副業収入にかかる税金はいくら?課税対象になるラインや税金の計算方法を徹底解説!
副業収入にも税金はかかる!確定申告は忘れずに行おう
会社員であれば年末調整があるため基本的には自身で確定申告をする必要はありません。しかし、副業をしている場合は別です。
副業の所得が一定額を超えれば、確定申告だけではなく、税金の支払いも必要です。
しかし、どの程度稼いだら申告が必要になるのか、わからない方も多いかもしれません。
そこで今回は、副業による収入でかかる税金の種類や気になる課税対象になるライン、税金の計算方法について解説していきます。
副業に関する税金の知識を身に付けるためにも、ぜひ参考にしてください。
創業手帳では、「税金チェックシート」をご用意しています。税金の支払いや経費の使い方のコツなどを簡単にわかるように解説しています。無料ですので、ぜひご利用ください。
また、「副業確定申告ガイド」では、会社にバレないための対策方法や、確定申告が必要かどうかがわかるフローチャートなどを掲載しています。はじめての方でも簡単にわかるようなガイドブックを無料で提供しておりますので、ぜひこの機会にご活用ください。
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
副業収入にかかる税金の種類
副業で得た収入額や所得種類に応じて、確定申告や納税の方法は異なります。
正確に理解していなければ、後日まとめて支払うことになるほか、延滞にかかる費用が必要となるケースもあります。まずは副業収入にかかる税金の種類をご紹介します。
所得税
勤務先から受け取る給料を、給与所得といいます。本業における給与所得の税金は年末調整で所得税の清算があるため、自分で対処する必要はありません。
しかし、副業のアルバイトやパートで得た収入も給与所得となるため、金額に関わらず課税対象として支給時に源泉徴収される仕組みです。
副業による給与所得の金額が20万円を超えた場合、確定申告が必要になるため、忘れないように注意しましょう。
一方、雑所得は、給与所得や事業所得、配当所得や不動産所得といった収入に当てはまらない所得です。
インターネットでの広告収入やフリマアプリで稼いだ金額は雑所得となり、雑所得が20万円以下であれば確定申告の必要はありません。
しかし、20万円以上になった場合は確定申告が必須となります。
雑所得の税金は、1月1日から12月31日までの総所得金額から所得控除額を引いた金額に対して課税されます。
課税される所得金額によって税率や控除額に違いがあるため、詳細については国税庁のホームページを確認してください。
住民税
住民税は所得税とは異なり、収入がない年や収入に増減があったとしても申告する義務がある税金です。正式には、「都道府県民税と市町村民税」の総称となります。
住民税額は副業の所得によって決まり、納税されたお金は地域のゴミ処理、教育、防災、上下水道、公共施設の事業に使用されています。
住民税は、低所得者に対する非課税制度が設けられており、東京都であれば以下の条件に当てはまる方は課税対象から除外される仕組みです。
なお、条件は地域によって異なります。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年、寡婦またはひとり親で前年の合計所得額が135万円以下
- 前年度の合計所得金額が市区町村で定めている額以下
個人事業税
個人事業税は地方税の一種で都道府県に対して納税する税金です。
課税対象となる業種が定められており、その数は70種類です。
業種は3つの区分に分かれており、区分ごとに税率にも違いがあります。該当しない業種であれば個人事業税は課税されません。
副業の種類が曖昧で該当するのかどうかが不明な場合は、事業所のある都道府県に相談すると教えてもらえます。
消費税(適格請求書発行事業者の場合)
適格請求書発行事業者(インボイス)に登録すると、自動的に消費税の課税事業者となり、確定申告時に納税が必要です。
申告期限は、個人事業主の場合は翌年3月31日まで、法人の場合は事業年度終了から2ヶ月以内となっています。
確定申告には、確定申告書、付表(一般課税の場合)、課税標準額等の内訳書などの書類が必要です。
注意点として、帳簿と請求書の保存が必須で、税率区分を正確に記録する点には注意しましょう。
2029年9月末までは経過措置が設けられていますが、適格請求書の発行や帳簿の作成など、事務作業が増加することも考慮に入れる必要があります。
不明な点がある場合は、税理士や所轄の税務署に相談することをおすすめします。
副業収入が課税対象になるラインはどこから?
副業にかかる税金の種類は様々ですが、収入があるからといって必ず納税が必要になるわけではありません。
ボーダーラインとしては、1年間で20万円を超える収入をもらっているかです。
本業以外でアルバイト・パートをしている
本業で会社員をして、副業でアルバイトやパートとして働いている場合は、年間20万円を超える収入があると確定申告が必要です。
年末調整が行われるのは1社のみとなるため、本業として働いている会社で年末調整を実施します。
しかし、アルバイトやパートとなり副業で働いている場合は自分で行う必要があります。
適切な申告をするためにも、前もって確定申告の方法を把握しておくと、スムーズな申告が可能です。
アルバイト・パート以外で副業収入を得ている
アルバイトやパート勤務ではなく、事業や不動産投資、株式投資などの方法で稼いでいる場合も、年間20万円を超える所得があれば確定申告をしなければいけません。
ただし、所得となるので収入から必要経費を差し引いた金額のみ必要経費に該当されます。
経費を引いた額が20万円以上であれば確定申告が必要で、20万円以下であれば不要です。
経費の額によって変わるので、経費として購入した用品・会食費などの領収書はすべて保管しておくと、金額を算出する際には便利です。
本業以外の給与所得とそれ以外の副業収入がある
本業以外でアルバイトやパートとしての収入があるだけではなく、事業や不動産投資、株式投資など両方を行っている場合は、アルバイトでの収入や給与以外の収入をプラスして計算し、合計で20万円を超えれば確定申告が必要です。
複数の収入源がある場合は、見落とさないよう徹底した管理を心掛けましょう。
副業収入が年間20万円以下でも確定申告をしなければいけないケース
副業での収入が20万円以下であれば確定申告は必要ないと判断されますが、以下のケースに当てはまる場合は、確定申告が必要になるので注意してください。
- 本業の年収が2,000万円以上ある
- 税金を払い過ぎている
- 住宅ローン控除やふるさと納税など所得控除を受けている
ひとつずつ見ていきましょう。
本業の年収が2,000万円以上ある
本業にあたる会社員としての給料が2,000万円を超える場合、年末調整の対象にはならないので、自分自身で確定申告をする必要があります。
本業での収入が2,000万円を超える場合には、あらかじめ確定申告を行う場所や記入する内容などを調べておくことで、時間をかけずに申告可能です。
税金を払い過ぎている
副業収入が20万円以下でも、税金を払い過ぎている場合は確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。
もちろん、前述したように本業として働いている会社で既に年末調整がされていれば確定申告の必要がありません。
しかし、源泉徴収によって所得税といった予定納税額が多かった場合には、確定申告を実施することで納め過ぎた税金を戻してもらうことも可能です。
この還付申告は、所得を得た年の翌年から5年以内に行うことができます。税金の還付を受けることで、副業による収入を最大化することが可能です。
住宅ローン控除やふるさと納税など所得控除を受けている
医療費控除や住宅ローン控除、ふるさと納税といった所得控除を受ける場合は、確定申告を実施しなければなりません。
医療費控除であれば、支払った医療費のうち、10万円を超える部分が対象となり、課税所得から差し引くことができます。
住宅ローンは、2年目以降であれば年末調整で手続きが可能です。
しかし、1年目の場合は確定申告が必要となるので忘れないように手続きをしてください。
2年目以降の住宅ローン控除による申告を年末調整で控除してもらうには、勤務先に「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を提出する必要があります。
また、ふるさと納税をしている方もいるでしょう。寄付額から2,000円を差し引いた額が控除として戻ってくる仕組みで、豪華な返礼品に期待する方もいます。
ふるさと納税をした場合、確定申告をしなければ控除が受けられません。ただし、「ワンストップ特例制度」を活用すれば確定申告をせずとも控除を受けられるようになります。
ふるさと納税の控除上限は所得や家族構成によって異なるので、事前に調べておきましょう。
また、6つ以上の自治体に寄付をした場合はワンストップ特例制度を活用できないため、控除を受けるためにも確定申告をしなければなりません。
創業手帳では、副業をされている方向けに「副業確定申告ガイド」を無料配布しています。確定申告の基本だけでなく、年末調整が必要かどうか、会社に知られない対策方法などもわかりやすく解説していますので、ぜひご活用ください。
副業収入にかかる税金の計算方法
税金の計算方法を理解しておくと所得税の支払い時にも慌てずに済みます。所得税の計算方法、住民税、個人事業税の計算方法を解説していきます。
所得税の計算方法
所得税を計算するためにも、まずは所得金額を求める必要があります。その手順は以下のとおりです。
-
- STEP①:所得金額を計算
- STEP②:課税所得額を計算
- STEP③:所得税額を計算
- STEP④:復興特別税額を計算
STEP①:所得金額を計算する
所得金額は、所得の種類によって計算の仕方が変わります。
・給与所得
アルバイトやパートとして副業収入があった場合、「1年間の給与合計金額-給与所得控除」という計算式で給与所得が求められます。
給与所得控除は、以下のように定められているのでチェックしておきましょう。
【給与所得控除額の一覧】
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 |
---|---|
1,625,000円以下 | 550,000円 |
1,625,000円~1,800,000円 | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円~3,600,000円 | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円~6,600,000円 | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円~8,500,000円 | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
・給与所得以外
給与所得以外であれば、以下の計算式で所得金額を求められます。
【給与所得以外における所得金額の計算式】
・雑所得:売上げ-経費=雑所得金額
・事業所得:売上げ-経費-青色申告特別控除=事業所得金額
・所得金額の合計は損益通算が可能
損益通算とは、複数の所得区分がある場合に、ある所得区分で生じた損失を他の所得区分の利益と相殺することができる仕組みです。
これにより、全体の課税所得を減らし、納税額を抑えることができます。
損益通算の適用範囲は以下のとおりです。
適用可能な所得区分 | 適用不可の所得区分 |
---|---|
事業所得 | 給与所得 |
不動産所得 | 退職所得 |
山林所得 | 利子所得 |
譲渡所得 | 配当所得 |
雑所得(一部) | 一時所得 |
例えば、副業で以下のような所得がある場合を考えてみましょう。
事業所得: 50万円の利益
不動産所得: 30万円の損失
雑所得(FX取引): 20万円の利益
この場合、損益通算を適用すると、以下のような計算式になります。
事業所得の利益(50万円)から不動産所得の損失(30万円)を差し引きます。
残りの20万円と雑所得の20万円を合算します。
結果として、課税対象となる所得は40万円になります。
複数の事業を動かしている方は、損益通算を適用することで、節税効果が期待できます。
STEP②:課税所得額を計算する
課税所得額は、「所得金額-所得控除」で算出できます。所得控除は、控除の種類によって控除額に違いがあります。控除の種類は以下のとおりです。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
詳しい控除額については、下記の記事を確認してみてください。
STEP③:所得税額を計算する
所得税額は、「課税される所得金額×所得税の税率」で求められます。税率は、所得金額によって異なるので以下の表で確認してください。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
STEP④:復興特別税額を計算する
2013年~2037年の間は、東日本大震災の被災地における復興財源を確保するために、復興特別所得税の支払いも必要です。
計算式は、「基準所得税額×2.1%=復興特別所得税額」になります。基準所得税額は「課税所得金額×税率-控除額」で算出できます。
住民税の計算方法
住民税の計算方法は、所得割と均等割から求める方法とシミュレーターを活用する方法の2種類があります。
所得割と均等割から求める
住民税は、所得割と均等割をプラスした額を支払います。以下のステップで求めることが可能です。
-
- STEP①:所得金額-所得控除額=課税所得金額
- STEP②:課税所得金額×税率10%-税額控除額=所得割額
- STEP③:所得割額+均等割=住民税額
所得金額は、収入から必要経費を差し引いた額です。所得を割り出すためには、定められている給与所得控除額を差し引く必要があるので注意が必要です。
控除額については前述してある表をチェックしてください。均等割は、都道府県や市区町村によって違いがあり、3,000~5,000円ほどになります。
シミュレーターを活用すると便利
住民税額は、計算式を用いれば誰でも簡単に求められます。しかし、時間がない場合や計算が苦手だと算出するにも時間がかかってしまいます。
そんな時には、シミュレーターを活用すると時間もかけずにスムーズに住民税額の算出が可能です。
シミュレーターは、会計システムのWEBサイトや各自治体のホームページなどで公開されています。
ネットで検索すればすぐに確認できます。住民税額を知りたい場合には活用してみてください。
個人事業税の計算方法
個人事業主に課せられる個人事業税の算出方法を解説していきます。計算式は以下のとおりです。
税率は業種によって違いがあり、第1事業・第2種事業・第3種事業の3つに分けられ、3~5%となります。
例えば、物品販売であれば5%、広告業であれば5%、水産業であれば4%です。
詳しい税率に関しては、各都道府県の個人事業税のページを確認するか、窓口に問い合わせてみてください。
納付は確定申告後に届く納付書に従って支払いを行います。基本的に年に2回の納付時期があり、税額が1万円以下であれば8月の1回のみ納付する仕組みです。
自然災害や盗難被害といった損害を受けた場合、急病で医療費を支払った場合など、納税が難しい場合は減免措置を受けることも可能です。
税金窓口に問い合わせると申請できるので税金の支払いが困難な場合に利用してみてください。
副業収入の節税対策方法
最後に、副業収入の節税対策方法を解説します。せっかく副業でお金を稼ぐだけでなく、節税対策も正しく講じることで、手元に残るお金を多くできます。
ひとつずつ見ていきましょう。
方法①:青色申告をする
青色申告は、副業収入の節税対策として非常に効果的な方法です。青色申告を選択すると、最大65万円の青色申告特別控除を受けられるため、課税所得を大幅に減らすことができます。
ただし、この控除を最大限に活用するには、複式簿記で帳簿を作成し、貸借対照表と損益計算書を添付する必要があります。とは言え、専門的な知識はそこまで要求されません。会計ソフトを活用すれば、独学でも十分にできるでしょう。
他にも、青色申告をするメリットは以下などがあげられます。
- 事業が赤字になった場合、その損失を翌年以降3年間繰り越して控除できる
- 計画的な経営を行う上での財務状況の把握にも使える
ただし、青色申告を行うには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。初年度は開業から2ヶ月以内、次年度以降は3月15日までに提出してください。
方法②:必要経費を正しく計上する
必要経費を正しく計上することも、有効な節税対策となります。必要経費とは、副業を行うために直接必要な費用のことを指し、これを収入から差し引くことで課税所得を減らすことができるのです。
例えば、事務用品費や通信費、交通費などが該当します。在宅で仕事をしている場合は、家賃や光熱費の一部を按分して経費として計上できます。
ただし、経費の計上には明確な基準があり、個人的な支出と事業のための支出を適切に区別する必要があります。
個人と事業の支出を正しく分類しないと、税務署から疑いの目をかけられることもあるため、注意しましょう。
方法③:クレジットカードで税金を支払い、ポイント還元を活用する
こちらの方法は、直接的な節税対策ではありませんが、支出を最適化する方法の一つです。
クレジットカードで税金を支払い、ポイント還元を活用することで、ポイントやマイルを獲得できます。
例えば、1%のポイント還元率のカードを使用した場合、10万円の税金支払いで1,000円相当のポイントを得ることができます。
このポイントは、副業に必要な物品の購入や、経費の一部として活用できます。
ただし、クレジットカードでの支払いには手数料がかかる場合があるため、ポイント還元率と手数料を比較して判断する必要があるでしょう。
ポイント還元を活用することで、わずかではありますが、副業に関連するコストを削減できます。
まとめ・副業の税金を計算し、確定申告に備えよう
副業で収入を得た場合も納税の必要があります。納税額に関しては、計算式を用いて算出可能です。
より簡単に算出するためにはシミュレーターの活用もおすすめです。
また、納税の義務を怠ればペナルティが課せられる可能性もあるため、自分が課税対象であるのかどうかを確認し、納税を怠らないよう注意してください。
創業手帳では、「税金チェックシート」をご用意しました!税金の支払いや経費の使い方のコツだけでなく、知っておきたい節税について、わかりやすく解説。無料ですので、ぜひご利用ください。
また、「副業確定申告ガイド」では、副業されている方へ青色申告か白色申告のどちらがいいのか、専門家の解説も掲載しています。はじめての方でも簡単にわかるようなガイドブックを無料で提供しておりますので、ぜひこの機会にご活用ください。
(編集:創業手帳編集部)
創業手帳冊子版は毎月アップデートしており、起業家や経営者の方に今知っておいてほしい最新の情報をお届けしています。無料でお取り寄せ可能となっています。