フリーランスエンジニアが押さえるべき経費の知識!経費計上可能なものや家事按分とは

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事業に必要な経費について理解してから仕事をスタートしよう


フリーランスエンジニアとして働く人の中には、独立して初めて経費や会計を勉強する人も多いでしょう。
今まで会計処理をしてこなかった人にとっては、確定申告などの書類仕事は面倒に感じるかもしれません。
しかし、フリーランスエンジニアとして扱う経費は決して難解ではありません。
どういったものが経費として計上できるのかを理解してから、フリーランスとしてのキャリアをスタートするようにおすすめします。

ここでは、フリーランスエンジニアが計上できる経費についてまとめました。

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フリーランスエンジニアの経費率とは


一般にフリーランスエンジニアが経費として計上できる費用は多くないといわれることがあります。
経費に計上しにくいとなると想定よりも利益が多くなって、納税する金額が高くなるかもと警戒する人もいるかもしれません。
ここでは、フリーランスエンジニアの経費率の目安を紹介します。

経費率は50%が目安

収入に対する経費を考える時によく使われるのが経費率です。
経費率は、「(経費÷収入)×100」で算出でき、経費率が低いほど課税の対象になる所得が大きくなるため、納税額が大きくなります。
例えば、卸売業や小売業は経費率が80~90%が目安です。仕入れが多いため経費率が高く、結果として納税額を少なくしやすい業種になります。

一方でエンジニアの経費率は50%が目安です。材料費や仕入れといった費用が発生しないため、ほかの業種と比較して経費率が低く税金負担が多くなりがちです。
ただし、50%はあくまで目安であり、下請けのエンジニアに利益を配分しているなど経費率が高くなるフリーランスエンジニアも多くいます。
どういった利益の生み出し方をするかによっても違うので、独立前に経費率をシミュレーションしてみてください。

経費率が高い場合のリスク

経費を多く計上し、経費率が高いとそれだけ課税所得が少なくなり納税額を抑えられます。
しかし、経費の割合を高くしすぎれば、税務署から脱税を疑われてしまうことがあります。

例えば、毎月50万円の売上げのフリーランスエンジニアが、交通費で月額30万円計上している場合です。
適正に経費を処理していれば税務調査が入っても問題はありません。しかし、悪質な経費計上をしていた場合にはペナルティとして罰則が科される可能性もあります。

経費率を気にするのは大切ですが、基本的なこととして経費は正しく計上するように徹底してください。

フリーランスエンジニアが経費計上可能な費用


フリーランスエンジニアの経費と聞いて、何が該当するのかあまりピンとこない人もいるかもしれません。
しかし、フリーランスエンジニアが計上できる経費はたくさんあります。ここではどういった経費を計上できるか紹介します。

地代家賃

地代家賃とは、土地や建物の賃料をいいます。事務所やオフィスを借りている場合にはその家賃を地代家賃として計上します。
さらに自宅で仕事をしている場合には、その家賃の中から案分して経費計上ができます。
家事按分の計算方法はいろいろありますが、床面積から仕事部屋の割合を出して計算するのが一般的です。
自分の持ち家や分譲マンションで仕事をしている場合は、減価償却費や管理費、借入利息、固定資産税も経費として申請可能です。

水道光熱費

水道光熱費とは、会社で利用されている水道代やガス代、電気代といった費用をいいます。
水道光熱費も地代家賃と同じように仕事で使用している分を経費として計上可能です。

業務用のオフィスや事務所を借りている場合には、すべてを経費として計上できますが、自宅で仕事をしている場合には家事按分が必要です。
業務として使用している水道光熱費は、仕事をした日数や一日当たりの労働時間を基準として家事按分することができます。

通信費

通信費は、業務で使用している電話やインターネット、郵便といった通信にかかる費用に使われる勘定科目です。
フリーランスエンジニアとして働く人は、リモートで仕事をする案件も多くあるかもしれません。メールやウェブ会議、電話などビジネスにおいて通信は必要不可欠です。
インターネット料金やプロバイダ料金、電話の通話料や切手などが通信費として会計処理できます。

ただし、インターネットの費用のようにプライベートと仕事の両方で使うケースもあります。そういった場合には、時間などを基準として家事按分してください。

消耗品費

消耗品費は、業務で使用する消耗品、消耗資材に関する支出の中で、購入価額が10万円未満か使用可能期間(法定耐用年数)が1年未満の費用をいいます。

日常的に使っているボールペンや洗剤なども消耗品として扱われます。
また、インターネット販売の仕事で商品を包装するために使う梱包資材も消耗品費です。
プリンターのインク代のほか、キーボードやマウスを購入する費用も消耗品費として計上できます。

旅費交通費

フリーランスは、業務で生じた旅費交通費を経費計上できます。打ち合わせや出張でかかった交通費や宿泊の費用は旅費交通費で処理してください。
旅費交通費に該当するのは、電車やバスといった公共交通機関の利用料金とタクシー代、高速代や駐車料金などです。

また、車のガソリン代や宿泊代も旅費交通費で処理できます。
公共交通機関を利用した場合、利用の都度領収書をもらうのが負担になることもあります。領収書がない時には出金伝票を使っての会計処理が可能です。
クレジットカードの引き落とし明細やETCの利用履歴でも確認できるので、領収書と一緒に保管しておいてください。

広告宣伝費

商品やサービスを売るための広告宣伝はフリーランスにとっても重要です。広告宣伝費として計上できるのは、不特定多数に対して間接的な宣伝をするケースになります。
具体的には、新聞や雑誌への広告掲載料やチラシなどの印刷代、自社サイト作成費用などです。

個人として広告や宣伝をすることはあまりないと考えるかもしれません。しかし、クライアントに渡す名刺もブランディングにかかわる部分であり広告宣伝費として処理します。
また、自分のWebサイトに掲載するポートフォリオ作成にかかった費用も広告宣伝費です。

接待交際費

事業のために必要なものであれば接待交際費も経費として計上できます。ただし、あくまで業務の一環である場合で、プライベートでの飲食費は接待交際費に含めません。
接待交際費は、税務調査でもチェックされやすい項目です。経費として認めてもらうには、帳簿に客観的に事業であると判断できる事実を記載する必要があります。
具体的には、同席者やどういった目的での飲食であるかを記載しておくようにしてください。

新聞図書費

フリーランスエンジニアの場合は、新しいスキルを学ぶために技術書を購入するケースも多いはずです。さらにセミナー開催や研修のために書籍を購入するケースもあります。
事業に関連した本を購入した時は、新聞図書費として処理可能です。
業務拡大のための専門書や納税のために経理の本を購入したケースのほか、顧客向けに購入している雑誌や新聞も計上できます。

外注費

フリーランスエンジニアとして、専門ではない案件を他社に依頼するケースがあります。イラストや文章、デザインだけ外注するようなケースです。
受注した仕事をほかの協力会社やフリーランスに外注した場合には、支払った報酬を外注費として計上できます。

仕事を外注した場合、仕事の内容によっては源泉徴収が必要です。源泉徴収の対象になるかどうか事前に調べて対応してください。

減価償却費

減価償却費は、数年にわたって使用する資産を購入した時に、その費用を一定の年数に分けて計上することをいいます。
パソコンや車といった資産は、支払いは一括だとしても数年にわたって利用します。そのため、一括で経費とするのではなく減価償却して分割して経費計上するのです。

何年に分けて費用計上するかは法律で決まっていて、これを耐用年数といいます。耐用年数は資産によって異なり、パソコンでは4年ですが、普通自動車は6年です。

租税公課

租税公課は、事業に関連して納めた税金や行政機関への手数料を計上する時の勘定科目です。
租税公課として計上できるのは、事業を営むために必要な税金になります。個人で納める所得税や住民税などは対象外です。
固定資産税や自動車関連の税金も事業用の建物、自動車にかかわるものであれば租税公課として計上できますが、プライベートのものでは計上できません。

フリーランスエンジニアが経費計上できないもの

フリーランスエンジニアが経費計上できない費用としてプライベートでの飲食代や保育料があります。
同じように飲食したとしても打ち合わせやミーティングであれば経費計上できますが、友人や家族との飲食代や経費計上できません。
後から支出が経費かどうかわからなくなる場合もあります。打ち合わせで飲食店などを利用した時には、同席した取引き相手なども記載しておくようにしてください。

保育料や健康診断費用、所得税などの個人の税金もフリーランスエンジニアとしての事業に直接関係しているわけではないので経費計上が認められません

フリーランスエンジニアが経費計上する際の注意点


フリーランスエンジニアになって、初めて経費計上する場合も多いかもしれません。フリーランスエンジニアが経費計上する際の注意点をまとめました。

家事按分で経費計上できるものを把握しておく

フリーランスエンジニアとして仕事をしていると、業務だけでなくプライベートで使用するものの費用も発生します。
具体的には、自宅で仕事をする場合の家賃や水道光熱費や自家用車にかかる費用があります。
こういった仕事とプライベートで併用するものの費用は家事按分が必要です。

家事按分とは、仕事とプライベートで兼用しているものの費用のうち、業務に使用する比率を明確にすることです。
家賃であれば、全体のスペースのうち業務用として使用しているスペースの割合を算出して、その割合だけ経費計上します。

請求書・領収書やレシートを保管する

経費計上に使った請求書や領収書、レシートは税法で7年間の保存が義務付けられています。電子データで受け取った場合にも電子データのままで保存します。
開業する時には、領収書類をどのように保存するのか、保存スペースをどうするかについて考えておくようにしてください。

帳簿に経費を記録しておく

税金にかかわる作業と聞くと確定申告の時期に行うイメージがありますが、確定申告直前にまとめて作業するのは大変です。
開業して間もない間は、こまめに帳簿に記録しておくようにおすすめします。帳簿付けが面倒な場合は、会計ソフトを活用して効率化するようにしてください。

計上漏れや不備がないか入念にチェックする

確定申告時に、計上漏れや間違いがあれば、税務調査が入ることがあります。
調査で悪質であると指摘されると、ペナルティとして本来の納税額よりも多く納税しなければならなくなることもあります。
所得の過少申告や、そもそも申告していなかった場合には、重加算税が課されることもあるので注意してください。

経費計上できるか迷ったら専門家に相談する

確定申告をしていなかったり、悪質な間違いがあればペナルティを課されることがあります。
しかし、確定申告をするための時間がない、確定申告のやり方がわからないと悩む人は決して少なくありません。
確定申告が必要なのに自分ではできないといった場合には、まず専門家に相談してみまてください。専門家は、最新の税制にも詳しいため、節税の相談にものってくれます。
手続きを任せるだけでなくビジネスの相談役としても役に立ってくれるでしょう。

まとめ・フリーランスエンジニアも経費を正しく理解して節税につなげよう

フリーランスエンジニアが経費計上できる費用は幅広く、業務で直接使用するものであれば多くは経費計上可能です。また、家事按分することで家賃なども経費計上できます。
フリーランスエンジニアで働く中で経費計上できる支出は決して少なくありません。どういったものが経費計上できるのか知って、計上漏れが発生しないようにしてください。
経費計上するものが多ければそれだけ課税所得が減少し、納める税金も減ります。すぐにはじめられる節税として経費を正しく理解してください。

経費を正しく理解することは税金の支払額にも変化がでてきます。税金については、理解しているかしていないかでその年に支払う金額が何十万も変わってくるケースがあります。そこで創業手帳では「税金チェックシート」をご用意致しました。どのくらい節税対策を実施しているかチェックするためにもご活用いただけるかと思います。



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(編集:創業手帳編集部)

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