貸借対照表とは? 見方やルールなど7つのチェックポイントで、倒産リスクを分析しよう!

資金調達手帳

貸借対照表を理解し、倒産しない会社経営を!

決算書の一つ、貸借対照表。BSとも呼ばれ、会社の一定時点における財政状態を表したものです。

ところで、この貸借対照表の正しい見方・読み方をご存知ですか?これを読み解くことで、会社の課題が見つかります。「課題を見つけ、解消する」これが、経営者の仕事の最大の仕事といっても過言ではありません。今回は、7つのポイントで貸借対照表の見方・読み方を紹介します。

また、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の3つを財務3表と呼びます。財務3表は、経営において重要となってきます。中でもキャッシュフロー計算書は、創業期においてもっとも重要です。冊子版の創業手帳(無料)では、創業期にキャッシュフローが重要である理由について詳しく解説しています。また、キャッシュフローを改善する方法も詳しく解説していますので、参考にしてみてください。(創業手帳編集部)

貸借対照表(BS)とは?

「貸借対照表の見方って難しそう…」と思う方もいるかもしれませんが、そもそも貸借対照表とはどのような書類なのでしょうか?まずは基礎的なところからしっかり押さえておきましょう。

貸借対照表(BS)とはどんな書類?

貸借対照表とは、決算書の一つで、一定時点の財政状態を表しています。

会社の資産と負債、純資産が左右対照に表示されています。Balance Sheet(BS)と呼ばれ、財務基盤の状態や会社の安定性がわかります。

貸借対照表(BS)の要素

貸借対照表は次の3つの要素から成り立っています。

  • 資産
    現金や売ればお金になる商品、土地や建物のこと。貸借対照表では左側に表示されます。
  • 負債
    返さなければならない借金(他人資本)のこと。貸借対照表では右側に表示されます。
  • 純資産
    株主資本など、会社自体が持つお金(自己資本)のこと。貸借対照表では右側に表示されます。

これにより、適切な見方で貸借対照表を見ると、「その会社がどのような方法で資金を調達し、その資金を何に使っているのか」ということを読み取ることができます。

詳しい内容や見方はこのあとご紹介します。

損益計算書(PL)との違い

貸借対照表(BS)と混同されやすいのが「損益計算書」(PL)です。

どちらも財務3表に数えられる重要な決算書ですが、貸借対照表が「ある一時点」の会社の財政状態を表すのに対し、損益計算書は「ある一定期間」の会社の経営成績を表します。

損益計算書は次のような要素から構成されます。

  • 収益
    どれくらいの金額を稼いだのか
  • 費用
    得られた金額のうち、費用はどれくらい使ったのか
  • 利益
    どれくらい儲かったのか(収益−費用)

貸借対照表と損益計算書は異なる書類ですが、両者は密接に結びついており、どちらも見方・読み方を理解しておくことが大切です。

貸借対照表(BS)の見方・読み方は?どんなことが書かれているの?

貸借対照表は、このような項目で構成されています。

この表の右側 負債の部[A]と純資産の部[B]は「調達源泉」と言われ、資金の調達方法を表しています。

左側はその「運用形態」と言われ、調達した資金をどのように使ったかを表しています。

わかりやすい例で言うと、100万円を銀行から借り入れたて資金を調達した場合は、右側の負債の部[A]に借入金100万円と記載されます。

その100万円を使って機械を購入した場合、左側の資産の部[C]の中の固定資産の部に機械100万円と記載されます。

では、それぞれの部の中身についてみていきましょう。

【「調達源泉」である貸借対照表の右側】

[A]負債の部
流動負債の部+固定負債の部

▶流動負債の部
買掛金・未払金・未払費用等と、一年以内に返済を予定している短期借入金など。

▶固定負債の部
一年を超えて返済を予定している長期借入金、社債など。

[B]純資産の部
株主から出資された資本金、会社が過去に獲得した利益の積み上げである利益剰余金、会社自身が保有する自己株式など。

【「運用形態」である貸借対照表の左側】

[C]資産の部
流動資産の部+固定資産の部+繰延資産の部

▶流動資産の部
現預金・売掛金・棚卸資産。一年以内に回収が予定されている立替金など。

▶固定資産の部
有形固定資産+無形固定資産+投資その他の資産

 有形固定資産
 土地・建物・機械・車両運搬具・器具備品など。実際にモノとして存在する資産。

 無形固定資産
 ソフトウェアや特許権など。目には見えないが権利を有している資産。

 投資その他の資産
 有価証券や貸付金、破産更正債権など。
   
▶繰延資産の部
創立費、社債発行費、開業費など。

このように、貸借対照表を作成するには計算が必要となります。難しい計算ではないと思いますが、忙しい経営者にとっては、作成する時間がとれないということもあるでしょう。冊子版の創業手帳では、このような書類を自動で作成してくれる会計ソフトについて詳しく解説しています。おすすめの会計ソフトや、選び方も解説していますので、チェックしてみてください。(創業手帳編集部)

貸借対照表(BS)の見方|7つのチェックポイント

ここまで貸借対照表の構造をご説明してきましたが、それではこうしたBSはどのような見方・読み方をすれば良いのでしょうか?

ここからは、貸借対照表の見方について7つのチェックポイントをご紹介します。

貸借対照表の見方ポイント1.自己資本(純資産の部[B])が十分にありますか?

貸借対照表の見方で最も重要なポイントは、自己資本(純資産の部[B])が十分にあるかどうかです。

貸借対照表に表示される自己資本(純資産の部[B])は、株主から出資された資本金と会社が過去に得た利益の合計額()であり、返さなくてもよいお金なのです。

ですから、貸借対照表を読み解いて総資産に占める自己資本(純資産の部[B])の割合を見れば、会社の財政状態が健全であるか否かが、ある程度わかるのです。

この総資産に占める資本の割合を、自己資本比率といいます。

自己資本比率が高いほど、自己資本(純資産の部[B])が多く、健全な財政状態であるという見方ができます。

算式にすると以下のようになります。

では、この自己資本比率はいくらくらいあれば健全だといえるのでしょうか?

一般的な目安
〜10%……倒産の危険が非常に高い
10〜20%……倒産の危険あり
20〜40%……一般的な水準
40%以上……安定している

財務総合政策研究所 調査統計部調査統計課(財務省)が出している法人企業統計調査結果(令和元年度)では、全産業(金融・保険は除く)の平均自己資本比率は、42.1%となっています。

(※)ここでは、自己資本=純資産として説明していますが、厳密にいうと株主資本、自己資本、純資産の構成は以下のとおりです。

中小零細企業の場合、ほとんどの場合、自己資本=純資産のことが多いので、同義として捉えています。

株主資本=資本金+資本剰余金+利益剰余金+自己株式
自己資本=株主資本+有価証券評価差額+繰延ヘッジ損益+土地再評価差額+為替換算調整
純資産=自己資本+新株予約権+被支配株主持分

まずは、自己資本比率20〜40%の水準を目指していくようにしましょう。

自己資本が少し心許ない場合は、出資などによる資金調達が候補にあがるでしょう。資金調達に関する情報だけをまとめた資金調達手帳(無料)では、出資やクラウドファンディングについて詳しく解説しています。また、専門家にインタビューを行い、出資やクラウドファンディングを成功させる方法について伺っています。(創業手帳編集部)

貸借対照表の見方ポイント2.純資産の部[B]の中身はどうなっていますか?

貸借対照表の見方ポイント1で自己資本比率について説明しました。ただ、この自己資本比率が高いだけでは財務基盤が安定していると言い切ることはできません。見方のポイントの2つ目は、純資産の部の中身についてです。

例えば、X社、Y社とも自己資本(純資産の部[B])が2,000万、総資産5,000万、自己資本比率40%あるとします。

自己資本比率は同じ会社ですが、X社の貸借対照表の純資産の部[B]の内訳は資本金5,000万、利益剰余金マイナス3,000万、一方Y社は資本金500万、利益剰余金1,500万の場合、どちらの財務基盤がしっかりしていると思いますか?

もちろんY社です。利益剰余金は会社がこれまでに蓄積した利益です。

この利益剰余金がマイナスのX社は、赤字を出し続けているという見方ができるのです。

現状を打破しない限り、いずれ資本金を食いつぶし自己資本比率もマイナスになってしまいます。

貸借対照表の純資産の部[B]のうち利益剰余金が占める割合を大きくしていきましょう。

貸借対照表の見方ポイント3.役員貸付金が計上されていませんか?

貸借対照表の見方の3つ目のポイントは、役員貸付金の計上です。

役員貸付金に計上されるものには、

  • 実際に会社が経営者にお金を貸し付けた金額
  • 経営者個人の飲食代などを会社のクレジットカードで支払った金額
  • 他の科目の残高を合わせるにあたり、差額が解明せず貸付金にした金額

などがあります。

役員貸付金は、会社としては役員から利息を取らなければならず、返済実績がないと役員賞与と認定され所得税を追徴される可能性があるなど、税務上様々な問題が発生します。

また、銀行で融資を受けている場合、もしくは受ける際に、役員貸付金があると、審査で厳しい見方をされてしまいます。

銀行側からすると、融資したお金が会社の事業資金として使われず、経営者が使うのではないかという見方ができるからです。

役員貸付金があれば、早めに解消するようにしましょう。

貸借対照表の見方ポイント4.仮払金や仮受金などの勘定科目がありませんか?

貸借対照表の見方のポイントの4つ目は、仮払金・仮受金などの勘定科目についてです。

仮払金や仮受金などは、その名の通り仮に計上しておくものなので、通常は期末に全て精算して残高をゼロにするため、勘定科目が出てくることはありません。

しかし、清算されずに貸借対照表上にこれらの勘定科目が多額に残っている場合は、銀行等や税務調査の際に必ず内容について聞かれます。

また、従業員による横領等の不正の温床になりやすい科目でもありますので、必ず内容を確認するようにしましょう。

貸借対照表の見方ポイント5.売上や仕入と比較して売掛金・買掛金が多額になっていませんか?

貸借対照表の見方のポイントの5つ目は、売掛金・買掛金についてです。貸借対照表の売掛金と損益計算書の売上、貸借対照表の買掛金と損益計算書の仕入を見比べてみましょう。

売掛金とは、[C]資産の部の流動資産の部で、一年以内に回収が予定されている売上額です。

一方、買掛金とは、[A]負債の部の流動負債の部で、一年以内に支払う予定をしている仕入れ額です。

およそ1〜2ヶ月分の売上・仕入に相当する金額が売掛金・買掛金に計上されていれば、特に問題はありません。

しかし、売上4ヶ月分以上に相当する売掛金が計上されているような場合は、“回収が滞っている”もしくは“回収までの期間が長すぎる取引先がある”かもしれないという見方ができます。経理担当者や税理士に相談して、各取引内容を確認する必要があります。

ここからは、少し専門的な見方の話になりますが、何ヶ月分の売上・仕入れが貸借対照表上の売掛金・買掛金残高を残っているかを表す指標に、売掛金・買掛金回転期間があります。

  • 売掛金回転期間=売掛金残高/1ヶ月当たりの売上高(売上高÷12)
  • 買掛金の回転期間=買掛金残高/1ヶ月当たりの仕入高(仕入高÷12)

参考までに、財務総合政策研究所が出している「法人企業統計調査からみる日本企業の特徴」のレポートでは、全産業の平成30年度の平均売掛金回転期間は1.85月、平均買掛金回転期間は1.37月となっているので、見方の目安にすると良いでしょう。

売掛金回転期間は小さければ小さいほど、売掛金の発生から回収までの期間が短いということなので資金繰りがよくなります。

一方、買掛金回転期間は大きければ大きいほど買掛金の支払までの期間が長いということなので資金繰りがよくなります。

例えば、売掛金回転期間が3ヶ月で、買掛金の回転期間が1ヶ月の場合、先に買掛金の支払期日が来て、売掛金の入金は3ヶ月後になります。

そうすると、3ヶ月分の支払資金を確保しておく必要があるので、資金繰りが厳しくなってしまいます。

売上は順調なのになぜか資金繰りがいつもカツカツだと感じている方は、売掛金回転期間と買掛金回転期間をチェックし、支払・回収のサイクルの見直しを検討してみるのもおすすめの見方です。

貸借対照表の見方ポイント6.棚卸資産で販売できないものはないですか?

貸借対照表の見方の6つ目のポイントは、棚卸資産についてです。

棚卸資産とは、貸借対照表の[C]資産の部の流動資産の部で、1年以内に販売されて換金されることが予定されているものです。

つまり、現在は在庫という形ですが、1年以内に売上原価となる見込がある額であるという見方ができます。

しかし、商品や製品が売れ残ると、売上原価にはならずそのまま棚卸資産として残ってしまうので、金額は大きくなってしまいます。

棚卸資産が多いということは、保管料が増加したり、保管の長期化による品質劣化が起こったりなど、会社経営に大きな悪影響を及ぼします。

棚卸資産の多さを測る指標に、棚卸回転期間があります。棚卸回転期間とは、保有している棚卸資産が、何ヶ月分の売上原価なのかを表しています。

算式にすると以下のとおりになります。

棚卸資産回転期間=棚卸資産/1ヶ月当たりの売上原価(売上原価÷12)

参考までに、財務総合政策研究所が出している「法人企業統計調査からみる日本企業の特徴」のレポートでは、全産業の平成30年度の平均棚卸回転期間は0.95月となっているので、目安にするとよいでしょう。

常に在庫が過多になっていないか?という見方を持ってチェックするようにしましょう。

貸借対照表の見方ポイント7.現金残高が実際の現金有高と合っていますか?

貸借対照表の見方の最後のポイントは現金残高についてです。貸借対照表に計上されている現金残高と、実際会社にある現金残高は合っていますか?意外と現金が合っていないパターンは多いです。

中小零細企業の場合、経営者が会社の銀行口座から現金を引き出して、それを会社の経費ではなく経営者個人の支払に使うことがよくあります。

この場合、会社から経営者への立替金で処理して後日返還すれば問題はないのですが、そのままになり帳簿上はその分の現金が残ってしまい、実際の残高と合わなくなってしまうのです。

このようなことが積み重なり、多額の現金が貸借対照表に計上されている場合、銀行や税務署などの第三者に現金管理がきっちりと行われていないのではないかという見方をされてしまい、決算書の信用が落ちてしまいます。

また、税務調査の際、実際有高とあまりにもかけ離れている場合、役員貸付金または役員賞与として認定され、課税される可能性もありますので、気をつけましょう。

現金管理は基本的かつ重要なことです。もし現金が合っていなければ、現金出納帳をつけ、毎日実際の現金と照合する習慣をつけていきましょう。

まとめ

貸借対照表は、会社の一定時点における財政状態を表したものです。

これを正しい見方・読み方で読み解くことで、会社の課題が見つかります。課題が見つかれば、それを解消するためにどうすればいいのかを考えるのが経営者の仕事の一つでもあります。

今回ご紹介した貸借対照表の見方のポイントをまとめておきます。

  • 【見方ポイント1.】自己資本(純資産の部[B])が十分にあるか?
  • 【見方ポイント2.】純資産の部[B]の中身はどうなっているか?
  • 【見方ポイント3.】役員貸付金が計上されていないか?
  • 【見方ポイント4.】仮払金や仮受金などの勘定科目がないか?
  • 【見方ポイント5.】売上や仕入と比較して売掛金・買掛金が多額になっていないか?
  • 【見方ポイント6.】棚卸資産で販売できないものはないか?
  • 【見方ポイント7.】現金残高が実際の現金有高と合っているか?

ただし、もともと簿記の知識があり正しい見方が身についている場合はよいですが、覚えたての知識での分析は確実性に不安があります。税理士の手を借りて会社の財務の状況を把握するのが賢い選択と言えます。

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(監修:ゆう税理士事務所 税理士 小林優子
(編集:創業手帳編集部)

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