中小企業省力化投資補助金とは?2024年注目の補助金!仕組みやメリット、申請フローを解説

創業手帳

中小企業省力化投資補助金は中小企業の売上拡大や生産性向上を後押ししてくれる制度


中小企業省力化投資補助金を活用すれば、IoTをはじめとした省力化機器を導入する費用の補助を受けられます。経済的な援助だけでなく、省力化機器の導入を通じて、売上拡大や生産性向上のメリットも期待できます。

さらに、売上拡大や生産性向上を、最終的に従業員の賃上げにつなげることも可能です。賃上げを行うことで従業員の満足度が高まり、人手を確保しやすくなる好循環が生まれるでしょう。

こちらの記事では、中小企業省力化投資補助金の概要や活用するメリットなどを解説します。人手不足や生産性の停滞に悩んでいる事業主の方に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。

創業手帳では、起業家・経営者によく使われている補助金に特化して解説した「補助金ガイド」を無料でお配りしております。設備投資に使える補助金や、人材採用に使える補助金などを知っておきたい人は是非あわせてお読みください。また、自治体独自で実施される補助金・助成金については「補助金AI」をご活用していただくと、登録いただいた都道府県の情報を定期的にメールにて配信させていただきます。こちらも無料でお使いいただけます。


補助金ガイド


補助金AI

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

中小企業省力化投資補助金の概要


中小企業省力化投資補助金は、経済産業省の令和5年補正予算により導入された補助事業です。

まずは、中小企業省力化投資補助金の趣旨や対象となる事業主などの基本情報から解説します。

目的

中小企業省力化投資補助金の目的は、人手不足や低い生産性などの問題を抱えている中小企業の、IT機器や省力化をするための機材導入を支援することです。中小企業の省力化投資を支援し、経済活動を活発化することも目的の一つです。

中小企業の売上拡大や生産性向上などを支援し、最終的に付加価値の向上や賃上げにつながることを目指しています。日本にある企業の9割以上は中小企業ですが、人手不足や低い生産性に悩んでいる企業は少なくありません。

近年は少子高齢化に伴う労働力人口の減少や原材料価格の高騰などもあり、事業経営に頭を悩ませている経営者も多いでしょう。実際に、日本商工会議所の資料によると、中小企業全体で65.6%の企業が「人手が不足している」と回答しています。

中小企業省力化投資補助金を活用すれば、省人化・省力化を目指す事業投資に対して経済的補助を受けられます。人手不足という事業継続に大きな障壁となりうる課題を解決するうえで、有効な手段の一つと言えるでしょう。

対象事業主

中小企業省力化投資補助金の対象となるのは「人手不足の状態にある中小企業等」です。「直近の従業員の平均残業時間が30時間を超えている」「整理解雇に依らない離職・退職によって従業員が前年度比で5%以上減少している」「採用活動を行い求人を掲載したものの、充足には至らなかった」などの要件が設けられています。

人手不足に関しては、状況を客観的に示す書類の提出が求められます。口頭で「我が社は人手不足です」と伝えるだけでは足らず、客観的な証拠が求められることは押さえておきましょう。

さらに、補助事業終了後3年間で「申請時と比較して労働生産性を年平均3.0%以上向上させる」ための事業計画を策定する必要があります。実際に採択を受けた場合は、策定した内容に取り組まなくてはなりません。

補助額が500万円以上となる場合は、事業計画期間終了までの間は、取得財産が火災や地震などの災害により損失する事態に備えることが求められています。

この場合、保険又は共済への加入が必須となっているため、500万円以上の補助を受ける予定がある事業主(1,000万円以上の事業投資をする見込みがある事業主)は注意しましょう。

補助額・補助率

中小企業省力化投資補助金の補助額と補助率は、以下のとおりです。

従業員数 補助上限額 補助率
5人以下 200万円(300万円)※ 1/2
6~20人 500万円(750万円)※
21人以上 1000万円(1500万円)※

※大幅な賃上げを行う場合
補助率は1/2となっており、最大で導入した省力化機器の半額を援助してもらえます。さらに、以下に該当する「大幅な賃上げ」を行った企業には、補助上限額が引き上げられます。

  • 事業所内最低賃金を年額45円以上増加させること
  • 給与支給総額を年率平均6%以上増加させること

中小企業省力化投資補助金の目的の一つが「賃上げ」です。実際に賃上げを実現できた中小企業に対してインセンティブを設けることで、賃上げを促進して経済の活性化を促したいという、政府の意向が見て取れます。

なお、大幅な賃上げに伴う補助上限額の引き上げを受けるためには、補助金の申請時に宣言をすること・事前に従業員に対して賃上げの計画を表明する必要があります。従業員に対して表明していない場合、補助金の返還が求められる点に注意しましょう。

対象となる製品

中小企業省力化投資補助金の対象となるのは、事務局のカタログに登録された製品です。2024年3月29日の最新情報では、以下が対象商品となっています。

出典:中小企業省力化投資補助事業 製品カテゴリ
導入する省力化機器は、事業主が自由に選択できるわけではありません。事務局のカタログに登録されている製品でなければ、補助対象外となる点に注意しましょう。

なお、対象製品は今後増える予定です。最新情報は中小企業基盤整備機構のホームページで確認しましょう。

中小企業省力化投資補助金を活用するメリット


中小企業省力化投資補助金を活用することで、経済的な援助を受けながら省力化機器の導入を推進できます。

ほかにも多くのメリットが見込まれるため、以下で詳しく解説します。

生産性が高まり人手不足を解消できる可能性がある

中小企業省力化投資補助金を活用し、省力化機器を導入することで業務生産性が高まります。マンパワーで行っていた作業の全部ないし一部を機械に任せることで、人間はより高い付加価値を生み出せる業務に時間を割けるためです。

例えば、人間が3人がかりで行っていた業務を機械が担当できるようになれば、3人分の人出に余裕が生まれます。限られた人材で業務をやりくりしている事業主にとって、生産性を高め、人手不足を解消できるメリットは大きいでしょう。

従業員の労働時間を削減できる

省力化機材を導入すれば、人間が行う作業が減るため労働時間を削減できます。労働時間の削減により、従業員がワークライフバランスを実現しやすくなるでしょう。

長時間労働が常態化していると、従業員の心身の負担が重くなるだけでなく、満足度も下がってしまいます。特に、建設業界や物流業界では2024年4月から残業時間の規制が強化されるため、より労働時間をシビアに管理しなければなりません(「2024年問題」と呼ばれます)。

労働時間を削減できれば、人件費を抑制できるメリットも期待できます。長時間労働や人件費の負担を軽減したいと考えている事業主は、中小企業省力化投資補助金の活用を検討する余地があります。

関連記事
2024年問題とは?何が起きる?いつから?労働時間は1日何時間?わかりやすく解説

賃上げを通じて従業員満足度の向上・人材確保を図れる

中小企業省力化投資補助金の目的の一つに「賃上げ」があります。賃上げを実現すれば、従業員の満足度が向上し、人材離れを防げる効果が見込めるでしょう。

働きやすい職場環境を整備できれば人手を集めやすくなり、人材定着と人材確保を図れるメリットが期待できます。特に、転職が当たり前になりつつある昨今においては、正社員やパートなどの雇用形態に関係なく、魅力的な職場環境を整備する重要性が高まっています。

販売事業者から申請・手続きのサポートや導入支援を受けられる

補助金の申請をする際に、必要に応じて販売事業者から手続き面のサポートを受けられます。また、省力化機器を導入するにあたって、販売事業者から使い方や効果的な活用方法などの支援を受けることも可能です。

せっかく省力化機器を導入しても、効果的に使いこなせなければ意味はありません。「機械に弱いから不安」という事業主でも、販売事業者からサポートや導入支援を受けられるのは心強いのではないでしょうか。

単に経済的な援助を行うだけでなく、中小企業の売上拡大や生産性の向上に結び付けるために、必要なサポートを受けられる点はメリットの一つです。

中小企業省力化投資補助金の活用事例


実際に、中小企業省力化投資補助金をどのように活用する事例が考えられるか解説します。

飲食業界で自動調理ロボット・自動配膳ロボットを導入する

飲食業界で自動調理ロボット・自動配膳ロボットを導入することで、キッチンやホールの人手不足を解消できます。飲食業界は人手不足が深刻な業界の一つですが、ロボットの導入を通じて人間の業務負担を軽減できるでしょう。

実際に大手外食チェーンでは自動配膳ロボットを導入しているため、見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。注文したテーブルまで料理を運び、随時巡回して食べ終わった食器を回収してくれるため、ホールの業務をすべて任せることも可能です。

人手不足に難渋している飲食店事業主の方にとって、自動調理ロボット・自動配膳ロボットは問題を解決してくれる可能性があります。

介護業界で介護ロボットを導入する

介護業界も、人手不足が顕著な業界です。介護事業者が介護ロボットを導入することで、人手不足の解消と、従業員の労働時間を抑制するメリットが期待できるでしょう。

要介護者の身体を持ち上げたり車いすへ移乗したりするとき、介護士は足腰や腰に大きな負担を強いられます。介護ロボットに生活介助の一部を任せることで、介護士の身体的負担を軽減できるでしょう。

その結果、介護士の労災事故を防ぐことも可能です。介護士が要介護者利用者一人ひとりに対してきめ細かいケアを行えるようになり、介護事業者として質の高い対人サービスを提供できます。

建設業界で点検ドローン・運搬ロボットを導入する

建設業界で点検ドローンや運搬ロボットを導入することで、建設作業員の負担と労災事故が発生するリスクを軽減できます。

点検ドローンがあれば、高所や危険な場所の点検が遠隔から可能になります。また、ドローンを用いれば、人間よりも迅速かつ広範囲の点検を行うことも可能です。

運搬ロボットがあれば重量物の輸送・移動を任せられるため、安全な作業環境を整備できるでしょう。時間効率を向上させ、労働時間を短縮する効果も見込めます。

物流業界で自動搬送ロボット・積み下ろしロボットを導入する

物流業界で自動搬送ロボットや積み下ろしロボットを導入することにより、商品の移動や整理を迅速かつ正確に行えます。従業員の身体的負担の軽減と労働時間の短縮はもちろん、物流センターや倉庫の運用効率が向上するメリットが期待できます。

自動搬送ロボット・積み下ろしロボットには、作業ミスが少ない強みがあります。人間が行うとヒューマンエラーが起こってしまうリスクをゼロにはできませんが、自動搬送ロボット・積み下ろしロボットを導入することで、誤出荷や損傷のリスクを軽減できます。

さらに、自動搬送ロボット・積み下ろしロボットは24時間体制で運用が可能です。ECサイトの普及に伴ってインターネットショッピングが増えた昨今において、年中無休で稼働できるロボットがあれば、さまざまな出荷ニーズに対応できるでしょう。

中小企業省力化投資補助金の申請フロー

中小企業省力化投資補助金の具体的な申請スケジュールは、まだ正式に発表されていません。しかし、以下の申請フローで進むため、可能な範囲で準備を進めておくとよいでしょう。

申請フロー
  • gBizIDを取得する
  • 省力化製品の選択等の事前準備をする
  • 補助金申請をする
  • 事務局が審査する
  • 補助事業を実施する
  • 事業実績報告をする
  • 補助金交付手続き
  • 事業実施効果報告を行う

今後、最新情報が中小企業基盤整備機構のホームページにアップされる予定です。こまめに確認して、具体的な申請スケジュールが発表されたら迅速に動けるようにしておくとよいでしょう。

なお、中小企業省力化投資補助金は令和8年9月末頃までの間に、複数回の公募が行われる予定です。定期的に最新情報をチェックし、公募のスケジュールを把握しましょう。

中小企業省力化投資補助金に関するよくある質問


中小企業省力化投資補助金に関するよくある質問を紹介します。最新情報を確認しつつ、よくある質問に目を通しておきましょう。

Q:導入する機材は事業主が自由に選択できますか

事業主が自由に導入する機材を選べるわけではありません。中小企業省力化投資補助金を受給するためには、あらかじめ補助の対象として登録された「省力化製品カタログ」から導入する機材を選定する必要があります。

なお、省力化製品カタログは今後公式ホームページで情報更新される予定です。

Q:省力化製品・導入経費の最低利用期間はありますか

中小企業省力化投資補助金を通じて導入した省力化製品は、最低でも1年以上は利用しなければなりません。納品後1年未満で利用解除した場合、補助金返還の対象となるため、注意しましょう。

Q:省力化製品とは何ですか

省力化製品とは、省力化製品製造事業者が製造し、中小企業等の人手不足解消に効果があるIoT、ロボットなどです。

人手不足だけでなく、売上拡大や生産性向上にも寄与する製品を指します。

Q:IT導入補助金との併用は可能ですか

IT導入補助金と中小企業省力化投資補助金は、同一又は類似した内容の事業では併用できません。

例えば、IT導入補助金と同じ業務プロセスである省力化製品を導入する場合、中小企業省力化投資補助金は申請できません。

Q:ものづくり補助金との併用は可能ですか

過去にものづくり補助金の交付決定を受けて10カ月を経過していない事業主と、過去3年間に2回以上ものづくり補助金の交付決定を受けた事業主は、中小企業省力化投資補助金の対象外です。

上記に該当しなければ、ものづくり補助金と中小企業省力化投資補助金は併用可能です。

Q:事業再構築補助金との併用は可能ですか

事業再構築促進補助金に採択され、補助対象である事業に用いるための機器を中小企業省力化投資補助金で導入する場合、併用できません。

つまり、事業再構築促進補助金の対象となる事業と中小企業省力化投資補助金の対象となる事業は、明確に分ける必要があります。

まとめ:中小企業省力化投資補助金を活用して人手不足の解消と賃上げを図ろう

中小企業省力化投資補助金は、省力化投資を促進して中小企業の付加価値額や生産性向上を図る制度です。活用すれば、生産性向上だけでなく従業員の労働時間の短縮や賃上げも実現できるでしょう。

人材確保や低い生産性に悩んでいる事業主の方は、活用を検討してみてください。

創業手帳では、補助金・助成金の特徴や利用条件などを詳しく解説し、最新情報を起業家・経営者の方々にお届けしています。無料でお取り寄せ可能なので、補助金・助成金の活用を検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。


補助金ガイド


補助金AI

関連記事
補助上限最大50億!「中堅・中小成長投資補助金」をわかりやすく解説!
【2024年最新】最大1億円!ものづくり補助金をわかりやすく解説!

(編集:創業手帳編集部)

補助金ガイド
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す
今すぐ
申し込む
【無料】