個人事業主におすすめの会計ソフト4選!知っておくべき経理業務のポイント

創業手帳

個人事業主にも必要な経理業務は会計ソフトの利用がおすすめ


個人事業主になると、事業活動だけでなく経理業務も行うことになります。
経理業務は事業活動におけるお金の出入りを記録・管理するものですが、意外と手間がかかってしまうものです。そのような時は、会計ソフトが役立ちます。

今回は、個人事業主におすすめの会計ソフトを4つ、特徴を交えながらご紹介します。
また、個人事業主が知っておくべき経理業務のポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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個人事業主に会計処理や経理業務が必要な理由


事業が忙しくなると、つい会計処理や経理業務が疎かになってしまう場合もあります。しかし、個人事業主でも必ず会計処理・経理業務は行わなければなりません。
なぜ必要となるのか、その理由をご紹介します。

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経営状況や借入れを把握するため

冒頭でもご紹介したように、経理業務とはお金の出入りを記録・管理することを指します。
キャッシュフローが見えてくると、現在どのような経営状況にあるのかがすぐに把握できます。

経営状況に問題があれば改善できるよう対策を講じたり、軌道修正をしたりすることも可能です。
また、借入れ状況も把握することで定期的に資金計画・返済計画の見直しも図りやすくなります。

確定申告を行うため

個人事業主は1年間(1月1日~12月31日)の収入・経費を整理して確定申告を行う必要があります。
確定申告は毎年1カ月間の提出期間が設けられているため、それまでに収入・経費の整理を行えば問題ないという方もいるかもしれません。

しかし、実際には1年間分を整理する必要があるため、かなりの時間がかかってしまいます。
毎年の確定申告を提出するまでの負担を少しでも軽減させるために、日々の会計処理や経理業務が必要です。

また、慌てて作業をしていると計算間違いや経費漏れなどの問題が発生してしまう恐れもあります。
こうしたリスクを回避するためにも日頃から会計処理や経理業務を進めておくことが大切です。

取引先と円滑に取引きを行うため

経理業務というと帳簿付けをイメージされる方もいますが、ほかにも様々な業務が含まれています。例えば、請求書・納品書などの発行や入金確認、振込業務などです。
書類発行や振込業務などは締め日が決まっていることから、取引先の締め日に合わせて発行・振込みをする必要があります。
これらの業務が遅れてしまうと、取引先からの信頼も失われる可能性が高いです。
そのため、取引先と円滑に取引きを行うためにも、会計処理・経理業務が必要となります。

個人事業主が行う会計処理・経理業務とは?


個人事業主が行う会計処理・経理業務は、開業時に行うものから日常的に必要となるもの、月1回・年1回のペースで行うものに分かれます。
続いては、それぞれの業務内容について詳しく解説します。

開業に関する業務

まず、個人事業主を開業させる際に必要な書類の作成・提出を行います。
開業から1カ月以内に税務署へ提出する「開業届」や、所轄の都道府県に対して事業開始を申告するための「事業開始等申告書」などです。

さらに、開業した年度の3月15日までに確定申告として「青色申告承認申請書」を提出します。
確定申告には白色申告もありますが、個人事業主として開業するなら特別控除を受けられたり、赤字分を3年間繰り越せたりする青色申告がおすすめです。

開業届の提出は義務付けられていないため、提出しなくても罰則を受けるわけではありません。
しかし、確定申告の際に青色申告を行う際には開業届と青色申告承認申請書をどちらも提出する必要があります。

日常的・随時で必要となる業務

日常的または随時必要となる経理業務には、現金出納管理や経費の精算、書類の発行・チェック、売掛金や買掛金の管理などがあります。
現金出納管理は現金による入金・出金があった場合に都度記録し管理するための業務です。
また、書類の発行・チェックには見積書や納品書、領収書などが挙げられます。
キャッシュフローを確認する上で、現金出納管理や売掛金・買掛金の管理は特に重要な業務となります。入出金が見られる場合には、随時口座の記帳を行うようにしてください。

毎日の業務とあわせて経理業務を行う必要があるため、本業が忙しいと経理業務まで手が回らない可能性もあります。
もし経理業務の効率化を図りたい場合には会計ソフトの活用がおすすめです。

月次経理業務

毎月発生する経理業務には、取引先への請求や外注への支払い業務、貸借対照表・損益計算書の作成、給与計算、予算の実績管理、税金の納付業務などがあります。

貸借対照表とは、資産(現金・売掛金など)と負債(買掛金・借入金など)をもとに純利益と損失を計算する書類です。
損益計算書は収益(売上げなど)と費用(仕入れなど)をもとに、純利益と損失を出します。

これらの書類を作成しておくことで1カ月ごとに経営状態がどのように推移しているのかも把握しやすくなります。また、経営の意思決定に活用することも可能です。

もし、個人事業主でも従業員を雇い入れている場合は、給与計算なども必要となります。
従業員の勤務状況を確認した上で給与を算出し、口座へ振込みます。社会保険料や源泉所得税の天引きなども忘れないように行ってください。

年次経理業務

年に一度行われるのは決算業務と確定申告です。また、従業員がいる場合は年末調整も必須となります。

決算業務は月次経理業務でも行っていた貸借対照表と損益計算書を作成し、1年間の利益・損失を算出します。
毎月貸借対照表と損益計算書を作成しておくと、集計する際の手間が省けます。

決算業務で算出した数字を元に所得税の計算なども行えるため、確定申告の前に決算業務を実施するのがおすすめです。確定申告の書類を作成したら税務署へ提出してください。

従業員の年末調整に関する手続きは、11月からスタートします。従業員に必要書類と証明書類の準備を周知させ、提出してもらいます。
個人事業主は各申告書を準備し、源泉所得税を納付後、従業員に源泉徴収票を交付してください。

個人事業主の給与は会計上どう扱われる?


経理業務には事業活動における入出金の管理や従業員の給与などが含まれていました。ここで気になってくるのは、個人事業主自身の給与です。
続いては、個人事業主の給与は会計上どのように取り扱われるのか解説します。

個人事業主の報酬は生活費として会計処理

基本的に個人事業主には「給与がない」という考えとなっています。法人だと経営者でも給与として会計処理ができますが、個人事業主の場合は計上できません。
これは、個人事業主の事業活動と生活の区別がつきにくく、利益に応じて入ってくるお金が変動するためです。

事業活動で得た利益は給与ではなく報酬として受け取れるため、すべての金額を生活費に使うこともできます。
しかし、ここから経費の支払いなども発生するため、失敗しないためにもどれくらい生活費に充てて残りを運転資金に回すのか、適切な資金管理が重要となります。

個人事業主の報酬を帳簿に記帳する場合は、勘定科目の「事業主貸」「事業主借」で仕訳されます。
事業主貸は事業資金から生活費のために引き出した場合や個人で購入したものへの支払いに使用します。

一方、事業主借は個人が保有するお金から事業資金に使ったり、個人が支払ったものを事業用に計上したりする際に使用する勘定科目です。

専従者の給与は経費に計上可能

個人事業主の給与は経費として計上できません。
しかし、従業員の中に家族や親族がいる場合は専従者(専属従業者)として申告することで、給与を経費計上できるようになります。

ただし、いくら家族や親族が従業員として働いても、申告時に認められない場合もあるので注意が必要です。

専従者に認められる条件には15歳以上であることや個人事業主と生計を立てていること、別の職場で働いていないこと、配偶者控除・扶養者控除の対象に入らないこと、最低でも半年間は個人事業主の事業活動に従事していることが挙げられます。

個人事業主の会計処理・経理業務のやり方


実際に会計処理や経理業務を行う場合、どのような方法があるのでしょうか。ここからは、個人事業主の会計処理・経理業務のやり方についてご紹介します。

Excelや会計ソフトを使って自分で会計・経理作業を行う

個人事業主が会計・経理作業を行う際によく使われているのが、Excelや会計ソフトです。
表計算が行えるExcelは関数を入力しておけば、後は数値を入力するだけで自動的に集計を出すことも可能です。
簡単な合計値や確認作業を行うだけならExcelでも十分といえます。Excelが標準搭載されているパソコンを使用している場合はコストもかかりません。
また、自身が使いやすいように自由にカスタマイズできる点もメリットになります。

ただし、関数やマクロを設定するためには知識が必要で、場合によってはヒューマンエラーが発生する可能性もあります。「自分で会計・経理作業をしたいがExcelの問題点が気になる」という方は、会計ソフトを選んでください。

会計ソフトはフォーマットが最初から用意されているので、後は仕訳入力をしていくだけで業務が完了します。
また、会計ソフトによっては見積書・納品書・請求書の作成などもまとめて行えることから、経理業務全体の効率化が図れます。

専門家に会計・経理作業を依頼する

会計・経理作業を行うことで経営状況の確認と判断が可能ですが、実際に行った結果利益につながるとは限りません。
いくら会計ソフトを使っても手間取って効率化を図れなかったり、本業に集中できなかったりすることもあります。

そのような時は会計・経理作業の専門家に依頼するのがおすすめです。例えば、税理士は税務申告の代行や書類作成などが行える税務のプロです。
記帳代行や経理代行なども依頼できることから、負担を減らしたい方は税理士に相談してみてください。

なお、似たような専門家に「公認会計士」がありますが、こちらは監査業務が基本であり主に大手企業を相手にしている場合がほとんどです。
そのため、個人事業主であれば税理士に相談してください。

個人事業主におすすめの会計ソフト4選


個人事業主が自身で会計・経理作業を行うなら、Excelよりも会計ソフトの利用が便利です。
しかし、会計ソフトにも様々な種類があるため、どれを選べばいいか迷ってしまうものです。そこで、個人事業主におすすめの会計ソフトを4つご紹介します。

やよいの青色申告オンライン

会計に役立つソフトウェアの開発・販売などを手掛ける、弥生株式会社の個人事業者向け会計ソフトです。
スキャン機能によって撮影したデータをAIが自動的に仕訳してくれるため、入力と仕訳にかかる業務負担が軽減されます。

また、簿記の知識がない人でも使いやすいようなデザインを採用し、また青色申告に欠かせない複式簿記帳簿も自動で作成してくれます。

2023年10月からスタートするインボイス制度や、2024年1月1日以降から改正が求められる電子帳簿保存法にも対応していること、e-Taxによる申告も可能であることも、うれしいポイントといえます。

やよいの青色申告オンラインについて詳しく知りたい方はこちらもお読みください
e-Taxで確定申告するメリットと注意点まとめ

クラウド会計ソフトfreee

クラウド会計ソフトfreeeは、2022年12月末時点で有料課金ユーザー企業数が40万事業所を突破した会計ソフトです。

○×形式で質問に答えるだけで確定申告の書類が作れたり、スマートフォンアプリを使ってレシート・領収書を撮影すると、パソコンのソフトに自動で読み込まれたりするなど、簡単に会計処理・経理業務が行える機能が備わっています。

料金プランはスターター・スタンダード・プレミアムの3つに分かれており、それぞれ使用できる機能が異なります。
まずはスターターから始めて、必要に応じてスタンダード・プレミアムへ移行するのもおすすめです。

クラウド会計ソフトfreeeについて詳しく知りたい方はこちらもお読みください
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freeeの基本機能とは?メリット・デメリットやプランもご紹介

マネーフォワードクラウド確定申告

マネーフォワードクラウド確定申告は、確定申告に必要な書類の作成が可能なソフトです。
銀行やクレジットカードと連携させることで、明細から仕訳入力が自動で行ってくれます。

確定申告に関連する書類の作成以外に、各会計レポートの出力や請求・経費精算と連携させて経理業務をより効率化させることも可能です。

無料でも明細の自動取込みや確定申告書類の作成・提出などは可能ですが、さらに機能を追加したい場合はパーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラスの3種類から選びます。
自身が使いたい機能や予算に合わせて選んでください。

ツカエル青色申告オンライン

ツカエル青色申告オンラインは、初心者でも使いやすいようガイド付き入力画面や、質問に答えるだけで確定申告書を作成できる機能などが備わった会計ソフトです。
入力・仕訳業務も自動的に行ってくれるため、本業に集中したい場合にも適しています。

また、導入時にはサービス利用に関する相談やメールでの問い合わせ対応、マニュアルの用意などサポート面も充実しているのは大きなメリットです。

年額12,000円(税込)から利用でき、シンプルでわかりやすい料金設定となっています。また、30日間の無料期間が設けられているので、まずは使いやすいかお試しで活用することも可能です。

まとめ

今回は、個人事業主におすすめの会計ソフトや知っておきたい経理業務のポイントについてご紹介しました。
個人事業主でも確定申告を行ったり、経営状況を把握したりするために会計処理・経理業務は必要です。

しかし、毎日の事業活動に加えて経理業務も行うとなると、かなり負担は大きくなってしまいます。
会計処理・経理業務をさらに効率的に行いたい場合には、会計ソフトの導入を検討してください。

会計ソフトには個人事業主に適したフォーマットで販売されている商品もあります。それぞれの機能や使いやすさ、料金などを比較して、自身に合うものを選んでください。

創業手帳・編集部のコメント

編集者
創業手帳・編集部です!
個人事業主だと、会計ソフトを使わずにエクセルなどで会計管理をやられている方も多いのではないでしょうか。

実際、個人事業主での会計ソフト導入率は、MM総研の調べによると、38%が利用していると答え、52.6%が利用していないという結果になりました。

この数字を見ると、まだまだ使われていない方のほうが多いことがよくわかります。

会計ソフトを導入することによるメリットは多々考えられます。

個人事業主の方の場合の多くは、確定申告が必要となるでしょう。その確定申告において会計ソフトを導入しておくと、確定申告の知識がほとんどなくても簡単に書類を作成することが可能に。

また、10月に始まるインボイス制度においても、会計ソフトを導入していれば、ミスなくインボイスを簡単に発行できたり、2024年4月から義務化される電子帳簿保存法についても、何もまだ進んでいない対応が、スムーズに行えるようになります。

会計業務に時間が取られて本業がおろそかに…なんてならないためにも、是非このタイミングで会計ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

創業手帳では、創業手帳とあわせて、いくつかの会計ソフトの資料をまとめてご請求頂くことが可能です。

是非いくつか取り寄せていただき、比較検討してみてください!

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(編集:創業手帳編集部)

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