CCI 山本洋子|クレーム・ストレス・ハードシングスに勝つ起業家のための超メンタル強化術「一流のメンタル100の習慣」

創業手帳woman

メンタルを整えることは、もはやビジネススキルの一種

起業すると大変なことが多くあります。会社を立ち上げている途中には、商品や組織などに対するクレームやトラブルがつきものです。時にはキャパシティを超えるような事象や、ストレスにさらされることもあります。起業家のハードシングス(困難な多くの事)を乗り越えるには、強いメンタルが欠かせません。

「礼節」「信頼」「メンタル」を柱として組織や人を育成する研修サービスを提供する株式会社CCIの山本洋子さんは、CAや保険営業など「多くのストレスにさらされる経験」を乗り越えてきました。

『どんなストレス、クレーム、理不尽にも負けない一流のメンタル 100の習慣』の著者でもある山本さんに起業家のためのメンタル強化法を聞きました。

山本 洋子(やまもと ようこ)
株式会社CCI代表取締役
日本航空の客室乗務員や外資系保険会社のコンサルティング営業に従事。国内外のVIPを接客した経験や、メンタルの強さが求められる保険営業の経験を活かし、2018年「株式会社CCI」を設立。国土交通省やヒルトン東京などの有名企業を中心に、接遇やコミュニケーション研修、または「組織や人を強くする」をテーマとした研修を提供。
著書『一流のメンタル100の習慣』は朝日新聞出版より発売中。また、ダイヤモンドオンラインにて『ファーストクラスに乗る人の共通点』が好評連載中。実業家としてだけでなく、専門家としても注目を集めている。

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CAと保険営業を経て起業

ー起業までの経歴を教えてください。

山本:小学4年生のとき、偶然観たテレビ番組『アテンションプリーズ』に子どもながらに大きな衝撃を受け、それ以来「大人になったらスチュワーデス(当時、まだCAという呼び名がなかった時代です)になる!」と決意し、学生生活を送ってきました。

長年の夢が叶い、短大卒業後に日本航空に入社、25年間国際線CAとして勤務してきました。その間、訓練部教官やCA採用面接官、天皇陛下や海部元首相特別便に乗務し、大好きな会社で「定年まで勤める!」と漠然と思っていましたが、2021年1月JALが経営破綻。予想もしなかった事態に、ショックを受け戸惑いもありましたが、当時管理職として部下に退職するかどうかの選択を決断させている中で、「将来がある若いCA達に退職を考えさせ、私はどうなんだろう!」と自責の念にかられ、自らも退職する道を選びました。

 CAになることが私の唯一の夢であり、それ以外は特にやりたい仕事もなかったので、退職後は完全リタイヤ、仕事はしないつもりでした。退職後半年ほど家事に専念していましたが、社会人になって以来25年間、結婚後もフライトで世界中を飛び回り、経済的に自立することが当たり前になっていましたので、家庭に入り専業主婦として過ごすことに抵抗を感じるようになりました。

そんな時、たまたま声を掛けられたのが、外資系保険会社の営業です。最初は「保険営業なんて無理!!!」と思ったのですが、保険についていろいろと話を聞いているうちに、「保険って面白いかも!嫌ならすぐに辞めればいいんだし・・・」と気軽な気持ちで保険業界に飛び込みました。会う人、会う人に「なんでCAやってた人が保険なの?」と言われ続けましたが、保険営業にやりがいを感じ、7年間保険営業に携わることになりました

そんな中で保険契約をいただいた経営者に、私の過去の経歴を話すと、「人財を育成するのは誰にでもできることではないよ。多くの経営者は、自分の会社の社員を育てたいと思っているけど、なかなかできていない。研修を通してそんな会社の役に立つことが、あなたのやるべき仕事なんじゃないですか?」と言われたことをきっかけに、人財育成の研修会社を設立することを決意して、現在に至っています。

ー著書を出した理由と、メンタル支援をされている理由を教えてください。またきっかけになったエピソードがあれば教えてください。

山本:以前から「いつか本が出せたらいいなあ」と漠然と思っておりましたが、コロナ禍で対面での研修や講座がなくなり、何かできることがないかを模索しているところ、「出版企画書でも書いてみよう!」と思い立ち、出版を現実的に考えるようになりました。今思うと、コロナで売上がゼロにならなかったら、私の拙著は世に出ていませんでした。

 私はキャリアコンサルタントでもあるのですが、「憧れて入社した会社が実際は思っていた会社とは違っていた」とか、「職場の人間関係に悩んでいる」、「上司と合わない」などの悩みが多く寄せられます。どんな職種、業界でも多かれ少なかれ人間関係の悩みはつきものです。人間関係がうまくいかないだけの理由で、好きな仕事やせっかく入った会社をすぐに辞めてしまったり、精神的に病んでしまう人が多い現状はとても残念なことです。

ストレスや理不尽なことに対して、乗り越えていく原動力になるのは、気持ちの持ちよう、つまりメンタルが大きく作用しています。人の生涯の大半を占める「働く」時間を、有意義に過ごすことが出来るよう、「働くを楽しもう!」をテーマに、メンタルの保ち方を重視した研修を行っています。

起業家に強いメンタルが必要な理由とは

ーなぜ強いメンタルが重要なのでしょう?

山本:人間関係には、必ず相手が存在します。例え身内であっても、本当の気持ちや心の中はわからないものです。人の心を変えることはできませんが、自分の気持ちや行動は意識をすれば変えることができます。自分の在り方を変えると、相手の気持ちや行動も不思議と変わってくるものです。

私も女性が多いCAの世界で厳しい上下関係を経験し、お客様から理不尽なお叱りを受け、保険営業では心が折れるような辛い体験を数多く経験してきました。今でも思い出したくないような辛い経験を、気持ちが折れることなく乗り越えてこられたのは、気持ちの持ちようを変え、その結果「メンタル」が強くなったからだと思っています。

メンタルの強い弱いは生まれつきの資質によるところもありますが、メンタルを整えることはビジネススキルです。パソコンなどのビジネススキルを磨くように、習得すれば必ず磨かれ、強くなると確信しています。

ー起業家のために必要な強いメンタルとは?

山本:会社員であれば、多くの場合は業務上で起こった出来事に対して、最終的には会社が責任を負ってくれます。しかし起業家は自分の言動、自分のビジネスなどすべての責任を自分独りで負わなければいけません。上手くいかない原因を他人や環境のせいにしてしまうと、大きく信頼を失うことになります。そんな厳しい状況に置かれている起業家には、「忍耐力」と「鈍感力」そして「やりぬく力」が必要です。

 物事が上手くいかないとき、人間関係で悩んだときなど、自分を主張したり、自分の価値観を押し通したりするのではなく、少し我慢して踏み留まって考えてみたり、少し譲歩して相手を立てる「忍耐力」少々嫌なことがあったとしても、見て見ぬふりができる「鈍感力」。そして常に完璧を目指すのではなく、いい塩梅で自分を許しながら決めたことを貫き通す「やりぬく力」です。
 それらをバランスよく備えると、少々のことでは動じないメンタルが出来上がると思います。

ー一流とそれ以外の人のメンタルの差は何だと思いますか?

山本:CA時代、チーフパーサーとしてファーストクラスを担当してきましたが、一流と呼ばれるエグゼクティブは、常に他人への配慮があります。それは決して相手に迎合することではなく、自分の価値観やポリシーはきちんと持ちつつ、その上で相手を尊重する姿勢です。

ファーストクラスで出会った多くのエグゼクティブがそろって口にするのは、「今まで多くの失敗や挫折を繰り返してきた。いまでも失敗の連続だけど、困難を乗り越えられたのは、家族や社員、仲間たちに助けられたからです」という言葉です。

 自分のことだけに目を向けていると、大きな失敗や辛い出来事に対して、耐えられなくなったり、気持ちが折れたりしがちです。でも「人が喜んでくれる」「助けてくれる仲間がいる」「誰かのためになる」と思うと、頑張れるのです。一流はその気持ちが強く、それを原動力に他者への思いやりと配慮を欠かさず、困難を克服しています。メンタルの強さは、根性論的なものではなく、他者への思いやりや優しさからくる強さでもあります。利他の心がメンタルの差に表れているのだと思います。

ーメンタル強化の効用はなんでしょうか?

山本:メンタルが強化されれば、人間関係や仕事上のさまざまな問題において、小さなことにクヨクヨと悩まなくなります。社会人としての節度を保ちつつ、「人は人、自分は自分!」と割り切ることができると、人と比べたり、競い合ったりすることなく、客観的に捉えることができるようになるからです。

 「人にどう思われているだろう」とか、「こんなことを言ったら嫌われるかも?」と他者の目を気にし過ぎたり、他人軸で物事を判断したりすると、人と関わることに疲れ、知らず知らず精神に支障をきたすこともあります。メンタルを強化することで、自分軸で判断するようになり、人に何を言われても、極度に気にすることなく、良い意味でスルーすることができるようになります。

 そして人や物事に寛容になれると、人から一目置かれるようになります。だからメンタルが強い人は魅力的なのです。

ー男女でメンタルの違いはありますか?

山本:ビジネスの世界では、昇進や異動などについて女性より男性の方が気にする方が多いように思います。女性起業家の中には、時にライバルとして人と競い合うこともありますが、コミュニティを作って情報交換をしたり、仲間同士で切磋琢磨して研鑽し合うことがよく行われています。男性は群れを成すより、どちらかというと独りで闘うという方が多いので、メンタルの保ち方にも違いはあると思います。女性は割り切りが早く、順応性がありますので、ある意味図々しく、軽やかに困難を乗り切るメンタルが備わっているのかもしれません。

どうしたら理想的なメンタルに近づける?

ー理想のメンタルとは?

山本基本的には、「根性」だと思っています(笑)。「今どき「根性」なんて流行らない、若い人はドン引きする!」とよく言われます。「根性」というと男性的な体育会系で辛く、厳しい鍛錬が必要、有無を言わさずやり通すといった過酷なイメージがありますが、私が考える「根性」は、もう少しソフトなイメージです。

嫌なことがあっても、いいように考える。例えば、相手の主張することが自分の主張と違い、言い争いになるような場合、相手の主張を頭から否定するのではなく、いったん受け止めるのです。受け止めるというのは、相手との違いを認めることです。「私はこう考えるけれど、あなたのそういう考え方もあるよね。」というスタンスでいれば、相手を否定することにはなりません。

そう考えられるようになるには、ある程度の度量が必要です。度量とは受け止める器のこと。人間的な器の大きさが必要なのです。その器を大きくするのが、「根性」です。感情的にならず、不必要に落ち込まず、自己中心的にならず、相手を受け入れ、ブレることなくそうあり続けようとする。それが「根性」だと思っています。

ー心を強化するには、どのようなステップで取り組めばいいですか?

山本:まずは、自分軸を持つことです。「相手がどうであれ、自分はこう考える!」という軸をブレずに持ちましょう。社会生活を送る上で、ある程度相手に合わせたり、譲歩したりすることは必要ですが、度が過ぎて自分が苦しくなるようでは本末転倒です。

自分のありたい姿をしっかりと持ち、そして、それを貫きましょう。簡単にいうとそれだけなのですが、最初からそんなに上手くはいきません。人から誤解されたり、ときに非難されたり、辛いことも多々ありますが、「すべての人に理解してもらおう、嫌われないようにしよう」ということ自体が無理なことだと割り切るのが一番です。

自分軸がしっかりしていると、人が何を言おうが気にならなくなるものです。恐れず、ひるまず、失敗を重ねていくことしかありません。

ーメンタル強化のための目標設定はどのようにすべきでしょうか。

山本:人は感情の生き物です。どんなに打たれ強い人でも、100%折れない強靭なメンタルを持ち続けることは不可能です。そのため、こうあるべきという目標を設定することは、かえって自分を追い込み、苦しめることになりかねません。

あえて目標とするのであれば、することを決めるのではなく、しないことを決めるのがいいと思います。例えば「理不尽なことを言われても気にしない」、「悪口を言われても相手にしない」などです。「こう思わないといけない」とか「こうあるべき」、「こうなろう」と自らを縛るのではなく、あくまでも自然に「気にしない」ことが一番です。

ーメンタルを強化する使える技があれば教えてください。

山本:CA時代、チーフパーサーに昇格した1年目に同じ所属になった先輩の部下に何をやっても反抗され、一緒にフライトをすることがストレスで気持ちが沈むことが度々ありました。

今振り返ると、その経験がメンタルを強くしたと思うことがあります。それは、どんなに腹が立っても、冷静に応対するということです。感情を押し殺し、上司として指導しなければいけないことだけはきちんと伝え、それ以外の感情的なことは一切口にしなかったのです。反論したくても、グッと我慢です。それを続けていると、いつの間にかその年上の部下は私に対して反抗的な態度をとることがなくなったきたのです。一貫した態度でのぞむと、相手は根負けするものです。そこまで徹底して自分のポリシーを貫くと、メンタルも強化されていくのです。

ー落ち込んだときにはどうしたらいいですか?

山本:落ち込んだ時は、無理にポジティブに考えることはありませんが、起こってしまったことをいつまでも考え込んでいても解決にはなりません。そんなときは、意識を別のところに向けることが一番です。例えば、好きなスポーツで思いっきり体を動かすこと。泣ける映画を観て、思いっきり涙を流すこと。月並みかもしれませんが、汗や涙として老廃物を体の外に放出すると、気分が壮快になります。不思議と落ち込んだ気持ちも晴れてくるものです。

ー読者に役立つメンタルに関わるエピソードがあれば教えてください。

山本:航空会社退職後、外資系保険会社で保険営業に携わっていたのですが、CAの世界とまったく違う環境の初めての営業で戸惑っているところに、日本特有の保険業に対する一種の偏見を目のあたりにしました。名刺交換で保険会社の人間とわかると、相手の表情が変わり、警戒されるという経験はかなり心が折れるものです。人によっては、保険の「ホ」の字も言っていないうちから、「保険はたくさん入っているからいいよ!」と頭ごなしに拒否されることもあります。長年接客をしてきたのですが、このときは人に会うのが嫌になるくらい、保険営業にストレスを感じていました。

 辛い毎日でしたが、辞めてしまうのは簡単です。でも辞める前にどうしたら認めてもらえるのかを考えるようになりました。そして、保険に対する偏見を取り払うには、保険について正しく理解してもらうこと、それには保険のプロとして絶対的な知識をつけることと考えたのです。普通のレベルではなく、人より頭一つ抜きんでるくらいのレベルのプロを目指す!そう思ってFP、財務、相続、終活の資格を取り、知識をつけていきました。それまでは、保険商品の話しかしなかった営業が、生活に関わるお金の話、経営者には事業承継、決算書から導く保障の話などができるようになり、営業トークの質が変わっていきました。そして今まで面前で断られていたことが嘘のように、成績を残すことができるようになったのです。プロとしての自信と仕事への誇りがそうさせたのだと思います。

 辛いこと、心が折れることがあっても、途中で投げ出さない、諦めないということの大切さを思い知りました。気分を変えて、見方を変えて取り組めば、状況は必ず変わってきます。状況が変わるにはある程度時間がかかるので、耐えきれず途中で投げ出してしまう人が多いのですが、それを乗り越えると違う世界が広がっていくものです。

 やはり何が何でもやりきる「忍耐力」と、人の批判を気にしない「鈍感力」、そして人には見せない自分の内面でだけ煮えたぎる「根性」が必要なのです。

ー読者へのメッセージをお願いします。

山本人生は失敗と困難の連続です。特にビジネスにおいては、予期せぬこと、「そんなつもりじゃなかったのに!」という誤解、あらぬ言いがかり、理不尽な出来事などが常に付きまといます。それを「辛いこと」として捉えるのではなく、それが「当たり前」として捉えることができれば、受けるダメージも変わってきます。メンタルの強化は、モノの見方を変えることから始まります。「人生悪いことばかりではない!」と思えるだけで、気持ちも強く持てるものです。
 ギラギラ、ゴリゴリの「根性」は流行らない時代ですが、表面上はあくまでもクールに、でも中身は熱い想いを持った人が、ビジネスの成功を手にしていくのかもしれません。
 「モノは考えよう」です。どんな物事もいいように解釈して、鈍感に、しなやかに人生を楽しんでほしいと思います。

ー本日は貴重なお話、ありがとうございました。
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(取材協力: 株式会社CCI代表取締役 山本洋子
(編集: 創業手帳編集部)

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