【基本編】VC、CVC、エンジェル投資家とは?それぞれの特徴と資金調達を受ける時のポイント

エンジェル投資家などからの資金調達は、ハードルが高いがメリットも大きい【CVCのプロが解説】

(2020/09/18更新)

起業したい、事業を拡大したいと考えた時、ビジネスプランだけではなく、実現するための資金が必要です。資金調達の1つに「第三者から資金調達を受ける」方法があります。

第三者とは、VC(ベンチャーキャピタル)、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)、エンジェル投資家が一般的です。今回は、事業を起こそうと考えている起業家が、第三者から出資という形で資金調達を受ける方法について、元銀行員で現在はCVCで経営管理を行っている斎藤氏に、基本的な考え方からメリットやリスクについてお聞きしました。

創業手帳別冊版の「資金調達手帳」では、創業期に必要な資金調達方法をはじめ、様々な情報を発信しています。無料でお渡ししていますのであわせてご覧ください。

取材にご協力いただいた元銀行員の斎藤氏
大学卒業後、メガバンク、コンサルティングファーム等を経て事業会社の経営管理部門の責任者を務める傍ら、CVC運営会社の投資担当役員としてベンチャー企業投資に従事。ファイナンス、経営管理、経営企画がキャリアの中心。早稲田大学大学院修了(MBA)。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください。

第三者から資金調達を受けるとは


出資による資金調達の最大の特徴は、金融機関からの融資とは異なり、返済の義務がないということです。調達した資金は、純粋な自己資産、いわゆる「純資産」として計上されます。

返済の義務がない一方で、事業の成長をもって投資家の期待に応えるという義務が生じます。事業が利益を出した際は、配当を支払う必要もあります。

まずは起業家(調達する側)と、投資家(出資する側)それぞれの視点でみてみましょう。

起業家にとって資金調達を受けるメリット

起業家が出資という形で資金調達を受けると、返済不要の純資産として計上され、投資家は、経営に対して意見を述べる、経営者の交代を要求するなどの権利をもつことになります。

事業で利益が出た場合は、金融機関からの借入に対して支払う金利よりも多額な配当金を投資家に支払います。投資家は株式の上場やM&Aによって利益を得ることを望んでいるので、「企業価値」が高まることに大きな関心を寄せ、さまざまな意見を述べてくる場合もあります。

経営に対する投資家の助言は、起業家にとってよいことばかりではないかもしれません。しかし、投資家自身も起業家として成功を収め、さまざまな経験や知識を得ている人が多いのです。先を見据えた貴重なアドバイスが受けられることは、大きなメリットとなるでしょう。

投資家にとって出資をするメリット

投資家にとって、資金の出資はハイリスクハイリターンであるといえます。もし出資先が倒産や清算をした場合、先に金融機関の債権が回収され、残ったお金が出資者の持分に応じて分配されるのです。

そのような劣後部分については、投資家にかなりのリスクがあるため、事業で利益が出た場合の配当金は金融機関などに比べて利回りが高くなっています。企業が利益を出し続ける限り、配当を受け取り続けることもできます。また、株式の上場やM&Aの活用によって企業基盤が強化され出資当初より企業価値が高く評価された場合、出資した金額の数倍・数十倍・数百倍といった多大な利益を得ることができるのです。

投資家は出資することにより、株式を保有するオーナーとなり、事業の成長がそのまま投資家の利益につながります。

資本調達を受けることができる企業の特徴

金融機関が融資する場合は、期日までに元金と利息を完済する能力があるかどうかを重視します。一方投資家は、出資金がゼロになってしまうリスクが高いことと引き換えに、数倍~数十倍の利益を得る可能性に期待します。

投資家はハイリスクハイリターンを承知で資金を提供しますので、極めて厳しく、独特な視点で出資先を選定します。

資金調達を受けることができる企業の特徴として、①将来株式上場(IPO)を見据えることができる②M&Aにより高い評価で売却することができる③何らかの事業上の提携などで、間接的に出資者に大きな利益をもたらすことができるといったことがあげられます。

エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)は①や②を求めることが多く、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)や事業会社といった投資家は③にウェイトを置く傾向があるようです。

それでは具体的にエンジェル投資家、VC、CVCについて説明します。

出資元にはこんな種類がある


出資元には下記のようなものがあります。

  • 個人的に投資を行うエンジェル投資家
  • ベンチャー企業に投資をするVC(投資会社)
  • 事業会社とベンチャー企業が連携するCVC

エンジェル投資家とは?

エンジェル投資家とは起業家に資金を提供する、富裕層の個人投資家をいいます。自らも起業を経験し、その事業を上場させるなどして多額の利益を得ており、後進の育成に力を注いでいるエンジェル投資家がよく知られています。

某IT関連企業の創業者などが有名ではないでしょうか。

エンジェル投資家の特徴としては、①投資金額はそこまで大きくはない(数百万円~数千万円程度)②投資の意思決定が早い③若い起業家のメンターとして意見することはあっても、あまり経営に首を突っ込まない④比較的創業間もない企業に投資することが多いなどがあげられます。

エンジェル投資家は富裕層であり、多額の資産を持っていることは確かですが、事業として投資を行っているわけではありません。

自身が起業家として経験したことを踏まえ、若い起業家を応援することで、活力のある経済をつくるという社会的意義をもって投資するケースが多いため、創業間もない、斬新なアイディアをもった企業に投資することも多々あります。

そのようなことから、エンジェル投資家からの出資は、創業資金に向いていると言えるでしょう。創業の段階では、多くの資金を必要としないため、出資金額も少額であることが多いからです。

また、エンジェル投資家は、ビジネスの成功者であることが多いため、ビジネスモデルを見たうえでの「感性」を大切にしているようです。そのため、決定までのプロセスは、良い場合もダメな場合も迅速です。

起業家にとってエンジェル投資家は、金銭的なニーズを満たしてくれるだけの存在ではありません。ビジネス成功者が味方にいるという安心感と、必要に応じて的確なアドバイスがもらえるといった、メンタル面での安定感が得られることが何よりも大きなメリットとなるでしょう。

また、エンジェル投資家の幅広い人脈から、超有名人とのパイプもつながるかもしれません。

VCとは?

VCとはベンチャーキャピタル(Venture Capital)の頭文字をとった、新規の事業へ取り組むベンチャー企業に投資をする投資会社のことです。投資家などから広く資金を集め、ファンドとしてベンチャー企業に出資します。その企業が上場した際、株式を売却して利益を得ることを目的とした、金融機関のような投資家です。

ベンチャー企業には「成長ステージ」というものがあり、事業をはじめたばかりのアーリーステージ、軌道にのって収益が安定しているレイターステージといった数段階に区分されています。

アーリーステージの企業に小口資金を幅広く投資するVCもあれば、レイターステージの企業に大きな資金を投資するVCもあります。

VCは、運用する資金を第三者から集めているため、確実に収益をあげることを目的としています。

VCが出資したベンチャー企業が全て株式上場(IPO)する、M&Aにより高値で売却されるとは限りません。その回収確率を上げることが、ベンチャーキャピタリストと呼ばれるVCに属する人々の腕の見せどころです。

確実に収益をあげるためには、出資先を厳選し、出資後も徹底的にモニタリングし、育成に努めます。場合によっては役員の派遣や販売先の紹介、ネットワークの紹介などを行い、出資先の企業価値を高めるために尽力します。

エンジェル投資家の投資先選定とは異なり、VCの場合は、ビジネスモデルの精査や将来の価値算定だけでなく、ビジネスや技術のポテンシャルの高さも重要です。VCは徹底的に調査を行います。付け焼刃な事業計画では門前払いされてしまうでしょう。

また、著名なVCから出資を受けることは、ベンチャー企業にとって信用補完となり、他のVCやCVC、事業会社などから出資を受けやすくなります。VCの中には、他のVCが出資していることを条件にしているところもあるのです。

出資を受けるハードルが高いVCですが、出資を受けられた際のメリットも大きいため、しっかりとした事業計画を策定でき、ビジネスモデルに自信がもてた段階で、VCの門を叩いてみてもよいかもしれません。

CVCとは?

CVCとはコーポレートベンチャーキャピタル(Corporate Venture Capital)の略で、事業会社が自己資金でファンドを組成し、ベンチャー企業に投資を行うことです。

近ごろでは、数多くの大企業がCVCを組成し、ベンチャー企業への投資を行っています。

VCとCVCは混同されがちですが、CVCの最大の特徴は、事業会社が自社の事業領域と重なる事業に出資することで、本業の事業拡大を目的としていることです。

CVCは事業会社が投資先とのシナジー効果(相乗効果)を求めています。自社で一から新たな事業を立ち上げるよりもコストを抑えられるなど、間接的なリターンが多いことが特徴です。

従って、投資判断においてはVCが厳格な金融モデルを駆使して判断するのに対し、CVCは事業会社とのシナジー効果を想定し、そこから得られる収益を見積もります。VCに比べてコストやリスクも低く抑えられることから、合理的な判断が求められると言えるでしょう。

CVCの出資を受ける最大のメリットは、バックについている事業会社との強固な関係性を構築できることです。

事業会社は投資先の成長に自社のリソースを最大限提供してくれるので、本来では得られないような人的、物的な支援を受けることができます。

ただし、デメリットとしては、CVCからの出資を受けることで、事業会社の印象が色濃く出てしまい、事業会社と同業の企業へのアプローチは難しくなるかもしれません。出資を受ける際にはビジネス上のメリット・デメリットも検証する必要があります。

まとめ

金融機関からの借入であっても、出資による資本調達であっても、第三者から資金を調達することには大きな責任とリスクが伴います。

自己資金で事業を始め、そのまま事業を継続するのであれば何の問題もありません。一方、借入であれば返済の義務が生じ、出資による資金調達であればしっかりとしたリターンをつけて報いる必要があります。

投資家は、ハイリスクハイリターンを狙うプレーヤーなので、時として厳しい意見が飛んでくることもありますが、エンジェル投資家、VC、CVC、それぞれの特性に応じたメリットも期待できます。

ビジネスモデルをしっかりと構築し、説得力のある事業計画を策定したら、自身のビジネスに合った投資家にアプローチすることで、事業の飛躍的な発展を狙うことができるかもしれません。

資金調達について、疑問やお悩みがある方には創業手帳別冊版の「資金調達手帳」も発行しています。創業期の資金調達から経営戦略まで起業家の必須知識を掲載しておりますので、この機会に是非お申し込みください。

関連記事
秀逸なビジネスモデルでも資金繰りで破綻!防ぐためにやるべき事とは
融資ではなく出資で外部資金調達を行う方法をCVC担当者が解説!ポイントは管理部門の整備?!
こちらのカテゴリをご覧になっている方へおすすめしたい創業手帳冊子

(編集:創業手帳編集部)

資金調達、資金繰りは最新号の創業手帳(冊子版・無料)も併せて読んで見て下さい。

この記事に関連するタグ

創業時に役立つサービス特集

リアルタイムPVランキングトップ3

カテゴリーから記事を探す

マーケティング担当・広告代理店のご担当者様へ