2024年問題とは?何が起きる?いつから?労働時間は1日何時間?わかりやすく解説
2024年問題で給料は減る?2024年問題を守らないとどうなる?わかりやすく2024年問題を解説します
2024年問題が各メディアで取り沙汰されるようになってから久しいですが、その内容を詳しく理解されていますでしょうか。主に運輸業界に影響を与える問題ではありますが、それ以外の業界にも影響があり、ビジネスパーソンであれば全員理解しておくべきテーマ・問題です。
本記事では、そんな2024年問題とは何が問題なのか、どのような影響があるのか、などについてご紹介します。
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この記事の目次
2024年問題の背景。何が起きているのか?
2024年問題は、国が推し進めてきた働き方の中で新たに成立・施行することとなった働き方改革関連法案によって引き起こされる問題でした。
つまり、その背景には働き方改革があるのです。
特に運輸事業においては、少子高齢化による慢性的な人手不足のため、働き手も不足してしまい、結果として業界では長時間労働が横行していました。
また、コロナ禍にあっても急成長を続けるEC市場の規模拡大によって、宅配便の取り扱い個数が激増し、それによって輸送事業者たちはさらに追い込まれるようになりました。時間指定などもあるため、労働時間の制限がなかなか難しくなっていたのです。
このような背景があり、政府が働き方改革を推し進めた結果、「2024年問題」と呼ばれるようになりました。
2024年問題でどのような影響があるのか
2024年問題として、特に注目を浴びているのが運輸業界です。
運輸業界では常態的な長時間労働が横行しており、時間外労働が年間960時間を超えることもしばしばありました。しかし、そうした長時間労働によって、納期までに顧客の荷物を配送することが実現できていたのも事実です。
ですが今回、2024年問題によって長時間労働が規制対象となります。
そのため、輸送事業者はその分労働者を多く雇用する必要があり、それに伴い、輸送コストが上昇します。また、2023年4月より、中小企業で月60時間の時間外労働がある場合、割増賃金率が25%から50%に上昇しました。この人件費の増加によって、輸送事業者側の利益がさらに減少することとなりました。
元々、ドライバーは月100時間未満、2〜6ヶ月の平均で80時間以内という一般の労働者の労働時間制限からは除外されており、ある月に時間外労働が100時間に達しても、他の月で時間を調整し、年間960時間を超えない限り問題はありません。しかし、このような時間外労働のコスト増によって、従業員・配達パートナーに積極的に時間外労働をさせる大手輸送事業者の数は減少するでしょう。
これらの運輸コストの増加は、運輸サービスの価格上昇にもつながるでしょう。運輸サービスを日常的に活用している事業者にとっては、このコスト構造の変化はダイレクトに利益減少につながる可能性が高いです。
宅配便大手のヤマト運輸は、これまで小型荷物の配達を多くの個人事業主に委託してきましたが、2024年度末までにはその契約をすべて終了することを発表しました。約3万人もいた個人事業主が雇用を失うこととなります。
その背景にはもちろん、2024年問題があります。今回の制度変更による配送コスト構造の変更を見越してのことでしょう。
運輸事業者に配送を依頼する事業者側が考えなければならないのは、輸送コストの上昇です。コロナ禍・ウクライナ危機から始まったガソリン料金の値上げなどだけではなく、2024年度問題も輸送コスト上昇の要因となり得ます。単純に1人当たりの労働時間が減ってしまうため、より多くの人数で配送しなければならなくなるためです。
特に中小の運送事業者はコスト増に耐え切れず、倒産してしまうところもあるでしょう。効率の良いオペレーションが確立された大手運送事業者に仕事が集中していくかもしれません。
2024年問題で1日何時間まで労働時間が制限される?
では、2024年問題によって、実際に1日で稼働できる時間はどの程度になるのでしょうか。
2024年4月1日から、時間外労働時間の上限が年間960時間までになります。960時間を12ヶ月で割ると、1ヶ月80時間まで時間外労働が可能です。
1ヶ月に20日間労働すると仮定すると、1日約4時間までは時間外労働が可能です。1日8時間労働の計算であれば、12時間程度まで毎日働ける、ということです。
1ヶ月25日間労働の場合では、1日に3.2時間まで時間外労働が可能です。つまり、1日11.2時間程度まで働ける、ということになります。
運輸事業者の場合、繁忙期と閑散期の差もありますのでこの限りではありませんが、目安としてこの程度の数字であると知っておくと良いかもしれません。
2024年問題を守らないとどうなる?時間外労働の上限規制を破った時の罰則
年960時間を超えて従業員に労働させてしまった場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
割増賃金を支払わなかった場合も、同様に6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになっています。
2024年問題でドライバーの給料は減る?
2024年問題によって、多くのトラックドライバーの給料は減少する可能性があります。
会社員として働いている場合、残業代も給料として含まれているために、残業しにくくなればその分だけ給料が減少してしまいます。
また、軽貨物委託会社のスタッフとして大手運輸事業者から宅配業務を委託されている会社で働いている場合、運んだ荷物数に応じて給料が支払われることも多く、労働時間が減ってしまえばそれだけ運べる荷物数も減ってしまい、給料も減ってしまうでしょう。よく「個人事業主扱い」と呼ばれることも多い軽貨物委託会社のスタッフですが、自社の雇用体系をよく見直してみてください。
2024年問題に備えて考えておくべきこと
2024年問題に向けて配送業者側と利用者側で備えておくべきことについて、ご紹介します。
配送業者側
配送業者側は、今までよりも多くの人件費がかかる事が見込まれます。
今までと同じ支出でのやりくりを考えた場合、今までより少ない人数で、同じオペレーションをしなければならなくなるため、配送ルートの見直しなどで経費節約を検討する必要があります。より少ない人員で効率的な配送ができるよう、人材配置だけでなく、事業所の配置なども含めてオペレーションも見直しておきましょう。
また、必要に応じて賃金体系を見直すことも検討しなければ、従業員離れがおき、更なる人手不足に陥る可能性も考えられます。
利用者側
配送業者側は、今回の2024年問題を受けて、配送コストを上げてくるところもあるでしょう。
それを受けて、利用者側は自社製品・サービスにその配送コスト分を価格転嫁して価格を上げる選択肢もあります。また、他の部分でコスト削減をし配送コストの上昇分を最終価格に転嫁させないよう、工夫する方法もあります。
体力のない配送業者と取引してきた場合には、これまで通りの価格で配送できない可能性が高いので、早めに2024年以降の配送価格の見積もりを取っておくこともおすすめします。
2024年問題に備えましょう
以上、2024年問題についてご紹介しました。
2024年問題によって、運輸事業者だけではなく、多くの事業者が影響を受けます。今から運輸体制をどのようなオペレーションにするのか考えておくことをおすすめします。
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(編集:創業手帳編集部)