サブスクのビジネスモデルとは?種類や始める手順を解説

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サブスクの市場規模が拡大中!メリットやビジネスモデルの成功事例を紹介


「自社のビジネスにサブスクを取り入れたい」
「サブスクのビジネスモデルについて知り、導入可否を検討したい」

このような考えを持っている経営者の方はいないでしょうか。

近年、サブスクリプション型(サブスク型)のビジネスモデルを取り入れる企業が増えてきています。

サブスク型ビジネスは、安定した収益を生み出す一方で、顧客との長期的な関係を築くチャンスも提供している点がメリットです。これにより、一度の購入でなく、継続的な関係を通じて顧客のニーズを深く理解し、それに対応する価値を提供し続けることが可能となります。

本記事では、サブスク型ビジネスモデルの概要や種類、導入するメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。

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サブスク型ビジネスとは?


サブスクリプション型ビジネス(サブスク型ビジネス)とは、定期的に商品やサービスを提供し、それに対して顧客から一定期間ごとに固定の料金を受け取るビジネスモデルを指します。

このモデルは、映画や音楽ストリーミング、雑誌、ソフトウェア、フィットネスクラブ、食品宅配サービスなど、幅広い業界で利用されています。

サブスク型ビジネスの国内市場規模は約1兆円

近年、サブスク型ビジネスの市場は急速に拡大しています。

特にデジタルサービスの分野では、NetflixやSpotifyといった企業が大規模なサブスクリプションサービスを展開しており、これにより新たな消費のスタイルが確立されつつあります。

矢野経済研究所の調査によると、2021年度の国内のサブスクサービスの市場規模は、9,615億5,000万円に達していることがわかりました。今後もこのビジネスモデルは持続的に成長し、数年後には現在の数倍に達する可能性があるとされています。

※出典:矢野経済研究所「2022 サブスクリプション・定額サービス市場の実態と展望」

サブスク型ビジネスが注目される背景

サブスク型ビジネスが注目される背景には、いくつかの要因があります。

まず、消費者行動の変化が挙げられます。現代の消費者は所有よりも利用に価値を見出す傾向が強まっており、自分にとって本当に必要なサービスだけを選んで利用できるサブスクリプションに魅力を感じる人が増えています。さらに、定期的な利用が可能なため、生活に密接に組み込むことができ、便利さを感じています。

また、企業側にもメリットが多く、安定した収益を見込むことができるため、ビジネスの持続可能性が高まります。テクノロジーの進化も大きな要因で、クラウドサービスや高度な分析ツールによって、よりパーソナライズされたサービスを提供しやすくなっています。

サブスク型ビジネスモデルと似たサービスとの違い

ここからは、サブスク型ビジネスモデルと似たサービスとの違いを解説します。

売り切り型(フロー型)との違い

売り切り型ビジネスでは、商品やサービスを一度だけ顧客に販売します。一方、サブスク型ビジネスでは、顧客が一定期間ごとに料金を支払い続けることで、継続的にサービスや商品を受け取ります。

売り切り型は一回の取引で終了ですが、サブスク型は長期的な関係を顧客と築くことが可能です。

レンタルとの違い

レンタルビジネスは、顧客が一定期間商品を使用する権利を購入しますが、サブスク型ビジネスは、一定期間ごとに継続してサービスや商品を受け取る形式です。

サブスク型ビジネスは通常、更新が自動で行われ、新しい商品やアップデートされたサービスが提供されます。

リースとの違い

リースは、一定期間商品を使用する権利を購入する形態ですが、所有権はリース提供者にあります。

サブスク型ビジネスでは、物理的な商品の所有権はなく、サービスやデジタル商品の利用権が中心です。サブスク型ビジネスは、顧客が新しい価値や体験を継続的に受け取ることがメインの形態です。

リカーリングとの違い

リカーリングビジネスは、サブスク型ビジネスとよく似ており、顧客が一定期間ごとに料金を支払う点で一致しています。

しかし、リカーリングでは同じ商品やサービスが定期的に提供され、サブスク型では新しいコンテンツやアップデートが頻繁に行われることが一般的です。

シェアリングエコノミーとの違い

シェアリングエコノミーは、個人が所有する資産(車、家など)を他の人と共有するビジネスモデルです。サブスク型ビジネスは、企業が顧客に対して一定期間ごとにサービスや商品を提供する形態で、他の人と共有するケースはほとんどありません。

サブスク型ビジネスは継続的な顧客関係を重視し、シェアリングエコノミーは一時的な利用が中心です。

サブスク型ビジネスモデルのメリット


ここからは、サブスク型ビジネスモデルのメリットを4つ解説します。

継続的に売上を得られる

サブスク型ビジネスモデルは、顧客が一定の期間ごとに料金を支払う形態であるため、企業は安定した収益を得られます。これにより、ビジネスの予測が容易になり、資金繰りが安定。長期的なビジョンを持って事業展開が可能となります。

継続的な売上は、新しいプロジェクトや投資に対する資金の確保も助け、企業の成長をサポートするでしょう。一度顧客が契約を結ぶと、それが長期間にわたり継続することから、顧客獲得コストも効率的になります。

初期費用を抑えられる

サブスク型ビジネスモデルでは、顧客が利用開始時に大きな費用を支払う必要が少なくなります。これにより、顧客は気軽にサービスを試すことが可能となります。この特性は、特に新規事業やスタートアップにとって大きなメリットであり、大量の初期投資をせずにビジネスを始められるため、リスクを低減できます。

また、顧客にとっても、高額な初期費用を気にせずに新しいサービスを試せるため、新規顧客の獲得が加速します。

サービスの改善がしやすい

サブスク型ビジネスでは、顧客の利用状況やフィードバックをリアルタイムで収集しやすい点が特徴です。そのため、企業は顧客のニーズに迅速に対応し、サービスや商品の改善・最適化を継続的に行えるでしょう。

このサイクルを繰り返せば、製品の品質向上を加速させ、顧客満足度を高めるとともに、ロイヤルな顧客を確保する基盤を築きます。また、定期的な利用データに基づく分析は、未来の市場トレンドの先取りも可能にし、競争優位を保つための施策を積極的に展開できる環境を作り出します。

新規顧客を獲得しやすい

サブスク型ビジネスモデルの低い初期コストと柔軟なオプションは、新規顧客がサービスを試しやすい環境を提供します。特にトライアルや割引キャンペーンを利用することで、多くの新規顧客を効果的に獲得できます。

また、既存の顧客が満足するサービスを提供できれば、口コミや紹介によってさらなる新規顧客を獲得し、ビジネスの拡大が期待できます。さらに、サブスク型のモデルは顧客との長期的な関係を築くことが可能であり、これによって高い顧客ロイヤルティを形成し、持続的な成長を支える強固な顧客基盤を構築できます。

サブスクリプションの始め方やメリット・デメリットについて、詳しくはこちらの記事を>>
サブスクリプションサービスの始め方やメリット・デメリットを紹介

サブスク型ビジネスモデルのデメリット

ここからは、サブスク型ビジネスモデルのデメリットを4つ解説します。

収益化まで時間がかかる

サブスク型ビジネスでは、定期的な小額の収益しか見込めず、初期の顧客獲得コストが高い場合が多い傾向です。そのため、一定数の顧客を確保し、それが安定した収益につながるまでに時間がかかる可能性が高いでしょう。

スタート時に大きな投資が必要であった場合、この期間が収益の回収期間として長くなることが多く、初期の財務負担が大きくなります。

解約防止に継続的なサービスの改善・コストが必要

サブスク型ビジネスは、顧客が継続して契約を更新するためには、サービスの質を一貫して高めていく必要があります。顧客は比較的容易に契約を解除できるため、注意が必要です。
これには、定期的なアップデートや新機能の追加、顧客サポートの向上など、持続的な努力と投資が求められます。

この継続的な改善作業は、企業リソースを大きく必要とする場合があり、それが経営への負担となることもあるのです。

サブスクリプションの解約防止について、詳しくはこちらの記事を>>
サブスクリプションの解約防止方法は?企業ができる対策をまとめました。

競合他社が多い

サブスク型ビジネスモデルの普及により、多くの業者が市場に参入しています。この競争激化は、顧客獲得のためのマーケティングコストを高騰させ、差別化を図るための戦略が必須となります。

特に、類似のサービスが乱立する市場では、ブランドの強化や独自の価値提案の設計、さらなるサービスの革新など、競合から一歩進んだ取り組みが不可欠となり、これには大規模な投資と時間が必要となります。

サブスク型ビジネスモデルの種類

ここからは、サブスク型ビジネスの種類を5つ紹介します。

定期購入型

定期購入型のサブスク型ビジネスは、顧客が一定期間ごとに製品またはサービスを購入する形態です。たとえば、毎月一定の量のコーヒー豆を送るサービスや、定期的に化粧品を届けるサービスなどがあります。

定期購入型のメリットは、企業側が安定した収益を見込むことができる点と、顧客が手間なく継続的に製品を受け取れる点です。デメリットとしては、顧客のニーズが変化した場合の対応が難しい場合がある点です。

会員型

会員型のサブスク型ビジネスは、顧客が一定の月額料金を支払い、その対価として特定のサービスや製品にアクセスできる形態です。たとえば、映像ストリーミングサービスや音楽配信サービスがこれに該当します。

このモデルの利点は、定期的な安定した収益が見込め、顧客との関係が深まる可能性がある点です。反面、価格競争が激化しやすく、差別化が求められる場合があります。

店舗型

店舗型のサブスク型ビジネスは、顧客が月額料金を支払い、リアルな店舗でのサービスや製品を利用できる形態です。たとえば、フィットネスジムの月額会員や、コワーキングスペースの利用権がこれに当たります。

この形態のメリットは、安定した利用者基盤と収益が見込める点です。一方、物理的なスペースを必要とするため、運営コストが高くなります。

レコメンド型

レコメンド型のサブスク型ビジネスは、AIや人の手によって、顧客のニーズや嗜好に合わせた製品やサービスを定期的に提供する形態です。たとえば、パーソナルスタイリストが選んだファッションアイテムを毎月送るサービスがあります。

このモデルの利点は、顧客にとっての価値が高く、高い顧客満足度が期待できる点です。反面、個々の顧客に対するカスタマイズが求められるため、運営の複雑さが増す可能性があります。

頒布型

頒布型のサブスク型ビジネスは、特定のコンテンツや製品を一定期間や回数で顧客に提供する形態です。たとえば、月に一回特別な雑誌や書籍を送るサービスがこれに該当します。

このモデルのメリットは、顧客が新しいコンテンツや製品に触れる機会を定期的に得られ、企業側は安定した収益を確保できる点です。一方、コンテンツの品質を一貫して高めに保つ必要がある点はデメリットの1つです。

サブスク型ビジネスを始める手順

ここからは、サブスク型ビジネスを始める手順を解説します。

サービス内容の策定

サブスク型ビジネスを始めるには、まず明確なサービス内容を策定することが基本です。

最初に、ターゲット顧客を特定し、その顧客の持つ具体的な課題を解決するためのサービス内容を設計しましょう。この時点で、サービスの特徴や競合との差別点、提供する価値を明確にすることが大切です。

たとえば、特定の商品を定期的に提供するサービスか、オンラインでの教育コンテンツ提供か、それとも他に類を見ない新しいサービスか、というように具体的に設計します。サービスを提供する地域や頻度、対象者も明確にします。

提供方法・価格の決定

次に、サービスの提供方法と価格設定を決定します。

実店舗での提供なのか、オンラインなのか、あるいはその両方なのか。また、価格設定も重要で、月額いくらにするのか、無料トライアルを設けるのか等、顧客が納得感を持って契約できる価格を設定し、さらに企業が利益を上げられるようにするバランスが求められます。

顧客が感じる価値に見合った価格を設定し、その根拠を明確に提示することが重要です。

システムの構築

提供方法と価格が決まったら、サービス提供に必要なシステムを構築しましょう。ウェブサイトやアプリの開発、決済システムの導入、顧客管理のためのCRMシステムの設計・導入などが含まれます。

これらのシステムはサービスの運用をスムーズに行う基盤となりますので、セキュリティもしっかりと考慮し、慎重に選定・設計・構築を行うことが必要です。

サービスのリリース

システムの構築が完了したら、サービスを市場にリリースします。ここで重要なのは、事前のマーケティング活動です。広告、プロモーション、SNSを活用した情報発信などを行い、リリース時に顧客がサービスの存在を知るきっかけを作ることが重要です。リリース前のベータテストや限定公開を行うことで、最初のユーザーグループからのフィードバックを得て、細かい改善を行うことも有効でしょう。

リリースの準備期間をしっかり確保し、ターゲットとする顧客層に対して、サービスの魅力を最大限に伝えられる計画を立て、実行に移すことが大切です。

運用・分析・改善

サービスのリリース後は、継続的にその運用・分析・改善を行います。顧客からのフィードバックを収集し、それを元にサービスの質を向上させる改善策を検討します。

また、データ分析を行い、顧客の利用状況を深く理解し、サービス改善や新たなビジネスチャンスを見出すことも重要です。サービスを常に進化し続け、顧客にとって価値あるものであり続けるよう心がけましょう。

サブスク型ビジネスモデルを成功させるコツ


ここからは、サブスク型ビジネスモデルを成功させるコツを3つ解説します。

入念に市場をリサーチする

サブスク型ビジネスモデルを成功させるコツは、入念に市場リサーチを行うことです。ターゲット顧客のニーズを理解したうえで、競合状況、市場動向、顧客の行動を分析しましょう。

独自性を持たせ、他の競合と差別化できる戦略を立てるためにも、市場調査は欠かせません。定量的・定性的なデータを活用し、顧客がどのようなサービスを求めているのかを明確にすることが、サブスク型ビジネスの成功への第一歩です。

新しい価値を提供する

サブスク型ビジネスの成功には、顧客に新しい価値を提供することが鍵です。単に商品やサービスを定期的に提供するだけでなく、顧客の生活をより良く、便利に、楽しくする新しい価値を創造する必要があります。

具体的には、技術の活用、オリジナルコンテンツの開発、上質なカスタマーサービスなどが求められます。これにより、顧客ロイヤルティを高め、長期的な関係を築くことが可能です。顧客にとって無くてはならないサービスとなるよう、常に新しい価値の追求を意識しましょう。

プランを豊富に用意する

サブスク型ビジネスを成功させるためには、多様な顧客ニーズに対応するプランの設定が重要です。低価格から高価格まで、幅広い層をカバーするプランを設定し、顧客が自分に合ったプランを選べるようにすることが大切です。

プランの選択肢を豊富にすれば、市場の拡大と顧客満足の向上を実現できるでしょう。複数のプランを設定することで、顧客は自分のライフスタイルに合わせた選択が可能になり、サービスへの満足度が高まります。

サブスク型ビジネスモデルの成功例

ここからは、サブスク型ビジネスモデルの成功例を4つ紹介します。

Netflix

Netflixは、オンライン動画ストリーミングサービスの先駆者とされ、世界中に広がるサブスクリプションビジネスの成功例の一つです。ユーザーは毎月一定の料金を支払うことで、豊富な映画やテレビ番組、オリジナルコンテンツを無制限に視聴できます。

Netflixは、従来のテレビとは異なり、広告なしで視聴できる点も人気です。さらに、自社でのコンテンツ制作にも力を入れ、高品質なオリジナル作品を提供し続けています。

Spotify

Spotifyは、音楽ストリーミングサービスの先駆けとして知られ、月額定額制で数百万曲以上の音楽をストリーミングで楽しむことができます。

ユーザーに合わせたプレイリストの作成、友達との共有機能、複数のデバイスでの利用が可能など、使い勝手の良さが特徴です。無料プランと有料プランがあり、有料プランでは広告なしで高音質で楽曲を楽しめます。

Kindle Unlimited

Kindle Unlimitedは、Amazonが提供する電子書籍の定額読み放題サービスです。

ユーザーは月額一定の料金を支払うことで、数十万冊以上の電子書籍を読めます。小説から専門書まで幅広いジャンルが揃っており、読みたい本をいつでもどこでも自由に読むことができるため、多くのユーザーに支持されています。

Microsoft 365

Microsoft 365は、Microsoftが提供するクラウドベースのサブスクリプションサービスです。

Officeのデスクトップアプリケーション、クラウドストレージ、ビジネス用の電子メールソリューションなど、さまざまなプロダクトとサービスを一つのパッケージで提供します。個人から企業まで幅広い顧客に対して、柔軟な価格プランを提供し、常に最新の機能を利用できる形態が企業や個人ユーザーに受け入れられています。

まとめ

サブスクリプション型ビジネスモデルは、近年急速に普及し、多くの企業に新たな成長の機会をもたらしています。このビジネスモデルは、企業が一定期間ごとの固定の費用で製品やサービスを顧客に提供し、安定した収益を実現するものです。

この形態は顧客にもメリットが多く、特に所有するより利用するというライフスタイルの変化に対応する形態として注目されています。サブスク型ビジネスは、今後も多様な業界で拡大する可能性があり、新たなビジネスの形態としてその重要性が増していくでしょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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