日本初の投資型クラウドファンディング「FUNDINNO(ファンディーノ)」はどのように生まれたのか。日本クラウドキャピタル大浦COOインタビュー

創業手帳

新しい融資を受けるための「橋渡し」となるシステム

(2018/06/12更新)

資金を集める手段として、マクアケやReadyForのようなクラウドファンディングは既に認知され広まりつつあります。
一方で、「投資型クラウドファンディング」と言われる新しい手法が認可され、現在、3社承認されています。その3社のうちの1社が、日本初の投資型クラウドファンディング「FUNDINNO(ファンディーノ)」を運営している株式会社日本クラウドキャピタルです。今回は、その日本クラウドキャピタルのCOOである大浦 学氏から、お話を伺いました。

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大浦 学
明治大学大学院グローバルビジネス研究科でマーケティングを研究し、同研究科で日本クラウドキャピタル代表取締役CEO柴原 祐喜と出会う。
ベンチャー企業の育成に貢献するお互いの理念が一致し、2012年5月にデジタルコンテンツの企画、立案、製作、開発を行うシステム会社を創業し、2年目には黒字化を達成。地域活性化アプリの開発から自治体との関係性が深まり、箱根町の支援を受け2014年1月に一般社団法人はこねのもりコンソーシアムジャパンの理事として創業し、 同法人の会員管理システム及び、UI/UXの設計を含めての包括的なWEBシステムの開発を行う。
イベントの集客から WEBマーケティング、SNSマーケティング、CRM(顧客関係管理)などユーザーの満足度、ロイヤリティを高める実践マーケティングに従事。

日本の中小企業が世界で戦える資金調達環境をつくる

FUNDINNOのHPより引用
ーまずは「FUNDINNO(ファンディーノ)」について概要を教えてください。

大浦「FUNDINNO(以下ファンディーノ)」とは、事業者と投資家の間を橋渡しする、株式会社日本クラウドキャピタルが運営するプラットフォームサービスです。非公開株式の発行により、投資家はインターネットを通じて投資ができる仕組みで、事業者の方は株式の発行およびその他の方法による資金調達ができることをメインとしております。

例えば、ベンチャーキャピタルの場合はベンチャーキャピタル自身で出資をしますが、ファンディーノの場合はファンディーノに投資家登録されている個人が投資の意思決定をし、目標募集金額以上となった場合に成約となるということが一番の特徴です。

投資家の皆様は、気に入った中小・ベンチャー企業に投資して、株主として応援することによって、企業に対してのリスクマネー(※1)の供給を加速させ、より企業の成長支援ができるようにしていきたいと考えております。

※1
リスクマネー:不確実でリスクが大きいが、成功すれば高い収益が得られる事業に投入される資金のこと。

ーファンディーノは、どのような思いを込めて立ち上げたのでしょうか?

大浦:中小企業の資金調達環境が整ったアメリカでは、ベンチャー企業が創業期から巨額の資金を得ることは珍しくなく、将来性のある起業家に投資するのは、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家、投資型クラウドファンディングです。

「日本にもアメリカと同じ資金調達環境があれば、日本の中小企業が世界で戦えるようになる。」
そんな思いを胸に秘め日本初の株式投資型クラウドファンディング「ファンデーノ」をスタートさせました。

ーどういう人が出資を募っていますか?

大浦未上場企業で資金需要のある企業です。現状はIPOかM&Aを目指している会社が多く、IT系やテック系の会社の資金調達が多くなっています。

また、弊社では厳正な審査を行っており、また、多くの案件ではプロの投資家(ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家)が既に入っているという特徴があります。

ー投資家にはどのような人がいらっしゃいますか?

大浦:金融資産、投資経験、資金の性格などの審査項目があるため、資産的に余裕がある幅広い業種の投資家が集まっています。ちなみに、年代としては30代~40代の方が多いですね。

ー取扱実績はどのくらいでしょうか?また、募集成功率はどのくらいですか?

大浦:平成30年5月28日現在の状況ですが、募集成功率は29/33、募集総額は約9.7億円を記録しています。

ー成功事例、エピソードがあれば教えてください。

大浦:弊社のホームページで紹介している方の中で、株式会社オールユアーズ 代表取締役の木村昌史さんという方がいます。
木村さん曰く、「ファンディーノを活用してから、Twitter・Facebookなどで株主さんとの交流が増加した」とのことです。株式や仮想通貨に投資している投資家周りにも認知度が高まり、既存の購入型のクラウドファンディングとは違った、新しい層が取り込めた側面もあるようですね。

投資家たちが見ている3つのポイント

ー募集の際に失敗しやすいパターン、成功しやすいコツがあれば教えて下さい。

大浦:投資家の方たちが見ているポイントとしては、大きく3つあると考えています。

1つ目は「スケール性」。これは将来的に会社が大きく成長していく見込みがあるかという軸です。主に当該企業の市場規模や成長性を見ています。

2つ目は「ユニーク性」。これは商品・サービスに新規性・革新性があるかという軸です。競合優位性や当該企業の市場でのポジションを見ています。

3つ目は「信用性」。第三者的な評価がどこまであるかという軸です。これはWEBページに記載されている情報のみで投資家は判断しないため、経営者、経営チーム、株主がどういうメンバーで信用できるかという視点で見ています。

ー資本調達やクラウドファンディングの業界は今後どうなっていくと思いますか?

大浦ファンディーノは「ブリッジファイナンス」であると考えています。つまり、これから新しい融資を受けるための「橋渡しの資金調達」ということです。
ファンディーノで資金調達を成功させた場合、ベンチャーキャピタルや投資会社、金融機関から追加の資金調達ができやすいという流れにしたいと考えています。

弊社はその中でベンチャー企業のデータベースを集めていく事で、ベンチャー企業の与信システムを構築していきたいと考えております。

資金が集まるべき企業に資金が集まる「フェアな金融」を目指す

ー起業して大変だったこと、また嬉しかったことは何ですか?

大浦:2015年5月に金融商品取引法が改正され、2016年10月に許可が下りて、2017年4月にファンディーノがスタートしました。
ファンディーノがスタートするまでに1年半ほどかかりまして、そのあいだ売上げがほぼゼロでした。費用だけが出ていく状態で非常に苦しかった思い出があります。
そんななか、弊社に対して投資をしてくださったエンジェル投資家、事業会社と出会うことができたのですが、本当に運がよかったと思います。こういった資金調達がうまくいく事は難しいと痛感しまして、ファンディーノを「ベンチャー企業に対するリスクマネーの供給ができる仕組み」として機能させていきたいという思いが強くなりました。

ファンディーノは2017年4月24日にリリースしたのですが、システム関係でギリギリまで調整をした結果、オープンできたのは朝の5時。これも大変でした。

ちなみに、スタートするまでは「ベンチャー企業に投資したい投資家などいない」「WEBから投資家を集めたいベンチャー企業なんていない」という意見が多かったのですが、オープンして3時間あまりで、目標額の1,460万円を達成することができました。「けっこう早く集まるのでは?」とは思っていましたが、ここまで短時間でとは誰も予想しておらず、市場が受け入れてくれたという実感は今までにない感動でした。

ー起業家が成功する上で大事なことはなんだと思いますか?

大浦:ビジョンを大きく持つ事が一番重要であると考えています。

ーご自身の夢や、今後の展望を教えてください。

大浦弊社は「フェアな金融を創る」というビジョンをかかげています。「フェア」の定義については、少人数ではなく集合知の中で意思決定がされるという事です。

特に、金融の場合は少人数で融資・投資が決まりますが、こういった少人数での意思決定をした場合、市場のニーズが把握しきれずに結果的に市場がもとめていない会社に対しての資金を投入してしまう問題があります。ここをクラウドファンディングの一番の特徴である集合知の中で資金調達をしていき、資金が集まるべき企業に資金が集まるというフェアな金融を実現していきたいと考えております。

Fintechの分野において、集合知のデータをいかに活用していくかが重要です。今後の展望としては、ベンチャー企業のデータを蓄積していく事での与信システムの開発を行っていきたいと考えております。

ー最後に、起業家にメッセージをお願いします。

大浦:先ほど投資家が見ている3つのポイントについてお話ししましたが、その中で特に重要なものを挙げるならば、「スケール性」と「ユニーク性」です。

「ビジネスモデルを構築する際は社会のどういった問題を解決していきたいのか」、「その解決をどの様にしていくのか」という流れで考えていく事が一般的かと思います。ですが、この問題設定がものすごく狭い領域の場合は「スケール性」が弱くなり、よくある問題設定だと既に競合が多いので「ユニーク性」が確保できません。

課題設定をする際には、「スケール性」・「ユニーク性」の観点から設定していく事でビジネスモデルが磨かれていくと思います。
ファンディーノでは、企業に対するリスクマネーの供給を促進させ、企業の成長支援を行うサービスを充実させていきますので、是非起業家にはどんどんと挑戦をしてもらいたいと思っております。

(取材協力:株式会社日本クラウドキャピタル/大浦 学
(編集:創業手帳編集部)

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