起業もフルリモートで実現する時代!メンバー全員オンライン参加で設立したワタシル大学(カレッジ)とは

創業手帳woman
※このインタビュー内容は2020年10月に行われた取材時点のものです。

「キャリアで悩む女性を支援したい」との想いで始まった『ワタシル大学』。代表2名に、リモート起業のエピソードと起業家としての考え方を聞きました

ワタシル大学インタビュー

(2020/10/13更新)

「20代から30代前半の女性」と明確にターゲットを絞り、キャリアアドバイスを展開する「ワタシル大学(カレッジ)」。
起業形態が特徴的で、およそ1年に及ぶ準備期間から2020年10月の開校に至るまで、メンバーのコミュニケーションはオンラインのみ。完全なリモートでの会社設立を実現しています。

そんなワタシル大学の共同代表である山口奈生氏、海保和美氏に、コロナ禍で世界的にリモート化が進む中での起業についてや、ワタシル大学の取り組みについてお聞きしました。

山口 奈生

山口 奈生(やまぐち なお)
ワタシル大学 代表

1982年岩手県生まれ。学校卒業後、損害保険会社で営業や社員教育部門を経験したのち、配偶者の留学に伴い米国テキサス州へ。帰国後2014年に国家資格キャリアカウンセラーを取得し人材紹介会社に転職。大学生から社会人まで広くキャリアカウンセリングに対応。2017年に配偶者の転勤により米国ボストンに。その後、人材系ベンチャー企業での新規事業でフルリモートの事業部責任者として勤務。2019年にキャリア支援プロジェクトを立ち上げ、2020年7月ワタシル合同会社を設立。

海保 和美

海保 和美(かいほ かずみ)
ワタシル大学 代表

1975年大阪府生まれ。学校卒業後、物流、広告、医療業界など複数社を経験。2005年に人材サービス業界へ。結婚を機に上京。2007年2社目の人材会社となるパーソルテンプスタッフ株式会社へ入社。これまで求職者面談5,000人以上に対応する。2017年アドラー心理学をベースにしたコーチングスクールを卒業。2019年、副業として学生や企業人事の担当者を対象としたコーチングサービスを開始。社会貢献活動で参画したキャリア支援プロジェクトをきっかけに2020年7月ワタシル合同会社を設立。

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転職をしたいと思う人の9割がじつは転職が目的ではない

ワタシル大学トップ

ワタシル大学の構想の発端は、ある人材関連会社での新規事業として計画されていました。そして、想いに共感した多くのメンバーがプロボノ(社会貢献を目的とした無報酬での活動)で参加。最終的には本事業に特化した法人をつくることになり、2020年7月にワタシル合同会社が設立されたそうです。

現在のメンバーは13名(2020年8月現在)。キャリアカウンセラーやコーチング、心理カウンセラーといった専門資格を持つ精鋭メンバーが集結しています。

ー「ワタシル大学(カレッジ)」を起業されたきっかけはどのような事だったのですか。

山口:2014年にキャリアカウンセラーの資格を取ってから、今まで数千人におよぶ女性のキャリア相談に応じてきました。多くの方は「転職をしたいんです」と相談に来られます。しかし、カウンセリングののちに実際に転職するのはそのうちの1割程度なんです。特に20代の方にその傾向が多く見られます。

ー転職がしたいと言っていたのに、どうしてでしょう。

山口:というのも、転職したいと言った根本には「会社で活躍したい」「職場の人間関係を改善したい」「安心して妊娠・出産できる環境が欲しい」といった悩みが元になっていることが多いからなんです。

それならば「転職」が目的ではなく、満足できるキャリア形成ができれば別の道が待っているのではないかと気づきました。
そして、キャリアに悩む女性をサポートするために何かできないかと考えました。

海保:一方で、30代後半以降の女性に話をお聞きすると、専門知識を身につけられずにいる方、家庭を守るためにやりたい仕事を諦めてきた方が多いのです。だからこそ、今の20代から30代前半の女性には、そうなってほしくない!と強く思い、将来を見据えたキャリア構築の必要性を広めたいと感じました。

自分自身を客観的に見るための手助けをしたい

ーワタシル大学の事業内容や特徴は何でしょうか。

山口:事業内容は、20代から30代前半の女性を対象とした個人向けのキャリアスクールです。ワタシル大学のゴールは、生徒を転職に導くことではありません。それが他の人材育成系スクールとの大きな違いです。

海保:ワタシル大学は「今の会社で活躍を目指すコース」「転職コース」「副業・パラレルワークコース」の3つのコースで構成しています。
受講の最初に細かいカウンセリングを実施します。脳科学をベースにしたパーソナリティ診断を行うなどして自分自身を知ることから始め、自身のキャリアプランを明確にしていきます。

ー「ワタシル大学(カレッジ)」の名前が印象的ですね。

ワタシル大学ロゴ

海保:ワタシルとは『自分らしい人生を歩むためには、自分の価値観を掘り下げて知ることが重要』との考えから名付けました。

ミッションは「ワタシを知って、アシタを生きる。」とし、自分自身を客観的に見つめる大切さを唱えています。「ワタシが笑えば世界も笑う」の企業ビジョンと共に、一人ひとりの「ワタシ」が幸せになることによって世界はもっと自由で楽しいものに変わる。そんな願いを込めています。

皆さんが自分を再発見するうえで自分の未来(明日)を描いていってほしい。これが私たちの目指していく姿です。

メンバー全員一度も会ったことがない中で会社設立を実現!

ーメンバー全員が完全なリモートで活動していると聞きました。実際に会ったことが一度もない状態での会社設立は難しかったのではないですか。

海保:そうですよね。そのことを知った方は皆さん驚かれます。ですが、私たちは全く違和感がなくて、むしろ実際に会って行うよりもコミュニケーションが取れているのではないかと思っています。

なぜすべてがオンライン上なのかというと、メンバー全員が副業で業務を行っているからなんです。
私はパーソルテンプスタッフという人材派遣会社で営業促進を行っています。残業もある部署ですが、業務を工夫し、会社の理解があり定時で帰ることができています。副業が認められている会社がそれほど多くない中で、とてもありがたい環境だと思っています。

このように他のメンバーも本業と組み合わせて参加しているので、とても忙しいんです。打ち合わせが、オンラインでどこにいてもできる環境は私たちにピッタリです。山口さんは海外在住ですし。

山口:そうですね。完全リモートでなければ、私は事業に携わるのも難しかったかもしれません。

ーリモート起業のメリットが最大限に活かされているエピソードですね!ところで、皆さんが副業ゆえに気をつけていることなどはあるのでしょうか。

海保:副業での運営だからこそ注意していることが3つあります。

1つはそれぞれの立ち位置で意見を言うことです。
打ち合わせは基本オンラインです。録画機能を使って、当日参加ができない人は後日録画を見て、意見を出します。当日不在だったからこそ冷静な目で違った角度から見ることができ、新たな発見につながることがあります。
当日の参加・不参加関係なく全員が貢献できる仕組みにしています。

2つ目が「特性を生かした仕事をする」
私たちは精神医学をベースにしたパーソナリティ診断によって、お互いの思考や得意分野を共有しています。特性に合った業務を引き取ることで高品質の成果物が生成されることが多いです。

3つ目は「リソースを相互間で生かす」こと。
ワタシルで得た経験や知識を、社内や個人の活動に活かそうというものです。私は会社員として日中活動していますが、ワタシルでのオンライン経験を生かしてお客様との商談に役立てました。
経験や知識をどこでも使えるポータビリティなものとして役立てることで、活動全体に相乗効果が生み出されています。

起業で一番大事なのは信頼できる仲間の存在

ーワタシル大学は今後どのような展開を考えていますか。

海保:いずれは法人向けの事業展開を念頭に入れています。
当社のキャリアカウンセラーの仕事は、現職での会社への愛着を高めることを重視しています。

ですから「社員の定着率に問題を抱えている」「女性の活躍を促進したい」などのお悩みをお持ちの企業の皆様にも、当社のサービスがお役立ていただけるのではないかと思っています。

ー最後に、起業を考えている方にメッセージをお願いします!

海保:信頼できる仲間をつくることは大事なことですね。仲間がいることで、もうダメかもと思うような出来事が起こってももう一度立ち上がることができる勇気や気力が沸いてきます。

そして思い通りに進まないときに相談する相手も重要です。
誰でもいいわけではなく、何かにチャレンジしている方に相談してください。自分自身もチャレンジしている人は、「そんなのうまく行かないよ」「やめたほうがいい」というネガティブな意見は言わない。
「うまく行かないのなら、こうしたらどうだろう」と一緒に考えてくれたり、成功するためのアドバイスをしてくれます。

山口:当社の強みは、メンバー全員のベクトルの向きが同じことです。ただしそれは、自分たちが考えていることを互いに共有してきたからなのです。
皆さんも、まずは自分の考えを誰かに聞いてもらってください。きっと共鳴してくれる人がいます。それが起業の第一歩だと思っています。

ーありがとうございました。

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(取材協力: ワタシル大学/代表 山口 奈生・海保 和美
(編集: 創業手帳編集部)



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