ブロックチェーンは社会をどう変える?ビジネスにおける活用方法も紹介!

創業手帳

初心者にも分かりやすく仕組みや活用方法を解説!ブロックチェーン入門

ブロックチェーン技術

(2020/04/16更新)

近年、ビットコインなどの仮想通貨とともに、よく耳にするようになったブロックチェーン技術。ブロックチェーンは仮想通貨を支える技術で、主に金融の分野で使われています。

しかし、ブロックチェーンは金融だけではなく、様々な分野に応用することができるため、世界で非常に注目されています。

ブロックチェーンは、社会や私たちの生活に、どのような変化をもたらすのでしょうか。
ブロックチェーンがどういった技術なのかといった基本的なことから、社会にどのような変化をもたらすのか、ビジネスにどう活用できるのかについて、Q&A形式で解説します。

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ビットコインを可能にしたブロックチェーン技術

Q.ブロックチェーンはどのような技術?

ブロックチェーンは、別名で「分散型台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)」といいます。名称のとおり、基本的には取引や記録の土台となる帳簿を支える技術です。

ブロックチェーンの説明図

経済産業省の発行している上記の図が、ブロックチェーンのイメージとして分かりやすいと思います。
ブロックチェーンは、ビットコインなどの取引履歴を各ブロックにまとめ、連なるような状態で保存する技術です。

Q.ブロックチェーンの仕組みとは?

ブロックチェーン技術の大元となるのが、FinTech(※)のサービスであるビットコインという仮想通貨です。

ブロックチェーンは、このビットコインを実現するために生み出された技術といえます。

私たちが日常的に使っている既存のお金は、中央集権型のシステムの上に成立しています。
政府が発行したお金は、銀行が管理していますよね。私たち消費者は、銀行を介することによって取引や貯蓄など、お金を扱うことができています。

電子マネーでも、発行元はJR東日本やポイントカードを発行している企業です。使用者である私たちは、それらの管理機関を介して、お金にアクセスしています。

しかし、ビットコインを筆頭とするブロックチェーン上の通貨は、ネットワーク上で管理されています。金融機関などの管理機関を介さず、ネットワークに参加している世界中の人たちが主体となって、自分たちで管理し合っているのです。

これをP2P方式といいます。

簡単にいえば、参加者全員が同じブロックチェーンを保有することで、ブロックチェーンという台帳に書かれていることに間違いがないのかを、相互に確認し、認証し合います。そうすることによって、通貨の存在を証明し、取引の正しさを立証するという仕組みです

ブロックチェーンを通じて、主に銀行が特権的に行っている運用検証作業を、一般の人でも行うことが可能となりました

※FinTech・・・金融とテクノロジーを融合させた、革新的な商品・サービスのこと

3種類のブロックチェーン技術と可能性

ブロックチェーンの管理図

Q:ブロックチェーンの種類は、どのようなものがありますか?

大きく分けると、パブリック型コンソーシアム型プライベート型の3種類に分けられます。

パブリック型は、ビットコインのように誰でも参加することが可能で、管理者が不在でもシステムが成り立つブロックチェーンです。

P2Pネットワークに接続されている各コンピューターが、ブロックチェーンのデータをすべて保有しています。一部のコンピューターがダウンしても、他にもデータを保有するコンピューターが存在するため、全体が停止することはありません。

一方、コンソーシアム型、プライベート型は、管理主体を設置する形態のクローズドなブロックチェーンです。

金融機関などで開発や実証実験が行われていて、複数の管理者で構成されるコンソーシアム型と、単体の管理者で構成されるプライベート型に分類できます。いずれも、管理主体が参加者を信頼できる者に限定することで、悪意のある参加者を排除しています。

Q.ブロックチェーンは、どういったことに活用できるのでしょうか?

ブロックチェーン技術は、参加者間の情報認証や履歴を時系列に記録することを前提としているため、トレーサビリティ(※)の証明、本人確認、医療情報管理など、様々な場面で利用できる可能性があります

世界中の政府や企業が、共同でブロックチェーンに関するポリシーやガバナンスの策定に取り組んでいます。日本でも、今年2月に内閣官房が主催する「ブロックチェーンに関する関係府省庁連絡会議」第2回が開催されました。

このような情報を追うことで、国の技術に対する方向性や、今後必要とされるビジネスが分かります。

※トレーサビリティ・・・生産や流通の履歴を正確に記録・管理すること

多様な分野で活用され始めているブロックチェーン技術

ブロックチェーンの可能性

Q.ブロックチェーンは、社会にどれほどの影響を与えますか?

様々な業界で技術が普及してくると、ブロックチェーンはとても身近なものとなります。

経済規模をみると、1兆円規模の価値の流通・ポイント化や権利証明行為の非中央集権化をはじめ、13兆円規模のシェアリングエコノミー、20兆円規模の取引管理、そして32兆円規模のサプライチェーン事業が予想されています。

このように、ブロックチェーンは、幅広い分野に影響を与える可能性がある技術なのです。

Q.海外や国内で、ブロックチェーンを活用している注目の企業やサービス、スタートアップを教えてください。

興味深い米国のスタートアップを3つ紹介します。

1つ目は、マサチューセッツ工科大学(MIT)とコラボレーションしているLearning Machine(ラーニングマシーン)社です。この企業は、実際にBlockcertsというブロックチェーン上の証明書を発行、保存、閲覧可能にしています

マサチューセッツ工科大学の卒業生には、このデジタル証明書をすでに発行し始めています。

これが正式に広まれば、教育関連の証明書だけではなく、運転免許証などの身分証明書や、病院の診察履歴なども証明できるようになります。

2つ目は、Chronicled(クロニクルド)社です。

この企業は、ブロックチェーン対応のIoTデバイスを活用し、より透明性の高いサプライチェーンを実現しています。 分散化され、時系列化されたエコシステムによって、製品や貴金属などの出荷する物すべての動きを追跡できます。

これによって、ブランド品の偽造品を発見したり、生産地の偽りを無くすことなどが可能です。また、物流の過程では、貨物がどこに移動し、誰が処理しているのかを追跡できるようになります。

3つ目は、Mediachain(メディアチェーン)社です。この企業は、ブロックチェーンベースの音楽プラットフォームを展開し、クリエイティブな作品をオンラインで登録・識別・追跡して、コンテンツに関する元の情報を特定できるようしています

Mediachainを使用すれば、オープンソースの分散化されたスペースで、クリエイターと開発者が共同作業を行うことも可能となり、世界で著作元を証明することができます。音楽ストリーミング大手Spotify社が、数年前に買収しました。

Q.新型コロナウイルス感染症にも、ブロックチェーンは活用できますか?

現在、深刻な被害を及ぼしている新型コロナウイルス感染症も、ブロックチェーンを使ったソリューションの可能性が多く検討されています。

中国やオランダでは導入されていて、個人の治療情報の管理や、医療器具のサプライチェーンの追跡を始めています。分散型のデータベースによる情報の管理は、感染の予防や情報共有に大きく役立ちますよね。しかし、各国が協力して作るのは、まだ難しいことが課題です。

ブロックチェーンの学習ポイントとビジネス活用に必要なこと

ブロックチェーンの学習

Q.ブロックチェーンを学ぶ方法や学習のポイントについて教えてください。

今はインターネットで学べる時代なので、eラーニングを活用する人が多いと思います。海外では集中コースなどもあり、インドネシアのバリで3か月の学習コースに通う人もいます。

ビジネスにおけるブロックチェーンの汎用性や可能性をみていくには、ブロックチェーンの基礎を理解した上で、最新動向に目を向けることが必要でしょう

新興技術は常に進化しているので、ブロックチェーンに関する新しい技術や企業が出てきたときの、正しいメディア選定と情報収集能力が重要です。

Q.ブロックチェーンをビジネスに活用するために必要なこととは?

ブロックチェーンによる社会変革は、数十兆円を超える市場規模と予想されています。ブロックチェーンを活用できる領域は、とても幅広いので、どの分野に注力するのか、また既存の形からどう移行できるのかを見据えた起業設計が必要です。具体的には、行政や市場、業界が対応できるスピードとニーズを見計らった設計ですね。

また、AIや機械学習の分野でもよく議論されているように、技術が先行して人間の脅威になることを防ぐといった、倫理面を考慮した技術の発展を進めていくことが、ブロックチェーン技術にも必要となってきます。

スタートアップでブロックチェーン技術を活用したビジネスを行うには、大企業と比べて資本が少ないスタートとなりますが、新興技術の分野では迅速に動いていくことで、将来的に業界のNo.1になることもあり得るので、非常にチャンスが多い分野といえます。

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(執筆: 米山 怜子)
(編集: 創業手帳編集部)

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