【TechCrunch Tokyo 2017 2日目レポ】優勝はホテル番付の株式会社空!新進気鋭のスタートアップ6社が激突した「スタートアップバトル」
6社がしのぎを削ったピッチバトルの模様をお届けします
(2017/11/17更新)
11月16日、17日に渡って開催された、日本最大級のテックイベント「TechCrunch Tokyo 2017」。2日目のメインイベントは、厳しい予選を勝ち抜いた6社による「スタートアップバトル」!今回はその模様を、創業手帳編集部がお届けします。
初日の様子はこちら→【TechCrunch Tokyo 2017 初日レポ】大人気の米コワーキングスペースWeWork 日本代表 Chris Hill登壇!
この記事の目次
2日目のメインイベント!「スタートアップバトル」
午後4時30分。初日に行われた厳しい予選を勝ち抜いた6社による、「スタートアップバトル」ファイナルラウンドが開幕しました。
限られた時間の中で、自分たちのサービスをプレゼンする「スタートアップバトル」。会場にいる観衆だけでなく、SNSでもリアルタイムで注目されているプログラムです。
初日の様子はこちら
【TechCrunch Tokyo 2017 初日レポ】大人気の米コワーキングスペースWeWork 日本代表 Chris Hill登壇!
審査員のご紹介
まずは、審査員が登壇。向かって左から順にご紹介します。
株式会社エウレカ 創業者 赤坂 優
2009年にエウレカを創業し、代表取締役CEOに就任。マッチングサービス「Pairs」やカップルのためのアプリ「Couples」などを提供。2015年にMatch、Tinder、Vimeoなどの有力インターネットサービスを展開する、アメリカのInterActiveCorpにエウレカを売却。現在はエンジェル投資家として活躍中です。
株式会社ディー・エヌ・エー 顧問 川田 尚吾
1999年にディー・エヌ・エーを共同創業。以降はCOOとして一連の事業立ち上げをリードしてきた方です。
2008年に非常勤取締役、2011年より顧問に就任。現在は日米欧のスタートアップ企業への投資・支援を中心に活動しています。
マネックスグループ株式会社 代表取締役CEO 松本 大
ソロモン・ブラザーズを経て、ゴールドマン・サックスに入社。30歳で同社史上最年少のジェネラル・パートナーに就任。1999年にオンライン専業のマネックス証券を設立しました。現在はマネックスグループのCEOを勤め、米中を含む世界で展開しています。
東京証券取引所社外取締役ほか、公職を歴任し、現在は米マスターカード、ユーザーベース社外取締役などを兼任しています。
投資家 千葉 攻太郎
慶應義塾大学卒業後、リクルート、サイバードなどを経て2009年にコロプラに参画し、取締役副社長に。2012年にマザーズ上場、2014年に東証一部上場を果たしました。2016年に退任後は、リアルテックファンド マネージャー、慶應SFC研究所 上席所員を務めています。
ファイナリスト6社をご紹介!
それでは、出場したスタートアップ6社をご紹介します。
株式会社東京ロケット
トップバッターは、株式会社東京ロケット。
建設業における職人の労働環境を、ITの力で解決する「助太刀くん」を運営しています。職人が必要事項を入力すると、条件にあった現場情報が届き、そのほかにも勤怠管理やペイメントサービスを提供してくれるサービスです。
代表取締役CEOの我妻氏が、「大手電気工事会社で現場監督を務めていたことに感じた問題点を解決したい」と発案したこのサービス。綿密に作り上げられたシステムが、審査員に高評価でした。
株式会社justInCase
続いては、株式会社justInCaseの登場です。
大手保険会社で長年勤務していたCEOの畑 加寿也氏。書類の手続きや制度などが面倒だ、ということに課題を感じていたそうです。
今回紹介していたのは、必要な時に必要なだけ加入できる保険サービス「justInCase」。スマホが壊れた時に使うといった簡単な保険を提供できることで、保険ならではの面倒臭さを解消するサービスをプレゼンしました。
株式会社scouty
3番目に登場したのは、株式会社scoutyです。
同社がプレゼンしたのは、AIを使ったヘッドハンティングサービス。
エンジニア系質問投稿サイトやSNSなどから情報を収集して、最適なタイミングで人材募集することができる、というサービスです。
エンジニアが持っているスキルも自動で収集してくれるのはもちろん、なんと対象者に情報を収集する際に「いつくらいに退職しそうか」ということも推測できるそうです。審査員からは「うちの社員を調べるのはやめてほしいなぁ・・・笑」という本音も漏れていました。
株式会社トラス
株式会社トラスは、建材をメーカー横断で比較検討できる、建築設計者施工者向けクラウドサービス「truss(トラス)」を運営しています。建材メーカー各社の製品を横断して、法規の準拠や性能、価格やデザインなどを元に建材選択ができる、というものです。
株式会社空
5番目に登場したのは、株式会社空。ホテル経営者向けに無料の経営分析ツール「ホテル番付」を開発しています。
実は、ホテル業界は競合の価格を調査する際に「他のホテルと協定を結んでお互いに自己申告する」というアナログな手段を取っているそうです。つまり、協定を結んでいないと、どのような価格設定にしているか全くわかりません。
この仕組みを変えていくのが「ホテル番付」。協定を結ばなくても、適正な価格を決められるようにできます。
「世界は様々なテクノロジーに溢れているのに、価格という分野だけテクノロジーが遅れています。この分野で、私たちは新たなシステムを提案していきます」と話していた姿が印象的でした。
株式会社Voicy
最後に登場したのは、株式会社Voicy。パソコンやスマートフォンのアプリ向けの音声放送プラットフォーム「Voicy」を提供しています。
現在は約25の新聞や雑誌の情報を音声で流しており、AIスピーカーとの連携なども進めています。動画に注目されがちな現代のなかで、「年賀状か音声が出るようにすることを目指している」といった、差出人の体温を伝えることができるコミュニケーションツールに特化したサービスが、審査員の注目を集めていました。
いよいよ表彰式!受賞したのは・・・?
18時10分。いよいよ表彰式が始まりました。
応募総数113件の中の頂点に輝くのは、一体どの企業でしょうか?
審査員特別賞:株式会社東京ロケット
審査員特別賞は、株式会社東京ロケットが受賞!
「職人」という専門的な分野に寄り添ったビジネスモデルが、審査員全員の高評価につながりました。
最優秀賞:株式会社空
そして!最優秀賞は、「ホテル番付」の株式会社空!
価格という難しい分野に果敢に挑み、急激に利用者数を伸ばしている点が評価され、最優秀賞に選ばれました。
「このような賞を受賞することができて、本当に嬉しいです!事業をやっていると夢は広がるばかりです。理想を求めて、これからもやっていきます!」と代表取締役 松村大貴氏は力強く語っていました。
専門的な分野の改善が、ビジネス全体の改善につながる
今回の「スタートアップバトル」で最優秀賞を受賞したのは、株式会社空。古いシステムが未だに定着しているホテル業界の仕組みを変えていく、というビジネスモデルでした。
今回のコンテストは、ファイナルに進出した企業全体を見ても、「企業向けのサービスかつ、専門的な業界のシステムを改善することで、ビジネス全体を改善していく」というコンセプトの企業がとても多いコンテストでした。
従来からあっためんどくさいシステムの中に、新たなビジネスチャンスが隠れているかもしれませんね。
受賞した企業はどのような活躍を見せてくれるのか、今後に注目です。
(編集:創業手帳編集部)