融資ではなく出資で外部資金調達を行う方法をCVC担当者が解説!ポイントは管理部門の整備?!

出資による外部資金調達のためにやるべきこととやってはいけないこと

VC,CVCによる外部資金調達

(2020/08/07更新)

企業を考える人なら誰でも成功を目指しているはずです。成功の基準は人それぞれ違いますが、一般的には・事業拡大・利益増大と言えるのではないでしょうか。

企業規模拡大の一つの目安となる株式上場。株式上場は知名度の向上や、大きな資金を手にすることにつながります。大きな資金を持つことで、社会的にインパクトのあるアクションを起こすことも可能になります。事業をスモールスタートさせ、「身の丈に合った」成長を志向するという選択肢もあります。しかし、ご自身が自信をもって秀逸なビジネスモデルであると確信しているのであれば、起業当初から外部から資本としての資金を集め、余裕のある資本を活用して事業をスタートダッシュさせることも可能です。

では、外部資金はどのように調達すればいいのでしょうか。

外部資金調達の方法としては金融機関からの借り入れ(負債)と、投資家からの出資(資本)があります。今回は、後者の投資家からの出資という観点から、出資元の選択肢となるCVC担当者が、「どういった企業に出資したいか」、または「どういった会社には出資したくないか」という点について説明します。

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取材にご協力いただいた元銀行員の斎藤氏
大学卒業後、メガバンク、コンサルティングファーム等を経て事業会社の経営管理部門の責任者を務める傍ら、CVC運営会社の投資担当役員としてベンチャー企業投資に従事。ファイナンス、経営管理、経営企画がキャリアの中心。早稲田大学大学院修了(MBA)。

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融資による外部資本と出資による外部資金の違い

資金調達のために金融機関に足を運んだ経験がある経営者も多いのではないでしょうか?
金融機関での借入金や債権者に対する債務などは当然のことながら返済義務があります(他人資本)。しかし、今回説明していく出資には返済義務がありません(自己資本)。

融資と出資の仕組みの違いを説明し、出資による外部資金獲得のポイントをみていきます。

融資のしくみ

金融機関は、融資に際して社長個人の保証を受けたり、不動産に担保を設定したり、事業用の入出金口座を押さえたり(入出金口座を押さえることは本質的な担保にはなりませんが、資金流を押さえるのは金融機関にとって基本です)、二重三重のリスク回避を行い、万が一の倒産や清算に際して元本回収を行えるように手段を講じています。
融資には限度額があり、返済義務があります。

出資による資金獲得の仕組み

出資者は、保証を受けたり担保を設定したりできません(投資契約において真実性の表明保証や違反時の買い取り義務を定めるケースもあります)。また、企業が破産や清算することになってしまった場合、残余財産(企業に残った分配可能なお金)の分配においても、金融機関借入等の負債に劣後します。
そのため、出資者にとっては回収リスクが高いことと引き換えに、企業が上場した場合やM&Aにより売却された場合に大きなリターンを得ることができる、ハイリスクハイリターンな投資になります。

外部資金の出資者とは?

出資元としては、投資業者であるVCや、大企業の資本をもとに協業で利益を上げていく事業に投資を行うCVCがあります。VC、CVCにとってお金を出す唯一最大のポイントは事業が秀逸であり、将来ハイリターンが見込める事業であるということに納得することです。
当然、経営者の人物像なども重要ですが、大前提として重要なのは、事業の秀逸性であることは間違いないでしょう。

出資を受けられるのはどんな企業?

出資による資金獲得
どういった起業直後の企業がVC、CVCから出資を受けることができるのでしょうか?

それは、秀逸な事業による収益性を定量的かつ客観的に説明でき、、投資家の納得を得ることができる企業です。
投資家から資金を預かっているVC、CVCは、投資家に代わって収益性の高い企業に投資しなければなりません。
また、VC、CVCは投資家への説明責任があり、なぜその投資先に投資を実行したか、そして運用状況はどうなっているかを定期的に報告する義務があります。

当然、VC、CVCは個々に投資意思決定のフローを持っており、企業から得た情報を独自のフォーマットに落とし込み、投資検討を行います。企業から受領した資料をそのまま何の加工もせずに見るだけで投資決定をすることはありませんが、十分な情報を企業側から受領する必要はあります。

事業の秀逸性をアピールする事業計画

起業直後の企業やベンチャー企業がVC、CVCに提出する業績見込みは、二次関数的に伸長する計画が多いですが(それ自体を否定するものではありません)、それを成し遂げる説明力のあるエビデンス(理由)を提供する必要があります。

出資を受ける企業の代表者がオールラウンドに能力が高く、何でもスピーディに考え、資料を作成することができるのであれば別ですが、社内で分担して作成された事業計画資料は支離滅裂で、客観的な説明力に欠けるものが多々あります。
事業計画書の失敗パターンと成功パターンの具体例から違いを見ていきます。

出資者の納得が得られる成功パターン

売上計画は、本来的には社会情勢(マクロ経済情勢)を前提として自社サービスの浸透可能性(獲得可能シェア)を説明し、何らかの主要なKPIの掛け算で計画されるべきです。

例えば、新コンセプトの飲食店を経営しようと考えている企業であれば、
商圏人数 × 外食頻度 × 獲得可能シェア × 自社が提供する平均単価
といった具体的な数字で売上を計画しましょう。

出資者の納得が得られず失敗に終わるパターン

時として見受けられる事業計画書には、「初年度は3千万円、2年目は1億円。3年目になると5億円の売り上げを見込んでいます!」とだけ記載されており、「なぜ?」と尋ねると「この商品は凄いので、すぐに市場からの支持を受けることができるに決まっています」といった、「思い」が前面に出ていて、定量的かつ客観的な説明がなされていないものが多いといえます。

たとえビジネスモデルが秀逸であったとしても、定量的な根拠を示さなければVC、CVCの担当者としても検討する材料がないので、投資実行に至ることは難しいでしょう。

外部資金調達の窓口となる管理部門を整備しよう!

管理部門による事業計画書の作成
経営者自身が簡単に魅力的な事業計画書を作成できればいいのですが、経営者はそれ以外にもやるべきことがたくさんあります。管理業務をしっかりと理解することは重要ですが、一つ一つの資料作成や実務を全て自分で行っていては、本業に割くべき時間がなくなってしまいます。
そのために、社内もしくは外部人材のスポット活用で管理部門を整備する必要があります。

経営者と管理部門の役割を明確に

経営者がビジョンを明確化し、計画のロジックを提示した上で、管理部門が対外的な説明に耐えうる計画にブラッシュアップするというフローを構築する必要があります(当然、経営者は構築された計画のアウトプットを自らが「理解」し、対外的に「説明」できるようにならなければなりません)。

ビジョンの明確化とロジックの策定は事業の根幹です。経営者が考えた感覚的な事業の「仮説」に、専門的な管理部門の「検証」が加え、事業をブラッシュアップさせていきましょう。
そのような仮定を経て策定された事業計画は定量的かつ客観的に説明がなされており、VCやCVCの担当者としても各々の計画の構成要素を検証し、そのビジネスが拡大できるか否かを独自の目線で判断できることになります。

そして、VCやCVCは、その計画に同意できると判断できた企業に対して投資を実行し、その後中長期的な支援をしていこうという意思決定をすることになります。

スポットCFOの活用や管理部門のアウトソーシングも

起業当初の企業にとって、経営者の考え(=仮説)を客観的に検証するといった高度な管理業務を行える人材を雇用するのは困難かもしれません。
そのような時に有効なのが「スポットCFO」と呼ばれる業務委託です。企業の財務コンサルティングを限られた時間で請け負うコンサルタントや、ベンチャー企業の管理部門のアウトソーシングを請け負う企業などがあります。
前者においてはプロの専業のコンサルタントも存在しますが、昨今の働き方改革の影響で副業解禁する企業が増加したことにより、従来は企業に勤務する「副業人材」にスポットCFOを依頼するといった手段もあります。

副業人材は本業が存在するため、稼働時間の制約があるものの、第一線で企業に勤務している経験を活かした、「生きた」アドバイス支援を期待できるでしょう。

まとめ

将来株式上場を志向するくらい自身のビジネスに自信を持っていながら、なかなかVCやCVCといった「投資のプロ」のお眼鏡にかなわず、せっかくのアイディアに投下できる資金を集められない企業が多く存在しています。

その最大の原因は、ビジネスを定量的かつ客観的に語ることができていないことにあります。経営者の発想を管理部門が具体化し、ブラッシュアップを重ねながら企業の根幹を強固なものにしていく作業が重要です。コスト投入に躊躇してしまいがちな間接部門と呼ばれる管理部門。

しかし、管理部門は経営のハブのような機能を持っており、経営者によって描かれた戦略を説得力ある文脈に翻訳し、対外的に説明するという、外部資金獲得のためにも重要な役割を担っています。外部資金を活用し、外部との関連性を重視しながらモノを売っていくのであれば、管理部門の整備を強くおススメします。

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