TERASS 江口 亮介|次世代型不動産エージェントファーム「TERASS」でエージェントの成功をサポート

創業手帳
※このインタビュー内容は2022年09月に行われた取材時点のものです。

不動産エージェントに転職と開業以外の「第3の選択肢」を提供


中古住宅市場は、2016年には首都圏で中古が新築の取引数を上回っており、今後も中古住宅へのニーズの高まりが予想されています。しかし、この不動産売買の業界は、まだまだDX化が進んでいない業界であるため、不動産業界に従事する方々の負担が多く、働き方改革が求められている業界でもあります。

そこで、不動産エージェントの転職と開業以外の「第3の選択肢」を提供しているのが、TERASSの江口さんです。

不動産業界の課題や、その解決策について創業手帳の大久保が聞きました。

江口 亮介(えぐち りょうすけ)
株式会社TERASS 代表取締役CEO
慶應義塾大学経済学部卒業。2012年にリクルートに新卒入社し、SUUMOの広告企画営業として約100社以上の不動産ディベロッパー担当。その後、SUUMOの売買領域の商品戦略策定に関わる。2017年にマッキンゼーアンドカンパニーに入社し、戦略・マーケティングを中心とした経営コンサルティングを手がけた後、2019年4月に株式会社TERASSを創業。個人で3回の不動産購入、2回のフルリノベーション、3回の不動産売却を経験。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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コンサル会社を経て「TERASS」を創業

大久保:起業の経緯を教えてください。

江口前職はコンサルの会社にいました。

最初は、起業する予定ではなく、転職エージェントに相談していた時に、起業した方が良いのではないか?という話になったのがきっかけです。

元々、親や親戚にも起業家が多く、なんとなく興味を持っており、年齢も28、29歳で良いタイミングだと思い、起業しました。

そして、創業2日目、今の株主でもあるインキュベイトファンドの村田さんから出資を受けて、スタートしていきました。

大久保:会社を作り上げていく過程で、どういうところが大変でしたか?

江口:難しかったと思うのが「採用」です。

良い人をいかに採用するか、そして熱を持ってもらい、成長へと繋げる。創業時に、私自身が採用活動を行い、その大変さと大事さを学びました。

大久保:投資家がついてはいるものの、採用は大変ではなかったですか?どんな工夫をしましたか?

江口:WANTとWILLと会社がやりたいことと、手を替え品を替え、情熱を持って伝えていきました。

TERASSで不動産売買をDX化

大久保:事業はどのように進めていったのでしょうか?

江口:特に初期は、TERASSに参画して活動してくれる不動産エージェントの獲得に苦労しました。手紙を書き、それでも断られるなど、泥臭いことをしていました。

そうやってTERASSに参画して活動してくれる不動産エージェントを少しずつ獲得していく中で、30人程になった時に、増えるペースが一気に早くなったように感じました。それは、既存エージェントが紹介をくれるような流れができたからだと考えております。

紹介が増えた1番の要因は、成功事例が増えたことだと思います。成功事例が増えれば顧客が顧客を呼ぶ状態になります。この流れを大事にしたおかげで、顧客の獲得スピードを伸ばすことに成功しました。

大久保:事業内容を改めて教えてください。

江口TERASSは、不動産売買のDX(デジタル推進)をしている会社です。

つまり、家を売ったり買ったりする人と、その間で働く不動産エージェントに対して、個人でもリモートでも、仲介業をしやすくなるような環境を提供し、生産性を上げるための事業を行なっております。

大久保:この新しい業態は、既存の物と比べて、不動産エージェントにとって、どのようなメリットがあるのでしょうか?

江口:自分のしたい働き方で仕事をすることができ、自分で起業するより手間が少なく、さらに集客のサポートもしてくれるという点、そして、従来の不動産会社にいる時より、大きな収益を得られるという点がメリットです。

大久保:日本では既存の住宅流出比率が低く、アメリカの中古住宅比率が高いと、プレスリリースに書かれていたかと思いますが、不動産エージェントが広がって行くと、中古住宅業界も活性化されて行くのでしょうか?

江口:今、新築に比べて、中古住宅を買う方が難しいのです。

今までは、中古住宅に関する情報が足りず、不安でなかなか買えなかった人が多い中、個人で活躍する優秀な不動産エージェントが増えていくと、最適な意思決定ができるようになり、より良い不動産の取引が増えると考えております。

生産性を上げて不動産選びに困っている顧客に寄り添えるようにする

大久保:不動産エージェントが抱える課題があれば教えてください。

江口:まずは、生産性が低いことです。

ペーパーレスと言われる時代に、書類が必要な工程が多く、移動時間が長い営業活動をしている、諸作業も不動産エージェント自身が行わなければいけない、という非効率的な部分が多いです。

なので、時間がなくなり、お客様に対して付加価値が出せるような営業活動ができておらず、本当に悩んでいるお客様ほど、後回しにしてしまっている状態になっています。

それが良くないとわかっていながらも、ノルマがあるため、時間を割くことができず、最終的にはやりがいを感じずに辞めてしまう、という悪循環が巻き起こっています。

一人のお客様にしっかりと時間をかけることができれば、満足して買ってもらうことができ、大きな報酬も得られるため、自己実現が可能になります。

このような好循環を生むために、TERASSがサポートをしております。

大久保:不動産業界の現状を教えてください。

江口:市場は全体で約40兆円、その中で仲介・中古市場が約14兆円と言われております。

事業者数は約134万とコンビニの約2倍の数ある中で、その9割ほどは5人以下の起業となっております。

さらに事業者の35%ほどが60歳以上です。また業界的にITリテラシーが高いとは言えないというのが現状です。

大久保:そのような業界でプラットフォーム事業を普及させるために大変だったポイントを教えてください。

江口:1回目の成約までが大事だと考えていますので、カスタマーサポートを置いて、手厚くサポートを行なっております。

不動産業界にテクノロジーを介在させるメリット

大久保:少人数スタートアップでサポートするのは大変かと思いますが、いかがでしたか?

江口:大変でした。ですので、直近はエージェントの数が増えてきたので、お互いに助け合えるような環境やコミュニティーが作られるよう、意識して進めてきました。

大久保:不動産業界にテクノロジーを介在させるメリットを教えてください。

江口:不動産業界にテクノロジーを介在させるメリットはたくさんあります。

誰がやっても良い、誰かがやらなければいけない業務は、TERASSの方で巻き取ってITの力で効率化しております。

具体的には、契約書など業法上出さなければいけないものは、担当者が最小限の工数で正しい書面が出せるよう、自動化しております。また、広告出稿に関しましても、TERASSの方で行っております。

大久保:大きい会社だと、営業事務の方が書類を作って、サポートしてくれているところがあると思いますが、そこをTERASSが行っているような感じでしょうか?

江口:はい。その通りです。

大久保:私の父親が不動産屋をやってましたが、やはり少人数でやっていると、効率化まで手が回らないのも理解できます。

江口:店舗を持つと固定費がかかってしまうため、それだけでもデジタル推進(DX)は進みづらくなります。さらに、売上も上げていかなければいけないため、少人数でやられている不動産業は大変なのです。

よって、TERASSのサービスを活用して、開業コストを最低限にしていただければ、自分の能力一つで明日からでも売上を立てられる、ということがTERASSの特徴になっております。

また、成約時の報酬額を75%と非常に高く設定しております。

従来の不動産会社だと、60%でも高い方ですが、それ以上が実現できているのは、営業事務などの固定費をすべてDXによりカットしているためです。

ココ重要!不動産業界にテクノロジーを介在させるメリット
  • 契約書を最小工数で正しく作成できる
  • 事務担当を1名採用するよりもコストを抑えられる可能性がある
  • TERASSを活用することで開業コストを抑えて、働く環境を整備できる

TERASSで不動産業務の「集客」と「効率化」をサポート

大久保:TERASSの中心サービスはどれですか?

江口業務効率化のサービスである「Terass Cloud」がメインです。

また、集客に関しては、エージェント個人が持つネットワークで動いたり、弁護士や税理士などの協力者と組んだりと、様々なやり方があります。

しかし、個人で動くとなると、集客部分で不安が残る部分に「Terass Offer(旧 Agently)」というサービスを提供しております。

不動産業界は、単価が高い分、見込み客を見つけてくるのが難しいため、一定の集客手段を提供しているのがポイントになります。

大久保:TERASSを使う個人エージェントは、不動産会社から独立した状態ということでしょうか?

江口:TERASSとしては、会社に所属している状態と、そこを離れて自分で開業する状態、それとは別に「第3の選択肢」を用意しているような考えでおります。

一般的な不動産会社に勤めている方の中には、課長になったら管理業務がメインとなり本当はやりたい営業ができないという人は大変多いです。

転職や開業というのも難しい部分が多いため、その間の選択肢として、TERASSで非常に活躍していただいております。

日本で一番大きい不動産プレイヤーを目指す

大久保:今後の展望を教えてください。

江口:現在TERASSでは、250名ほどエージェントが参画しておりますが、中期で2,000人を目指して活動しております。

今日本で一番大きい不動産会社で1,500人ほど在籍しているので、その数を超え、日本で一番大きい不動産プレイヤーとなれるようにしたいと考えております。

そのために、エージェントにとっての良い環境(集客・業務)を用意していくと同時に、今月から九州でもスタートしてますが、エリアの拡大も進めております。

さらに、消費者に向けてのメリットも提供することで、より良い売買環境を整えていきたいと考えております。

大久保:最後に読者にメッセージをお願いします。

江口:起業した目的は違うと思いますが、その目的が達成できるように、一緒に頑張っていきましょう。

いかにお客様を満足させるか、お客様の成功に対して向き合い、やれることはなんでもやるというスタンスが大事です。

そして、創業手帳さんに載っているような色々なツールを使ってみると良いと思います。

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(取材協力: 株式会社TERASS 代表取締役CEO 江口 亮介
(編集: 創業手帳編集部)



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