マル経融資とは?個人事業主が利用する際のメリットと注意点を解説!

創業手帳

マル経融資は個人事業主必見の制度!


マル経融資は、中小企業や個人事業主など規模が小さい事業者向けの融資制度です。
無担保かつ無保証でありながら、最大で2,000万円もの借入れが可能となっています。
金利も低めに設定されているため、個人事業主の資金調達法としても有効です。

今回は、マル経融資の概要や利用するメリット・デメリット、審査に落ちてしまう理由と対策について解説していきます。
資金繰りを改善するための方法を考えている個人事業主の方は必見です。

創業手帳では、融資についてどんな制度なのかよくわからない、どうしたら審査に通りやすいのかなどを知っておきたい方のために「融資ガイド」を無料で配布しています。
融資を受けるタイミングは実は創業期が有利な理由なども解説!是非ご活用ください。


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そもそもマル経融資とは?


マル経融資は、「小規模事業者経営改善資金融資制度」の略称です。
中小企業や個人事業主など規模が小さい事業者をバックアップするために用意されている公的融資制度のひとつです。
まずは,
制度の概要から解説していきます。

目的はスモールビジネスの育成や経営改善

マル経融資の目的は、スモールビジネスの育成や経営改善です。1973年に元となる制度が創設されました。
創設後は融資額の見直しなどが行われ、2008年に現在の名称へと変わります。
商工会議所や商工会が事業者に示した経営改善策を実行するために必要な資金をカバーするのがマル経融資の重要な役割です。

新型コロナウイルス感染症などの影響で売上げが減少してしまったり、天災で事業者が被害を受けたりした場合などは、臨時的な融資枠が設けられるケースもあります。
「マル経融資」と呼ばれるようになったのは、「申請書類の『経営改善』の文言に丸印をつけたこと」などといわれています。

マル経融資の特徴について

2023年10月に50周年を迎えたマル経融資は、多くの中小企業や個人事業主に利用されている制度です。それだけ魅力あふれる制度だといえます。
そのようなマル経融資を利用する際、どのような特徴を有している制度なのか確認しておいてください。

担保や保証なしで最大2,000万円借入れができる

担保や保証なしで最大2,000万円借入れができるのは、マル経融資の最も大きな特徴です。
スモールビジネスには担保がないといったケースも珍しくないので、保証人を立てるのが困難になる傾向があります。
そのため、最大2,000万円という大金を無担保かつ無保証で借りられるのは魅力的です。

資金繰りに困っている中小企業や個人事業主は、借入れ先に困っているパターンも多くみられます。こうした背景から、使い勝手の良い融資制度だといえるでしょう。

運転資金と設備資金だけに使える

マル経融資の資金使途は、運転資金と設備資金だけとなっています。マル経融資は本来、経営状態を審査した上で経営改善に必要な融資を行う制度です。
経営実績がない状態だと融資ができず、創業資金も対象外になります。

万が一申告した使途と異なる使い方をした場合、資金使途違反とみなされます。
資金使途違反とみなされてしまうと、金融機関との信頼関係に悪影響を及ぼす可能性があるので注意してください。
なお、資金使途に注意を払うのはマル経融資に限ったことではありません。

従業員数が21人以上だと対象外となる

マル経融資を利用するには、従業員数が20人以下もしくは個人事業主であることも把握しておく必要があります。
従業員数が21人以上の法人は、マル経融資による支援を受けられません。
ただし、宿泊業と娯楽業を除く商業・サービス業の場合は、5人以下が条件となっているので混同しないように気をつけてください。

スモールビジネスに対する支援制度なので、このような条件が設けられていると考えられます。個人事業主の場合は問題なく利用することが可能です。

申し込みまでに6カ月、融資までに1カ月以上かかる

マル経融資を申し込むためには、原則として6カ月以上にわたって商工会・商工会議所の経営改善普及事業に基づいた経営指導を受けなければいけません。
さらに推薦を受ける必要があります。
その後、日本政策金融公庫に融資の申し込みを行うのですが、審査結果が出るまでに1カ月以上かかるので注意してください。

商工会・商工会議所の推薦を受けるためには、数名の審査委員によって行われる審査会を経なければいけません。
審査会が行われるタイミングにもよりますが、推薦を受けるまでに1カ月(審査機関を含むと2カ月)程度かかる可能性があることも考慮する必要があります。
このことから、経営指導を受けていなかったり、商工会に加入していなかったりする事業者がマル経融資を受けるためには、最大8カ月もの時間を要すことになります。

個人事業主が利用する際の手続きと必要書類

続いては、個人事業主がマル経融資を利用する際の手続きと必要書類について解説します。

【手続き】
まずは商工会に加入し、推薦を受けられるようにします。前述したように融資を受けるためには、しばらくの間商工会に入っていなければいけません。
経営指導を受け、推薦してもらえるように経営改善に取組みます。
審査に通過したら、融資の契約を結び、実行するというのが一連の手続きの流れです。

【必要書類】
個人事業主がマル経融資を受ける場合、以下の書類が必要になります。

  • 前年・前々年分の決算書(もしくは収支内訳書)と確定申告書
  • 所得税・事業税・住民税の領収書もしくは納税証明書
  • 見積書・カタログなど(設備資金の申し込みをする場合)

個人事業主がマル経融資を利用するメリット


個人事業主がマル経融資を利用することで得られるメリットはいくつもあります。次に、具体的にどのようなメリットを得られるのか、ピックアップしてご紹介します。

高額融資を受けられて金利が低い

マル経融資は、最大融資額が2,000万円と非常に高くなっています。国がバックアップしていて、商工会のお墨付きとなるマル経融資ならではのメリットです。

返済期間は、運転資金の場合だと1~7年、設備資金の場合だと2~10年となります。また、据置期間も運転資金は1年以内、設備資金は2年以内という考慮もなされています。
そのため、計画的な返済プランも立てやすいです。
金利に関しては、2024年2月1日現在で1.20%となっているので、かなり抑えられます。
都市銀行などで資金調達をしようとした場合の金利は低くても、2%以下になることはほとんどありません。
初取引きなら5%を超えてしまうケースも珍しくありません。

担保や保証人が必要ない

担保や保証人が必要ないことも、マル経融資を利用することで得られる大きなメリットです。
なぜなら、中小企業や個人事業主が商工会・商工会議所の経営指導を受けて経営改善を図っていることが、保証人の代わりとなるためです。
こうした理由から借入れをする際に担保や保証人が不要となります。

代表者や信用保証協会の保証も不要です。経営指導と聞くと難しい内容をイメージする方もいますが、商工会に加入すれば誰でも申し込めるので、身構える必要はありません。
マル経融資を利用したいと考えているのであれば、まずは地元の商工会に加入したいこと、経営指導を受けたいことを伝えてみてください。

商工会議所の支援を受けられる

マル経融資を利用するための条件には、商工会・商工会議所の経営指導を6カ月受けるというものが含まれています。
つまり、マル経融資を利用すれば、必然的に商工会議所の支援を受けられることになります。
商工会議所の経営指導員からもらえるアドバイスや指示をきちんと取り入れれば、経営改善に対して前向きに取り組んでいると判断されるので、審査が有利になる可能性も高いです。

経営指導員は主規模企業の経営指導に特化している専門家なので、指示を受けたらそれに従うのが得策です。
反することばかりしていると、マイナス評価になってしまうので融資も受けにくくなってしまいます。

ここは注意!マル経融資のデメリット


マル経融資にはメリットがたくさんありましたが、注意しなければいけないデメリットもあります。続いては、どのようなデメリットがあるのかみていきます。

創業時には利用できない

マル経融資は、前述したように前年・前々年分の決算書(もしくは収支内訳書)と確定申告書が必要です。
また、1年以上管轄の商工会・商工会議所区内で事業を続けている必要があります。そのため、創業資金としての借入れはできません。
日本政策金融公庫で創業融資を受けたいのであれば、中小企業経営力強化資金制度などほかの制度を利用してください。

商工会への加入が必要

これまでにも説明したように、商工会に加入していない事業者はマル経融資を受けられません。
商工会の会員になることで経営改善を目指せるなどのメリットもありますが、年会費がかかるなどのデメリットもあります。
加入する場合は年会費がいくらかかるのかをあらかじめ確認しておいてください。

審査が多くて時間がかかる

マル経融資の審査は、金融機関が行っている融資審査よりも回数が多くなっています。
これは、商工会・商工会議所の推薦を受けるための審査や日本政策金融公庫の審査があるためです。
審査を通過できるようにするには、経営状況の見直しや返済計画の提出ができるように準備しておくのが望ましいです。

マル経融資の審査に落ちる個人事業主もいるって本当?理由と対策を合わせてご紹介!


マル経融資の審査は、誰でも通過できるわけではありません。審査落ちしてしまう個人事業主もいます。
最後に、審査に落ちてしまう理由と対策について解説していきます。

信用情報に異動の履歴がある

マル経融資の審査に落ちてしまう個人事業主は、信用情報に異動の履歴がある可能性が高いです。信用情報は、クレジットやローンの契約、申し込みに関連する取引き情報です。
日本政策金融公庫の融資担当者は、申込者の信用情報を照会できます。
異動の履歴が記録されてしまうのは、元金や利息の延滞、債務整理、破産申立、債権回収など信頼を著しく損ねるような事態が発生した場合です。

これまでにクレジットカードやスマートフォン本体の代金支払いを滞納してしまったり、カードローンの利息の支払いが遅延した可能性があったりする場合は、信用情報機関(CICやJICC、全銀協)に確認してください。
そして、未納分があれば速やかに支払うようにしてください。

事業計画書の内容が十分ではない

事業計画書の内容が十分ではない場合も、審査に落ちてしまう可能性が高いです。
事業計画書を提出する際は、戦略や目標値を具体的かつ現実的なものにしなければいけません。
また、内容は説得力がなければいけないので、時間をかけて作成する必要があります。

直近の決算が赤字だったとしても、改善の余地があるとみなしてもらえれば、融資を受けられる可能性はあります。
そのためには、諦めることなく事業計画書を作成し、積極的に指導を仰ぐことがポイントです。
事業計画書はビジネスによって異なるため、誰かが作成したものを真似しても意味がありません。あくまでも参考として見るようにしてください。

申し込み基準を満たしていない

当たり前のことですが、申し込み基準を満たしていない場合は審査落ちしてしまいます。
商工会・商工会議所から推薦してもらってから本申し込みとなるため、まずは推薦してもらうための経営指導を受けなければいけません。
これまでにご紹介した条件を満たしていない中小企業や個人事業主は、スタートラインにも立てていない状態です。
マル経融資を利用するには時間がかかってしまいますが、適切な手順を踏めば多額の借入れも可能となるので、じっくりと取り組んでください。

他社からの借入れが多い

他社からの借入れが多いことも、マル経融資の審査に落ちてしまう原因のひとつです。
金融機関からの借入れ件数や残高が多いと、返済に追われている状態だと判断されるためです。
つまり、返済能力がないのでないかと疑われ、審査落ちする可能性が高くなるといえます。

申請する時に他社からの借入れがないと嘘をついても、信用情報機関の照会が行われれば嘘が発覚してしまいます。
借入れが発覚するだけではなく、虚偽の申告をしたことで信用を失うことになりかねません。そうなってしまうと、審査に通る確率はさらに下がってしまいます。

資金使途に不明な点がある

資金使途に不明な点がある場合も、審査の通過は難しくなります。
審査時に提出する必要書類から業績や資金使途を確認されますが、少しでも疑わしい部分があると審査に通りにくくなるので注意が必要です。
マル経融資の場合は、前述したように運転資金または設備資金のみが資金使途となっています。
それ以外に使う可能性があるとみなされてしまった場合、審査落ちのリスクが高まります。

まとめ・マル経融資を使えば個人事業主も経営改善を目指せる!

中小企業や個人事業主など、規模が小さい事業者向けの融資制度がマル経融資です。マル経融資を利用できれば、最大2,000万円の融資を無担保かつ無保証で借入れできます。
そのため、マル経融資を使えば経営状況が苦しい個人事業主も経営改善を目指せるでしょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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