ポーターの3つの基本戦略でわかる 「企業がとるべき戦略の方向性」

創業手帳

低コストで勝負?差別化で勝負?

(2017/12/07更新)

以前、本連載にて、自分が起業する分野の業界分析に役立つフレームワーク「5フォース分析」をご紹介しました。
5フォース分析で自社の強みや弱み、業界の構造などが分析できたら、次に、自社がその業界の中でどのように勝負していくのかを決めていきます。この戦略を立てる際に参考になるのが、「マイケル・ポーターの基本戦略」です。

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「ポーターの3つの基本戦略」とは

アメリカの経営学者 マイケル・ポーターが提唱した競争戦略は、企業が生き残るためにどういうポジションをとり、どう戦うのかという戦略が指南されています。

ポーターの基本戦略は、次の3つに分けて解説されています。

ポーターの基本戦略
  • 「コストリーダーシップ戦略」
  • 「差別化戦略」
  • 「集中戦略」

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

コストリーダーシップ戦略(価格戦略)

「コストリーダーシップ戦略」とは、競合よりも低価格で商品・サービスを提供する、いわゆる「価格戦略」のことです。

この戦略を実行するためには、低コストでのモノづくり・サービスづくりが重要です。高い技術力と同時に、業務効率化やシステム化による社内のコスト削減が求められます。

コストリーダーシップ戦略は、市場ですでに高いシェアを誇っている企業や、市場にこれまでなかった全く新しい商品・サービスを展開する企業などが向いているといえます。

コストリーダーシップ戦略のメリット・デメリット

コストリーダーシップ戦略をとり規模の経済を実行できれば、製造コストが低下するうえに、市場でのシェアも獲得できるでしょう。さらに、コストリーダーシップ戦略は、後発企業にとっては高い参入障壁となるため、自社への脅威を減らすことができます。

デメリットとしては、設備投資などに莫大なコストがかかることが挙げられます。また、競合企業もコストリーダーシップ戦略をとってきた場合、利益を無視した価格競争が発生する可能性があります。

差別化戦略(付加価値戦略)

市場が認知している商品・サービスの価値にたいし、意図的に自社の商品・サービスの価値を増加させる戦略です。業界内で独自のポジションをおく戦略とも言いかえられます。

コストリーダーシップ戦略には資本力と技術力が必要となる場合が多いため、実際には、多くの起業家がこの差別化戦略をとるのではないかと思います。

差別化戦略のメリット・デメリット

差別化戦略に成功すると、他製品・サービスとの競争を回避することができます。また、高い利益率を得やすくなるので、自社の交渉力を強めてくれます。
一方、差別化に成功したとしても、競合が模倣してくることで結果として差別化がはかれなくなる可能性が考えられます。模倣されてしまうと、差別化にかかったコストが無駄になってしまいます。
単純に差別化をはかれる製品・サービスを開発すればいいというわけではなく、模倣されにくいものを開発しなくてはなりません。

他社との差別化を図るための7つの要素

差別化要素として重要と考えられているのは次の7つです。

差別化するための7つの要素
  • 「製品の特徴」
  • 「機能間の連携」
  • 「タイミング」
  • 「地理的ロケーション」
  • 「製品の品揃え」
  • 「他企業との関係性の強さ」
  • 「評判(ブランド)」

差別化戦略に取り組む際は、この7要素を中心に自社と他社を比較し、自社が優位性を持てるポイントや、改良して差別化できるポイントを探っていくことが大切です。

差別化戦略 2つの注意点

差別化戦略を行うときに、気をつけておきたいポイントがあります。

ひとつは、お客様にとっての価値を意識することです。
「この商品、こんなにすごいんですよ!」とアピールしたところで、使う人にとって必要のないものだったら、不可価値とは言えませんね。「自分」ではなく、「顧客」にとって価値があると認知されるかどうか、これが差別化戦略の基本的な考え方です。

もうひとつは、ただ単に他社と違うことを行うだけでは不十分だということ。
差別化戦略だからといって、他社と違うことをすれば良いかというとそうではありません。あくまでも、他社よりも利用する価値があるとお客様に認知される商品・サービスをつくらなくてはならないのです。

独りよがりにならず、競争だけを考えず、お客様の視点に立って付加価値をつけていくことが重要です。

集中戦略(差別化集中戦略・コスト集中戦略)

小さな会社でも、ある一部分においては大企業よりもシェアを取っているなどというのはよくあること。大企業よりも経営資源で劣っていたとしても戦える戦略が「集中戦略」です。

コストリーダーシップ戦略、差別化戦略は、どのようにして他社よりも競争優位性を高めるかということを考えるのに対し、集中戦略は、ターゲットとなる市場を業界全体ではなく、特定の範囲に限定することで、競争に勝つという戦略です。

集中戦略を行う際は、まず、コストリーダーシップ戦略、もしくは差別化戦略どちらを行うかを決め、次に、市場を限定します。そして、その市場にたいし集中的に経営資源を集めて競合と戦うのです。その名の通り、一点集中することで競争優位を築いていこうということです。

集中するべき市場の選択を誤ると、その市場が一定以上の規模でなくなった場合、事業として成り立たなくなってしまうので注意が必要です。また、流行り廃りが激しい分野では、急激に縮小してしまう可能性もあるので、慎重に決めましょう。

自社に適している戦略はどっち?

ポーターの基本戦略では、コストリーダーシップ戦略か差別化戦略のどちらかを選択し、そこに集中戦略を組み合わせるという構造になっています。

基本的には、業界のリーダー企業はコストリーダーシップ戦略をとっており、追いかける企業は差別化戦略をとって競争優位性を確保していることが多くなっています。
自社が活用できる経営資源や、業界内での立ち位置によって選択は決まるでしょう。

ポーターの基本戦略まとめ

各戦略に集中する必要はありますが、差別化戦略をとればコストを、コストリーダーシップ戦略ならば品質を度外視してもいいというわけではもちろんありません。市場をみてちょうどよいバランスをとる必要があります。

現実的には、ブランドラインナップやシリーズによって差別化戦略とコストリーダーシップ戦略を住み分けて展開している企業が多くなっています。

またそこに、どの市場に集中するかという要素もあるため、たった3つの戦略といえども、幅広く複雑なものとなります。
自社の状況を把握し市場と照らし合わせて、最良の戦略をつかみ取りましょう。

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マイケル・ポーターの5フォースで業界の構造を分析する【起業家のための経営学講座】

(執筆:創業手帳編集部)

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