有名企業に学ぶ、ミッション・ビジョン・バリューのつくり方【起業家のための経営学講座】

創業手帳

経営に欠かせないミッション、ビジョン、バリュー

(2017/07/07更新)

多くの会社が掲げる「経営理念」。創業者の言葉を基に作られたものや、商品コンセプトがそのまま反映されたものなど様々なものがありますが、経営理念は主に3つの軸から成り立っています。その3つ、ミッション・ビジョン・バリューについてみていきましょう。

ミッションとは?

ミッションとは、使命や役割、存在意義のことです。その会社が社会にどんな変革をもたらすのか、そしてどんな価値を提供できるのか、という強い意志を示すものです。このように書くと激しい言葉で強く訴えてくるように感じるかもしれませんが、各企業の言葉は様々。語りかけるようなものから、言い聞かせるようなものまで、個性豊かな文言が並びます。

有名企業のミッション・ステートメント

社是や社訓に「ミッション」は強く反映されますが、それをより具体的に落とし込んだものを「ミッション・ステートメント」と呼びます。
大手企業のミッション・ステートメントにはどのようなものがあるでしょうか。

スターバックスのミッション・ステートメント

例えば大手コーヒーチェーン店のスターバックス。

「人々の心を豊かで活力あるものにするために-ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」。お客さんと1対1で向き合い、1杯のコーヒーに注ぐ熱い思いが凝縮されていますね。

高島屋のミッション・ステートメント

大手百貨店の「高島屋」を経営する高島屋グループは「いつも、人から。」という言葉に続いて、「タカシマヤグループは、「人を信じ、人を愛し、人につくす」こころを大切にし、社会に貢献します。」と、心を込めた接客の姿勢が表れています。

日産自動車のミッション・ステートメント

モノづくりの企業ではどうなっているでしょうか。日産自動車株式会社は、

「私たち日産は、独自性に溢れ、革新的なクルマやサービスを創造し、その目に見える優れた価値を、すべてのステークホルダーに提供します。それらはルノーとの提携のもとに行っていきます。」

なるほど、ルノーとの提携にも言及し、どんな企業体であるかを示しているのですね。

サイバーエージェントのミッション・ステートメント

続いてはIT大手のサイバーエージェント。

「インターネットという成長産業から軸足はぶらさない。ただし連動する分野にはどんどん参入していく。オールウェイズFRESH ! 能力の高さより一緒に働きたい人を集める。採用には全力をつくす。若手の台頭を喜ぶ組織で、年功序列は禁止。スケールデメリットは徹底排除。迷ったら率直に言う。有能な社員が長期にわたって働き続けられる環境を実現。法令順守を徹底したモラルの高い会社に。ライブドア事件を忘れるな。挑戦した敗者にはセカンドチャンスを。クリエイティブで勝負する。『チーム・サイバーエージェント』の意識を忘れない。世界に通用するインターネットサービスを開発し、グローバル企業になる。」

若さとエネルギーにあふれる企業になるという意思が伝わってきますね。文中に「ライブドア事件」という業界にとって逆風だったできごとを具体的に入れることで、失敗を繰り返さない、という企業自身へのいましめもリアルに垣間見られるという珍しいミッション・ステートメントです。

このように、どんな企業、どんな社風にしていきたいのかということを分かりやすい1文で示したり、その真逆で具体的に踏み込んだりと企業の「個性」が出る文章に仕上がっていることが分かります。

ビジョンとは?

続いてビジョンを考えます。ビジョンは数年後、この先どんな社会を実現していたいかという展望です。行動指針となる具体的な数値目標であったり、企業規模を示したり、「海外展開をする」などの経営方針であったり。ビジョンが明確になることで、この先どのような経営をしていくべきなのかを見通すことができるようになるのです。

バリューとは?

バリューは直訳すると価値のことです。つまり、その企業にとってのお客さんに対し、どんな価値を提供したり創造したりできるのか、ということです。価値提供の基準だけではなく、企業のあり方や姿勢を指すこともあります。「あなたがうちのサービスを使えばこんなにお得ですよ、あなたにとってこんなに役に立ちますよ」とアピールするというイメージです。

経営理念ができて初めて事業戦略のスタートラインに立つ

ここまで経営理念の作り方についてみてきました。思いついた企業名と経営理念とウェブ検索してみると、思わず「へぇ~」とうなりたくなるようなものや、まっすぐとした一本道のような、カッコよくて熱血漢にみえるようなものまで色々とあります。

経営理念をつくることは、どんな企業に育てたいかという戦略に直結します。社是、社訓と呼ばれるものは会社が続く限り引き継がれていくものですから、経営理念を作ることで初めて事業戦略を考えることができるようになるのです。

あまり難しすぎたり、現実味が全くなかったりすると、後々従業員や現場で働く人が理念に共感できない可能性があります。あくまで「他の人にも伝わる」ことを意識しながら経営理念を組み立てていくことを心にとめておきましょう。

ランサーズ株式会社代表取締役社長 秋好陽介氏インタビュー
ランサーズが考える理念の重要性

(執筆:創業手帳編集部)

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