「推し」マーケティングとは?熱いファン層の「推し活」から生まれたビジネスチャンス

創業手帳

「推し」マーケティングの意味と可能性を解説


「推しマーケティング」という推し活動をターゲットにしたマーケティングが注目されています。
好きな人やキャラクターを「推し」と呼ぶファン層の広がりと彼らの「推し」への熱量によって、ビジネスとしても市場を広げています。

これからのビジネスチャンスを推測するためにも、推しマーケティングの意味や現状、今後の見通しについてチェックしてみましょう。
「推し」に関する用語や具体的な事例も解説します。

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「推し」とは


「推しマーケティング」を理解する上では、まず「推し」とは何か、その言葉の持つニュアンスや関連用語や類義語について知っておくことが大切です。
「推しマーケティング」は「推し」と呼ばれるものや人をターゲットにして、新しいファンマーケティングの手法の一種となります。

しかし、ブランドや商品、サービスなどのファンを獲得し、意見を取り入れるような展開ではなく、どちらかというとすでに熱烈なファンとなった人々に向けた手法として使用されています。

「○○を推す」という言葉から派生した「推し」とは好きなだけでなく、それを超えて他の人に推薦したいものという意味を持つ言葉です。
つまり、「推し」を愛するファンは自らが購買者となるだけでなく、発信者として商品やサービスなどのPRも請け負ってくれる可能性を持っています。

きっかけはアイドルグループから

「推し」という表現方法は、「○○を推す」「推薦する」という意味で使われていますが、もともとはアイドルグループのファン、つまりアイドルオタクが自分の好きなメンバーに対して使うことから始まりました。

アイドルグループには、様々な女性アイドルがいます。
その中でたった一人、自分が好ましく思い、他の人にもその愛らしさなどを教えたい、紹介したいと思える人をアイドルファンは「推し」と呼んだのです。
単なる「好き」という感情を超えた気持ちを的確に表現したのが、「推す」であり「推し」だったのでしょう。

始めは、自分がグループ内でもっとも好ましいと思い、他人に推したい女性メンバーを「推しメンバー」と呼びました。
それが短縮されて「推しメン」となり、最終形態としてさらに簡潔化されたのが「推し」という呼び名です。

対象は作品や人まで広い

アイドルグループのファンによって作られた「推し」という表現ですが、その対象はどんどんと広がっていきました。
「推し」という言葉は、女性アイドルにとどまらず、男性アイドルグループのメンバーに対して女性が使うこともあります。

さらに、漫画やアニメ作品・ゲームのキャラクターなどの二次元に対しても、自分のお気に入りで他人にも教えたい、勧めたいものを「推しキャラ」と表現するなど、推す対象は広がっていきます。
最終的には、その作品自体を推す人も出てきて、「推し作品」と呼ぶこともあるようです。

すべてに共通して言えることは、誰もが「推し」に対して深い愛情と共感を持ち、他の人におすすめしたい、良さを知ってほしいと思っていることです。
また、「推し」を恋愛対象として見ることもありますが、それを超えて親のような気持ちや崇めるような気持ちを持つ人もいます。

オタクとの違い

アイドルグループやアニメ、ゲームなどの愛好家という意味を持ち、「推し」と同じようなシチュエーションで使われる言葉に「オタク」があります。
「オタク」も愛するものに熱中しており、「推し」と似ている気がしますが、実際には違いがあるようです。
ただし、一般的に知られている、使われている用語としては、ほとんど同じ意味合いなので、あまり気にする必要はありません。

「オタク」と「推し」の厳密な違いは、その対象となるものにあります。「推し」は基本的には人(もしくは人のキャラクター)に対して使うことが多いものです。
現在では「推し」も物や作品に対象範囲が及びましたが、もともとはアイドルのような人が対象となります。

一方「オタク」が対象としたのは、アニメやゲーム、パソコンなどの人ではないものでした。
また、「オタク」には「推し」のようなファン要素よりも特定の分野に精通していることを表わすケースが多く見られます。

ただし、今では「オタク」も「アイドルオタク」のように、人を対象とした表現も見られるようになりました。
そのため、二つの言葉は元は違う使い方でしたが、同じように使われることも多いと考えた方が良いでしょう。

推し活動とは

「推し活動」とは、自分が推しているアイドルやアニメなどのイベントへ出かけたり商品を購入したりする活動のことを指します。
「推し活動」を短縮して「推し活」ということもあります。

推し活動の種類としてメジャーなのは、以下のような活動です。

  • キャラクター商品を購入する
  • アイドルの初回限定版のCDを購入する
  • コンサートやライブなどのイベントに参加する
  • アニメ作品などのシーンの元になった場所へ行く(聖地巡礼という)
  • 「推し」と同じ所へ行き、同じ行動をする(飲食や写真撮影など)

メインとなるのは、グッズ類の購買行動やライブ参加、聖地巡礼などです。「推し」に対する熱い思いを機動力にして遠方でも出かけますし、費用も惜しまずにかけます。「推し活動」のために貯金をしている人も多く、推しへの支出のために日々、節約を心がけているようです。

「推し」から生まれたファンマーケティング


「推し」へのファンの感情は留まることを知らず、たとえ大変なことがあっても労を惜しみません。
「推し活動」のためには日々の節制と貯金さえ行います。推しを持つ人のそういった熱量から、推しのマーケティングは市場規模を広げています。
推しから生まれたマーケットの現状を知っておきましょう。

「推し」の市場規模

「推し」を元にした経済効果は、一般的なアニメなどのキャラクターによる経済効果を大きく上回り、その規模は数百億円です。
一般的な人気の高いアニメや漫画、映画などのキャラクターは、ユーザー数こそ広いものですが、限られたユーザー数である「推し」を生む作品の経済効果の方がはるかに高くなっています。

ユーザー数では800万人を超えるアニメが市場規模200億円圏内に留まる一方で、ユーザー数は半分ほどですが400億円を超える市場規模を誇っているアニメもあります。

高い熱量がポイント

「推し」の市場規模が一般アニメーション作品などを超えているのは、その高い熱量が理由です。
「推し」に対する1人当たりの消費額が大きいため、ユーザー数は少なくても、大きな経済効果を生み出します。

また、「推し活動」のために消費することは、それ自体が「推し」のためになることであり、神聖なこととして昇華されます。
大切な人を自分の力でバックアップすることなので、お金を使うことそのものにも喜びがあり、正当な投資として自らが受容でき、罪悪感も後悔もありません。
そのため、いつまでも熱量は持続され、さらに貯蓄と消費に彼らを向かわせます。

多くの人が推し経験を持つ

前述のような高い熱量のファンまでではなくともライトな「推し活動」のような経験を持つ人は多いものです。
自分の気に入った作品の商品やグッズを購入したり、近場の「聖地巡礼」へ出かけたりした程度であれば、多くの人が経験しているかもしれません。
自分の好きなキャラクターとのコラボレーション商品を思わず手に取ってしまうという人もいるでしょう。

このように、多くの一般ユーザーも推し活のような経験を持っています。

コロナ禍で推し始める人も増加

新型コロナウイルスの拡大によって、外出や人と会うことなどが難しくなりました。それによって、新たに「推し活」を始めた人もいるようです。
株式会社クロス・マーケティングの調査では、新型コロナ拡大後に推し始めたものがある人は20代で回答者の4割を超えています。

丁度、時期的に爆発的な人気となったアニメーション作品をはじめ、オーディション番組から人気を集めたアイドル、ユーチューバーなどが推しの対象となりました。
新たなファンは、情報収集のための活動や推しのグッズ購入、ライブや作品を見るための商品やサービスの購入を希望しています。

「推し活」は当初ネガティブなイメージもあった「オタク」とは異なり、一般にも受け入れられやすく、誰もが気軽に参加して楽しめるものです。
今後も、一部のコアなファンに限らず、これまで興味を持たなかった人にまで拡大していく可能性があります。

ファンが「推し活」に夢中になる理由


ファンの熱量と若い世代の柔軟な受け入れによって、推しマーケティングは拡大が予想されます。
しかし、一体なぜ、推し活をしている人はあれほど夢中になるのでしょう。節約生活をしてまで、推しに情熱とお金を掛けるファンの気持ちを知っておくことが大事です。

推しから認められることによる承認欲求の充足

アイドルなどを推している人にとって、推し活を通して推している当人から認識されることは、最大の喜びです。
推しているアイドルが自分のことを名前で呼んでくれたり、一人の個人として認識してくれたりすることが、推し活のモチベーションとなります。

たとえば、アイドルグループの握手会イベントなどで、ファンが「推し」に会いに行ったとします。
そこは、順番に並んだファンたちが次々と「推し」と握手することができる場です。
ファンが多いとたくさん人が並んでいるため、多くのファンたちはアイドルである「推し」に名前を覚えてもらったり顔を認識してもらったりするのは難しくなります。
しかし、自分はもう何度も握手会に通っており、順番が来て「推し」の前に来たら、「推し」が自ら自分の名前を親し気に呼びかけてくれました。

こうした出来事が、ファンの心を満たし、もっと応援してあげよう、もっと仲良くなれるようにがんばろうと思わせるのです。
始めは「推し」に認められるように推し活をがんばりますが、認められたらうれしくなり、さらにのめり込みます。

推しが世間から認められていく過程の充実感

アイドルだけでなくアニメーション作品やキャラクターなど、二次元、三次元に関係なく推し活にハマる理由としては、推しを世間に認めさせたい、認められてうれしい親心のような気持ちがあります。

コラボレーション商品の購入やライブなどの参加の目的は、推し活をするファンにとっては自分の楽しみのためだけではありません。
自分の推しをスターダムに押し上げよう、人気ナンバーワンにしようという大きな目標を叶えるためでもあります。

アイドルであれば、地上波の番組に登場した、グループのセンターに抜擢されたなど、自分の推しの注目度が上がり、世間から認められることを喜びとします。
また、推しが世間から認められるまで、ずっと応援してきたことで、自分が育てあげたという充実感も生まれるのです。

流行に乗っていることに対する周囲からの認知

推し活をしている人の中には、自分自身が推し活を通して周囲の人から流行に乗っている人という評価をもらうことを喜びとする人もいます。
推しからの認知だけでなく、身の回りにいる友人などから注目され、「すごいな」と思われることも推し活の一つのモチベーションです。

前述しましたが、推し活は「オタク」とは異なり、最初から世間からの評価もよく、一般的にも認められています。
そのため、推し活をしていることを公言し、SNSなどでも推しについて発信することで、自分が流行の最先端を走っていると示す人も多いです。

「推し」とビジネスを掛け合わせた事業例紹介


「推し」とビジネスを融合させた事例を紹介しましょう。今後、こういったイベントや企画が増えていくことが推測されます。

コラボカフェ

コラボカフェは、推しをカフェと組み合わせたモデルで、アイドルをはじめアニメやゲームなど、様々なコラボレーション企画が行われています。
その作品の世界観を店内の装飾で表現したり、アイドル本人が考案したメニューや作品やキャラクターにちなんだメニューを提供したりされています。

実際に開催された事例でいえば、その聖地とされる原宿で行われたコラボカフェが有名です。
アニメ作品をモチーフとしたコラボレーションで、コラボメニューやドリンク、イベントなどがありました。

コラボレーションは、アニメ関連ショップなどが開いたカフェはもちろん、一般飲食店やテーマパーク内の飲食店が開催することもあります。

コラボ菓子

コラボ菓子も推し活として購入したくなるものの一つであり、一方でアニメなどを楽しむ子どもたちが購入しやすいものでもあります。
ターゲットは推し活するファンだけではなく、気軽にちょっと手に取りやすいジャンルです。

その時期に人気の高いアニメーション作品のコラボが多く、人気を博しています。お菓子にはカードやシールなどが付いていることも多く、ファンの間ではそれらグッズの交換なども盛んに行われているようです。

コラボ衣料

コラボ衣料は、長く愛用できるアイテムです。愛着のあるキャラクターなどの衣類をいつも身に付けていたいファンの気持ちをくすぐります
キャラクターなどがプリントされたTシャツやパーカー、トレーナーなどのカジュアルウェアが中心で、トートバッグや下着などもあります。

アニメーション作品とのコラボ衣料の制作販売を長く続けているのが、しまむらグループの「Avail×CHARACTERS」です。過去の人気アニメーション作品から最近の話題作まで、次々に新アイテムを発表しています。

まとめ

推し活をターゲットとした推しビジネスは、ファンの熱量によって思いがけない大きな経済効果を生んでいるようです。
市場規模は熱心なファンと一般大衆にも受け入れやすい親しみやすさで、今後も拡大の可能性があります。

推しマーケティングを考える上では、特に10代、20代の若年層の動向から目が離せません。
ビジネスで次の一手を探している人は、若い世代の流行に目を向け、推しの力を取り入れてみるのも良いでしょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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