令和8年版(令和7年分)|起業家が理解しておくべき源泉徴収税額の計算方法・税率
源泉徴収税額の計算方法は所得によって異なる!「する側」の注意点とは

「源泉徴収?給与明細で引かれてるやつだよね」と考えているあなた。 源泉徴収が、実際何に使われていて、いくら引かれているのか正しく理解できていますか?
今回は、新たに源泉徴収「する側」になった起業家のために、源泉徴収の基本と計算方法・税額について解説します。
2026年(令和8年)現在、源泉徴収の実務は、2025年に実施された「基礎控除の引き上げ」および「年収123万円の壁」に対応した最新の税制に基づいています。また、2024年(令和6年)に実施された定額減税は終了しており、現在は最新の源泉徴収税額表を用いた通常通りの計算運用となっています。
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この記事の目次 源泉徴収とは、人を雇って給与を支払う場合や、報酬・料金などを支払うとき一定率の金額を天引きして預かり、支払いを受ける者のかわりに所得税および復興特別所得税を納付するしくみです。 つまり、本来は給料をもらう人が支払わなければならない税金を、会社が代わりに(その人の給料から)払っているということです。ただし、源泉徴収で天引きしている金額は正確な税額ではないので、年に一回その額を清算する「年末調整」が行われるのです。 源泉徴収は企業の義務なので、対象となる報酬・料金などの支払いをするときは、かならず源泉徴収しなくてはなりません。 源泉徴収税額とは、給与・報酬・料金などを支払う際に源泉徴収する税額のことです。納める税金の内容は、所得税と復興特別所得税です。 このうち「復興特別所得税」は、東日本大震災を契機に創設されました。 「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」により創設された税金で、基準所得税額の2.1%分の金額が課税されます。 源泉徴収と確定申告で算出する所得税は、納税のしかたや計算方法に違いがあります。 源泉徴収で天引きされる所得税は源泉所得税と呼ばれ、給与を支払う企業があらかじめ徴収するものです。所得税の概算額を毎月天引きし、年末調整のおりに改めて正しい税額を算出します。その際、払い過ぎた税金を還付したり、納め足りない分の追加徴収が実施されるのです。 確定申告で算出する所得税は、1年間の所得がすべて出てから計算します。想定される金額を徴収していく源泉所得税と違い、1月1日から12月31日までの所得が決まってから計算するものです。年収から各種所得控除を差し引いたうえで、所得税および復興特別所得税を計算・納付します。 どちらも所得税や復興特別所得税の納税に関わる手続きですが、源泉徴収では毎月少しずつ支払い、確定申告では1年間の所得から計算して支払うという違いがあるのです。 従業員を雇用し給料を支払う場合は、かならず源泉徴収します。 また、従業員以外でも、企業が支払った報酬・料金に対し源泉徴収が発生するケースがあります。 まず、必要な報酬・料金などの範囲は、その支払いを受ける者が個人なのか法人なのかで異なってきます。 フリーランスをはじめ、支払対象が個人事業主の場合、どのような所得が源泉徴収の対象となるのでしょうか。また、源泉徴収の対象とならない所得についても紹介します。 フリーランスなど個人の場合は以下の8つが対象となる範囲です。 企業がフリーランスへお願いする依頼内容は様々だと思いますが、実は、依頼内容の法の解釈によって源泉徴収対象となるかならないか曖昧な部分があるので注意が必要です。 ここでは、この8つの中でも、多くの企業が使っている「原稿料や講演料など」について、もう少し説明します。 まず、「原稿料や講演料など」には、「デザイン料」も含まれます。フリーランスにデザインを依頼している方も多いですよね。 国税庁のホームページによると、この場合の“デザイン”とは、「工業デザイン」「クラフトデザイン」「グラフィックデザイン」「パッケージデザイン」「広告デザイン」「インテリアデザイン」「ディスプレイ」「服飾デザイン」「ゴルフ場、庭園、遊園地等のデザイン」の9つとなります。 しかし、ここで挙げられているもの以外でも、たとえばウェブサイトのデザインは所得税法で規定されているデザイン料に該当するため、源泉徴収する必要があるのです。 ちなみに、ウェブサイトの制作費(コーディング)はデザインではないので、源泉徴収する必要はありません。 このように範囲が曖昧なケースもあるため、自分が依頼している内容が源泉徴収の対象になるのかどうかわからない場合は、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。 上記で挙げた範囲に含まれない報酬・料金などは源泉徴収する必要はありません。 また、報酬・料金を支払う側が個人(個人事業主)の場合で、以下のケースでは、源泉徴収が不要な場合があります。 法人の場合は以下の1つが対象となる範囲です。 また、研究会、劇団などに出演料などを支払う際、その活動状況から独立団体とみなされる場合は法人として扱います。 そして、源泉徴収税額の税率は「従業員の給与」と「個人事業主などへの報酬」では考え方が異なります。 源泉徴収税額は、国税庁が公表している「源泉徴収税額表」を用いて算出します。2026年(令和8年)現在、2025年(令和7年)の税制改正(基礎控除等の引き上げ)を反映した最新の税額表を使用する必要があります。必ず最新版を確認してください。 給与から社会保険料等を控除した額に税率をかけて計算します。 従業員への賞与、いわゆるボーナスに対する税金の計算です。金額に応じた税率をかけることで算出します。給与と同様に、扶養親族等の数が税率に影響するため注意しましょう。「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」と照らし合わせて計算してください。 従業員が退職する際に支払うのが退職金です。退職金にも税金が課せられますが、所得税が優遇されている点が給与・賞与とは違います。以下の流れに沿って、退職金にかかる源泉徴収税額を求めていきましょう。 1.退職所得控除額を計算する 2.退職所得の金額を計算する 3.退職所得の源泉徴収税額を計算する 3つの流れを踏まえたうえで、以下の例をもとに具体的な計算式を確認してみましょう。 以上が基本的な退職所得を算出する式になります。 ただし、退職金が特定役員退職手当等、短期退職手当等に該当する場合は例外となるため、注意しましょう。2種類の退職金の詳しい計算方法については、国税庁のホームページを参考にしてください。 報酬の場合は、支払金額に税率をかけて計算します。 また、「報酬額から源泉徴収税額を引くのか」、「手取り金額での契約にするのか」で計算方法が異なります。後々揉め事にならないよう、個人事業主との契約は双方しっかりと確認するようにしましょう。 まずは、報酬額から源泉徴収税額を引く場合について考えていきます。 2026年現在も、報酬に対する税率は原則10.21%(100万円を超える部分は20.42%)で変更ありません。ただし、支払先が適格請求書発行事業者(インボイス登録店)である場合、消費税を除いた金額に対して源泉徴収を行うのが実務上一般的です。計算ミスのないよう、請求書の記載区分を必ず確認しましょう。 100万円以下の場合、報酬に対し税率の10.21%をかけ、それを引いた額が実際に支払う金額です。 具体的な計算方法について、「消費税込」と「消費税別」のケースでそれぞれみていきましょう。 以上の式となり、8,979円が実際に支払う金額です。 以上の式となり、9,979円が実際に支払う金額です。 100万円超の場合は二段階税率が適用されます。 以上の式となり、1,295,800円が実際に支払う金額です。 手取契約の場合は、委託先などから提示された金額が実際に支払う金額のため、そこから源泉所得税額を計算しなくてはなりません。 こちらも消費税が含まれるか、含まれないかのパターン別に計算式を考えていきます。 消費税は手取り金額ではなく報酬額に対して発生する点に注意します。 100万円が基準となるのは実際の支払額のため、手取契約の場合は手取金額が897,900円を超えた場合に二段階税率が適用されます。 2024年(令和6年)に実施された「所得税3万円の定額減税」は単年度限りの措置であり、2026年(令和8年)現在の実務には影響しません。令和6年度の給与計算で行ったような特別な控除操作は不要となり、現在は最新の税額表に基づいた通常通りの計算に戻っています。 細かい計算が多い源泉徴収税額ですが、計算を間違えないこと以外にも注意すべき点があります。あらかじめ注意点を知っておき、修正の手間が発生するリスクを抑えましょう。 計算のときに一番注意が必要なのは、確定税額で1円未満の端数が出る場合は四捨五入ではなく、切り捨てになっていることです。 フリーランスなど個人への報酬の場合、税率10.21%は「消費税込みの金額」にかけるか、「税抜きの金額」にかけるか、どちらでしょうか。 実は、どちらでもいいんです。 原則的に、源泉徴収する時には「報酬として支払った全ての金額」が対象になります。なので、本来であれば消費税も入れた金額から源泉徴収することになるのです。 従業員に支払う給与のうち、通勤手当に該当する項目に注意しましょう。通勤手当は一定限度額までは非課税とすることが認められており、源泉徴収の対象外となります。 片道の通勤距離が1ヶ月あたり2km以上未満の場合は全額課税ですが、2kmを超えると一定距離ごとに限度額が設定されることになります。非課税の部分を源泉徴収の対象としないよう気をつけてください。 国外に居住している従業員に対しても、ケースバイケースで源泉徴収の義務が生じます。その際、通常の税率となる10.21%で計算してはいけないことがあるのです。最大で20.42%の税率が生じるため、事前の確認が欠かせません。 源泉徴収の対象となる場合でも、支払区分や業務内容に応じて税率が異なります。源泉徴収の必要性はもちろん、内容ごとに正確な税率を反映させましょう。 源泉徴収は、個人事業主にとっても、起業家にとっても知らなければならない知識のひとつともいえます。
(執筆:創業手帳編集部)

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源泉徴収とは、給与を支払う企業がかわりに税金を納めること
しかし、すべての報酬が源泉徴収の対象ではないので、そのことを知っておく必要があります。源泉徴収税額には2種類の税金が含まれる
復興特別所得税とは?
課税所得金額から見た復興特別所得税を計算すると税率は0.21%のため、源泉徴収税額は、所得税の10%と合わせた10.21%で計算します。(詳しい計算方法は後述)
この税は2037年12月31日までの間に生ずる給与・報酬などの所得に発生します。源泉徴収と確定申告での所得税の違い
【完全無料】令和7年分の確定申告がわかる!「確定申告ガイド」源泉徴収が必要な所得と不要な所得とは
起業初期は、業務の一部を外部委託したり、フリーランスに仕事を依頼したりする場合も多いと思いますが、この場合の源泉徴収はどうなるのでしょうか。 支払対象が個人事業主の場合
源泉徴収が必要な所得
参考:国税庁ホームページ 所得税基本通達204-7 源泉徴収が不要な所得
支払対象が法人の場合
つまり法人に支払う場合は、ほとんどの場合が源泉徴収の対象となりません。
法人の場合はとても明解なので間違えたり勘違いしたりすることは少ないでしょう。
【完全無料】令和7年分の確定申告がわかる!「確定申告ガイド」源泉徴収税額の計算方法・税率は?

源泉徴収税額は、課税所得に税率をかけて計算していきます。 【従業員への給与】
扶養親族等の数によって税額が変わってきますので、国税庁が掲載している「給与所得の源泉徴収税額表」を使って計算します。
この税額表には「月額表」「日額表」「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」などがあります。
参考:令和8年分 源泉徴収税額表【従業員への賞与】
【従業員への退職金】
「退職所得控除額」は、国税庁による「源泉徴収のための退職所得控除額の表」から求めるか、以下の計算式で算出可能です。勤続年数が20年かそうでないかで計算方法が異なります。
40万円 × 勤続年数 = 退職所得控除額(80万円に満たない場合には、80万円)
800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)= 退職所得控除額
退職所得控除額がわかったら、それを反映して「退職所得の金額」を算出します。退出所得の金額の計算式は、以下のとおりです。
上記の退職所得の金額から「退職所得の源泉徴収額」を求めます。退職所得の金額に対する税率については、「退職所得の源泉徴収税額の速算表」を参考に計算してください。
8,000,000 + 700,000 × (40 – 20) = 22,000,000円(退職所得控除額)
(40,000,000 – 22,000,000) × 1/2 = 9,000,000円(退職所得の金額)
(9,000,000 × 23% – 636,000) × 102.1% = 1,464,114円(退職所得の源泉徴収額)
【フリーランス・個人事業主への報酬】
この時、報酬金額100万円を基準に税率が異なる「二段階税率」を用いるので、注意が必要です。 報酬ベースの計算方法
10,000 x 10.21% = 1,021円(源泉徴収税額)
10,000 – 1,021 = 8,979円
10,000 x 10% = 1,000円(消費税)
10,000 + 1,000 = 11,000円
10,000 x 10.21% = 1,021円(消費税を含まない額で計算する)
11,000 – 1,021 = 9,979円
報酬から100万円を引き、そこに税率の20.42%をかけたあと102,100円を足します。
(1,500,000 – 1,000,000) x 20.42% + 102,100 = 204,200円(源泉徴収税額)
1,500,000 – 204,200 = 1,295,800円
つまり100万円超の場合は、上記の100万円以下の場合の計算方法の10.21%の部分が20.42% + 102,100円になるということです。 手取契約の場合の計算方法
10,000 / 0.8979 = 11,137円(報酬金額)
※ 0.8979 = 1 – 0.1021(10.21%のこと)
11,137 – 10,000 = 1,137円(源泉徴収税額)
10,000 / 0.8979 = 11,137円(報酬金額)
11,137 – 10,000 = 1,137円(源泉徴収税額)
11,137 x 0.1 = 1,113円(消費税)
11,137 + 1,113 = 12,250円(消費税を含んだ報酬金額)
12,250 – 1,137 = 11,113円(実際に支払う金額)
1,500,000 – 102,100 = 1,397,900円
1,397,900 / 0.7958 = 1,756,597円
1,756,597 – 1,500,000 = 256,597円(源泉徴収税額)
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端数は切り捨て
消費税の取扱い(個人への報酬の場合)
ただし、請求書で本体価格(報酬)と消費税が明確に分けられている場合には、税抜き金額から源泉徴収しても良いとされています。 非課税の項目に気をつける
国外居住者は税率が異なる場合がある
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源泉徴収税額の計算は、仕組みさえ理解すれば決して難しいものではありません。ただし、特に個人に業務を依頼する時には、対象になる業務かどうかが曖昧な場合があります。
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