
  • 2.1.の課税所得額×税率(一律10%)-税額控除額=所得割額
  • 3.税額控除がある場合には2.の所得割額から引く
  • 4.所得割額+均等割5,000円(市町村民税3,500円と道府県民税1,500円、自治体により異なる場合もあり)=住民税額

以下で詳しく解説していきます。

住民税の均等割・所得割とは

住民税には「均等割額」と「所得割額」があります。
均等割額は、市町村税や道府県により決められている固定金額のことです。

市町村民税部分(特別区民税)の均等割は、一律で3,500円(一部例外あり)、道府県民税部分(都民税)の均等割は、1,500円となっています。
よって、標準金額は5000円です。(自治体により高くなる場合もあり)

所得割額は、基本的に一律10%(市町村民税6%、道府県民税4%)になります。

住民税の計算例について

住民税は前年に一定の所得がある人に対し課税されます。
以下の条件の場合の計算例を掲載します。
・所得金額の合計が300万円
・住民税の所得控除額が100万円
・税額控除はなし

住民税の計算方法とは?
  • 1.300万円(合計所得金額)‐100万円(所得控除額)=200万円(課税所得額)
  • 2.200万(課税所得額)×10%(所得割額)=20万円(所得割額)
  • 3.20万円(所得割額)+均等割5,000円=205,000円(住民税額)

(※)配偶者控除などの「調整控除額」がある場合は、所得割額から加減します。

このように税の計算は煩雑で、得意ではないという方も多いでしょう。冊子版の創業手帳では、このような会計処理を効率化してくれる会計ソフトの導入について詳しく解説しています。選び方やおすすめについても解説していますので参考にしてみてください。

住民税のポイントについて、詳しくはこちらの記事を>>
住民税とは?支払うべき人が押さえておきたいポイント

住民税の支払い方法

住民税の支払い方法には、特別徴収と普通徴収の2種類があります。

特別徴収

特別徴税とは、6月から翌年の5月まで12回に分けて給料から天引きされるものです。天引きされた住民税は、事業主(会社)がまとめて納付してくれます。

一般的な会社員はこの方法で住民税を支払っています。

普通徴収

普通徴税とは、給与ではない方法で所得を得ている人から住民税を徴収するものです。対象者は、個人事業主や年金生活者などが該当します。

毎年5月中に、市町村から納税通知書と納付書が郵送されてきます。その納付書を使って、銀行振込やコンビニなどで住民税を支払うという形式です。

通常は4期(6月・8月・11月・1月など)に分けて支払いますが、4期分を一括して納付することもできます。

住民税の申告方法

住民税の申告は、市役所の市民税課や、市税事務所の市民税担当窓口などに「住民税申告書」を提出することで行います。提出場所は自治体によって違うので、必ず自治体ホームページを確認してください。

住民税申告書は、窓口でもらう、または自治体ホームページからダウンロードしてご利用ください。申告書のほか、申告に必要な書類には以下のようなものがあります。
住民税の申告に必要となる書類は、以下の3種類があります。

  • 所得の証明書類
  • 各控除書類
  • 本人確認書類

所得の証明書類は、給与をもらっている人なら源泉徴収票を用意してください。年金をもらっている人は、公的年金の源泉徴収票が必要です。事業所得がある人は、所得を証明する帳簿や領収書が必要となります。

控除を受けるときは、受けようとする控除の書類を準備しましょう。たとえば、以下のような控除書類が必要となります。ただし、控除を受けないなら書類は必要ありません。

  • 社会保険料の領収書
  • 生命保険や地震保険の証明書
  • 医療費控除の明細書や医療費の領収書
  • 寄付金の領収書
  • 障害者手帳や療育手帳など

本人確認書類は、マイナンバーカードかマイナンバー通知カードを用意します。申告にはマイナンバーの記入が必要なため、どちらかを準備してください。あわせて運転免許証・健康保険証・パスポートなどの本人確認が必要です。

印鑑は必要ない自治体もありますが、書類を提出する際に持参するといいでしょう。

  • 収支内訳書・・・農業所得、事業所得(営業、不動産等)のある人
  • 源泉徴収票や給与支払者の支払証明書
  • 医療費、生命保険料などの各種控除証明書
  • 印鑑

住民税申告の提出期間は、確定申告同様2月16日〜3月15日です。対象になる方は、早めの準備を心がけましょう。

住民税でも還付が受けられる場合がある?

所得税の還付よりも珍しいケースになるので、あまり知られてはいませんが、実は、住民税でも還付が受けられる場合があります。

住民税は前年の所得から計算されるものですので、前年の所得申告に訂正があったときに還付・追納が発生します。所得申告に訂正が生じるケースとしては、「扶養控除の変更」や「医療費控除の漏れ」などがあります。

そのほか、年の途中で退職しており年末調整をしていない方なども、住民税の申告によって還付が受けられる可能性があります。

住民税の還付を受けられる可能性がある人とは?
  • 扶養控除の変更をした人
  • 医療費控除の漏れがあった人
  • 年末調整をしていない人

煩雑な経理業務は専門家に任せることもできる

書き方や手続きについては税理士などの専門家に相談するのも一つの手です。煩雑な経理業務は慣れていないと時間がかかり、その分本来の業務に割く時間が減ってしまいます。

また、経営においては経理のほか、総務など起業家の手をわずらわす業務があります。このような業務は専門家に任せるのが一番ですが、創業期においてはコスト的にハードルが高いかもしれません。冊子版の創業手帳では、創業期から税理士と契約することや、総務をアウトソーシングすることのメリットについて詳しく解説しています。

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法人税には節税の余地がありますので、税理士との契約を考えるのもよいでしょう。冊子の請求時に、Web版の創業手帳の無料会員登録が行えます。会員向けに無料で専門家を紹介していますので、こちらもご活用ください。

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法人税の仕組みを理解して納税に備える
法人税・法人住民税・法人事業税の違い?知っておきたい法人税の基本構造

(執筆:創業手帳編集部)

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