個人事業主の納税スケジュールまとめ!支払う税金の種類や滞納のリスクについても解説

創業手帳

税金によって納税時期が異なる!個人事業主の納税スケジュールをチェック


税金を納める時期は一律ではありません。そのため、納税の時期を把握しておく必要があります。
個人事業主の場合は会社が管理してくれるわけではないため、納税時期を正しく把握することが大切です。

今回は、個人事業主が納める税金の種類と納税スケジュール一覧、納税しなかった時のペナルティ、納税を期限内にできない時の対処法について解説していきます。
税金の支払いについて知りたい個人事業主は必見です。

創業手帳では、税理士監修の「税金カレンダー」を制作しました。主な税金の納付期限をカレンダー形式で見える化。納付期限だけでなく、各種税金の概要も掲載しています。全13種類のカレンダーがありますので、自分にあった税金カレンダーを選んでみてください。

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個人事業主が納める税金の種類と納税スケジュール一覧


個人事業主が納める税金には、所得税や消費税、個人住民税、個人事業税、自動車税、償却資産税といったものがあります。納付スケジュールは以下のとおりです。

税金の種類 納付期限
4月
5月 自動車税 5月31日
6月 個人住民税(第1期)
償却資産税(第1期)
6月30日
7月 所得税(第1期予定納税分) 7月31日
8月 消費税(中間納付分)
個人住民税(第2期)
個人事業税(第3期)
8月31日
9月 償却資産税(第2期) 9月30日
10月 個人住民税(第3期) 10月31日
11月 所得税(第2期予定納税分)
個人事業税(第2期)
11月30日
12月 償却資産税(第3期) 12月27日
1月 個人住民税(第4期) 1月31日
2月 償却資産税(第4期) 2月28日
3月 個人所得税(確定納付分) 3月15日
消費税(確定納付分) 3月31日

所得税

所得税は、個人の儲けに対してかかる税金です。1月1日~12月31日までの1年間で得た所得に対してかかる税金となっています。以下の計算式で算出できます。

  • 所得=収入金額-必要経費
  • 課税所得=所得-所得控除
  • 所得税額=(課税所得×所得税率)-税額控除

所得額に応じて納税額が変動するため、所得が多いほど支払うべき税金の額も多くなります。
これは、累進課税と呼ばれている仕組みです。2013年~2037年までは所得税と併せて復興特別所得税の申告・納税もしなければなりません。
納税時期は翌年3月15日ですが、7月と11月に予定納税が行われます。納付方法は以下の4つから選択可能です。

  • 納付書+現金
  • 口座振替
  • 電子納付
  • クレジットカード

消費税

消費税は、消費者が負担して事業者が納付する税金を指します。ほとんどの取引きや商品・サービスの提供で課税される税金です。
取引きごとに標準税率20%(地方消費税2.2%を含む)と軽減税率(地方消費税1.76%を含む)のいずれかが課税されます。
個人事業主で消費税を納付しなければならないのは、以下に該当する方です。

  • 基準期間における課税売上高が1,000万円を超える方
  • 適格請求書発行事業者に登録している方
  • 特定期間における課税売上高が1,000万円を超える方

ただし、以下のような場合は消費税の納付が免除されます。

  • 基準期間における課税売上高が1,000万円以下の方
  • 適格請求書発行事業者に登録していない方
  • 特定期間における課税売上高が1,000万円以下の方

納付期限は翌年3月31日で、銀行窓口やクレジットカード納付、振替納税などから選択できます。
口座振替の場合、指定金融機関以外を利用すると手数料が必要になる場合があるので要注意です。

個人住民税

個人住民税は、所得税と同じように所得に対してかかる税金です、所得に応じた負担を求める所得割、所得に関係なく一定額の負担を求める均等割があります。
所得割は税率10%、均等割は約5,000円です。
申告期限は翌年3月31日までとなっています。普通徴収の納付時期は、6月、8月、10月、翌年1月です。
納付方法は自治体によって異なります。
基本的には自治体の指定窓口や銀行・郵便局など指定金融機関の窓口、納付書1枚で30万円以下のバーコード付き納付書ならコンビニ支払いも可能です。
振替納税はどの自治体も対応しています。ただし、口座振替の場合は指定金融機関以外を利用すると手数料がかかる場合があるので注意してください。

個人事業税

個人事業税は、納付の必要がある場合に都道府県税事務所から納税通知書が送付されます。
納税通知書には、第1期分と第2期分の納付書が添付されているので確認してください。納付期限は第1期分が8月31日、第2期分が11月30日となっています。
地域によっては一括払いを選択できる場合もあります。また、バーコード付き納付書の発行をうけられれば、コンビニでも納税が可能です。

個人事業税には290万円の控除があります。そのため、事業所得が少ない個人事業主は納付する必要がありません。
納付義務がない個人事業主に対しては通知書の送付が行われないので、届かなくても問題ありません。
開業してからまだ数カ月しか経過していない個人事業主の場合は、290万円が営業月数に応じた月割金額になることも覚えておいてください。

その他覚えておいたほうがよい税金

その他には、自動車税や償却資産税といった税金もあります。これらも納めるべき税金として覚えておくとよいでしょう。

自動車税

自動車税は、車の所有者が毎年支払う税金です。4月1日に課税され、5月31日までに納税するようになっています。
自動車税の金額は、車種や用途(自家用車もしくは営業車)、排気量などによって決まります。
個人事業主として運送業を営んでいる場合は、トラックなど排気量が多い車を所有しているケースもあります。
排気量が多い車は自動車税が高くなるので、納税に向けて事前に準備する必要があります。

自動車税は経費として計上できます。しかし、個人として利用している場合はその利用を考慮して按分する必要があります。
按分する際は、走行距離・利用回数・利用時間のいずれかを選択してください。
運行記録表などにより管理しておくと、走行距離や利用回数、利用時間などを把握できます。走行距離は特にわかりやすいので、走行距離を按分の基準とするケースが多いです。

償却資産税

償却資産税は、償却資産にかかる固定資産税の1つです。しかし、償却資産税という項目自体はありません。
固定資産税の中でも償却資産にかかるものなので、便宜的にこのように呼ばれています。

償却資産税は、資産の評価額×税率(1.4%)という計算式を用いて算出します。
資産の評価額は、減価償却した残存価額です。残存価額は、所得価額に減価残存率を乗じて計算されたものです。
ただし、償却資産の合計が150万円未満だと償却資産税はかかりません。
非課税なら申告をしなければいいと思われる方も多いですが、償却資産税の合計が100万円以上または1つの償却産の金額が10万円以上の場合は、申告が必要になるので要注意です。

償却資産税の申告期限は1月31日です。納付のタイミングは、東京23区の場合6月・7月・12月・2月、それ以外の地域は4月・7月・12月・2月となっています。

期限までに税金を納めないとどうなる?


決められた納税スケジュールに合わせた納付が難しい場合もないとは言い切れません。万が一納税できなかった場合、どうなってしまうのでしょうか。

延滞税が追加される

延滞税は、納付スケジュールどおりに納付できなかった場合に課税されます。
期限後に修正や更生、決定の処分を受け、支払うべき税額が不足していた場合にも延滞税がかかります。
延滞税は、税金の納付期限の翌日から完納されるまでの日数を基に計算されるのですが、本税が1万円未満の場合は発生しません。

2022年1月1日以降の割合は、納期限の翌日から2カ月を経過する日までは7.3%または延滞税特例基準割合+1%、納期限の翌月から2カ月経過した場合は14.6%または延滞税特例基準割合+7.3%となっています。
延滞税特例基準割合は、前年の銀行の新規短期貸出約定平均金利に年1%分をプラスした割合です。

滞納を続ければ財産が差し押さえられる可能性がある

個人事業主に限ったことではありませんが、納税期限を無視して税金を滞納したままにすると、滞納処分が下されます。
通常の場合、すぐに差し押さえとなることはありませんが、税務署からの督促状などを無視し続けると財産を差し押さえられる恐れがあります。

税金の滞納が発生したら、国税は50日以内、地方税は20日以内に督促状が送られる仕組みです。
督促状の送付から10日経過しても支払いがない場合は、差し押さえの権利が生まれます。その後電話などで調査を行い、勤務先への在籍確認が行われるかもしれません。

それでも滞納を続けると、口座が凍結されたり、勤務先の給与を毎月一定金額差し押さえられたりします。
状況によっては、不動産や車などの資産を差し押さえられ、公売にかけられるケースもあるため注意が必要です。

債務整理を行っても滞納した税金はなくならない

税金の支払いが厳しい場合、債務整理で何とかできないかと考える方もいます。しかし、債務整理を行っても税金の免除や減額はできません。
なぜなら、一般的な借金と比べて優先度が高いためです。税金以外にも借金がある場合、他を債務整理することで税金滞納を解消できる可能性も高まります。

税金は自己破産だと免責債権となるので、税金以外の借金がないと自己破産はできません。
個人再生では一般優先債権に該当し、個人再生中も納付スケジュールに合わせて納付する必要があります。任意整理や特定調停でも減額などをすることは不可能です。
また、債務整理の受任通知で税金の督促を止めることもできません。受任通知を送ると、滞納処分として差し押さえをされる恐れがあるためです。

金融事故として登録されることはない

個人事業主が納税スケジュールを忘れて納税しなかったとしても、金融事故扱いにはなりません。
信用情報機関に記録される支払いを怠るとブラックになってしまいますが、税金の場合は記録されないためです。金融事故扱いになるのは、以下の支払いを滞納した場合です。

  • クレジットカード
  • 各種ローン
  • 奨学金
  • スマホ本体の分割払い
  • 個別クレジット(エステなど)
  • リース契約(カーリースなど)

税金滞納は金融事故扱いにはなりませんが、銀行口座の差し押さえでカードやローンの審査に影響が出たり、キャッシングなどをする時に収入の証明ができなかったりするリスクはあります。
会社員であれば給料から天引きされるので心配ありませんが、個人事業主は自分で管理しなければいけないので注意してください。

期限内の納税が難しい場合の対処法


期限内に納税が難しい場合は、猶予制度の活用ができます。続いては、猶予制度が一体どのようなものか解説していきます。

猶予制度を活用する

税金の支払いには猶予制度があります。猶予制度は、一時的に納付することで事業の継続や生活が困難になる、災害で財産を損失してしまった場合に利用できます。
税務署に申告すると、原則として1年以内に限り納税が猶予されるという内容です。

換価の猶予

換価の猶予は、以下の条件すべてに該当する場合に認められます。

  • 国税を一時に納付することで、事業の継続もしくは生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合
  • 納税について誠実な意思があると認められる場合
  • 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税で滞納をしていない場合
  • 納付しなければいけない国税の納付期限から6カ月以内に「換価の猶予申請書」が所轄の税務署に提出している場合
  • 猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供されている場合

納税の猶予

納税の猶予は、以下の条件すべてに該当する場合に認められます。

  • 次のいずれかに該当する事実がある場合
    1.納税者がその財産につき、震災・風水害・落雷・火災その他の災害を受けたり、盗難に遭ったりした事実
    2.納税者もしくはその者と生計を一にする親族が病気・負傷した事実
    3.納税者が事業を廃止もしくは休止した事実
    4.納税者がその事業で著しい損失を受けた事実
    5.納税者に上記1~4までに類する事実があった場合
    6.本来の期限から1年以上経過した後、修正申告などで納付すべき税額が確定した事実
  • 上記の事実に基づき、納税者がその納付すべき国税を一時に納付することができないと認められる場合
  • 納税猶予申請書を所轄の税務署に提出している場合
  • 猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供されている場合

上記のように条件は限られてしまうものの、どうしても納税が難しい場合には猶予制度を活用しましょう。

【番外編】税金以外にも個人事業主が支払うもの


税金以外にも、健康保険料や国民保険料、労働保険料などの支払いも発生します。最後に、税金以外に個人事業主が支払わなければならないものについて解説していきます。

・健康保険
健康保険は、病気やケガで、出産、死亡などを補償する公的な医療保険制度です。
会社員として働いていた経験がある個人事業主は、会社員時代の健康保険組合を任意継続できます。
ただし保険料は、会社と折半していた分も自己負担になるので要注意です。それ以外であれば、業界に特化した保険に加入するのがおすすめです。

・国民年金
国民年金も個人事業主が支払わなければならないものの1つです。会社員だと厚生年金にも加入しますが、個人事業主の場合は国民年金のみとなります。

・労災保険
労災保険は、一人親方であれば特別加入できます。加入すると、業務を起因とした病気やケガなどの際の保険給付が行われます。
これらの支払いに関しても、漏れがないように気を付けてください。

まとめ

個人事業主は、会社員と違って納税スケジュールを自分自身で把握し、確実に支払わなければいけません。
納税スケジュールはしっかりとチェックし、漏れがないようにしてください。滞納してしまうとペナルティの対象になり、大きな痛手を被ることになります。

創業手帳(冊子版)では、納税スケジュールをはじめとした税金に関する情報もご紹介しています。個人事業主の納税についてより詳しく知りたい方は、ぜひ創業手帳をご利用ください。

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(編集:創業手帳編集部)

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