再発行できる?源泉徴収票を紛失した時の対処方法
源泉徴収票が必要な場面と、押さえておきたい再発行手続き
200万人の起業家に使われている創業手帳の創業者 大久保です。
起業前後で何かと使う「源泉徴収票」。今まで漠然と会社に任せていたけれども、何かと手続きでいる場面が有り、急に意識するようになるかもしれません。そんな身近なようでいて、いまいち分かりにくい源泉徴収票。
サラリーマンの中には、源泉徴収票は自分の給料の総額を知るものという認識の人も少なくありません。確認したら捨ててしまうという人もいることでしょう。
しかし、源泉徴収票が必要になる場合があります。
「提出を求められたけど、源泉徴収票が手元にない!」
そんな時でも、源泉徴収票は再発行してもらえるので、焦らないでください。
今回は源泉徴収票を紛失したときの対処方法や、再発行について解説します。
また、起業後はあなたが源泉徴収票を発行する側となります。従業員の要望や手続きなどに手間取っていては、本業に差し障るでしょう。冊子版の創業手帳(無料)では、人事・労務の仕組みの整備について詳しく解説しています。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
源泉徴収票はこんな時に必要
源泉徴収票は、毎月天引きされていた所得税・復興特別所得税の税額と、給与の支払い額を証明する書類です。
年に一度、年末調整のとき、また、中途退職した場合に会社からもらう書類です。
源泉徴収票は、主に以下5つの場合に必要となります。
1. 確定申告
企業に勤めている方でも、以下のケースなどでは確定申告が必要です。
- 年収が2,000万円を超える場合
- 副収入が20万円を超える場合
- 年の途中で会社を退職して年末調整を受けていない場合
- 2カ所から給与をもらっている場合
- 住宅ローンでマイホームを購入した場合
確定申告するときには源泉徴収票を添付しなくてはなりませんし、確定申告書を書くときにも、給与や源泉所得税などの金額を知るために必要となります。
2. 住宅ローンなどを組むとき
住宅ローンを組むときや融資を受けるときの審査には年収が関わってきます。
そこで、収入を証明できる書類として源泉徴収票が有効になります。
注意点として、住宅ローンを組む場合は、偽造されていない正式な書類であることを相手に証明するために社印が必要となります。
しかし、源泉徴収票をパソコンで作っている場合は社印が押されていない場合があります。そのような時は会社に事情を説明し、個別に社印を押してもらいましょう。
3. 扶養親族になるとき
結婚などで誰かの扶養親族になるときに、扶養する人が勤める会社から源泉徴収票の提出をもとめられます。
これは、扶養親族としての要件に「年間の合計所得金額が38万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)」というものがあるからです。
この場合、所得が少ないことを証明するために源泉徴収票が必要となります。
4. 子供の保育園入園のとき
保育園入園には様々な書類を用意しなければなりません。そのひとつが源泉徴収票です。
保育園の保育料は両親の所得によって決まります。
親の就労を証明する書類として、そして保育料の計算の元になる書類として、源泉徴収票はかならず提出するようにしましょう。
5. 転職(再就職)のとき
退職から1年以内に再就職をしたとき、前職の源泉徴収票が必要となります。
これは、前職のものと新しい勤務先とあわせて年末調整を行うからです。
前職の源泉徴収票が手元にない場合、現在の職場に源泉徴収票がないことを伝え、もし源泉徴収票の再発行が間に合えば年末調整をしてもらいます。
もし間に合わない場合は自分で確定申告をします。
自分で確定申告をする際には、まず、現在の職場の給与だけでの源泉徴収票を作成してもらい、前職の給与明細と合わせて確定申告書を記入していくことになります。
源泉徴収票を紛失した時の再発行手続き
源泉徴収票は上記のようなケースで必要となる重要な書類ですが、まったく必要ないからと思って捨ててしまったり、紛失してしまう場合もあるでしょう。
しかし、あとになって必要となるシーンが出てきて困った、となった場合、再発行を依頼することになります。
再発行を依頼する先
源泉徴収票の再発行は税務署や役所などではできません。
原則、発行元である会社に依頼します。
今勤めている会社の源泉徴収票が欲しいのであれば、今の会社。
以前勤めていた会社の源泉徴収票が欲しいのであれば、以前の会社に依頼をしましょう。
依頼方法
源泉徴収票の発行・再発行は、法的な手続きではないため、どのような手段であっても連絡が取れれば問題ありません。
経理担当者宛てに、電話やメール、郵送などで、
「○○年度の源泉徴収票を紛失してしまったので、再発行をお願いいたします」
などと依頼をすれば大丈夫でしょう。
紛失したのは自分の落ち度であるため、再発行の依頼のときに返送用の封筒と切手を送るとより親切です。
また、以前勤めていた会社の連絡先が変わったなどで連絡が取れないときは、人づてに聞く、ネットで調べるなど、自力で見つけ出して連絡しなければならないので、注意が必要です。
再発行手続きにかかる時間
源泉徴収票は作成と保管が義務となっているため、基本的にすぐに再発行してもらえるはずです。
しかし年末で忙しいであるとか、源泉徴収票の作成を税理士などの外部に委託している場合は手続きに時間がかかるかもしれません。
起業し自分で確定申告をする場合は、源泉徴収票の再発行にかかる時間をある程度予測して手続きの計画を立てましょう。
また、会社勤めから起業した場合に必要になる、税務手続きの年間スケジュールは創業手帳にも記載があるのでそちらも参考にしてみてください。
再発行をお願いしづらい……そんな時は?
源泉徴収票の再発行依頼は、基本的に本人が行うべきものです。
しかし、円満な退職をしていないなど、再発行を依頼しづらい場合があるかもしれません。
そのようなときは、新しい勤務先の総務や事務などから再発行の依頼をしてもらう、新しい勤務先の顧問税理士に依頼するなどといった手段も考えられます。
今の職場の人に言いにくい、面倒をかけたくないと思うのであれば、他の税理士に頼むという方法もあります。
税理士は、起業後においても非常に力になってくれます。冊子版の創業手帳では、創業期から税理士と契約しておくことのメリットについて詳しく解説しています。また、冊子の請求時のWeb版の創業手帳の無料会員登録が行えます。会員向けに無料で専門家を紹介していますので、こちらもご活用ください。
依頼したのに発行してくれない時の対処法
企業に源泉徴収票の再発行を求めた場合、基本的には問題なく応じてくれます。
ただ、まれに再発行を拒否されることがあるようです。
何らかの理由で再発行してくれないというときは、拒否された理由を明確にし、対象の会社を管轄する税務署に相談します。
もしくは「源泉徴収票不交付の届出書」という書類を税務署に提出します。
税務署から指導が入り、源泉徴収票を発行してくれるでしょう。
また、発行元の会社が倒産しているなどの理由で連絡がつかない場合も税務署に相談をするとよいでしょう。
まとめ
源泉徴収票はあらゆる場面で必要になる重要な書類です。
たとえ紛失してしまったとしても、源泉徴収票の再発行は、全く後ろめたい行為ではありません。もろもろの事情から言いづらい状況という方もいるかもしれませんが、必要なことだからと気持ちを切り分けて、早く済ませてしまいましょう。
このように、起業に関する手続きなどは知っていれば安心して行うことができます。冊子版の創業手帳では、起業に必要となるノウハウを詳しく解説しています。起業後は経営を軌道に乗せるために忙しいものです。税務関係の手続きなど事前に知っておくことで準備ができるはずです。
(執筆:創業手帳編集部,大久保幸世)
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