開業資金の資金調達は融資(借り入れ)を活用しよう!融資先や審査に通るポイントなどを解説

資金調達手帳

開業資金は融資制度を活用して捻出可能


事業をスタートする際には開業資金が必要になりますが、業種によっては設備の導入や店舗の工事などにより、多額の費用が必要になる場合もあります。
自己資金のみで対処しようとしてもすべてを賄うことは難しく、資金の調達方法については多くの開業希望者が不安になる要素です。

しかし、融資制度を活用すれば開業資金の捻出が可能です。費用が足りない場合も活用できるので、悩みを解決できる可能性が高まります。
そこで今回は、開業資金を集めるための融資先を解説すると共に、融資の審査を通りやすくするためのポイントについてもご紹介していきます。
融資以外で開業資金を集める方法も説明していくので、資金調達方法に悩んでいる方は参考にしてください。

創業手帳では起業時こそ「融資」の活用をおすすめしています。その理由については「はじめての融資ガイド」に掲載中!融資活用のタイミングの他、審査通過率UPのための事業計画書の書き方や、申請から返済までの流れなどを掲載。無料でご利用いただけますので、是非本記事とあわせてご活用ください。



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【2023年最新】開業資金を集めるための融資先一覧


開業するための資金が足りない時の融資先をご紹介していきます。
「どこからお金を借りたらいいのかわからない」「銀行以外の融資先を知りたい」といった方はぜひお役立てください。

日本政策金融公庫の融資制度

政府が経済の発展や国民生活の安定を実現するために設立された日本政策金融公庫を利用して融資を受けることも可能です。
日本政策金融公庫がどのような機関であるのか、融資の種類と併せて解説していきます。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫は、国民生活金融公庫・中小企業金融公庫・農林競業金融公庫・国際協力銀行といった政策金融機関を統合して発足した機関です。
主に国民生活事業において小口の事業資金融資や創業支援、事業再生支援に加えて教育資金の融資も行われています。

農林水産事業においては、農林漁業や食産業を営んでいる方を対象に融資や経営支援サービスが実施され、中小企業事業では中小企業者向けに長期事業資金の融資や新事業支援、経営課題の解決支援なども行われています。
事業ごとに融資制度が異なる点が特徴です。

日本政策金融公庫が実施している融資の種類6つ

日本政策金融公庫による融資にも様々な種類があります。それぞれの特徴について解説します。

1.新創業融資制度

新しく事業をスタートする方を対象に、無担保・無保証人で融資を実施してくれる制度です。
ただし、利用するためには条件が定められており、新しく事業を始める方、もしくは事業開始後税務申告を2期終えていない方が対象です。

最大で3,000万円(1,500万円は運転資金)までの融資を受けられますが、他の融資制度と併用して使う制度なので、以下でご紹介する制度と併せて申込みを行う必要があります。
なお、返済期間についてらは、併用する制度の種類によって違いがあるので、融資制度の詳細をよく確認して申込んでください。

2.新規開業資金

新しく事業をスタートする方や事業をスタートしてから7年以内の方を対象にした融資制度です。融資限度額は7,200万円でそのうち運転資金は4,800万円になります。
返済期間は設備資金20年以内、運転資金7年以内となっており、措置期間は2年です。

利率は基準利率となっていますが、女性や35歳未満55歳以上の方、Uターンで地方において新しく起業する方、地域おこし協力隊として活動した地域で新しく事業をスタートする方などは、特別利率が適用されます。
通常よりも低い利率で融資を受けられる点がメリットです。

3.女性、若者/シニア起業家支援資金

女性、若者/シニア起業家支援資金は、女性や35歳未満、55歳以上の方で新しく事業をスタートする、もしくは事業がスタートしてから7年以内の方を対象にした制度です。
融資限度額は7,200万円で、そのうち4,800万円が運転資金となっています。返済期間や措置期間に関しては新規開業資金と同じ期間です。

担保や保証に関しては原則不要ですが、融資金額によっては後継者による連帯保証や不動産担保を求められるケースもあります。
併用できる融資制度もあり、設備投資を実施する場合は設備資金貸付利率特例制度の活用を検討してみてください。

4.再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)

過去に事業に失敗した経験がある方が、再度起業を目指す場合に受けられる融資制度です。
自己破産を経験していたり、廃業を経験したりしている方は銀行での融資は審査が厳しいため、資金を得ることが難しくなっています。
しかし、再挑戦支援資金を活用すれば融資のチャンスを掴めるかもしれません。

対象となる方の条件は以下のとおりです。

  • 新しく起業する
  • 起業後7年以内
  • 廃業の経験がある
  • 廃業した当時の負債が新規事業に影響を与えない程度に整理されている
  • 廃業の理由がやむを得ないものだった

融資限度額は国民生活事業による融資制度の場合だと7,200万円で、そのうちの4,800万円は運転資金となっています。
返済期間は設備資金では20年以内、運転資金では15年以内となっており、措置期間は2年です。

5.新事業活動促進資金

経営の多角化や事業転換で第二創業を目指している企業を支援するための制度で、国民生活事業と中小企業事業で受け付けています。
国民生活事業を活用した場合、経営革新計画や経営力向上計画、基盤確立事業実施計画などの承認・認定を受けている方が対象です。

その他にも、技術やノウハウに新規性がみられる方といった条件もあります。詳しい条件は、日本政策金融公庫のホームページを確認してみましょう。

融資限度額は7,200万円でそのうちの4,800万円は運転資金です。利率は対象者によって異なり、返済期間は新規開業資金と同じ期間です。

6.中小企業経営力強化資金

認定経営革新等支援機関の指導や助言を通じて利用できる融資制度です。
新規事業を始める方や事業を開始してから7年以内であれば利用できる制度ですが、事業計画を策定し、計画を遂行できる能力があると判断された場合のみ融資が認められます。
そのため、創業計画書を提出し、事業計画についても審査を受けなければなりません。

また、中小企業の会計に関する指針もしくは中小企業の会計に関する基本要領を完全に適用している、もしくは適用予定があるといった条件もプラスされています。
融資限度額は7,200万円で、そのうち運転資金が4,800万円です。

地方自治体の融資制度

日本政策金融公庫とは異なる融資を提供している自治体もあります。制度融資と呼ばれ、信用保証協会と民間の金融機関が連携をして融資が実行される仕組みです。

例えば、神奈川県では創業支援融資や新たな事業展開対策融資といった融資制度が設けられています。
金利や借入期間は自治体によって違いがあるので、住んでいる自治体や新規事業を検討している自治体に相談してみてください。

東京都の女性・若者・シニア創業サポート事業

東京都では女性や39歳以下の方、55歳以上の方を対象に、女性・若者・シニア創業サポート事業を実施しています。
都内での創業を計画している方や、創業してから5年以内の方が対象で地域の需要や雇用を支える事業であることも条件です。

融資限度額は1,500万円で金利は1%以下、返済期間は10年以内となっています。
また、融資前にはセミナーや個別相談も実施され、事業に関する様々なアドバイスももらえるので経営に不安を抱える創業者の方も安心です。
融資実行は2024年3月末までなので、利用したい方は早めに申込んでください。

民間金融機関の融資制度

日本政策金融公庫や自治体による融資以外にも、民間の金融機関を活用して資金を借りることも可能です。融資が可能な金融機関をご紹介します。

都市銀行

都市銀行とは、都市部に本店があり全国に支店がある大規模な金融機関を指します。みずほ銀行やりそな銀行といったメガバンクと言われる金融機関がそれに当たります。
大手企業と取引きを行っていることが多く、小規模な事業所や個人事業主への融資は受け付けていないケースが多いです。

地方銀行

地方銀行は、各都道府県に本店があり、地方を中心に営業活動を行っている金融機関を指します。
都市銀行と比較すると規模が小さく、地元にある中小企業や個人を対象にしています。そのため、中小企業への融資実績が豊富です。

地域密着を理念とする地方銀行は、開業資金の融資にも対応しています。ただし、金利が高い場合や担保を求められる可能性もあるので注意してください。
また、自己資金がない場合は審査に通りにくくなる場合もあるので、自己資金を用意してからの申請をおすすめします。

信用金庫・信用組合

地方の繁栄を目的に地元住民が組合員となって運営されている金融機関が信用金庫・信用組合です。
地域の発展を目指しているため、地元での創業を検討している事業者がいれば支援を受けられることもあり、情報提供や相談も受け付けているため不安を解消することにも役立ちます。

融資を受ける場合は出資金を出して会員になる必要がありますが、訪問営業などでコミュニケーションを図られるので、関係性が築きやすく相談しやすい点が利点です。
融資の審査は事業性の評価や将来の展望も加味されており、開業資金の融資にも対応しています。

開業融資での審査を通りやすくするポイント


審査に通らなければ開業のための融資を受けられません。そこで、審査に通るためのポイントを解説していきます。

自己資金を用意する

開業のための資金のうち、一定割合以上の自己資金を用意していないと審査に落ちる可能性があります。

融資を受ける際にはある程度自己資金を用意してから融資を申し込みしたほうが審査にも通りやすく、借入できる額にも違いがあるでしょう。
自己資金額としては、融資の制度や金融機関によっても違いがあるので、どの程度必要になるのか相談してみてください。

個人の信用情報に注意する

融資を申請する個人の信用情報に傷があると、融資は受けにくくなります。支払い忘れや滞納があった場合、「融資返済も滞る可能性がある」と判断されてしまうためです。

信用情報は、5年を経過すると記録が抹消されます。
もし、遅延や滞納をしていた時期があれば、5年を経過してから申し込んだほうが融資を受けられる可能性は高まります。
なお、信用情報に不安があるようであれば、CICといった信用情報機関に一度確認してみてください。

事業計画書をしっかりと作成する

事業の内容や運営方法、利益や収支の見通しといった内容を取りまとめる書類を事業計画書といいます。
融資では重要視されるポイントのひとつで、作り込みが甘いと融資を断られる可能性があります。

  • 魅力的な製品やサービスを取り扱う予定か
  • 競合よりも優位なサービスか
  • 収支は現実的な試算になっているか
  • 完済までの期間はどれくらいになるか
  • 需要の見込める事業内容か など

上記の項目は特にチェックされやすい部分です。作り込みが甘くならないよう、具体的な内容・数値を盛り込むようにしてください。

資金調達のための事業計画書について、詳しくはこちらの記事を>>
資金調達を成功させるには事業計画書が重要!立て方の流れやポイントなどを詳しく解説

できるだけ経験のある業種で開業する

職歴も重要なポイントです。特に経験のある業種であれば知識やノウハウがあると判断されるので成功しやすいと判断されやすくなります。

ただし、単に経験があるだけでは説得力がありません。事業計画書にはこれまでの経験を詳細に記し、成功しやすい状態であることを具体的にアピールしてください。

融資以外で開業資金を集める方法


金融機関以外で資金を集めることも可能です。その他の資金調達方法を紹介していくので参考にしてください。

出資者を募る

スポンサーを見つけて資金を提供してもらう方法もあります。出資元として挙げられるのは、ベンチャーキャピタルや個人投資家です。

個人投資家の場合から出資を受ける場合は、出資者自体が企業経営者であるなど経営の知識が豊富であるケースもあり、経営に関するアドバイスを受けられます。
また、豊富な人脈によって取引先の紹介を受けられるケースがある点も魅力です。出資に関しては原則として返済も不要なので、不安や負担軽減にもつながります。

補助金・助成金

補助金や助成金は国や自治体による支援制度で、申し込む際には審査や一定の資格が必要になるケースもあります。
補助金は募集期間や金額に定めがあり、申請しても受給できるとは限りません。審査もあるので提出書類の内容が重要です。

助成金は一定の要件を満たすことが必要ですが、随時募集されているものも多く、要件を満たせば原則として受給できるようになっています。
どちらも返済が不要なケースも多いので、資金調達方法として有効に活用できます。

補助金・助成金に関して、より詳しい情報を知りたい方は「補助金ガイド」や「補助金AI」もぜひご活用ください。

クラウドファンディング

ネットを介してビジネスを紹介し、ファンになってもらった方々から資金を集める方法を「クラウドファンディング」と言います。
クラウドファンディングには寄附型・融資型・購入型といった種類があり、購入型は資金を提供してもらった見返りとして商品やサービスを提供します。

特徴的なサービスやユニークな事業、共感を得られる内容でなければ資金集めは困難です。ストーリーやコンセプトを考え、共感を得られるような内容にしましょう。
ニーズの調査にも活用できるので興味があれば利用を検討してみてください。

ビジネスコンテスト

ビジネスプランやビジネスのアイデアを競い合うコンテストで、審査を通過し勝ち進んでいくと賞金や特典を得られる仕組みです。
知名度を上げられる利点もあり、人脈の構築にもつながります。起業家や同じように開業を目指している人たちとも知り合えるので、情報交換による知識習得にも役立ちます。

ただし、結果が出なければ賞金はもらえません。入念な準備も費用になるため、余裕がない場合は出場することも困難です。

まとめ

資金を集める方法は様々ですが、準備が必要なものや審査がある制度もあり融資を受けるだけでも苦労が伴います。
少しでも負担を軽くし、審査に通るためにも自己資金の用意は欠かせません。
なるべく自己資金を集め、融資を受けられるように準備しましょう。



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(編集:創業手帳編集部)

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