ピアリビング 室水房子│音の問題を解決してリモートワークをより快適に

創業手帳woman

「主婦目線」で需要をつかみ商品化、人気商品に

ここ数年、三密を避けるための工夫として随所にパーテンションが設けられ、個の空間が見直されるようになってきました。

テレワークで「オンライン会議中に生活音が入ってしまう」などのお悩みから防音対策を考える人も増えているようです。

そんな時勢の中、組立式防音室「おてがるーむ」や防音マットの通販事業を通し、音対策に取り組むピアリビングの代表取締役 室水房子さんに、人気商品の誕生秘話を伺いました。

室水房子(むろみず ふさこ))
株式会社ピアリビング 代表取締役
1993年に「防音専門ピアリビング(株式会社ピアリビング)」の前身となる会社を創業。約20年間防音専門店としての地位を確立し、年商は10億円を突破。簡単防音からプロの防音まで幅広く商品を揃えており、お客様1人1人に適した防音商品・アドバイスを提供。2017年~は中国にて情報発信や販売を開始。コロナ禍では、オンライン相談・3Dショールームのサービス開始など、環境に合わせて新しい挑戦を続けている。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

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内装業から防音カーペットの販売にシフトチェンジ


大久保:ピアリビングの事業概要を教えてください。

室水:弊社は「⾳の問題を解決し、⼈々の幸せに貢献すること」の理念を持つ防⾳専⾨企業です。もともと1993年から内装業を営んできました。しかし内装業の仕事が減ってきたこともあり、ヤフーオークション(以下ヤフオク)で何か売れる物はないかと探していたところ、防音カーペットに出会ったのです。

「気軽に設置できる防音カーペットなら、子どものいるご家庭をはじめ、さまざまな需要があるかもしれない」
そう思った私は早速ヤフオクに出品。3カ月で100万円売上げたのです。

その後、防音の仕事が内装業の売上と逆転するようになりました。会社代表を夫から私に変更し、本格的に防音事業を始めました。当初は内装事業の際にできた借金が残っていたため、日々、借金の返済に奔走していましたね。その甲斐もあり、7年で返済できました。

「主婦の発想」で商品開発

大久保:当時、女社長はまだ珍しかったのではないでしょうか。

室水:そうですね、まず社長とは思われませんでした。ただ悪いことばかりではなく、男性の場合は「営業されるのか」と警戒されがちですが、壁を作らずに話を聞いてもらえたのは良かったです。

大久保:その後の商品展開にも、女性目線は活かされているのでしょうか。

室水:当時「壁の防音」に対する相談をよくいただいたのですが、個人向けの壁の防音はありませんでした。「今ある建材を使って何かできないか」と思い、動き出したことがあったんです。
それは言ってみれば、冷蔵庫に今あるもので料理をつくる「主婦の発想」からでしたね。

実際にメーカーに相談したところ「個人向け防音はつくっていない」と断られてしまいました。しかし何気なく発した「吸音材を壁に貼って効果が無いことはないんですけどね」という一言で、壁に吸音材や遮音材を貼ることを思いついたのです。
今は当たり前のように吸音材や遮音材が壁に利用されていますが、当時は使われていなく、おそらく私が最初に始めたのだと思います。

その他にも、床に敷く遮音カーペットだけでは防音対策として物足りない場合もあると思い、本来フローリングの下に使う遮音マットを上に活用していくご提案をお客様にしていきました。「あるもので、何ができるか」を考えることで新しい商品が生まれたわけです。

小さなニーズから生まれた商品がコロナ禍で大ヒットに

1時間程度で組み立て可能な防音室「おてがるーむ」

大久保:防音商品を取り扱う企業は、あまり多くない印象ですがいかがでしょうか。
室水:以前は少なかったですね。ただ楽器を演奏するような、何百万円もする防音室は大手企業が昔から出しています。2004年にお客様から「自分で簡単に組み上げられる防音室はないのでしょうか」と相談を受け、商品化し、2005年にNHKにも取り上げられましたが、組み立てが大変だったため、一旦、販売中止にしました。

しかし新型コロナウイルスが蔓延する2年前くらいから、コワーキングスペースが流行りだし、防音室や間仕切りの需要を感じるようになりました。
そこで組立式防音室「おてがるーむ」やパーテーションの開発をコツコツとやってきたんです。
本来「吸音と遮音」をしなければ防音にはならないため、それをクリアした構造のものに、こだわってつくりました。

それらの商品が、コロナ禍の状況下で注目されるようになったのです。ニーズを感じてからつくりだす方が多いのですが、私たちはその前から開発していた点が強みとなっています。

大久保:新型コロナウイルスの影響で、どれくらい相談数が伸びましたか。

室水:電話での問い合わせが4倍になりました。2020年3月頃に学校が休校になったあたりから驚くほどの勢いで伸び、5月がピークでした。
弊社もテレワークをすぐに導入したのですが、電話問い合わせがあまりに多かったためスタッフが疲弊してしまいました。反響が大きいと良いことがあるぶん大変さもあり、スタッフには負担を掛け心苦しかったですね。

スタッフは現在26名いるのですが、ベテランスタッフも疲弊していたので増員せざるを得ない状況でした。また受注を外注にしてお客様からの相談に対応できる体制を整えていきました。

大久保:大変だったようですね。供給は追いつきましたか。

室水:自社発送に加えて、2016年からスクロール360(物流代行会社)、メーカー直送と3拠点から商品を発送していたため、お客様をお待たせするかたちにはなりましたが、幸い在庫切れにはなりませんでした。

防音事業の発展性と世界進出


大久保:防音商品は、リピートが見込める商品なのでしょうか。

室水:うちはリピートしてくださるお客様が多いです。最初にカーペットやカーテンを購入されて、壁もやりたいとオーダーメイドされる方もいます。中には通算1000回、買い足してくださる方もいますね。

ちなみに販売チャネルは楽天、アマゾン、au PAYを主に利用しています。比率は自社サイトが一番多いです。また2017年から中国の簡易ブログ「微博」で発信していたところ、1年後に反響が出始めまして、中国のオンラインモール「taobao」、そしてTmail(天猫)で2020年より販売をしています。

中国から受けた注文はパートナー企業に受注処理をしてもらう外注体制を取っています。中国ではカーテンや吸音材が人気商品となっていますね。

大久保:海外展開を始めるうえでのポイントを教えてください。

室水:中国ECプラットフォーム「Tmall」は実績がないと審査が通らないので、最初は市場があるかどうかを「微博」などで調査、情報発信していくのはとても大事かと思います。

中国に進出してわかったのですが、日本人は自分の音を気にしますが、中国人は他人の音を気にされるようなんです。そのような国民性の違いも情報発信をしていく中で気づいていけると思います。

大久保:なるほど。では新型コロナウイルスが収束した後は、どのようにお考えでしょうか?

室水:新型コロナウイルスが収束しても、リモートワーク時に「音」が気になってしまうニーズは、今後も無くならないと思っています。そのためYouTubeやインスタグラムのライブ配信などで、テレワークに便利な防音などをお伝えしています。

成功の背後に3度の苦境があった

大久保:いつも順調なことばかりではないと思いますが、苦境に陥った経験はありますでしょうか。

室水:娘を妊娠中の25歳のときに起業して、3回倒産しそうになりました。1回目は2005年のアスベスト問題のときです。扱っている商品がアスベスト商品と勘違いされてしまい返品が続出しました。

2回目はリーマンショック。商品が9割ほど無くなり、1から商品を育てる必要性がでました。

3回目はGoogleのパンダアップデートですね。SEO記事で自社サイトが上位に表示されにくくなり売上が激減しました。

大久保:大変な状況も切り抜けてきた室水社長ですが、女性起業家に向けた「起業のポイント」を教えていただけないでしょうか。

室水:女性は争いを起こしたくないので、何とか違う方法を考えようとする柔軟性、そして粘り強さがあると感じています。そのため経営に向いていると思いますね。商談でも女性のほうが、受け入れていただきやすいですし。

コロナ禍で仕事を始める方も多いと思います。
中でもECは、子どもを見ながら仕事ができるので働きやすく、子どもが熱を出したときも安心です。うちの会社は半分くらいが女性なのですが、常に「子どもができても、働きたかったらずっと働いていいからね」「『今、育児の手が空いたから、何時間だけお客様対応に入ります』もOK」と伝えています。
スタッフにとって働きやすい環境を提供しつつ、今後もお客様が満足していただけるサービスをお届けできればと思います。

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