業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業の助成金とは?コロナ禍の新たな支援策を紹介
東京都内の中小飲食業を支援する新たな助成金。助成対象や申請から支給までの流れをまとめて解説します
この記事で解説する助成金は、東京都内の中小飲食業が「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を新たに始めるための費用として支援するものです。
これは、東京都中小企業振興公社の「業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業」が支援する新しい助成金になります。
緊急事態宣言が出され、さらに飲食店の経営状況が厳しくなった今、使い勝手の良さから中小飲食事業者の利用が急増している助成金です。
この機会に、「助成金の対象となる要件」や「申請から支給までの流れ」について把握して、業態転換支援事業の助成金の利用を検討しましょう。
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この記事の目次
業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業の助成金とは
業態転換支援事業の助成金とは、東京都内の中小飲食業が「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を新たに始めるための費用として支援してくれるものです。
「出前館」や「UberEats」などの大手デリバリー代行サービスの登録料等も助成の対象なので、業態転換の助成金といっても取り組みのハードルは高くありません。
2020年4月から第1回の申請受付が開始された当助成金は、すでに17回目の申請受付に入っており、約7000の飲食店事業者の申請が採択されています。
第17回の申請受付は、2020年12月29日~2021年2月26日です。まずは、「助成金の対象となる飲食店の要件」について見ていきましょう。
申請受付期間と助成金の対象となる飲食店の要件
2020年12月29日~2021年2月26日
業態転換支援事業の助成金は、「東京都内で営業する中小飲食業」が対象です。具体的には、以下のような要件が設けられています。
- 資本金又は出資額が5,000万円以下の会社
- 常時使用する従業員数が50人以下の会社及び個人事業者
なお、東京都内で営業する飲食店事業者であることについては、申請の際に以下の書類の提出が求められます。
- <法人の場合>
-
- 「登記簿謄本」
- 「法人事業税及び法人都民税の納税証明書」
- <個人事業者の場合>
-
- 都内の税務署に提出した「個人事業の開業・廃業届出書」
- 都税事務所発行の「個人事業税の納税証明書」
- 都内市区町村発行の「住民税納税証明書」
都内に居住していても店舗が都外にある個人事業者、あるいは店舗は都内にあっても本店・支店の登記が都外の法人は対象外です。
また、上記のほかにも以下のような要件があります。
- 食品関係営業等の許可を得ていること(許可証を提出済み)
- 国や地方自治体から他の補助金等を受けていないこと(※1)
- 事業税等の滞納がないこと
- 東京都及び公社の賃料・使用料等の滞納がないこと
- 同一年度に当助成金は1回しか受けられない
- 複数の店舗を運営していても店舗ごとの申請はできない(※2)
(※1)国の「持続化給付金」と、都の「感染拡大防止協力金」は重複して受給可。
(※2)一事業者につき「申請は一回」と決められているため。
どんな費用がいくらまで助成されるのか
業態転換支援事業の助成金の「限度額」と「助成率」は、以下のとおりです。
- 助成限度額 100万円(※)
- 助成率 経費の4/5以内(1,000円未満切捨て)
(※)認められた経費が125万円であれば、限度額上限の100万円が助成されます。
また、助成の対象となる経費は以下のようなものです。
販売促進費 | |
---|---|
印刷物の制作委託費(限度額:30万円) | テイクアウト・宅配・移動販売のチラシ、ポスターの制作を外部に委託する場合の費用 |
広告掲載費(限度額:20万円) | チラシ折込、新聞、雑誌、DM、Web広告等の掲載費 |
PR動画制作費(限度額:20万円) | PR動画の制作委託費 |
Webサイト等制作委託費(限度額:50万円) | Webサイトの新規作成又は更新 |
看板・POP・のぼり等の制作費(限度額:20万円) | 制作費、設置費、旧看板の撤去費用も含む |
車両費 | |
デリバリーバイク等のリース・レンタル料(最長3カ月間) | 独自で宅配や移動販売を行う場合のリース・レンタル料 |
自転車等の購入費(限度額:20万円 / リース・レンタル料は最長3カ月) | 宅配や移動販売のための自転車、リヤカー、台車の費用 |
器具備品費 | |
通信環境設備導入費(限度額10万円 / リース・レンタル料は最長3カ月) | インターネット通信環境の整備の初期費用(購入費、設備工事費、リース・レンタル料) |
通信料(最長3カ月) | インターネット通信費 |
タブレット端末等購入費(限度額:15万円 / リース・レンタル料は最長3カ月) | タブレット端末、軽減税率対応のPOSレジ、電子マネー決済端末等の初期費用 |
梱包・包装資材等の購入費(限度額:15万円) | テイクアウト・宅配等のための容器、調理器具、梱包資材の購入費 |
各種手数料 | |
宅配代行サービス利用料(最長3カ月) | UberEats、出前館、BUTLER TOKYO等宅配代行サービスの初期登録費用、月額使用料、配送手数料等 |
工事費 | |
店舗等の内装工事費(限度額:50万円) | テイクアウトコーナーの店頭設置、移動販売用車両の制作・改造費 |
助成限度額は税抜の金額です。それぞれの費用の内訳は、対象と認められない例についても決められています。詳細はこちらの募集要項をご覧ください。
申請から支給までの流れ
申請後に交付が決定した場合、「テイクアウト」「宅配」「移動販売」の取り組みに着手した日から3カ月が助成対象期間です。
その間に支払った経費が業態転換支援事業の助成対象となります。3カ月を過ぎた時点で、それまでにかかった費用を報告し、完了検査後に助成金額が確定します。
つまり、助成金が交付されるのは完了検査の後なので、交付決定から助成金の交付までは約4カ月かかります。
業態転換支援事業の助成対象期間は、交付決定日から2021年4月30日まで(最長3カ月)となっているため、申請する場合は早めに対応しましょう。
申請方法
こちらのサイトからダウンロードした「申請書」と「添付書類」を簡易書留で郵送します。申請の際は、メールやFAX、持参の受付はできないので注意しましょう。
申請書に必要な書類
申請に必要な書類は、「3枚の申請書」と「添付書類」です。ダウンロードする申請書は<申請書1~3>です。<申請書2>には実印が必要になります。
添付書類
必要な添付書類は以下のとおりです。法人と個人事業者で異なる場合があるため、以下でそれぞれについて確認しましょう。
登記簿謄本等
- <法人>
-
- 発行後3カ月以内の「履歴事項全部証明書」(原本)
- <個人>
-
- 都内税務署に提出した「個人事業の開業等届出書」(写し)
納税証明書(事業税)
- <法人>
-
- 直近の「法人事業税納税」(都税)
- 未決算企業の場合は、代表者の直近の「所得税納税証明書」
- <個人>
-
- 課税対象者は、直近の「個人事業税納税証明書」(都税)
- 非課税対象者は、「所得税納税証明書」(国税)
- 1期未満の場合は、代表者の直近の「所得税納税証明書」(国税)
納税証明書(住民税)
- <法人>
-
- 直近の「法人都民税」(都税)
- 未決算企業の場合は、代表者の直近の「住民税納税証明書」(都税)
- <個人>
-
- 住民税の「納税証明書」又は「非課税証明書」
- 1期未満の場合は、代表者の直近の「住民税納税証明書」
直近1期分の確定申告書の写し
- <法人>
-
- 保管している確定申告書の「別表1」「貸借対照表」「損益計算書」
- 未決算企業の場合は、代表者の直近の「源泉徴収票」
- <個人>
-
- 2019年分の所得税及び復興特別所得税の「第1表」「収支内訳書又は青色申告決算書」
- 1期未満の場合は、代表者の直近の源泉徴収票
- 「源泉徴収票」の代わりに、所得税納税証明書(その2)でも可
食品関係営業許可証
- <法人><個人>
-
- テイクアウト・宅配・移動販売を開始する店舗や、施設の取り扱い食品や営業形態に応じた「営業許可書」
申請金額根拠資料
- <法人><個人>
-
- 物品や機器の見積書、金額がわかるWebサイトのコピーなど
まとめ
公開されている採択事業者の取り組み状況を見ると、「テイクアウト」「宅配」の両方を実施している事業者が多数を占めています。
また、オンライン販売を開始した事例なども専用サイトで紹介され、業態転換という新たな取り組みに可能性を見出した飲食店も少なくないようです。
パンデミックというこれまでに経験したことのない逆境に立ち向かう飲食業界ですが、新たな活路を見出すための支援策は、都内の飲食店にとって大きな力になるでしょう。
昨年から、数多くの新型コロナウイルス感染症対策の支援制度が打ち出されています。一方で、「どの助成金や給付金が利用できるのか」がわかりにくいのが現状です。
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(編集:創業手帳編集部)