デジタルマーケティングのプロが伝授!押さえておきたいデジタルマーケティングの基本【ウェブ解析士連載その1】

創業手帳

デジタルマーケティングでビジネスを加速させる!サイトの成功条件をプロが解説

デジタルマーケティングでビジネスを加速させる!サイトの成功条件をプロが解説

昨今、どのような業種やビジネスでも、デジタル活用が必須となってきています。

しかし、だからといってただデジタルを導入すればいいというわけではありません。たとえば、自社のウェブサイトを作成したとしても、そのままにしていては意味がないのです。

作成したウェブサイトにどのように訪問してもらうのか、どのように売上につなげるのかなどを検討する必要があります。

そこで重要になってくるのが「デジタルマーケティング」です。デジタルマーケティングを活用することで、あなたのウェブサイトに訪問を増やして売上へとつなげることができます。

この記事では、デジタルマーケティングを体系的に学んでいるウェブ解析士としての経験から、デジタルマーケティングの基本や進める上での注意点などをご紹介します。

神谷 英男(かみや ひでお)
マーチコンサルティング代表。
ウェブ解析士マスター、上級SNSマネージャー。
大阪産業創造館、大阪商工会議所、中小企業庁ミラサポ専門家派遣の登録専門家として、新規創業・中小企業等のデジタルマーケティングの改善を支援。専門分野はGoogleタグマネージャーによるデータ取得環境の構築、ウェブサイトの総合診断、戦略策定、改善提案。ウェブ解析士アワード4年連続受賞(2016〜2019)。

仙田 利夫(せんだ としお)
中小零細企業のウェブサイト・ECサイト・動画チャンネルの構築、ショッピングモールの出店からSNS運用を含め集客・運用コンサル・解析等をワンストップで提供している。
資格:個人情報保護士、個人情報保護監査人、上級ウェブ解析士、第二種情報処理技術者(国家資格)、マイナンバー管理士
http://www.bunsendo.jp/

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デジタルマーケティングとは?

パソコンを打つ人
デジタルマーケティングとは、インターネットやITを利用して商品・サービスを宣伝するマーケティング手法のことです。

デジタルマーケティングでは「ウェブ解析」「ウェブマーケティング」を組み合わせて行います。

まず、ウェブ解析で誰がホームページにアクセスしたのか、どれくらいのアクセスがあるのか、誰がクリックしたのかなど、様々なデータを取得します。

ウェブ解析だけではただのデータとなってしまうため、さらにウェブマーケティングを行なってデータを分析していきます。

このデジタルマーケティングを行うことによって、ユーザーの心理や行動などが明らかとなり、事業の成長や売上の成長に繋げることができるのです

なぜデジタルマーケティングが重要になってきているのか?

スマートフォンとパソコンでデータを確認する人たち
2015年以降、インターネット広告費は2桁成長を続けており、2019年にはテレビメディア広告費を超え、2兆円を突破しました

また、EC市場も大きく広がっており、2019年には前年7.6%増で19兆4千億円を突破しています。

このように、広告やチャネルなどにおいてインターネットの役割が大きくなってきており、ビジネスにも大きな変化を与えています。

たとえば、Netflixは映画やアニメの楽しみ方を、Airbnbは宿泊の概念を大きく変えました。Uberはタクシーを持たず、交通業界に大きな変化をもたらしています。

インターネットの普及によって顧客との関係性が大きく変化し、多様なデータを取得できるようになった結果、新たなビジネスが生まれてきているのです。

このことから、デジタルマーケティングはインターネットやITを活用したビジネスに欠かせないものとなっています。

デジタルマーケティングの業務内容

デジタルマーケティングというと、データ分析やレポーティング、広告配信を連想する方が多いかもしれません。

しかし、デジタルマーケティングの最終ゴールは、事業を成長させることです。

事業を成長させるためにデータを分析したり、ウェブ広告を配信したり、ウェブサイトの改善を行ったり、アプリを開発したり、様々な手法を実施します。

デジタルマーケティングの業務内容には、下記のようなものがあります。

データ解析
ウェブサイトに誰が何回くらい訪問したのかなどのアクセス解析やSNSなどのトレンド分析、売上、登録数、マスメディアの広告効果など、オンラインに限らずビジネスに活用できるオフラインデータの解析を行います。
ウェブの施策検討
ウェブサイトの設計や広告配信計画、アプリの設計、コンテンツ作成、ECサイトの運営など、データ解析を軸としたウェブの施策検討を行います。
経営・マーケティング戦略の検討
ご紹介したように、ウェブマーケティングの最終ゴールは事業の成長です。

そのため、データ解析の結果を活用することで、施策の検討だけでなく、経営やマーケティング戦略の検討も行います。

デジタルマーケティングで成功した事例

今回は、看護師を対象とした研修や、患者ケアの認定資格を提供しているお客様の事例をご紹介します。

このお客様は2017年に会社を立ち上げ、新規集客のため、ウェブサイトで記事の投稿や活動内容の告知などを定期的に実施していました。

しかし、問い合わせや申し込みに至らない状況が続いていました

そこで、データを解析したところ、下記のようなことが分かりました。

  • ウェブサイトのアクセス数が1日に10件も満たない
  • ほとんどが既存ユーザーからのアクセスだった

つまり、ウェブサイトが新規集客にあまり貢献できていないことが判明したのです。

定期的に更新しているにも関わらず、それが成果に結びついていないのは、お客様にとってかなり辛い状況ですよね。

このことから、まずは無料のキーワード調査ツールを利用し、おもなターゲット層である看護師の目線に立って、どのようなキーワードで検索するかをお客様とともに洗い出しました。

そして、抽出したキーワードをもとに記事投稿を増やしていただいた結果、およそ1カ月でアクセス数が10件/月から6,000件/月にアップすることができました。

ただ、アクセス数のアップはあくまで一つの通過点にしか過ぎず、最終目標は問い合わせや申し込みに結びつけること。

そのため、現在はサイト内の導線やお客様の強みのアピールを主軸に改善を続けています。

「ウェブサイトは自動でお客様を獲得する営業マン」をうたい文句にしている方もいますが、そこに至るまでにはお客様が主体となり、地道な改善活動を積み重ねていくことが何よりも大切です

デジタルマーケティングにおいて意識すべきポイント

デジタルマーケティングする女性
ご紹介したように、デジタルマーケティングは様々なデータを分析してビジネスにつなげることです。

つぎは、デジタルマーケティングにおいて意識すべきことを確認していきましょう。

1.UXとCX

1点目は、顧客体験です。

現在、商品のサービスや機能などによる差別化が難しくなってきている中で、どのように顧客と接点を築き、その中でどのような感動体験や満足な体験を提供できるのかが重要となります。

顧客体験では、大きく下記2つの概念が重要です。

  • UX(ユーザーエクスペリエンス
  • CX(カスタマーエクスペリエンス)

UX(ユーザーエクスペリエンス)は、ウェブサイトやアプリを通したそれぞれのユーザーの体験のこと。CX(カスタマーエクスペリエンス)は、ウェブサイト・商品・アプリ・アフターサービスなどの一連の流れを通した体験のことです。

デジタルマーケティングでは、顧客の行動データを分析することでウェブサイトなどのUXの設計を行います

しかし、現在はデジタル関連だけでなく、購買体験やコールセンターなども含めたCX設計まで意識することが必要となってきています。

ウェブサイトに訪問するターゲットの目的は何か、どのような課題を解決するために商品を求めているのかなど、大きなマーケティングの流れを把握した上で、デジタルやウェブの施策の検討・改善が必要になります。

2.エンゲージメント

2点目は、エンゲージメントです。

従来のプロダクトは、買ったらそこで終わりという買い切り型でした。

しかし、現在はサブスクリプションモデルが広まってきて、買い切り型ではなく契約してからが顧客との関係性のスタートというビジネスが増えてきました。

ここで重要になってくる考えがエンゲージメントです。エンゲージメントを高めることによって、顧客はプロダクトやブランドに対して信頼や愛着をもち、中長期的な関係性を築きたくなり、ライフタイムバリューを高めることもできます

デジタルを通して、様々な接点をもつことが可能になったり、顧客の様々なデータを把握して分析することが可能になったことによって、顧客のエンゲージメントを高めるための様々な手法を行えるようになりました。

デジタルマーケティングを通して、このように顧客のエンゲージメントをどのように高めるのかなどの施策を検討することも重要な業務の一つです。

デジタルマーケティングにおける2つの注意点

プライバシーのイメージ画像
デジタルマーケティングの概要に関してご紹介してきましたが、デジタルマーケティングを進める上での注意点もあります。

ここでは、代表的な注意点を2つご紹介します。

GDPRの施行によって意識が高まる「プライバシー保護」

EUがプライバシー(個人情報)の保護を目的としたGDPR(※)を施行し、世界的にプライバシー保護への意識が高まっています。

※GDPR・・・EU加盟国を対象に、個人データの保護や取り扱いに関して規定した法令のこと。

これまではあまり意識されていなかったIPアドレスやCookieなども個人情報として取り扱われれ、取得するために消費者からの同意が必要となりました。

ご紹介したように、ウェブマーケティングにおいて重要な要素の一つがデータ分析や解析です。個人情報の管理の意識が高まっている中で、どのようなデータを集めるのかなどをしっかり考えていく必要があるのです。

これからのプライバシー保護に必要な視点

昨今では企業のグローバル化が進み、インターネット通販なども含めて国境を越えた商取引が広く行われています。

日本という枠組みの中だけで事業展開の在り方を考えるのは、とても困難な状況にあるのないでしょうか。

そのため、プライバシー保護への取り組みもグローバルな視野が必要となってきています。たとえば、EUのプライバシー保護の法令「GDPR」への対策が挙げられます。

「EUに子会社や支店、営業所をもつ企業」
「日本からEUに商品やサービスを提供している企業」
「EUから個人データの処理について委託を受けている企業」

などは、現地法人の従業者や顧客の個人データをGDPRの原則にもとづいて適切に扱わなければなりません。

EUでのプライバシー保護の法令「GDPR」という動きをひとつのきっかけとして捉え、さらにもう一歩ふみ込んで考える必要があるのではないでしょうか。

企業が情報の取り扱いやセキュリティについて再考することは、企業の社会的価値を高めることにもつながると思います。

「アドフラウド(広告詐欺)」への対処

広告配信プラットフォームが発展したことで、メディア側も営業せずに広告を配信することが可能となりました。

その結果、アドフラウド(広告詐欺)に遭遇する危険性も出てきています。

アドフラウドとは、広告主が望ましい結果につながらない場所に露出したりすることで、成約毛抜数や効果を不正に水増しされてしまうことです。

2014年の米国の業界団体では、広告の56%が1秒以上露出されたインプレッション(※)、ビューアブルインプレッション(※)になっていないと報告されています。

ウェブマーケティングにおいては、自社やクライアントの成功を実現させるのが目的の中で、このようなアドフラウドを見抜くことも求められてきます。

※インプレッション・・・広告の表示回数のこと
※ビューアブルインプレッション・・・実際にユーザーが閲覧できる状態のインプレッションのこと

まとめ

ビジネスの中でデジタル(インターネット)の重要性が高まってきていることをご理解いただけたでしょうか。

これからの時代は、どのようなビジネスであったとしても「デジタルマーケティング」を意識する必要があります。

デジタルマーケティングといっても、ウェブやデジタルについてだけでなく、経営やマーケティングなどの幅広い視点が必要です。これからウェブマーケティングを勉強する方は、マーケティングなどの幅広い視点をもつようにしましょう

(次回に続きます)

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(監修: ウェブ解析士協会
(編集: 創業手帳編集部)

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