農業で起業したい女性必見!農業女子になる方法、役立つ制度を解説

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農業で起業したい女性が増えている!


農業は体力勝負の仕事のため、女性には向かないと考えるのは時代遅れかもしれません。近年、農業に魅力を感じている女性も増えつつあります。
農業を始める女性をサポートする仕組みもあり、今後も農業女子の活躍が期待されています。

ここでは、農業を始めるステップや利用できる支援制度を紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

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農業で起業する女性の実態


力仕事の農業は女性には向かない、と今までいわれてきました。しかし、近年農業の働き方が変わり、多くの女性が農業に関わる仕事で起業しています。
農業に取り組んでこなかった女性でも、ガーデニングや家庭菜園から初めて、本格的な農業を手がけるようになるケースもあります。

また、ECサイトやSNSを活用したネットビジネスで農業に参入するといった戦略も可能です。ここでは農業で起業している女性の実態に迫ります。

「農業女子」とは

「〇〇女子」という言葉は、職業や趣味、嗜好などを持つ女性を指して使われます。「農業女子」は、その名前からもわかるように農業に従事する女性を指す言葉です。

農林水産省の「農業女子プロジェクト」は、農業に関わる女性と企業を結びつける取組みで、農業女子同士での情報交換も行われています。
農業は力仕事が多く、女性に適していませんでした。しかし、農業女子の登場によって、農業女子の悩みを解決するような仕組みづくりや環境整備も進められています

農業をする女性はどのくらいいる?

2024年4月に農林水産省が発表した『農業における女性の活躍推進について』では、農業を行う女性の状況や事例について紹介されています。
その中では基幹的農業従事者の中で女性が占める割合は約4割とされています。数字だけでみると、女性の農業従事者は決して少なくありません。

しかし、新規就農者数に占める女性の割合は3割以下、女性が経営方針の決定にかかわっている割合は3割程度にとどまります。
女性が経営に関与すると農産物販売金額などの伸び率が高くなるというデータもあり、農業の活性化のために、女性の多彩な視点やアイデアが期待されています。

女性が農業で起業する方法


もともと農業を家業にしていたり、農業を営む配偶者を持つ女性もいますが、決して多数ではありません。
どのようにして農業で起業すればいいのかわからない人も多いはずです。ここでは農業で起業する方法を紹介します。

独立して農業を始める

会社員や学生のように今まで農業と関わりがなかった場合でも、新規就農はできます。
新規就農をするためには、作物の栽培技術や農地の問題、資金といった問題をひとつずつクリアしなければいけません。
どういったステップを踏むのか確認してください。

1. 技術と知識の習得

農業を志すのであれば、すぐに技術や知識の習得を始めましょう。農業に関する知識なしに成功はあり得ません。
就農する前に、農業に関わる基本的な技術や知識を身に着けておいてください。

技術と知識を習得するには、農家に弟子入りして勉強する方法のほか、農業研修期間や農業大学校で学ぶ方法があります。
農業大学校は農業後継者や農業技術者を養成する学校で、全国41道府県に設置されている教育、研究施設です。
農業を包括的に学べるため、最寄りの農業大学校を調べてみてください。

2. 資金調達

農業を始めるためには資金が欠かせません。
一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センターが発表している2021年度『新規就農者の就農実態に関する調査結果』によると、就農1年目に要した営農面の費用は新規参入者全体の平均では、755万円(前回比+186万円)でした。

そのうち、機械・施設等への費用は561万円(前回比+150万円)で、必要経費(種苗・肥料・燃料等)は194万円(前回比+36 万円)でした。
また、営農面での自己資金は281万円(前回比+49 万円)であり、差額は-474万円(前回比-137 万円)です。

さらに生活面での自己資金は170万円と、全体として費用は増加傾向にあります
一般的な開業資金だけでなく、その後の生活資金を補填することも考えて資金調達しなければなりません。

3. 農地の確保

新規就農者にとって最大の課題は農地の確保です。農地は農作物の栽培のために管理された土地であり、自由に売買できません
耕作目的で農地を買ったり借りたりする時は、農業委員会(または都道府県知事)の許可が必要です。
候補地が決まったら、その土地の許可申請の手続きについても調べてみてください。

また、全国新規就農相談センターでは、農地のあっせんも行っているので相談することをおすすめします。

農家を後継・事業承継する

すでに事業を行っている農家から事業承継する方法もあります。どういったケースがあるのか、以下で紹介しています。

親族内承継

家業を継いだり、農家と結婚して初めて女性農業者として働き始める人も多くいます。家業を継ぐと聞くと、時代がかった印象かもしれません。
しかし、身近で農業に取り組む人の姿をみて、農業の魅力ややりがいに気が付くケースは多くあります。
親族内承継は親族が事業を承継する方法で、親族であれば従業員や取引先、親族からも理解や応援を受けやすい点がメリットです。

農業は家族で営んでいるケースがもともと多く、家族で役割分担して運営することも可能です。
体力仕事が苦手であれば、経営や管理、企画などで実力を発揮することで、自分の得意分野を活用して働けます。

親族外承継

親族外承継は、役員や従業員、共同出資者のように親族以外の人に承継する方法です。
親族の中に後継者がいるとは限りません。親族外承継なら後継者を確保しやすく、技術やノウハウがある後継者を選びやすくなります。

ただし、農業の事業承継は農地や工作機械といった高額の資産の承継があるため、後継者に資金力が求められます。また、どのように関係者に説明して理解を得るかも課題です。

第三者承継(M&A)

第三者承継は、親族や従業員以外に事業を引き継いでもらう方法です。親族や従業員に後継者がいない場合でも、広く後継者を探せます。
また、M&Aで事業売却すれば利益を得られるかもしれません。

ただし、第三者承継でも自分が希望するような後継者がいるとは限りません。
さらに、就農経験がない後継者の場合には、農業の知識やノウハウから教えなければならないため、手間がかかることがあります。

農業で起業する女性が利用できる制度・助成金一覧


女性が農業で起業する方法は複数あります。また、農業で起業する女性を応援するような制度や助成金も登場しています。どういった制度があるのか確認してください。

新規就業農業者や設備投資のための補助金・助成金一覧

農業で起業する人が使える補助金や助成金を確認してみてください。
強い農業・担い手づくり総合支援交付金は2つに区分され、地域担い手育成支援タイプは、地域農業の担い手として経営発展に取り組む人を対象にした支援です。
一方で、先進的農業経営確立支援タイプでは、より高い目標を掲げ主体的に地域との相乗的発展を目指す人をサポートしています。

農地耕作条件改善事業は、農地集積等に向けて、地域の多様なニーズに応じた耕作条件の改善や高収益作物への転換や営農定着を支援する制度です。
農業次世代人材投資資金は、これから就農を目指す人に対して研修資金や経営確立を支援する資金を交付しています。

また、直接農業に関わる制度以外もチェックしてください。
中小企業の設備投資を支援するものづくり補助金や、業務効率化、DXに向けた ITツール導入を支援するIT補助金、税制優遇を受けられる中小企業投資促進税制もあります。

制度名 制度内容
強い農業・担い手づくり総合支援交付金 先進的農業経営確立支援タイプ 個人で最大1,000万円、法人なら最大1,500万円の助成金を受けられる。
地域担い手育成支援タイプ 法人個人問わず、最大300万円の助成金を受けられる。
農地耕作条件改善事業 地域内農地集積型 農作業道等の更新整備や区画拡大などの工事費に対して助成。
高収益作物転換型 地域内農地集積型の支援内容に加えて、高収益作物転換のために計画策定から施設の設置など営農定着までの活動支援。
スマート農業導入推進型 スマート農業に必要な基地局の設置と必要な基盤整備等を支援。
病害虫対策型 一定区域内での病害虫発生予防や蔓延防止に向けた取組みを支援。
水田貯留機能向上型 水田の雨水貯留機能を向上する「田んぼダム」実施に向けた基盤整備を支援。
土地利用調整型 多様な農地利用の実現に向けて、ゾーニングに必要な交換分合や基盤整備を支援。
農業次世代人材投資資金 準備型 条件を満たしたものに対して最長2年間、最大で300万円を交付する。
経営開始型 条件を満たしたものに対して、最大3年間、年間150万円が交付される。
ものづくり補助金 申し込む枠ごとに受けられる支援が違うため、公募要領を確認。
中小企業投資促進税制 機械装置等を取得、製作等をした場合に取得価額の30%の特別償却 又は 7%の税額控除を選択適用可能。
IT導入補助金 通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠などそれぞれ補助率、補助額が適用。

創業手帳では、IT導入補助金やものづくり補助金など、経営者の方にとってはポピュラーな補助金・助成金を厳選して紹介した「補助金ガイド」を無料でお配りしています。ぜひこちらもあわせてご活用ください。


補助金ガイド

女性の活躍推進のための制度・助成金一覧

農業での女性の活躍推進のために、様々な取組みが実施されています。
女性がより働きやすい環境整備として、男女別トイレや休憩所、更衣室、託児スペースの確保を支援する活動のほか、女性農業者の活躍事例の発信もあります。
直接的な支援ばかりではありませんが、将来の女性の農業者や地域のリーダーを育てるための多角的な取組みです。

女性が変える未来の農業推進事業 女性農業経営者の育成、女性グループの活動、女性が働きやすい環境整備に向け活躍事例普及等の取組み。
働きやすい環境づくり緊急対策 女性の労働環境整備・活躍強化事業 女性が働きやすい環境の整備を支援。
労働環境確保体制強化事業 就労条件改善事項として女女性が働きやすい環境づくりに資する取組みを支援。
機構集積支援事業 女性農業委員の登用促進及び組織化のための活動を支援。
経営継承・発展等支援事業のうち経営継承・発展支援事業 女性が主体の取組みを実施している場合に配分ポイントを加算。
農地利用効率化等支援交付金 女性が主体の取組みを実施している場合に配分ポイントを加算。
農山漁村振興交付金 女性が主体の取組みを実施している場合に配分ポイントを加算。
新規就農者育成総合対策のうち雇用就農資金 男女別トイレ、シャワーの設置等を選択制の要件のひとつとして設定し、働きやすい環境整備を支援。
未来の林業を支える林業後継者養成事業 女性を対象とした講座の開催等の取組み支援。
「緑の雇用」担い手確保支援事業 女性新規就業者に対し、研修する際に必要な現場環境整備の経費を支援。
浜の活力再生・成長促進交付金 浜の活力再生プラン推進等支援事業のうち漁村女性活躍推進事業 女性中心で取り組む加工品の開発・販売の実践的な取組等を支援。
水産業強化支援事業 「女性等活動拠点施設」の整備を支援。
新規就農者育成総合対策 経営発展支援事業 一定条件を満たすと配分ポイントを加算。
サポート体制構築事業 一定条件を満たすと配分ポイントを加算。
新規就農者確保緊急円滑化対策のうち初期投資促進事業 一定条件を満たすと配分ポイントを加算。
林業・木材産業循環成長対策交付金 一定条件を満たすと配分ポイントを加算。
日本型直接支払のうち多面的機能支払交付金 活動組織の役員に女性が2名以上参画し、一定の条件を満たすことを加算措置の要件とする。
森林・山村多面的機能発揮対策交付金 女性参画を要件化。

農業女子プロジェクト

農業における女性の活躍を目指すために、農林水産省は農業女子プロジェクトを2013年に発足しました。
プロジェクトの目的や取組みを以下で紹介します。

プロジェクトの目的

「農業女子プロジェクト」は、企業が教育機関と連携して女性の農業者のアイデアやノウハウを活用し、女性農業者の活躍を目指すプロジェクトです。
未来の農業女子をはぐくむ活動や、農業女子同士のネットワークづくりにも取り組んでいます。
2021年12月時点での農業女子メンバーは、886名、参画企業37社、教育機関8校です。

具体的な取組み

農業女子の具体的な取組みは広範囲にわたります。
農具メーカーのカネコ総業と女性も使いやすい農具Lacunoシリーズを開発したほか、アウトドア総合ブランドモンベルと農作業も快適な作業着を開発しました。
また、全国農協観光協会とは農業女子と都会の消費者をつなぐ農業イベントを開催しています。

農業女子の野菜や加工品は楽天のフリマ、ラクマでも購入できます。全国の農業女子の活動もわかるため、ぜひチェックしてみてください。

農業で起業する女性が活かせる強み


農業は男性の仕事と思われがちですが、女性だからこそ得られる強みも多くあります。どういった強みがあるのか紹介します。

仕事での細かい配慮や気遣いができる

農業は、農作物のできが良いだけでは成功しません。より良い商品を消費者に届けるためには、細かい配慮と気遣いが必要です。
農作物を育てるだけでなく、商品開発のために周囲と協力したり、料理人やメーカーに依頼したり場面でも配慮や気遣いが効果を発揮します。

消費者視点を持っている

消費者が魅力を感じるようなブランディングやパッケージといった、売るための工夫が必要です。
消費者としての視点を持つ女性は、その作物が持つ弱みやアピールポイントの把握も得意です。

世の中の消費者が持つ需要を汲み取って、商品やサービスを生み出す力は、新しい商品やサービスの開発に貢献します。

情報に敏感なところ

一般的に、女性はトレンドのフードやスイーツの情報に敏感です。世の流れにあわせた新しい商品やサービス開発に活かせます。
高い情報収集能力を生かして、新しいメニューの開発や時代に合ったサービスの提案も可能です。
トレンドへの興味関心が強いので、軽いフットワークを活かして様々なことにチャレンジできます。

コミュニケーション能力が高いところ

女性はコミュニケーションに長けている人が多く、周囲との結びつきが強い傾向です。
農業者同士の情報交換が活発化すれば、農業技術の向上や新しい価値の創造につながります
インターネットや配送網の発達によって、遠くの農家との連携も可能です。コミュニケーション能力の向上や、付加価値を生み出すために役立つと期待されます。

直感力がある

農業に限らず、ビジネスにおいて直観力が重要視される場面は少なくありません。ビジネスに恐れや不安はつきものです。
自分の直感を信じて決断する力は、成功するために欠かせません。ひらめきや直感を信じて行動できる人が、成功をつかめるでしょう。

農業で起業する女性にとってのメリット


今まで農業に携わった経験がない女性は多いかもしれません。しかし、農業は女性にとって多くの魅力を秘めています。
どういったメリットがあるのか紹介します。

仕事でのストレスが少なくなる

会社員を辞めて農業を始める女性の多くが、ストレスの少なさを魅力として挙げています。
農業は会社と比較して人間関係がシンプルで、自分の仕事の決定権を自分で持てることが主な理由です。

農業を始めて責任は重くなっても、自分の判断で道を切り開く自由や興奮に魅力を感じる女性は数多くいます。
会社員生活の息苦しさ、ストレスに疲れている人にとって最大のメリットといえるかもしれません。

家族とのプライベート時間が増える

農業は、自分でスケジュール調整ができるため、工夫次第で家族との時間を作りやすくなります。
長時間で早朝から働いているイメージがあるかもしれませんが、閑散期もあります。
閑散期を利用して旅行したり、趣味の活動に精を出したりプライベートの時間を充実させるにも農業は適した仕事です。

生活のリズムが整う

農業は、天候や作物にあわせた仕事であるため、早起きして日中は体を動かす生活が基本です。
規則正しく寝起きして体を動かす健康的な生活で、体調が良くなったと感じる人も多いかもしれません。

今まで在宅勤務やデスクワークで外出の機会が少なかった女性も、農業に従事すると自然に健康的な生活リズムが身に付くでしょう

農業で起業する女性がするべき対策は?


農業は日中の屋外作業が多く、力仕事も必要です。農業を始める前にどのように対応するか考えておくようにしてください。

具体的には、日焼け対策やケガ対策が必要です。日焼け止めだけでなくカバー付きの帽子も併用してください。
また、ロング手袋や軍手は、日焼けを防止しながらケガから手を守ってくれる必須アイテムです。

農業を始めるための対策は、物理的に身を守るものだけではありません。農業に前向きに取り組むモチベーションを高めるための工夫も考えておいてください。
定期的にリフレッシュできる場を作ったり、農業女子仲間を作って切磋琢磨したりするなど、内側から充実することで農業へのやる気もみなぎります

まとめ・農業で起業する女性は準備と制度を活かして進めよう!

農業を始めたくても「体力に不安がある」「資金力が足りない」などの理由で諦めるのは早計です。
国の主導によって、農業に携わる女性を増やす、女性のアイデアや能力を活かす取組みが広く実施されています。
農業で起業する時に準備するべきものや、活用できる制度を調べてみてください。

農業に従事する方法は様々です。自分に合ったペースやり方で農業女子を目指しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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