流動資産とはいったい何?固定資産や繰延資産との違いは?流動資産について徹底解説!

資金調達手帳

流動資産は会社の資産のひとつ。固定資産との違いや流動比率等について理解し経営分析に活かそう!


流動資産は、会社における資産のうちのひとつです。
財務上において、固定資産や繰延資産との違いを知って、資産のどの部分を流動資産が占めるのかを知っておくべきです。
また、流動資産と流動負債から計算する流動比率によって、会社経営の状況を知ることもできます。

今回は、資産における流動資産の位置付けや流動比率など、流動資産について詳しく解説します。

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流動資産とは何か


まずは、流動資産の概要についての説明です。

会社における資産について

会社における資産とは、所有する現預金に加え、売掛金や有価証券、土地や建物などの不動産、生産や会社経営に必要な各種設備も含めた財産全般を指します。

これら資産は、会社経営のうえで必要なものであり、資産を活用することで事業活動を行うことができます。
資産は、会計上の勘定科目のひとつであり、下記の流動資産は資産の一部です。

流動資産とは短期間で現金化できるもの

流動資産は、すべての資産の中でも短期間で現金化することができるもの、もしくは現金化の予定があるものです。
つまり、金額の動きが流動的で、すぐにキャッシュフローに取込めるものと考えることもできます。

現金化される期間の目安としては、1年以内が基準とされています。

貸借対照表における流動資産の位置付け

会計業務で作成される貸借対照表では、流動資産は資産の一部です。
貸借対照表は財務諸表のひとつであり、会社の資産と負債を比較し、会社の財務状況を数値化するものです。
流動資産を貸借対照表で見る時は、表の左側に記載された資産の部をチェックします。

そして、右側に記載されている負債の中の流動負債とのバランスを比較し、会社の資金繰りが健全であるかどうかを把握することができます。

流動資産・固定資産・繰延資産はどう違うか


資産は、上記で説明した流動資産のほかに、固定資産・繰延資産の3つに分けられます。

固定資産は短期間で現金化できない資産

固定資産は、流動資産のように短期間(1年以内)での現金化が難しい資産を指します。
仕入れから売上げ入金までのサイクルに直接は含まれず、このサイクルを運用するために供する不動産や設備などが固定資産にあたり、以下のようなものが含まれます。

・有形固定資産
土地や建物などに加え、各種設備や社用車のように、形として存在する固定資産です。

・無形固定資産
目に見える形ではない固定資産であり、特に商標権や著作権、借地権などの権利が主なものです。

・投資その他の資産
有価証券や定期預金のように、長期的に見て利回りが見込める資産、有形固定資産および無形固定資産以外のものが含まれます。

繰延資産は長期的に利益につながる費用

繰延資産とは、資産の中でも会社経営や資産運用のために供した費用を指し、短期でも長期でも現金化できないものです。

例えば、会社を起ち上げるために必要とした開業費や商品開発に関わる開発費、株式の発行にかかる株式交付費などが該当します。
基本的には経費に含まれるものですが、上記の条件に当てはまるものであれば繰延資産として長期的に償却することが可能です。

流動資産に該当する資産


こちらでは、流動資産にどのようなものが該当するかを見ていきます。

流動資産に該当する3つの資産

・当座資産
3種類の流動資産の中でも、1年を待たずにすぐに現金化することが可能であるものです。
仕入れから売上げ入金までのサイクルで、すでに販売し直近で現金になりえる資産や、即売却して現金を得られるものが該当します。

・棚卸資産
利益を得ることを目的とし、販売することで売上げにつながる資産かつ、販売前の状態で社内に保有されている資産。
これらは、販売して現金化するまでに期間を要することから、当座資産より現金化しにくいものです。

・その他の流動資産
当座資産や棚卸資産には含まれず、現金化するために1年程度を要するとみなされる資産。
主には、直接会社の経営には影響しないと考えられる小規模な資産が含まれます。

当座資産に含まれるもの

・現預金
仕入れから売上げ入金の流れなどで生じる現預金全般を指します。
また、満期が数年先まである定期預金は含みませんが、満期が1年未満であれば当座資産に組込まれます。

・売掛金
商品を販売したあとで売上金の請求を行い、後日入金の予定がある債権です。
多くは1カ月分をまとめて請求し、期日までに入金されることを想定しているため、多くは1カ月~3カ月程度で現金化されます。

・受取手形
有価証券の一種であり、取引先から支払い期日を記載され発行されるものです。
書面に記載された支払い期日までに、取引先から支払いがあれば現金化できるものであり、この場合も支払い期日は1カ月~3カ月とすることが多いです。

・有価証券
流動資産に含まれる有価証券(株式・債券)は、投資目的ではなく売買で利益を得る想定のもの、また満期まで所有する目的のものです。

棚卸資産に含まれるもの

・商品
会社で生産・加工したものではなく、仕入れの段階でそのまま販売できる在庫です。卸売り店や小売り店などが所有・販売するものがこれにあたります。
そのため、会計処理上では会社が生産・加工したもの(製品)とは区別されます。

・製品
上記の商品とは区別し、会社で生産・加工して販売できる状態に仕上げた在庫です。ちなみに、形のないサービスを販売する場合も会計処理上では製品に分類されます。

・仕掛品
会社における生産・加工の過程がまだ途中で、完成していない製品でありまだ販売できる状態に至っていないもの

・半製品
上記の仕掛品とは違い、加工が終了していないものの製品としては成り立ち、販売可能である状態のもの

・貯蔵品
通常、会計処理上で消耗品費として計上されるもののうち、未使用のもので来期に持ち越すものをここに含み、来期に使用した時点で消耗品費に振替えます。

その他流動資産に含まれるもの

・前払金
会社が、取引先から商品およびサービスの購入を行う際に、先に支払う金額です。後述の前払費用との違いは、一時的な購入か継続的な購入かです。
会計処理では、商品およびサービスが提供されたときに仕入れとして振替えします。

・前払費用
前述の前払金と性質は似ていますが、継続的に商品およびサービスを購入する際の金額をこちらに含めます。

・未収金
商品およびサービスの販売のように、営業活動で金額を受取る売掛金とは違い、固定資産や有価証券などを売却した際に受取る予定の金額です。

・貸付金
何らかの理由で、会社経営に関わる貸付けを取引先などに行った場合、返済期限が1年以内であればこちらで計上されます。
ちなみに、貸付けた金額の返済期限が1年を超えた場合は、会計処理上は固定資産とされます。

・仮払金
必要経費のうち、金額が確定しておらず、一時的におおよその金額を想定して支払う金額です。

・貸倒引当金
当期末時点で、売掛金や受取手形といった債権で入金の見通しが立たないものについて、過去の数値を参照して一定割合を計算し、こちらに振り分けます。
貸倒引当金は、万が一債権の回収ができない場合に対応できるように保有しておく資金といえます。

流動比率と固定比率について


会社において、いかに安定性があり健全な経営を行っているかを計る指針が、流動比率と固定比率です。

流動比率とは

流動比率は、流動資産と流動負債を比較してその比率を計算して割出された数値です。流動負債とは、流動資産とは逆で会社が1年以内に取引先などに支払う予定の債務です。

流動比率は短期的な支払い能力の指針

流動比率が示す数値は、1年以内に支払うべき負債と比較して1年以内に現金化できる資産の多さを示します。
そのため、流動比率が大きいほど会社の支払い能力が高いことを示し、安定した経営が行われていることがわかります。

ちなみに、貸借対照表でも流動資産と流動負債のバランスを見ることが可能です。

貸借対照表の左側に記載される流動資産が、右側に記載される流動負債を上回っていれば、健全な資金繰りが行えていることを確認できます。

当座比率との違いについて

流動資産を語るうえで、ともに引き合いに出されるものが当座比率です。

当座比率は、流動資産の中でも特に最も現金化しやすい当座資産について、流動負債と比較して支払い能力を計る指針です。
即現金化できる可能性が高い当座資産が、流動負債全般より上回っていれば、流動負債の支払いが問題なく行えると見ることができます。

流動比率の計算方法

流動比率の計算方法は、(流動資産÷流動負債)×100です。

例えば、流動資産が200万円、流動負債が100万円の場合、上記の式に当てはめて流動比率を以下のように計算します。

(200万円÷100万円)×100=200%

つまり、支払うべき流動負債と比較して、流動資産は200%を保っていることから、流動負債をすべて支払うのに十分な金額があるといえます。

逆に、流動資産が100万円、流動負債が200万円であった場合の計算をしてみましょう。

(100万円÷200万円)×100=50%

この場合、流動資産は流動負債の50%しかないことがわかり、流動負債の支払いが滞る可能性が高いです。

流動比率の目安とは

流動比率は、100%を超えていればとりあえずは支払いが行える状態ですが、やはり支払いに余裕を持たせるには100%以上の数値は必要です。
流動比率の目安は、業種ごとに異なり200%を超えている業種もあれば、100%をわずかに超える程度の業種もあります。
業種の中でも、目安となる数値が集中しているのは、150%~160%程度です。

自分の会社の流動比率が競合よりも低い場合は、資金繰りについて今一度見直すことが得策です。

流動比率が低い時に注意すべきこと

では、流動比率が低い場合に注意すべきことを下記にあげていきます。

・在庫は極力溜め込まない
会社が持っている在庫を溜め込みすぎていると、会社が持つ現金が少なくなり、流動負債の支払いに充てることができません。
そのうえ、在庫を保有するスペースの賃料や管理費がかかると、経費として現金が出ていきます。

さらに、在庫は長く持ちすぎると劣化し、価値が落ちることも考えられます。
資金繰りを健全にするためには、在庫はできるだけ溜め込まずに売上げとして迅速に現金化すべきでしょう。

・売掛金や受取手形の動向をチェックする
売掛金や受取手形の中で、支払い期日までに入金のない債権がある場合は、注意が必要です。
もし、これら債権に対する入金が滞ると貸倒れが起こり、会社が不利を被ることは想像に難くありません。

このような不良債権を出さないために、売掛金や受取手形の金額がしっかり回収できているかをしっかりチェックするようにしましょう。

・キャッシュフローの流れを掴んで施策を講じる
流動資産について、想定どおりに現金化できない場合、キャッシュフローに影響を及ぼします。
例えば、在庫に劣化が起こったり、有価証券の時価が下がったりなどで本来の価値を下回るケースも考えられます。

このように、想定していた現金化ができない場合を鑑み、キャッシュフローの流れをしっかりと把握し、現金化が難しいものがあれば早めに何らかの施策を講じるべきでしょう。

固定比率とは

流動比率に対して、固定資産と自己資本を比較した数値が、固定比率です。
固定資産の所有にかかる金額について、借入れなどで賄ったものではない自己資本と比較し、会社の支払い能力を計ります。

固定比率で長期的な安定力を計る

長期にわたり固定資産を所有するための資金は、借入れなどではなく自己資本から捻出することが望ましいです。
そのため、固定資産より自己資本が上回っていれば、自己資本だけで会社が成り立っていることを示し、長期的に見た会社の安定力を計る指針になりえます。

逆に、固定資産よりも自己資本が下回っている場合、固定資産の所有は自己資本を超えた借入金などで賄っていることになるため、支払い能力に不安が残ります。

固定比率の計算方法

固定比率は、以下の計算式で求められます。

(固定資産÷自己資本)×100

例えば、固定資産が100万円で自己資本が200万円である場合、

(100万円÷200万円)×100=50%

この場合、自己資本に対して固定資産は50%しかないため、自己資本のみで会社経営が行えていることを示しています。

一方、固定資産が200万円で自己資本が100万円である場合の計算は、

(200万円÷100万円)×100=200%

つまり、固定資産が自己資本に対し200%あることから、固定資産の所有に自己資本を超える金額を供していることになり、会社経営が健全ではないことがわかります。

固定比率の目安とは

固定比率は、上記で説明したように自己資本が固定資産を上回っていればおおむね問題ないため、100%以下の数値が目安です。

ただし、固定比率が100%を超えれば即座に危険とされるかといえばそうではありません。
会社経営にあたり、ある程度の借入れは想定され、借入れの返済能力があれば経営には大きな影響を与えるとは考えにくいです。

そのため、固定比率が120%程度でも目安として通常であると見ることができます。

固定比率が高い時に注意すべきこと

では、固定比率が比較的高い時はどのような点に注意すれば良いのでしょう。

・固定資産を整理する
会社が所有する固定資産について、今一度整理を行って固定資産を減らすことがひとつの方法です。
例えば、使用していない遊休資産などを売却する、減価償却できる固定資産を継続して使用し償却を終了させるなどです。

・自己資本の見直しを行う
自己資本についても見直しを行い、増額ができれば固定比率も下がります。
方法としては、株式発行や出資金の増額で資本を増やす、自社株式の配当金を減額して資本に充てるなどがあります。

流動資産と固定資産の線引きについて


流動資産と固定資産は、現金化できる期間のほかに線引きをする方法があります。

営業循環基準を用いる

営業循環基準とは、仕入れから売上げ入金までのサイクルに含まれる資産をすべて流動資産、負債を流動負債として考える方法です。

営業循環基準に当てはまる勘定科目

上記の基準に当てはめると、流動資産には主に以下の勘定科目が適用されます。

  • 買掛金
  • 受取手形
  • 棚卸資産
  • など

 

一方、流動負債に当てはまる勘定科目は以下のようなものです。

  • 売掛金
  • 支払手形
  • 前受金
  • など

 

営業循環基準が適用されない場合の1年基準

以上の営業循環基準で、流動資産および流動負債に振り分けることができないものについて、1年基準が適用されます。
つまり、流動資産が1年以内に現金化できるもの、1年以内に現金化できないものを固定資産とします。

貸借対照表での配列法について


流動資産と固定資産においては、貸借対照表での配列方法が2つ存在します。

流動性の高いものから配列する

会計処理上で用いられるもので、流動性が高いものを一番上とし、順番に配列します。そのため、上には流動資産、下に固定資産の順で記載します。(流動性配列法)
また、流動資産の中でも現金化しやすい現預金などが上部に、固定資産の中でも売却しやすい建物などが上部に配列されます。

固定性の高いものから配列する

特に、固定資産の割合が多いケースでのみ、固定性の高いものを一番上として配列する方法が認められています(固定性配列法)。
この場合、固定資産が上で流動資産が下となり、流動性配列法とは逆の配列で記載します。

まとめ

流動資産は、1年以内の会社の支払い能力を計るために重要な数値です。具体的な支払い能力を知るには、流動比率を算出すると把握しやすいです。
また、固定資産と繰延資産の違いを把握するほか、固定比率の数値も含めて短期的および長期的な視点から、経営状況を知っておきましょう。

自社の経営状況を知るために、流動資産と固定資産を改めて見直し、問題があればそれぞれに適した施策を取るようにしてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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