ソーシャルインテリア 町野健|サブスクで家具業界に革命を起こす!家具のサブスクサービスで実現する循環型社会

創業手帳
※このインタビュー内容は2022年12月に行われた取材時点のものです。

コロナ禍でさらに需要拡大!斬新な家具のサブスクリプションサービスの魅力に迫る


コロナ禍でのリモートワークや休日の巣ごもりなど、自宅で過ごす新たな生活様式が定着し、仕事環境や生活の快適性を重視するなかで家具にこだわる傾向が強まりつつあります。

こうした背景を踏まえ、家具のサブスクリプションサービスで家具業界に革命を起こしているのがソーシャルインテリアです。

「よいものが、循環する社会へ」をミッションに掲げ、オフィス向けの「ソーシャルインテリア オフィス構築支援」、個人向けの「サブスクライフ」、ブランド家具・家電をお得に購入できる「サブスクライフ オフプライス」の3つのサービスを展開しています。

今回は代表取締役を務める町野さんの起業までの経緯や、家具のサブスクリプションサービスの魅力や強みについて、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。

町野 健(まちの けん)
株式会社ソーシャルインテリア 代表取締役
熊本県出身。上智大学大学院修了。株式会社日本HPのコンサルタント、株式会社マクロミルにて経営企画、海外事業立ち上げを経て、2012年にキュレーションマガジンAntenna立ち上げのため、株式会社グライダーアソシエイツを創業。3年で500万ユーザー獲得かつ黒字化まで育て上げる。2016年にソーシャルインテリアを立ち上げ、2018年3月に日本初の家具のサブスクリプションサービスを開始。600ブランド12万種類の商品を取り扱う。2020年に、東急アクセラレートプログラム2019Demo Dayにて東急賞、Next-generation Commerce Award 2020にて特別賞、日本サブスクリプションビジネス大賞2020にてブロンズ賞を受賞。2021年に、東洋経済新聞「すごいベンチャー100」に選出。事業立ち上げ、メディア、マーケティングが専門。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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アメリカでのハードウェアサブスクとの出会い。家具と組み合わせて事業構想

大久保:まずはビジネスモデルを構築されたきっかけについてお聞かせ願えますか。

町野:アメリカで開催されたスタートアップイベントに参加する機会があり、そこで知ったハードウェアのサブスクリプションサービスに衝撃を受けたことが大きなきっかけです。

ソフトウェアのサブスクはAppleなどから登場していましたが、ハードウェアはなかったんですね。驚きとともに、「ビジネスモデルにできないだろうか?」と考えを巡らすようになりました。

大久保:現在のビジネスの種に出会ったんですね。サービスローンチされるまでの経緯についてお教えください。

町野:新居の家具を探していた際に「家具を一式揃えると予算的に厳しい」と痛感した一方で、良心的な価格帯の上質な家具が豊富に出回っていることに惹かれました。

そこで家具店の店長に話を伺ってみたところ、「家具は利益率が良いとはいえない」という業界の事情を打ち明けられて、なんだかそれが引っかかったんですね。

次にリーズナブルな家具店に足を運んだのですが、やっぱりそこですべて揃えようとは思えませんでした。

自然と「世の中にはこんなに良い家具がたくさんあるのに、儲からないというネックを抱えている。なんとかならないだろうか」との課題意識が芽生えると同時に、家具業界に興味を持つようになったんです。

それから「家具とサブスクサービスを組み合わせたら面白いのでは?」と思いつき、すぐに事業計画を作成しました。

ソーシャルインテリアの前身となるsubsclife(サブスクライフ)は2016年に設立したのですが、新品家具・家電のサブスクサービス「サブスクライフ」をローンチしたのは2018年です。その後、2022年3月にソーシャルインテリアに社名変更しています。

「よいものが、循環する社会へ」をミッションに掲げサービス展開

大久保:御社のサービス内容についてお教えください。

町野:弊社は「よいものが、循環する社会へ」をミッションに掲げ、「ソーシャルインテリア オフィス構築支援」「サブスクライフ」「サブスクライフ オフプライス」3つのサービスを展開しています。

「ソーシャルインテリア オフィス構築支援」は、オフィスの空間づくりをトータルでプロデュースするサービスです。レイアウト作成から空間デザイン、家具選定までまるごと支援しているため、細部まで妥協しないオフィスづくりが実現できます。

予算に合わせて選べる家具のラインナップが豊富で、現在ご用意している家具は600ブランド12万種類。後述する「サブスクライフ オフプライス」を活用した家具の選定も可能です。

サブスクにより初期導入コストを95%カットし、キャッシュフローを平準化することができます。また、専任担当の手厚いサポート体制など、きめ細やかなサービス内容も「ソーシャルインテリア オフィス構築支援」の強みです。

大久保:企業規模を問わず、非常にメリットがあるサービスですね。続いて「サブスクライフ」「サブスクライフ オフプライス」についてもお聞かせください。

町野「サブスクライフ」支払い総額が定価を超えない、個人向けの家具・家電のサブスク・レンタルサービスです。

月額500円から利用可能で、期間を自由に選ぶことができます。商品はすべて新品で、サブスク後にそのまま購入OKです。有名人気ブランドの家具・家電を多数取り扱いしています。

一方、先ほど「ソーシャルインテリア オフィス構築支援」のサービス説明でも紹介した「サブスクライフ オフプライス」は、ブランド家具・家電をお得に買えるオフプライスマーケットです。

「ソーシャルインテリア オフィス構築支援」「サブスクライフ」での利用期間を終えて返却された家具・家電を、必要に応じて丁寧な修理などを行い、最大80%割引で購入することができます。このほか、メーカーの倉庫に眠っていたり、廃盤などの理由により通常の市場では展開できない魅力的な商品の販売も行っています。

収益の一部をメーカーに還元し、循環社会を実現していることも大きな特徴です。

法人・個人ともに「より良い家具を長く使う」ことで得られるメリットを提供

大久保:町野さんは「家具+サブスクリプションサービス」という先鋭的な発想で、家具業界に革命を起こしてらっしゃいます。事業計画書を作成された当初から、現在の事業を構想されていたのでしょうか?

町野「ソーシャルインテリア オフィス構築支援」「サブスクライフ」は構想していました。最初から「倉庫を持たない」という着想でビジネスモデルを想定していたため、サブスクのサービスモデルを考えてから「サブスクライフ」をローンチしたんです。

一方、「サブスクライフ オフプライス」については、事業推進するなかで新規事業として立ち上げました。当初は弊社に返却された家具・家電を業者に売却していたのですが、顧客から「購入したい」というご希望を多数いただいたことがきっかけです。

加えて、メーカーでは店舗展示品などをやむを得ず廃棄していましたので、それらも含めて「アウトレットとして販売できないだろうか?」と。そこから事業計画を練りました。

大久保:業界課題の解決まで見据えながら、柔軟に事業を拡大されたんですね。家具をサブスクサービスで利用するメリットについてお聞かせください。

町野家具の良し悪しは価格に比例します。もちろんすべてがそうだと言い切れるわけではありませんが、やはり安いものは値段相応です。

反対に、たとえば椅子なら高価な商品になればなるほど座り心地がまったく違います。Aの販売価格の2倍の値段が付けられたBという椅子があったとすると、Bの座り心地は倍以上良いんです。

だからこそ、安い家具を購入して引っ越しのたびに廃棄するのではなく、2倍の値段の家具をサブスクで手に入れたほうがいい。不要になったときの処分料金もかかりませんし、もちろん引き取りに伺いますので手間いらずです。しかも廃棄しないため環境にも優しいんですね。

大久保:顧客にメリットを提供しながら、御社のミッションである「よいものが、循環する社会へ」につながっているんですね。

町野:はい。法人・個人を問わず、より良い商品を長く使うことでの利点を実感していただきたいです。

大久保:法人利用の場合、さらにメリットがあると伺っています。詳しくお聞かせください。

町野:弊社のサービスを法人でご利用いただくと、経費で処理することができます。資産計上や資産の管理も無料です。

また、家具は選別が難しく、コーディネートとなるともっと難易度が上がってしまうんですね。このネックに関しては、先ほどもお話しした「ソーシャルインテリア オフィス構築支援」でサポートしています。専任担当がレイアウト作成・空間デザイン・家具選定をトータルで支援しますので、ご希望に沿ったオフィスづくりが実現可能です。

三方良しのビジネスモデル。願うのは「良いものを使って生活を豊かにしてほしい」

大久保:今後の展望についてお聞かせください。

町野:今年の3月に社名をsubsclifeからソーシャルインテリアに変更したばかりなのですが、そこには「サブスクリプションサービスの会社では終わらない」という強い信念が込められています。

弊社にとってサブスクはあくまでも手段であり、その目的は循環型社会の構築です。ミッションに掲げた「よいものが、循環する社会へ」のために、さらなる邁進をしていきたいと考えています。

また、弊社は家具の製造を行っていません。すべてメーカーから仕入れて販売させてもらっているため、これまで常にメーカー側への還元も念頭にビジネスを進めてきました。今後もメーカーと手を携えながら、家具業界を発展させるべく尽力していきます。

さらに弊社のビジネスモデルは、先ほど申し上げました通り、法人・個人を問わず顧客にもメリットがあります。

こうした「三方良し」を重視しているのも弊社の特徴です。これからもユーザーとパートナーの双方に便益をもたらす、三方良しなインテリア業界革命プラットフォームを展開しながら循環モデルの完成を目指していきます。

大久保:三方良しであり、御社のサービスを利用することで働く環境や生活の質が向上しそうですね。

町野:はい。たとえば洋服もそうですが、上質な商品を選ぶとそれだけで気持ちが上がるんです。特に仕事や暮らしと直結する家具はその傾向が強く、良い家具を揃えるだけで生活の質が変わります。

それから安い家具ばかりだと廃棄が増えますし、SDGsの観点から考えても、これからの時代はその方向性ですと無理が生じてきますよね。

ただし、高い家具の購入は予算的に厳しいという方が非常に多いです。だからこそ、サブスクで気軽に取り入れていただきたいんですね。

弊社の願いは「良いものを使って、生活を豊かにしてほしい」ということ。

まずは1つから取り入れてみると、生活が向上するし、廃棄率が減少します。結果として環境にプラスになり、地球に優しいです。それから上質な家具を作っているメーカーや職人の方々にお金が回るようにもなります。

つまりすべてが好循環なんですね。この世界観を浸透させていきたいです。

経済的優位性だけでは成功しない。社会的に意義のある価値観や方向性が重要

大久保:最後に、起業家に向けてのメッセージをいただけますか。

町野:起業家が会社を運営するうえで重要なのは、企業規模を拡大しながら利益を伸ばしていくことです。ただしそれらを追求すると同時に、これからは経済的優位性だけでは成功しない社会になっていきます。

今後は社会的に意義のある価値観や方向性をビジネスモデルに組み込んだ運営が、新しい成功の基点になるのではないかなと。

こうしたスタンスで経営の舵取りをすれば、従業員はもちろん、経営者の幸福度が向上していきます。今の時代は指導主義だけですと従業員が離れていきますし、企業の存続自体も厳しくなりますからね。

もちろん「利益を出さなくてもいい」というわけではありません。バランスが非常に難しいのですが、ぜひ持続する会社を作るためにも新しい成功の基点を意識していただきたいです。

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(取材協力: 株式会社ソーシャルインテリア 代表取締役 町野 健
(編集: 創業手帳編集部)



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