信用金庫と信用組合の違いとは? どのような起業家が活用すべきかを解説

創業手帳

信用金庫と信用組合の違いをもとに、どのような起業家がサービスを利用すべきかを解説します

(2020/07/13更新)

信用金庫と信用組合という言葉を知っていても、具体的な違いはイメージしにくいのではないでしょうか。信用金庫と信用組合はどちらも地域に根付いた事業を行っている金融機関です。しかし、同じようなサービスを提供しているものの、それぞれ組織の構成や業務に関して違いがあります。

そこで今回は、信用金庫と信用組合の違いを解説し、適切に利用することで起業家にとってどのようなメリットがあるのかをご紹介します。会社を設立したばかりで融資など資金調達の方法を検討している方など、ぜひ参考にしてみてください。

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信用金庫・信用組合と銀行の違いとは?

信用金庫は「信用金庫法」、信用組合は「中小企業等協同組合法」、銀行は「銀行法」を根拠法としています。銀行は株式会社に分類され営利を追求する「営利法人」である一方、信用金庫と信用組合は「非営利法人」であり、組織の構成員である組合員や会員に対して経済的な支援を行うことが目的です。

また、信用金庫・信用組合と、銀行とでは営業規模にも違いがあります。都市部をメインとして営業している銀行は、銀行法に基づき営業エリアを制限していません。つまり、事業者・個人に関わらず口座を持っていれば誰でもサービスを享受できます。

一方で、信用金庫や信用組合は地域社会への貢献が設立の目的です。営業範囲を特定地域のみの小規模としており、組合員や会員になるためには同じ地域に住所を持たなければなりません。

信用金庫と信用組合の違いとは?

信用金庫と信用組合は同じ非営利組織であることや、特定地域のみで展開している小規模な事業を運営しているものの、組織としての違いがあります。

そこで、信用金庫と信用組合の違いについて、設立目的・会員資格・営業範囲の3つのポイントでまとめました。

設立目的の違い

・信用金庫
会員が共同体となり、その地域の経済発展を目的とした金融機関です。特定の地域で会員が出資したお金を資本とし、融資を必要としている中小企業や個人を援助するという役割を担っています。また、地方のお金が都心部に流出してしまっている現状から、地域の衰退を防ぐ狙いもあります。

・信用組合
組織を構成している組合員の利益や発展に貢献することが目的です。特定の地域に根付いている中小企業や個人が組合員となり、お互いに資金を融通しあう機関で、経済的な支援を行う相互扶助の狙いがあります。

組織と会員資格の違い

・信用金庫
会員と呼ばれる出資者によって組織を構成しているのが信用金庫です。特定の地域内に住所を有している方や勤労者を対象としているほか、従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者であることを条件としています。

・信用組合
信用組合は、特定の地域内で生産活動をしている方などを対象としている点については信用金庫と同じです。ただし、組織構成が組合員と呼ばれる点や、事業者が資格を得るために従業員300人以下または資本金3億円以下などと信用金庫よりも条件が低く設定されています。

業務範囲の違い

信用金庫と信用組合の業務は、銀行と同じように預金・貸付・為替の3つの基本業務を行っていますが、それぞれ一部のサービスに制限をかけています。貸付業務に関しては会員・組合員でなければ利用できません。

また、預金業務については、信用金庫は会員以外でも利用できますが、信用組合では組合員以外は利用できません。

信用金庫と信用組合はどちらも地域コミュニティを支える役目を担っていますが、信用組合の方がより組織内での相互扶助を重視しています。

信用金庫と信用組合はどのような起業家が活用すべきか?

信用金庫と信用組合は中小企業や個人など比較的に規模の小さい事業者を相手としています。とはいえ、会社をつくったばかりの起業家は、どのように2つの金融機関を活用していけばよいのでしょうか。信用金庫と信用組合を活用すべきメリットをまとめました。

経営方針が定まっていない起業家

信用金庫や信用組合は、経営方針が定まっていない際に活用できるのがメリットです。メガバンクと言われる都市銀行は、営利を目的とした事業を行っています。そのため、起業したばかりで会社の規模が大きくない場合だと、相談に乗ってもらえません。

一方、信用金庫や信用組合は、組織の構成員である会員や組合員とのコミュニケーションを重要視しています。また、特定地域の経済発展につなげることを目的としており、規模の小さい会社でも相談に乗ってもらいやすいのが特徴です。

法人化したばかりの起業家

信用金庫や信用組合は、法人化したばかりの起業家にとって大きな味方となります。経営の悩みについて、親身になって相談にのってくれるほか、長期的な視点で会社の成長を支援してくれるためです。

メガバンクの場合、社会の景気が悪くなってしまったり、事業が伸び悩んでしまったりしていると貸し渋りのリスクがあります。会社をつくった初期の段階で、軌道に乗りたい起業家は、信用金庫や信用組合とうまく関わることで明確な方針が見えてくるでしょう。

融資をはやめに受けたい起業家

起業したての頃は、資金繰りに苦悩する場面が多くあります。そこで、金融機関を活用することで、事業の継続や発展のための支えにしていきましょう。信用金庫や信用組合は、メガバンク等より融資を受ける難易度が低いとされています。

売上げが少なく、金融機関との取引きが浅い中小企業や個人経営者などは、信用金庫や信用組合から融資をもらえる「保証付融資」を検討してみてください。

もちろん、融資を受けるために、「信用保証協会」による審査を受けなければなりませんが、法人代表者以外の連帯保証人が不要であることや返済が滞ってしまった場合に立て替え払いをしてくれるといったメリットがあります。

また、各金融機関によって融資商品も異なるため、会社の方向性や規模に合わせて選びましょう。

地域に根ざした事業を行いたい起業家

特定の地域で事業を発展させたい起業家は、信用金庫や信用組合を活用してみてください。どちらの金融機関も特定地域の経済繁栄を目的としているため、地元に密着した事業を行う場合にサポートしてくれます。

どちらを利用すればわからない方は、まずは信用組合に相談をしてみましょう。地域に根付いた企業が集まっているため、コミュニティを深めたい起業家にとってプラスに動く可能性があります。

また、信用組合は組合員のみへの限定的なサービスも展開しており、手厚い支援を受けられるというのもメリットです。

まとめ

信用金庫や信用組合は、起業家にとってメリットが多い金融機関です。法人化したばかりだと経営方針や資金のやりくりについて悩みが増えることで、将来の事業計画もうまく建てられないことがあります。信用金庫や信用組合は、営利を目的としていないため、中小企業や個人事業家に対しても手厚いサポートを行っています。

また、信用金庫や信用組合は、エリアが特定地域に限られているのが特徴です。地元を拠点として会社を発展させたい場合、親身になって相談を受けてもらえます。

このように、会社を起こしたばかりの起業家は、信用金庫や信用組合を有効に活用することで、将来的なビジョンを形成しやすくなります。特徴を知って、上手に利用してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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