社名変更に必要な手続きと費用・注意点を解説

創業手帳

社名変更を行う理由や手順は?メリット・デメリットを把握して効果的な活用を


社名変更は、企業のイメージを大きく変え、イメージの刷新など良い点もありますが、思いもよらないデメリットが生じることもあります。

社名変更を検討する際には、具体的にどのような影響があるかより詳しく想定し、リスクを回避することが必要です。
また、社名変更する際には必要な手続きがいくつもあり、順調に進めていく必要もあります。
社名変更で起こりえるメリット・デメリット、必要な手続きや注意点などを解説します。

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FacebookやGoogle・・・社名変更する企業は多い


社名変更は、これまでにも大手企業が実施してきたものであり、特に珍しいことでもありません。
また、社名変更をしてきた企業はそれぞれに社名変更を必要とする理由を抱え、必要に迫られて実施していました。
社名変更を検討する際には、多くの企業が社名変更をしている理由やそれによって得た成果などを知っておきましょう。

Facebookの社名変更の理由

Facebookは、世界中にユーザーを持つソーシャルネットワーキングサービスの名前でもあり、その運営元企業の社名でした。
しかし、同社はFacebookの社名を変更し、新たに「Meta(メタ)」と命名しました。

Facebookが新しく「Meta」と名づけられたのには、今後企業が進む方向を示すことが理由です。
しかし、タイミングとしてはスキャンダルが続いた同社のイメージアップを図ることも期待されていた可能性があります。
独占禁止法違反の疑いや政治的情報工作への批判など、Facebook時代に起こったスキャンダルからの望ましくないイメージを払拭し、新しい地位を築けるか、行く末が注目されています。

Googleの社名変更の理由と成果

Googleは2015年に大規模な経営組織再編を行い、持ち株会社「Alphabet(アルファベット)」を新設し、その子会社となりました。
理由はビジネスが順調にいっていなかったことで、社名変更することによって心機一転を図ったようです。

Googleは「BackRub(バックラブ)」という社名から変更された過去を持ち、社名変更についても初めての取り組みではありませんでした。
結果的にはそのあとも成長を続けているため、失敗はしていないと言えます。
しかし、現在でも「Alphabet」の社名がGoogleの名を超えることはなく、一般ユーザーからはGoogleの名前のほうがいまだに親しまれているようです。

Appleの社名変更の理由と成果

Appleも、過去に社名変更をした大企業のひとつです。
「Apple Computer Company(アップルコンピュータカンパニー)」という社名でビジネスをしてきましたが、現在はコンピュータを取り除き、「Apple」となりました。
商品の幅が増え、コンピュータ以外の分野も多くなったことが理由です。スティーブ・ジョブズ氏自らが、当時コメントを出していました。
その後、ビジネス拡大に向けたイメージの変更は見事に成功しています。

社名変更の理由


世界的に著名な大企業も複数、社名変更を行っていますが、そこには明確な目的や目論み、理由がありました。
社名変更をするにあたっては、目的や理由を明確にし、それを達成するために適した新社名を作る必要があります。

社名変更の目的や理由は様々ですが、主に以下のようなものが挙げられます。
社名変更の可否やタイミングを判断するためにも役立つため、自社の現状に当てはまるものがあるかどうかも探ってみましょう。

現社名が事業内容に合っていない

現社名が自社の事業内容に合っていないことは、社名変更の強い動機となりえることです。
社名は企業の顔として重要なものであり、社名から事業の内容が想像できることが理想となります。

多くの企業では、創業時に事業内容も加味して社名を決定するものです。
しかし、事業の幅が増えたり創業時から方針が変わったりして、時間の経過とともに合わなくなってくることもあります

社名と事業内容は合致していたほうが認知されやすくなり、知名度アップや成長にもつながります。
それでも社名がアルファベットの頭文字などの場合にはさほど影響はないかもしれません。
しかし、日本語などで意味がわかりやすい名前の場合には事業の変化とともに社名変更も検討したほうが良いでしょう。

現社名が覚えにくい

現社名が覚えにくいことも、社名変更を検討したほうが良いケースです。社名の覚えにくさや親しみにくさは、企業の成長に悪影響を及ぼする恐れがあります。

長い名前やあまり知る人の少ない外国語の名前など、記憶しにくいものや読み方がわからないものは、企業の知名度を高めるのを邪魔する恐れがあります。
カッコよさや最先端らしさも時には必要ですが、それによって敬遠されては意味がありません。

海外進出を目指したい

日本らしい社名や漢字の社名、古めかしい社名を使用していた企業が海外進出を目指す場合にも、社名を変えたほうが良いことがあります。
老舗として長く経営してきた企業では、創業当時の時代背景もあり、漢字を使った堅い印象を与える社名であることは多いものです。

しかし、これからの時代、世界を見据えた経営をしていく際には、カタカナやアルファベットの名称に変えたほうが海外の人からも親しまれ、覚えてもらいやすくなる可能性があります。
覚えやすく親しみやすい名前に変更することで、国内外で認知度を高められるでしょう。

イメージの改善を図りたい

社名変更をこれまで実施してきた世界的な大企業にも見られましたが、イメージ改善を図りたいという理由は多いものです。
社名は会社の顔ですが、スキャンダルなどで印象が悪くなることもあります。そういった場合には、社名を変えることでイメージを刷新できます。

スキャンダルなどがなくても、古臭いと感じる、堅苦しく感じるといったイメージを変えるために社名を変えることも有効です。
社名は会社の顔だからこそ、イメージの変更をしたい場合に社名変更は大きな効果が期待できます。

合併・買収によって必要になった

2つの企業が合併や買収などでひとつになると、どちらの社名を選択するかという問題が持ち上がることがあります。
2つの社名をつなぎ合わせるなど、どちらも反映させる方法もありますが、心機一転全く違った社名にすることも選択肢のひとつです。

旧社名を残したい思いは、愛着のある社名を残したい愛社精神の現れでもありますが、合併や買収で新しい一歩を踏み出したい場合には旧社名を残さないことも良い選択と言えます。
これを機会に、よりわかりやすく親しみやすいグローバルな社名にすることも可能です。

社名変更を行うメリット・デメリット


社名変更は、とても大きな決断であり、社内外に大きな影響を与えます。社名変更を行うことで起こることには良いことばかりではなく、悪いことが起こる恐れもあります。

社名変更の影響として起こることを、メリットもデメリットも併せて知っておきましょう。

社名変更を行うメリット

社名変更をする主なメリットは、それぞれの企業が社名変更に期待する目的の達成です。
社名変更で目的を達成することで、以下のような良い影響を得られる可能性が高くなります。
主に社外へのアピールや対外的な対策ですが、従業員の意識を変えるチャンスにもつながることがあります。

企業の認知度・好感度が高まる

社名変更では、企業の認知度や好感度が高まる効果が期待できます。
認知度や好感度のアップは、社名変更の理由や目的としてあげることも多く、成功することで企業の成長を促進することもできます

難しい社名は誰にでも読みやすく覚えやすい社名に、認知されにくい社名は海外の人も親しめるアルファベットなどに変えることで、これまで以上の人に知ってもらえるようになるでしょう。

また、事業内容と社名を一致する、社名よりも有名になったブランド名を社名にすることで、統一感を出しつつ認知度を高めることもできます。

イメージを一新できる

イメージを変えられることも社名変更で得られる大きなメリットのひとつです。
悪いイメージを刷新したい場合はもとより、新しい事業へ進出する際や経営の再編などの際にも使えます。
イメージを一新することで、新たな顧客や取引先を得ることや従業員のモチベーションを高めることなどができます。

これまでも、社名変更によりスキャンダルなどのイメージの一新を試みる企業がありました。
世界的な大企業で、すでに社名が浸透し過ぎている場合には効果がないこともありますが、そうでなければこれまでのイメージをすべて捨て去ることさえ可能です。

社名変更を行うデメリット

社名を変更するに伴いデメリットが生じることもあります。
社名変更には企業が期待する目的の達成という大きな意義がありますが、達成するには多少のリスクもあることを理解しておきましょう。
事前に把握しておくことで、トラブルや混乱を減らすことも可能です。

コストがかかる

社名変更をするためには、様々な手続きが必要となり、そのために多額のコストがかかる場合があります。
以下でも詳しく解説しますが、社名変更に直接かかる費用だけでなく、変更の影響を受けて必要となる費用もあるため、総合的に資金計画を立てることも必要です。
負担が大きくなる場合には、かかるコストをどこから捻出するか検討する必要もあります。

旧社名の入ったものがすべて使えなくなる

社名変更をすると、旧社名の入ったものはすべて使えなくなります。社名変更のタイミングで、これまで使ってきたものをすべて新社名のものと交換しなければいけません。

社名変更で使えなくなるものには、名刺・封筒・パンフレットなどの紙製品、ホームページや社屋に掲げられた社名を示す看板・ディスプレイなど、販促活動のためのノベルティなどもあります。
細かいものの入れ替えはうっかり忘れられやすくなりますが、社名変更後に古いものを使っていると不都合があるかもしれません。

社名変更の手順・必要な手続き


社名を変更するためには、いくつかの手順に従い手続きを済ませることが必要です。
企業の規模によっては準備にも時間や手間がかかり、手順を誤ると社内外に混乱が生じる恐れもあります。

社名変更を決めた企業は、担当者や担当部署を中心に計画的に必要な準備を進めてください。社外で行う手続きと社内の手続きの流れと内容を解説します。

株主総会決議

社名変更を実施する際には、定款を変更する必要もあります。株式会社では定款の変更には株主総会決議が必要です。
定款変更は特別決議となるため、議決権の過半数を保有する株主が参加し、議決権の3分の2をもって決議しなければいけません。

社名(商号)は、定款の「絶対的記載事項」にあたるものです。定款は会社を設立する際に決めるもので、絶対的記載事項が不足している定款は無効となります。
また、変更がある場合も、勝手に変えることができません。新社名を決めたら、株主総会で決議をし、議事録を作成し、商号変更を反映した定款を作成する流れとなります。

創設時に作られた定款は、株式会社の場合には公証役場で認証を受ける必要がありますが、変更の場合には公証役場での認証は不要です。

法務局へ登記申請

株主総会での決議を終えたら、管轄の法務局へ会社名の変更登記を申請します。法務局への登記期間は2週間以内で、決議を終えたら速やかに提出してください。

また、登記申請と同時に実印の変更も必要ですが、法人の実印の変更も法務局で可能です。
新しく登記する印鑑と代表取締役など届出する人の実印、印鑑証明書を準備します。

必要なコスト

法務局への登記申請でかかる費用は登録免許税の3万円です。また、新しい実印代などもかかります。実印変更手続きには手数料などはかかりません。

各種届出

社名変更の登記が済んだら、役所などに社名が変わったことを知らせるための届出も必要となります。必要な届出先と届出内容は以下の通りです。

変更後速やかに提出することが必要なものには以下のものがあります。

・納税地を管轄する税務署
法人税の手続きで「異動事項に関する届出」が必要

・都道府県税事務所・市町村
地方税の手続きで「法人異動届」の提出が必要

以下は、会社名変更の事実の発生から5日以内に提出が必要です。

・年金事務所
社会保険料の手続きで「健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」の提出が必要

以下は会社名変更の事実が発生した日の翌日から10日以内の提出が必要です。

・労働基準監督署
労災保険の手続きで「労働保険名称、所在地等変更届」の提出が必要

・ハローワーク
雇用保険に関する手続きで「雇用保険事業主事業所各種変更届」の提出が必要

各種名義変更

社名を変えたことで、以下の名義変更手続きも必要となります。

  • 銀行などの金融機関
  • 保険会社
  • 公共料金
  • 通信会社

 

また、企業によっては以下のような手続きも必要です。

  • 不動産管理会社への手続き
  • 社用車の所有者名称変更
  • 許認可を受けている場合の商号変更届

取引先へのお知らせ

社名変更の際には、取引先にもお知らせと挨拶をするのがマナーです。
大きな節目となるタイミングなので、今後の付き合いを円満なものにするため、丁寧に対応します。
また、社名が変わることで取引先のシステムも変える必要が出てくるため、前もって知らせることが必要です。

お知らせと挨拶は、取引先との関係などに応じて、メールや挨拶状、直接訪問するなど、方法を選択してください。

社名変更の注意点


社名変更を進める時には、いくつかのリスクを押さえておく必要があります。
事前にしておかないと手続きがとん挫する恐れや思いがけないリスクなど、社名変更の際に注意したい点を紹介します。

事前に商号調査が必要

社名変更する際には、事前に使っても良い社名かどうかを調査する必要があります。
これを商号調査といい、同一住所の同じ商号、ほかの会社と同じような商号などを避けるために行うものです。

法務局の「商号調査簿」を閲覧するほか、インターネットの登記情報提供サービスで調べる方法もあります。

使ってはいけない名前を選ぶと登記できないだけでなく、商号の使用停止や損害賠償の訴訟を起こされることもあります。
非常に重大な問題なので、商号調査は慎重に実施してください。

文字の制限を守る

日本の企業の商号には、法務大臣の告示によって使って良い文字が指定されています。
使ってはいけない文字もあるため、文字の制限を守り、登記できる社名を付けることも大切です。

使えない文字は、「?」・「!」・「@」などの記号、「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」などのローマ数字です。

使える文字は、通常の日本文字のほかに、ローマ字やアラビア数字で、組み合わせもできます。また、特殊文字などにも一部使えるものはあります。

中小企業の場合には知名度を失う可能性がある

社名変更は、企業のイメージを変え、新たなスタートを切るチャンスを与えます。しかし、これまで培ってきたものを失う恐れもあることを忘れてはいけません。

特に、中小企業など社名変更で世間の人々の注目や話題を集められない企業では、社名変更によって知名度を失い、せっかく浸透してきた企業イメージを失ってしまう恐れがあります。
悪いイメージがあって払拭したい、初めからから出直したい場合にはともかく、認知拡大を狙って社名変更を試みる場合には逆効果にならないか慎重な見極めが必要です。

まとめ

社名変更はリスクもありますが、目的を明確にして準備を整えれば、大きな効果を発揮することもあります。
変更理由は企業によって異なりますが、現在の社名に何らかの問題を抱えている場合には検討してみると良いです。

社名変更にあたっては、事前の調査や準備を計画的に進めてください。必要となる手続きは多く煩雑ですが、漏れなく対応しましょう。

創業手帳の冊子版(無料)は、登記申請や資金調達など起業前後に必要な情報を掲載しています。起業間もない時期のサポートにぜひお役立てください。
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