融資の返済ができない時の相談先は?対処法についても徹底解説!
融資の返済が難しい時はまず金融機関に相談しよう
設備の購入や人件費、内装工事費などが必要な時に、融資を受けようと考えることがあるのではないでしょうか。
融資を受けて事業が円滑に回るのであれば何も問題ありません。しかし、場合によっては返済が難しくなってしまうこともあります。
返済の継続が難しいと少しでも感じたら、融資先となる金融機関へ早めに相談することが重要です。
今回は、融資を受ける理由や返済方法、返済できなくなる状況などを解説します。
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この記事の目次
融資を受ける理由
金融機関から融資を受ける理由は様々です。しかし、「とりあえずお金が必要になりそうだから」という理由では、申込みをしたとしても審査に通過する確率は低くなります。
融資で得たお金が事業においてどれほどの費用対効果があるかなど、根拠がある事業計画を立てた上で申し込まなければいけません。
最初は「融資を受けたい」という漠然とした理由でも問題ありませんが、申込みまでの間にしっかりと理由を煮詰める必要があります。
融資の理由には、設備の購入費や人件費、仕入費、家賃・敷金・礼金、広告宣伝費などが多くみられます。
融資を受ける理由をどうすれば良いのか悩んでいる時は、税理士などの専門家に相談してみてください。
返済期間と方法について
融資を受けようと考えているなら、返済期間や返済方法も把握しておく必要があります。続いては、返済期間と返済方法について解説します。
融資の返済期間
返済期間は、短期融資と長期融資の2種類があります。それぞれで異なる特徴があり、審査の通りやすさなどの違いもあるので、知っておいて損はありません。
短期融資
短期融資は、融資実行から返済完了までの期間が1年以内のものを指します。金融機関の短期融資の審査は比較的通りやすいといわれています。
なぜなら、使用用途や返済の根拠が把握しやすく、返済の目途が立っているケースが多いためです。
利用する目的は、仕入代金の支払いや税金・賞与の支払いなどが多くみられます。
仕入代金の支払いと売上げの入金のタイミングに差があり、支払いに間に合わない時は、つなぎ融資と呼ばれる短期融資を活用します。
納税や賞与の支払いで一時的に資金不足に陥ってしまう場合も、短期融資で補い、半年~1年ほどかけて資金繰りを平常化するといったやり方も珍しくありません。
仕入れなどの支払いと売上げの回収サイクルが読める事業者の場合は、短期融資の活用が効果的です。融資取引きが可能になれば、事業拡大にも役立ちます。
長期融資
長期融資は、融資実行から返済完了までの期間が1年以上になるものを指します。短期融資と異なり、資金繰りを計画的に行えることを示さなければいけません。
毎月の返済金を確保できるか、また、何年あれば完済できるかなどを考えることが重要です。
返済期間を短く設定しすぎると毎月の返済額が大きくなってしまい、事業にも支障をきたす恐れがあります。
事業を円滑に進めながら返済するためには、事前にどれほどの利益が出るのかを知るための事業計画を綿密に練るようにしてください。
返済ができない状況になると、金融機関からの信頼を失います。新たな融資も難しくなってしまうので、計画的な利用を心がけてください。
計画をきちんと立てていれば、資金を円滑に回せるようになります。
融資の返済方法
返済方法は、一括返済または分割返済から選択できます。円滑に返済するにはどちらを選択するかも重要です。
それぞれの返済方法には、どういった特徴があるのかをご紹介します。
一括返済
一括返済は決められた期日に一括で返済する方法で、利息分は毎月や3カ月ごと、融資実行日に全額などを融資側と相談して決定するものです。
この返済方法は、つなぎ融資で取り入れるケースが多くあります。
不動産業を経営している人が売買用の不動産を購入する時に融資を受け、一括返済するといったパターンもあります。
物件が売れたら問題なく返済できるため、一括を選択しても金銭的に負担を感じずに済むためです。
継続的に返済を行う必要がないので、少額の融資であれば一括返済をしたいと考える経営者も少なくありません。利息などを考慮しても、一括返済のメリットは大きいといえます。
分割返済
分割返済は、元金を分割して返済します。分割のスパンは毎月が最も多いようですが、3カ月ごとなどと期間を選択できるパターンもあります。
また、定期的に返済をするのではなく、6カ月後や1年後に返済する不定期の支払方法を選べるケースもあるので、融資を受ける金融機関に確認してみてください。
また、分割返済には元金均等返済と元利均等返済の2種類があります。元金均等返済は、元金を毎回同じ金額返済し、元金に対する利息がかかります。
元利均等返済は、元金と利息を足した額を毎月同じだけ支払うという方法です。
返済期間が同じ場合だと、元金均等返済のほうが支払総額は抑えられます。
しかし、金利が低い場合は、元利均等返済のほうが資金計画を立てやすくなるという特徴があるので覚えておくと良いでしょう。
融資の返済ができなくなるのはどのような時?
融資を受けたとしても、円滑に返済ができるとは限りません。返済ができなくなってしまう場合とは、どのような時でしょうか。
1.取引先が倒産してしまった
自社に問題がなくても、取引先が倒産してしまうことで請求に対する支払いを受け取れなくなってしまいます。
売上げにもマイナスな影響を与えることになってしまい、経営がうまくいかなくなる恐れも出てきます。
特に、得意先の企業が倒産してしまった時の痛手は計り知れません。
得意先が倒産してしまうと、同じくらいの規模で取引きができる企業を探すことも難しくなります。
つまり、取引先の倒産が金融機関から受けている融資の返済を滞らせる原因になります。
倒産を見極められれば先に手を打てますが、実際は難しいものです。
しかし、退職者が増えた、入出金の遅延が目立つようになった、税理士が頻繁に出入りしている、などの変化があった場合は要注意です。
2.周囲の状況が変化した
1980年代にはバブル景気が起こり、誰もがいつまでも続くと考えていました。しかし、1990年代に入ると間もなくしてバブルは崩壊してしまいます。
バブル景気は少々特殊ですが、同じように好景気と不景気の波が私たちを襲うのは当たり前だと思っておかなければいけません。
近年は、情勢の変化がさらにスピードアップしているため、世間一般の景気は良かったとしても、特定の業界は景気が悪いといった状況も往々にしてあります。
つまり、周囲の状況が変化したことに対応できなければ、業績悪化の一途を辿ることになりかねないといえます。
変化に対応できずに業績が悪化しても、返済は待ってくれません。そのため、返済が難しい状況になってしまいます。
3.新たな事業で失敗してしまった
融資を受けて新たな事業をスタートするケースも比較的多くみられます。
事業を拡大するための設備投資を手持ち資金で賄いきれない場合などは、金融機関から融資を受けるのが当たり前のようになっているためです。
新たに事業をスタートする場合は、事業計画書の準備も必要不可欠です。
付き合いがある金融機関からの融資であれば、そこまで審査が厳しくなることはありません。書類が揃っていて、事業として問題がないとみなされれば融資してもらえます。
しかし、先行きが怪しい場合もあります。見通しが甘いと失敗してしまい、収益を得られなくなることもゼロではありません。
そうなってしまうと、返済ができなくなります。
4.場当たり的な借入れをした
経営者の中には、場当たり的な借入れをしてしまう人もいます。その場しのぎの借入れは一時的に状況を良くしますが、根本的な原因は解決されていない状態です。
その結果、典型的な自転車操業になってしまいます。一見すると順調そうに見えるかもしれませんが、ちょっとしたズレで状況は最悪の事態に陥る危険性も高くなります。
自転車操業になると借金だけ膨らんでしまい、返済が大きな負担になることは想像に難くありません。
将来的に大きな利益が一度で手に入る目途がない限り、自転車操業から抜け出すことは困難です。
5.放漫経営で厳しい状況になってしまった
放漫経営をしてしまい、融資の返済が難しくなるといったパターンもあるので注意が必要です。
前述した場当たり的な経営でも、資金管理が徹底されていれば問題ないケースもあります。
経営状況を正しく把握していれば、自転車操業になったり返済が滞ったりする事態も回避できるでしょう。
しかし、売上げよりも返済額が大幅に上回っている、月次試算表や損益計算書にマイナスが増えているといった場合は、経営の立て直しを早急に行わなければいけません。
経営が苦しいのにもかかわらず、経費を使って飲み会をするなどは言語道断です。経費は帳簿に載るため、放漫経営だとすぐにわかってしまいます。
そのような積み重ねが経営を圧迫し、融資に返済にも悪影響を及ぼします。
融資の返済が厳しい時の改善方法
融資を受けている中で、どうしてもうまくいかずに返済が厳しくなる場合もあります。そのような時は、自分で何とかしようとするのではなく、金融機関に相談してください。
最後に、融資の返済が難しい状況を改善するために知っておきたい方法をピックアップしてご紹介します。
1.リスケできないか相談する
「リスケ」は、リスケジューリングを略した言葉です。返済期日を先送りするといった意味に捉えられるケースが多くありますが、返済額の減額などもリスケに含まれます。
個人で行う債務整理の中の任意整理や示談交渉と近しい意味合いになります。
ただし、金融機関に対して一方的なリスケを依頼するものではありません。融資を受けている側も自助努力を怠らないようにすることが最も大切です。
減額するとなると金融機関側も負担を負うので、双方が納得できるような提案や説明を準備しておくことが重要です。
銀行からの信用が落ちてしまう恐れもあります。追加融資を依頼した時などは、返済条件が厳しくなることも考えられます。
2.追加融資を依頼する
金融機関がリスケに応じてくれない場合もないとは言い切れません。
企業側としては、返済額を減らしてもらえれば何とかなると考えているので、早急に何とかしたいと思うものです。
状況を変えるためにどうすればいいかというと、金融機関に追加融資をお願いする方法が挙げられます。
リスケに応じてくれないのであれば、追加融資も難しいと思うかもしれませんが、実際は、返済計画に無理がなければ応じてくれることも少なくありません。
金融機関の判断に委ねることになりますが、依頼してみる価値は大いにあります。
特に、資金があれば事業を継続できる見込みがある場合は、前向きに検討してみてください。
3.他社から借換えをする
融資の返済が難しくなったら、他社から借換えをするという方法もあります。ほかの金融機関から債務額を全額借入れし、返済に充てます。
新たな融資先への返済がスタートしますが、企業の延命措置だと考えれば賢明な判断です。
借換えをする際にチェックされるのは、財務状況や返済状況です。これらに問題がなければ、うまくいく可能性が高いと考えられます。
ただし、借換元の金融機関とはそれ以降の取引きができなくなってしまうリスクもあるので注意が必要です。
また、金利を抑えられたとしても、支払期間が延びて総額が膨らんでしまう場合もあります。
4.収支を見直す
収支を見直すことによって返済できない状況に陥った原因を把握できるケースもあります。
どこからどれくらいの金額を借りているのかを、きちんと把握することが大切です。
自転車操業を回避するためにも、収支を見直し、現状を把握することがポイントです。収支がわかれば、状況に応じた対策も講じやすくなります。
まとめ
融資を受ける際、返済計画をきちんと立てておくことが大前提です。
しかし、計画どおりにいかず、状況が変化して返済が難しくなってしまうこともあるかもしれません。
返済が難しくなった時は、融資先の金融機関に相談することをおすすめします。どのような方法が最適なのかを考えることはもちろん、収支を見直すことも大切です。
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(編集:創業手帳編集部)