マンダラートとは?目標達成のためのアイデア発想法

創業手帳

マンダラートの効果と作り方を解説!注目のフレームワークでひらめきの促進と整理を


マンダラートは、近年注目されているアイデアの発想法です。ビジネスの世界では目標達成のためのフレームワークとして活用されています。
著名人の利用で話題となったこともあり、注目が集まっています。

マンダラートを活用すると、起業アイデアを掘り下げたり目標達成のプロセスを具体化したりすることができます。
起業家や経営者の思考の整理や拡大に使えるマンダラートの具体的な効果や作り方をチェックしてみましょう。

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この記事の目次

マンダラートとは?


マンダラートとは、マス目にアイデアを書き込んでいくことで自然にアイデアを広げていくアイデア発想法です。
シンプルながらもビジネスのフレームワークに使えると注目を集めています。
利用してみたい人へ、まずはマンダラートの誕生の由来、使い方などを紹介します。

曼荼羅模様に由来

マンダラートは、「マンダラ」と「アート」を組み合わせた造語です。マンダラートを「マンダラチャート」と呼ぶこともありますが、同じものを示しています。

マンダラとは、仏教の世界観を視覚的に表現した絵画のことで、古代インドに起源を持ちます。
マンダラ模様には様々な仏教のモチーフが配置され、主に中央の仏様を囲むようにほかの仏様や仏塔などが描かれたデザインが特徴的です。

それと同様に、マンダラートでは中央のマス目を中心に周りを囲むようにアイデアを展開していきます。

ブレーンストーミングとしても利用可

マンダラートは、アイデア発想法にひとりで使うだけでなく、他人との協力によるブレーンストーミングにも利用可能です。
複数の意見を取り入れると、発想の偏りを防ぎ、幅広く多様性に富んだマンダラートを完成できます。

大谷翔平選手が高校時代に作成していたと話題に

マンダラートは、メジャーリーガーである大谷翔平選手が作成していたことからも注目を集めました。
高校時代に自身の目標達成に役立てていたとのことです。
高校生の時、大谷選手はプロ野球選手としてドラフト1位を獲得するために必要な要素を、マンダラートにびっしりと書き込んでいたそうです。

マンダラートの効果6つ


マンダラートはメジャーリーガーの目標達成にも用いられ、注目されましたが、誰に対しても目標達成の有効なサポートとなる手法です。
目標達成につながる、マンダラートの具体的な効果を6つ紹介します。

実現のための具体的なアクションがわかる

マンダラートを利用すると、目標を達成するための具体的なアクションがはっきりとわかります。
何をすべきか具体的にわかるため実践しやすく、スモールステップで進められるため、一つひとつの達成に充実感を得られます。

マンダラートを作成する段階では、掲げた目標を中心に、課題を解決して目標を達成するための要素を書き出すことが必要です。
設定した目標を達成するために必要な要素を書き出し、さらにその要素を満たすために必要な要素を書き出す、といった具合に内容を深めていきます。

マンダラートを完成させた後は、それぞれのマス目に書かれた具体的な行動や思考などを実践していくだけです。
要素を掘り下げるうちにあいまいさは減り、実現に向けた行動がしやすくなります。

中間目標が明確になる

マンダラートでは、大きな目標であってもすべきことは細分化され、最終目標に向けて実行すべき中間目標が明確になります。
目標を達成するためには、小さな目標を達成していくことが大切です。また、ビジネスで目標達成を目指す際には、中間目標の評価も必要です。

マンダラートは、ビジネスの分野で用いる重要目標達成指標(KGI)や重要業績評価指標(KPI)などの指標にもできます。
中央の目標を重要目標達成指標とし、要素ごとに達成する目標や施策を立てていきます。

具体的なプロセスを可視化する

マンダラートでは、頭の中だけで考えていた目標達成までのプロセスを可視化します。
目標や必要な要素、具体的な行動などを目に見える形で整理できるため、より行動しやすくなるでしょう。
また、マンダラートの形で表現すると、第三者にもプロセスが伝わりやすくなり、よりスムーズに考え方を共有できます。

煩雑になりがちな思考を整理できる

マンダラートでは、煩雑になってしまった思考を整理することも可能です。
頭の中で複雑に絡み合い、整理がつかなくなった思考や情報も、マンダラートに落とし込むことで整然とし、考え方の道筋が見えやすくなります。

頭の中で考えている間に、難しく考えすぎてしまったり論点がずれてしまったりすることが多いものです。
あとで考えたら簡単なことだったのに難しく考えて失敗することもあります。思考を整理し、考えすぎによる失敗を防ぐためにもマンダラートは有効です。

問題や課題が発見しやすくなる

マンダラートは、自分がこれまで気がつかなかった問題や課題を発見するためにも役立ちます。
マンダラートの要素を記入していくと、自身の抱えている課題を洗い出せるでしょう。

マンダラートでは、「虫の目」・「鳥の目」・「魚の目」の3つの観点から見られます。
ピンポイントな観点である虫の目、広い視野である鳥の目、環境の変化を加味した千里眼である魚の目と3つの観点でプロセスを分析できます。

細かな見落としによる情報の抜けや漏れを防げる

マンダラートを取り入れることで、目標達成に必要な情報の抜けや漏れも防げます。マンダラートでは、マスを埋めるために要素ごとに細かく掘り下げることが必要です。

一つひとつの要素がすべて詳細にチェックされるため、重要な要素の見落としが少なくなります。

マンダラートの作り方

実際に、マンダラートを作成してみましょう。マンダラートは、学業やスポーツ、ビジネスの目標達成など、様々な分野で活用できます。
マンダラートの基本的な書き方の手順を具体的に見ていきます。

1.合計9マスのマス目を作成する

マンダラートは、3×3のマス目に分かれた正方形が3×3の正方形に並んでいるものです。
3×3のマス目で、中央に目標を書けるマスを置くことがポイントとなるため、縦横のマスの数は変えてはいけません。

作成方法はパソコンでもノートや方眼紙でも問題ありません。ただし、後々行き詰った際に書き直しやすいため、デジタルのほうがおすすめです。

中央に書かれた3×3のマスを持つ正方形の上下左右斜めの8方向へ、さらに同じく3×3のマスを持つ正方形を作ったら、マンダラートのフォーマットの完成となります。

2.中央のマス目に目標を書く

マンダラートの記入は、中央にある正方形の合計9個のマス目から始めます。

中央の正方形の真ん中にある小さなマスに、まずは最終目標を記入します。これがいわゆる重要目標達成指標(KGI)です。
メインテーマであり、この最終目標を達成するために、ほかのマス目を埋めていくことになります。

ビジネスでは、個人的な業務の目標やチームの目標などが考えられます。具体的で実現可能な目標を設定してみてください。

3.目標達成に必要なことを周囲の8マスに書く

目標が決まったら、中央のマス目に書かれた目標を達成するために必要と思える要素を、その周囲の8マスに記入していきます。
これは、最終目標の下に位置する中間目標となります。

8マスに記入する要素の内容は、目標から連想される関連語句、目標達成に必要な条件、欲しいスキルなどです。
目標と関連が深く、さらに8つはすべてほかのマスの内容と重複していないものを選びます。

4.周囲8マスの内容をそれぞれ外側の新たなマンダラの中央に書き写す

達成すべき最終目標の周囲8マスが埋まったら、次の段階に進みます。次は、埋めた8マスの内容をさらに深く掘り下げ、より具体的な行動へ落とし込む準備の工程です。

はじめに、8マスに記入した内容を、周りにある8つの正方形の中央マスに転記します。
メインテーマの右斜め上に書いたものは、右上の正方形にある中央のマスへ、メインテーマの上のマスに書いたものは、その上の正方形の中央のマスへ記入します。
これで外側にある8個の正方形にも、新たにマンダラを作る準備ができました。

5.外側のマンダラには中央の目標実現について具体的な施策を書く

外側8個の正方形のそれぞれのマスを埋めていきます。これは、最初に行った中央のマンダラと同じように進めることが可能です。
それぞれ中央に書かれた中間目標の内容に関連した要素を記入していきます。

外側8個のマンダラの中央には、メインテーマよりも具体的な中間目標が書かれていますが、その目標を達成するためのさらに具体的な施策を考えることが大切です。
具体的に実践できる行動目標を上げると良いでしょう。

6.類似するキーワードをグルーピングして優先順位をつける

マンダラートのマスがすべて埋まり、完成したら、全体を見渡して類似するキーワードを探していきます。
類似するキーワードがあったら、それらをグルーピングして優先順位を決めます。
ただし、最初のマンダラはすべて違う要素で作らなければならないため、重複することはありません。

類似するキーワードを色別などで分けて、より多かったものは重要性の高いキーワードだとわかります。
類似したものが多かったキーワードから優先的に実行していきましょう。

マンダラートを作成する際のポイント


マンダラートを作成する際には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
作り方を間違えると本来の効果を得られないため、基本的な約束事として以下の点を守って作成してください。

「目標」と「目的」の違いを理解しておく

マンダラートを作成する際には、目標と目的の違いを理解します。
目標と目的の定義を区別することで、マンダラートはより意味のあるものとなるでしょう。

目標とは目的を達成するための目印のようなもので、目的とは最終的に到達したいゴールのことです。
目標を設定することで、人はモチベーションを維持して達成を目指せます。
目標なき取組みは人を迷わせ、最終的に到達したい目的に到達する前に挫折しやすくなります。

最低81個のマス目を必ず埋める

マンダラートの作成で重要なことは、3×3のマスを持つ正方形9個=81個のマスをすべて埋めることです。
マス目が空いたままのマンダラートは不完全であり、十分な効果が得られません。
特に、最初に埋める中央の正方形にある8マスが埋まらない場合には、そこから派生させることができないため致命的です。

マンダラートの仕組みは単純ですが、すべてのマスをひとつのキーワードに関連するもので埋め尽くすのは簡単ではありません。
埋まらない時には対策を講じて、埋めるための手立てを探ってください。目標達成に必要な情報が不足している恐れがあるため、情報を集める必要があります。

順番通りに埋めなくてもいい

マンダラートでひとつのマスを埋めるのに行き詰ったら、ほかのマスへ目を向けて自分が埋められそうなものを探してみます。
マンダラートは、順番通りに進めていく必要はありません。自由で柔軟な発想を引き出すためにも、思いつきやすい部分から始めることが大切です。

ほかのマスを埋めていくにつれ、全体像が見えやすくなり、そこから新発想が生まれることもあります。
また、一旦放置することで俯瞰(ふかん)できるようになるかもしれません。

どうしても埋められない時はメインテーマを変える

考えを深めてもマスを埋められない場合には、メインテーマの設定が誤っていることも考えられます。
その場合には、思い切ってメインテーマを変えることも必要です。

テーマが深掘りできない内容だった場合、どれだけ考えても行き詰ってしまいます。
メインテーマが適切かどうかを再確認し、同じような内容だったとしても表現を変えるなどして再びチャレンジしてみてください。

達成までの期限を設ける

マンダラートを作る時には、達成までの期限を設けることも必要です。マンダラートは、作成するだけでなく実行してこそ意味のあるものです。

期限がないと、着手するタイミングを逃したり緊張感なくだらだらと続けたりすることがあるかもしれません。
せっかく作成したマンダラートの効果を損なわないように、メリハリをもって実行できる範囲で期限を決めます。

中間目標すべてに期限を決めるのは難しいため、数値で成果を評価できるものにだけ期限を設けます。
ビジネスでは、「PV数〇〇件」や「見込み客〇〇件獲得」など設定すると良いでしょう。

なるべく具体的に書く

マンダラートのマスの内容はできるだけ具体的に記入することが大切です。
最初のマス目は中間目標であり、そこから内容を掘り下げるため多少あいまいでも構いませんが、外側の8個のマンダラは具体的なものにしなければいけません。

より具体的な内容にすると、実際に行動に移せる実現性の高いマンダラートになります。
また、さらに目標とする成果を数値化して記入すれば、達成状況の評価や把握もしやすくなるでしょう。

大きすぎず達成可能な目標を書く

マンダラートは、実際にマス目の内容を実行することで目標を達成するためのフレームワークです。
設定する目標も大きすぎて達成できないものではなく、達成可能なものを選ぶ必要があります。

大きな目標は素晴らしいものですが、大きすぎると具体的な行動が不可能となり、途中でやる気を失いかねません。
また、達成までのプロセスをイメージできず、マス目も埋まりにくいこともあります。
マンダラートを作成していてマス目が埋まらない場合には、目標の難易度も見直してください。

マンダラート作成に使えるアプリ・ツール


マンダラートは自分で一から作ることもできますが、パソコンのツールを利用するとより簡単に作成できます。
マンダラート作りの作業に時間をかけたくない人は、便利なアプリやツールを活用するのもおすすめです。

Excel

表計算ソフトである「Excel」は、表を作成しやすく縦横のセルが並んだシートが特徴です。マンダラートを作成するためにも、このセルの並びが役立ちます。

マンダラートの作り方は、縦横の長さを揃えてセルのサイズを正方形にするだけです。
見やすくするために罫線を引いたり、グルーピングのために背景色を変えたりもできます。

「Windows」のパソコンには「MicrosoftOffice」のソフトが搭載されたものも多いため、特に新規導入せずに利用可能です。
ソフトがない場合にも、無料で使えるWeb版の「Excel」もあります。

マンダラート(+BLOG)

「マンダラート(+BLOG)」は、その名前の通りマンダラートを作成するためのツールです。Web上で使えるツールのため、ソフトをインストールせずに使えます。
また、無料で公開されているため、誰でもすぐにマンダラート作成を始められます。

「+BLOG」というブログサイトの仕事術カテゴリー内にマンダラートがあるため、使う際にはブログサイトにアクセスが必要です。
使い方はシンプルで、ページ内にあるマンダラートのフォーマットに直接入力していくだけです。
同じページ内に詳しい使い方も記載されているため、使い方に悩まずに済みます。

MandalArt

「MandalArt」は「Hiro Art Directions,Inc.」の開発したiOS専用の有料アプリです。
マンダラート考案者が代表を務める会社のアプリで安心感があります。しかし、利用できるデバイスが限られます。

使い方は簡単で、直感的にマンダラートを作成可能です。また、ユーザーのサポートページなどもあり、マンダラートの活用法を知ることもできます。

Mandala9

「Mandala9」はAndroid用マンダラート作成の有料アプリです。
操作性が高く、マスの色やフォントの変更、画像の貼り付けなど、自由にマンダラートを作成できます。
※現在このアプリは配信が停止されています。

目標設定のNine Square

「目標設定のNine Square」はAndroid用の有料アプリです。
端末にアプリをダウンロードして使います。マンダラート作成に必要な機能が揃っており、複数のマンダラートを作成可能です。
ただし、マスのグルーピングや並べ替えができないため、必要最低限の使い方に限られます。

まとめ

マンダラートは企業の課題解決やビジネスアイデアの洗練、目標達成のためなど、様々な目的に使用されています。
目標を具体的な実践方法まで深く掘り下げられ、考え出された行動は具体的で実行に移しやすくなります。

マンダラートの仕組みはシンプルですが、作り方を誤ると行き詰ることもあるため、作り方のルールを守り、ポイントを押さえて作成してください。
基本の作り方とポイントを参考に、アイデアを形にしてみましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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