「マーケティングオートメーションツール」って何? 創業期から知っておきたい活用のポイント

創業手帳

マーケティングを効率化するMAツールについて解説します

(2019/06/28更新)

マーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)は、文字通り、あらゆるマーケティング活動を自動化するサービスです。「取引先がどこから流入・コンタクトしてきたか」、「どのようなマーケティング戦略を立てるか」、「最も効果の高いメールを作成するにはどうすればよいか」など、マーケティングに関わるあらゆる行動を自動で管理・分析・効率化することができます。

概要だけ聞くと、「会社の規模がある程度大きくなってから導入するツールなのでは?」と考える創業者も多いかも知れません。

もちろん、顧客や取引先の数が少ないステージでは人力での把握で間に合うかも知れませんが、事業を拡大し顧客が増えていくにつれて大量の情報を適切に処理し、効果的なマーケティング戦略を立てるには限界があります。MAツールを導入すれば、自動でマーケティング部門の役割をツールが肩代わりしてくれるのですから、創業期にこそ心強いツールといえます。

ゆくゆく不可欠になってくるツールとして、創業期から活用や導入のポイント、どんな事業に必要なのかなどを知っておいて損はないでしょう。 使いこなせれば強力な武器になるMAツールについて、概要と実際にどんな使い方ができるのかを解説し、代表的なツールの特徴を紹介します。

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MAツールの概要

MAツールは国内外のベンダー(販売業者)が提供しており、自社のサーバを使うものと、クラウドサーバをベースにしているものがあります。顧客のデータを自前で用意した格納場所に置くか、他者が提供しているサービスを使うかの違いです。MAツールが備えている活用方法は各サービスによって多彩ですが、マーケティングのステージに合わせておおまかに次のように分類整理できます。

1)見込み客の創出・開拓段階
過去のコンタクトデータ整理・集約・分析/見込み客の抽出 

2)見込み客の育成段階
・広告・ダイレクトメール等の作成機能 
・セール・セミナーなどイベントの管理および集客 
・広告コンテンツ・顧客管理(CRM)・AIなど、他のサービスとの連携

これらの機能により、マーケティング活動の自動化・省力化を図ることができます。さらに、クラウドベースのMAツールを導入した場合、導入コストが低い、という特徴がありますので、創業期の経営者にも利用しやすいと言えます。

MAツールの実例

MAツールとして、具体的には市場にどのようなサービスがあるのでしょうか。市場シェアの上位にあるMAツールの例を見ていきましょう。

Pardot

特色:定評あるCRMサービスとの連携に強み 
価格:月15万円から

Pardotは米セールスフォース社のMAツールです。セールスフォース社はSalesforce.comというCRMサービスで顧客管理に圧倒的な実績を誇っています。Pardotは、リード抽出から育成・履歴データの管理まで、マーケティングのすべてを同社のサービスで運用できるツールです。市場シェアはNo.1と言われています。

BowNow

特色:有人サポートや無料プランの提供で導入のしやすさに強み 
価格:月0円から

BowNowは、Mtame株式会社のMAツールです。国産ツールとしては比較的に高いシェアを占有しています。特徴は、無料プランが利用可能であり、日本語の有人サポートも準備されていることです。そのため、大きなIT部門を持たない会社でも導入が容易です。また、スコアリング(顧客の価値を数値化すること)やシナリオ設計(どの顧客にどのようなPRを行うか定めること)といった機能を省いていたり、シンプルな操作が可能な設計なので、即運用できるところも導入のメリットといえます。

Marketo

特色:発信力・パーソナライズドマーケティングに強み 
価格:要問合せ

米マルケト社のMAツール、「マルケト」は世界で6000社、BtoB・BtoCを問わず導入されているMAツールです。ソーシャルメディア・パーソナライズ(顧客ひとりひとりの興味関心に合わせること)した広告を配信するダイレクトメール・顧客向けWebサイトへの誘導など、会社からの情報発信に機能特化している点が特徴です。見込み客の育成をしっかりと行いたい事業者向けのツールといえます。

List Finder

特色:顧客情報の集約・整理に強み 
価格:初期費用10万円、月3万円から

List Finderは、法人向け比較資料請求サイトを運営する株式会社イノベーションのMAツールです。主にBtoBビジネス向けのMAツールで、営業支援のための顧客リスト生成機能に強みがあります。月3万円台から導入が可能ですので、中小企業でも導入しやすく、現在BtoBビジネスでのシェアはトップと言われています。

HubSpot

特色:Webマーケティングでのリード開拓に強み 
価格:月6000円から

米Hubspot社が提供するMAツールで、完全無料のCRMサービスがついているところがセールスポイントの一つとなっています。Webサイトなどを通じて、見込み客の興味関心を引くコンテンツを配信することで集客につなげる「インバウンドマーケティング」のスタイルにあった機能が充実しています。例えばブログの活用によるWebトラフィック(訪問数)の拡大・コールセンター支援機能などを比較的安価に導入できるため、スタートアップ企業にとっても魅力的と言えるでしょう。

上記に挙げたMAツールは、すべてクラウドベースで導入が可能です。

MAツールを創業期から利用するメリット


創業期、本業にできるだけ注力する時間を作るには、業務の「自動化」がカギになります。広告も漠然とソーシャルメディアを活用するのではなく、使うツールを効果のあるものに絞り、戦略的に運用する必要があります。そんな時、MAツールは見込み客の絞り込みを助けると同時に、作業の自動化により本業に割く時間を増やすことに繋がる協力なツールです。
適切に導入すれば、創業期の人手不足も、MAツールで補うことが可能となるかもしれません。

さらに、MAツールの分析機能は、使う企業の規模を問わないので、創業期でも大企業と同等の見込み客データ分析をすることができます。言い換えれば、人件費の高いマーケティングの専門家を雇わずとも、大会社並みの分析力を持つことができるのです。

MAツールを使って蓄積した顧客のデータは、長きに渡って会社の重要な資産となります。MAツールを使えば、大量のデータの管理も比較的に容易ということができますので、手間をかけず資産を育てることが可能です。

MAツールが向かない業種はある?

MAツールはもともとBtoCビジネス向けのツールとして開発されました。そこで、BtoC領域の業種のほうがなじみやすいと思われがちです。しかし、BtoB領域においても顧客情報の管理・見込み客の開拓や育成は必要ですし、実際BtoB向けに特化していることを売りにしているMAツールもあります。このことを考えると、導入の判断にBtoCかBtoCか、といった区別はあまり問題にならず、サービス選定の段階でそれぞれの活動に向けたツールを選ぶと良いでしょう

一方、MAツールは、Web上の情報資産が少ない会社や、販売チャネルが少ない会社、ベテランの営業社員が顧客に直接向き合う営業スタイルの業種などには向いていない、と言われています。顧客に関する情報資産が少ないと、MAツールのメリットを活かしきれないからです。

とはいえ、Web資産が少ない会社は、むしろHPやソーシャルメディアの拡充により顧客情報を増やしていくことが課題であることが多く、そのためにMAツールを利用する必要が出てくることも十分に考えられます。

現在、多くの会社が、創業初期からWebやソーシャルメディアを運用しています。大量の顧客データの分析だけでなく、将来的なデータ分析の必要性を見据えて、創業期の人手の余裕のない創業期にこそ導入を検討したいところです

MAツール選択のポイント 機能とコスト


MAツールのメリットは、自社の業態・業容に合わせたサービスを選ぶことができるかどうかによって大きく左右されます。実例で挙げたように、MAツールの機能は幅広く、サービスによって注力している機能も多様であるため、各サービスが提供しているトライアルなどを利用して、実際に運用する上での使用感などを見極めたうえでの導入を検討する必要があるでしょう。

コストはクラウドベースのMAツールの場合、高価な設備投資をする必要がある自社サーバーを使う場合に比べて、導入のハードルが圧倒的に低いです。ランニングコストとしては月額数万円から10数万円ほどを想定すると良いでしょう。自社に無理のない費用で幅広い選択が可能ですので、業容とコスト面でも合致するツールを選択することにより、低コストで大きな効果を実現できそうです。

まとめ

MAツールは、使い方次第では低コストで最大効果を生み出すことができます。 導入にあたっては、事業内容や、将来的なスケールなど、自社を取り巻くマーケティングの流れをしっかりと把握した上で、最も適したMAツールを選ぶことをおすすめします。

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(編集:創業手帳編集部)

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