仕事の魅力を伝える「社歌」で応募者増加!?仕掛人・ベジフルファーム長山衛の「小さな会社のゲリラPR」

広報手帳

日本の農業にエキサイティングな革命を起こす

(2017/12/22更新)

「農業革命を起こす」をコンセプトに、元ヤンとインテリ集団によって組織された農業生産法人「ベジフルファーム」。小松菜にメタル楽曲を聴かせながら育てている「メタル小松菜」をはじめとした事業で、農業界に新たな風を起こしています。
そんな「ベジフルファーム」のPRの一つに、小松菜の聴育用と農業の実情・課題を知ってもらうために制作した「社歌」があり、一層注目を集めています。
今回は、そんな「社歌」ができるまでのエピソードや、PR・農業に対しての考え方について、取締役の長山衛 氏にお話を伺いました。

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農業を元気にするための「社歌」

ーまずは、御社の概要を教えてください。

長山:私たち「ベジフルファーム」は、農業生産法人です。農家という個人事業主を組織化した法人で、小松菜、人参、大根といった野菜の生産を行っております。

ー御社が制作した「社歌」が注目を集めていますが、どのような経緯で「社歌」を作ることになったのでしょうか?

長山日本農業の課題の一つに、「生産者に価格決定権が無いこと」が挙げられます。

これまでは良いものを作れば誰かが見つけてくれましたが、今はそんな甘い世界ではありません。自社ブランドを築き、価格決定権を得なければ消滅してしまうかもしれません。

私たちは、そんな農業を取り巻く世界を変えるために動いています。「我々の後に続いてほしい」という気持ちを何かで表現できないか?と考えていたところ、ふと「社歌」という案が浮かびました。

奇抜なアイデアから生まれた「メタル小松菜」

ーそういう経緯があったんですね。社歌を制作した際のエピソードはありますか?

長山:ベジフルファームでは野菜の生産にあたり、硝酸イオン濃度を重視しています。過剰な施肥を行うと濃度が上がり、小松菜などでは苦みの原因となるからです。
そのため、農地では頻繁に土壌診断を行い、その結果を量販店などにも公開しています。

普通であれば、これを前面に打ち出したプロモーションを展開したと思いますが、私たちは「それでは足りない」と考えました。

硝酸イオン濃度の薄い小松菜は確かに美味しいです。
ですが、実は消費者は小松菜に対して、「そこまで味の差別化を求めていないのでは?」という仮説に至りました。

そう考えた時に、ただ美味しいだけでなく、「ベジフルファームでしかできない野菜」でないと、プロモーションとして弱いと感じました。

転機になったのは、「パンにクラシックを聴かせる」というテレビで放映されていたある工場の取り組みでした。

それを観た私が、お酒の席で「もともと鉄分の多い小松菜にメタルを聴かせたら、鉄分がもっと増えたりしないだろうか?」と呟いたら、なんと満場一致で賛成(笑)。
もともと私がメタルバンドをやっている事もあったので、小松菜に浴びせる用のメタル楽曲を作ったのが、社歌「小松菜伐採」であり「メタル小松菜」というブランドでした。

言うまでもなく、農業生産法人にとって社歌はまるで必要ありません。
農業界の実情、課題を知ってもらうための「業界歌」として、小松菜の「聴育用」として制作しました。

ちなみに、社歌を聴かせる前と後で、小松菜に変化はまるで無く、味の変化も一切見られませんでした。爆音で流しているため、なんとなく害虫が寄りつかなくなっている気はします(笑)。

ですが、こんな狂気ともいえる方針や、取り組み自体に関心を持つファンもできました。

ーちなみに、メディアの反応はいかがですか?

長山非常に良いです(笑)。
関東キー局全てに出演させて頂いた事に加え「ウチの会社にも社歌を作ってほしい!」という社歌の制作オファーも来ました。そんな反響に合わさって、メタル小松菜の売れ行きがとても好調です。

さらに、人材難の農業界としてはありえないような人員獲得ができました。これも、今までやってきたブランディングあってのことだと思います。

大企業のPRを真似ても意味は無い

ー農業やベンチャーなど小さな組織の広報活動で重要なことは何だと思いますか?

長山:大手企業がやっているPRを、中小企業が背伸びしてやっても意味がありません。
「この発信は、大手企業でもできることではないか?」を常に意識してPR企画を考えています。

そして重要なのは「哲学」だと思っています。
発信前は称賛されるのか、炎上するのかもわかりませんが、確実に称賛されるために置きに行った企画は、大体つまらないです。そのため、私たちは「哲学」を発信するようにしています。

それには覚悟が必要です。覚悟はハタから見ればその人間の狂気かもしれません。
「100人に否定されても1人に称賛されれば良い」という、シビれる覚悟を持って哲学を発信する事が重要だと思っています。

ー農業の魅力は何だと思いますか?

長山:天気を見て、土をいじる。つまり自然を相手に仕事をすることです。これはみなさんが思っている以上に素晴らしいことですよ。

ー今後はどんなサービス、会社にしていきたいですか?

長山:農業生産法人で、法人名がブランドになっている企業は存在しないと思っています。
私たちはそのようなポジションを目指しております。

消費者のことを第一に想う若き農業生産法人として、泥だらけになる農家の進化形として。さらに、国際競争力を持った新たなカタチの農業を提案できる精鋭部隊でありたいと思っています。

ーご自身の今後の目標や夢などを教えてください。

長山:農業生産法人として上場したいですね。あと、ロックフェスにも出たいです(笑)。

必要なのは「エッジを効かせる広報」

ー最後に、起業家や広報担当者にメッセージをお願いします。

長山:起業自体は誰でもできますが、市場に求められる事業を常に生み出し、会社を継続させる事は大変難しいと思います。しかも、どの業界にも大手が存在しており、そこに食い込んでいくには相応の精神力が問われます。

だからこそ、「大手にできないこと」、「ベンチャーだからできること」を意識して、白帯が黒帯を倒す気概を常に持ち続けて頂ければと思っています。

広報に関して申し上げると、企業における広報は代表者がやるのが最も良いと思っています。代表者がクレイジーであれば尚更です。

もちろん、相応の組織体制になれば広報担当の存在も必要です。その際に、広報担当は「誰にでも愛されるような広報」になってしまう事がありますが、世間はそんな情報を求めていないことが多いです。社外に対し、エッジを効かせて発信すると良いと思います。

今の時代は、気になる情報はすぐ入手できますし、どうでもいい情報を見るほどのヒマ人も減っています。そんな時に「誰もがやりそうな内容」を発信しても、それを見るのはせいぜい社内関係者くらいですから。

私たちの「社歌」で反響が強いのは「制作に至る経緯と、その後のストーリー」です。

「変な社歌を作って小松菜に浴びせた → 何も変わらなかった」
というクレイジーなストーリーは、メディアも取り上げやすいだろうという目測もありました。

つまり、一方的に自社のプロダクトを発信しても誰も見ません。
その事にまつわるストーリーに面白さと、業界の課題をエッセンスとして織り交ぜるのが良いと思っています。

(取材協力:農業生産法人 株式会社ベジフルファーム/長山衛
(編集:創業手帳編集部)

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