社員全員がリモートワーク! 合同会社selfreeのユニークな少数精鋭経営術

創業手帳

合同会社selfree 代表 小俣隼人インタビュー

(2019/01/31更新)

顧客情報と連動しながら、ブラウザ上で電話の発着信ができるサービス「CallConnect(コールコネクト)」を主事業として活躍する「合同会社selfree」。同社は自己資金のみで創業され、社員数3名という少人数体制で経営が行われているにもかかわらず、各々が能力を最大限に発揮することで成果を上げ続けています。

起業時の秘話や仲間との出会い、また苦境を乗り越えた経験や少人数での経営術、さらには企業理念やその先の目標について、合同会社selfreeで代表を務める小俣隼人氏にお話を伺いました。

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小俣隼人(おまた はやと)
合同会社 selfree 代表
1989年生まれ、山梨出身。新卒入社した人材紹介会社にて BtoB セールスや新規事業立ち上げを経験。その後、2014年7月に合同会社selfreeを創業し、代表を務める。企業における電話サポート業務の煩雑さに課題を感じ、2015年にブラウザ電話システム「CallConnect」をリリース。

苦い経験が元となった自社サービス開発

合同会社selfreeのホームページより引用

—まずは、事業内容について教えてください。

小俣私たちは、PCのブラウザ上で電話を行えるシステム「CallConnect」と、セミナーなどをオンラインでライブ配信する企業向けサービス「wellcast」の運営を行っています。

主力であるCallConnectは、オンラインであれば日本中どこでも電話対応ができるシステムです。普段使っているPCで外線発着信、保留、取次といった通常のビジネスフォン機能が使えることはもちろん、通話内容の録音や通話内容に対するメモをクラウド上で共有することもできます。また、さまざまな外部のCRMツールと連携して顧客リストを同期することができ、そのリストからワンクリックでコールできるようになっています。

カスタマーサポートの電話窓口、インサイドセールス(※1)といった目的で使われることが多く、現在350社以上に導入されています。

※1
インサイドセールス:見込み顧客に対して、メールや電話・Web会議ツールなどを活用しながら非対面で営業活動を行う内勤型の営業手法。

—小俣さんは、もともとこのブラウザ電話システムを事業とするために起業されたのですか?

小俣:創業当時はWEB制作を主事業としており、まだまだオフィスを借りる資金もなかったので、先輩が経営している会社のスペースを間借りして活動していました。電話もそのオフィスにある固定電話を使用していたのですが、私があるお客様からの電話に対応した際、他のスタッフが既にヒアリング済みだった事項をもう一度そのお客様にヒアリングしてしまい、お叱りを受けた経験がありました。

完璧な人間はいませんから、社員それぞれが別の業務に取り掛かる中で情報共有の部分が抜けてしまうことはあるかもしれません。でも、電話でお客様対応をする際に情報共有ができていないことで、お客様との信頼関係が壊れることもあります。もう二度とお客様にそんな思いをさせてはいけないし、私もしたくない。何かいい解決方法を見つけなければと思ったんです。

そこで、通話履歴や顧客情報を確認しながら電話対応できるツールを導入しようと考えました。しかし、それらのツールは創業当時の私たちにとってはまだ高額で手が出ませんでした。
「それなら自分たちで開発しよう」ということになって、いろいろと調べた結果、KDDIウェブコミュニケーションズが国内で展開している「Twilio」という電話の通話や転送・チャットの送受信などの仕組みを簡単にプログラムできるサービスを使えば、自作できることがわかりました。

ちょうどそのタイミングで、KDDIウェブコミュニケーションズ主催のハッカソン(※2)があったので、参加して「CallConnect」のプロトタイプを作成しました。一定の評価をいただけたこともあって、サービス化に向けて動き始めることにしました。それから3か月くらいは開発に集中して、正式にリリースすることができました。

※2
ハッカソン:「ハック」と「マラソン」を掛け合わせた造語で、エンジニアやデザイナーなどがチームを作り、与えられたテーマに対してそれぞれの技術やアイデアを持ち寄り、短期間(1日~1週間程度)で試作品を開発し、成果を競うイベントのこと。

—わずか3か月でのリリースとは驚きです。それだけ「CallConnect」開発に注力していたということだと思いますが、その間、WEB制作などの業務はどのようにされていたんですか?

小俣:「CallConnect」を開発すると決めた段階で、他のビジネスは中断しました。中途半端に事業を同時進行させたために、目標としていたサービスがリリースできなくなるという最悪の事態を避けるためでした。

リリースにあたっては、課題解決できる機能を最低限持っていること、ビジネスとして成り立つことを最優先事項として、あえて作り込み過ぎないようにしました。だからこそ、3ヶ月という短期間でリリースできたのかもしれませんね。

ただ、私たちは「少人数で大きな成果を出す」という考え方を持っており、創業に際し少数精鋭で活動する意志を固めていました。また、起業する場合、出資を募る選択肢も考えられると思うのですが、会社やサービスのコントロール性を高く保って、自分たちなりのペースで成長して行きたいと考えていました。
そのため、自己資金でビジネスを始めることを決めたのです。

ですが、リリースから半年くらいはお客さんが全く見つかりませんでした。この期間はこの4年間で最も苦労した時期でした。その半年間は目減りしていくキャッシュとの我慢比べでしたね。「このままで本当にビジネスとして成り立つのか」と、当時は不安で仕方がなかったです。

—どんなビジネスでも開始直後は認知度が低く、そのような不安がつきものと思われますが、小俣さんはどのように顧客を獲得してこられたのですか?

小俣:当時はちょうど働き方改革の影響で、テレワークやサテライトオフィスをテーマにしたセミナーなどが多く開催されていました。そこで2拠点以上ある企業を中心に声をかけたり、カスタマーサポートの電話窓口を持っている企業を調べてメールしたり、とにかくガムシャラに接点を作っていきましたね。

また、カスタマーサポートをテーマにしたメディアを立ち上げて、サービスに関することや、イベントのレポートなどを記事にして投稿することで、私たちのことを知ってもらえるように発信してきました。そうした積み重ねが、次第に顧客獲得、増加に繋がっていきました。

—なるほど、セールス活動だけではなく、メディアを通して知ってもらう体制も万全だったわけですね。獲得した顧客とのやり取りの中で、一番やりがいを感じる時はどんな時ですか?

小俣やはり、喜びの声を直接いただいた瞬間ですね。利用状況などを確認するためにお客様のところへ訪問する機会があるのですが、「CallConnectにしたおかげで、履歴を振り返りやすくなって、スムーズに電話対応ができるようになった」とか、「言った・言わないの問題がなくなった」といった声を聞くことができました。

また、インターネットさえつながっていれば在宅でも利用できるので、主婦の方などが中心となった在宅型コールセンター事業で活用いただくケースもあり、これまでの固定電話では提供できなかった働き方を新たに作り出すきっかけを作れた、という事実を知った時はとても嬉しかったです。

運命的な出会いによって集まった精鋭

—現在、東京と熱海にオフィスを構えていらっしゃいますよね。その理由はなんでしょうか?

小俣「人によって集中しやすい環境は異なる」と考えているからです。最近では、それぞれが都内の自宅で働くことも多く、通勤に時間とお金もかかりませんし、満員電車に乗って通勤するというストレスもありません。

熱海の拠点はメンバーが常駐しているわけではなく、気分転換を図りながら仕事ができる場所として活用しています。住居としても利用できるので、機能開発を集中して行う時などに1か月間篭って作業することもあります。海を見ながら温泉に入ってリフレッシュすることで、新たなアイデアを着想する場所としても役立たせています。

—少数精鋭ということで、小俣さんの他にはエンジニアとデザイナー、この3人で活動なさっていますよね。どのようにして人材を集めたのですか?

小俣:もともと2014年の創業当時は私1人でした。何をやっていたかと言うと、ライドシェア、つまり車の相乗りマッチングサービスですね。例えば東京から大阪まで車で移動する場合に、助手席が空いているから交通費を折半して相乗りできる人を見つけるためのシステムです。

そんなサービスを立ち上げて間もない時期に、現在弊社にいるエンジニアやデザイナーもライドシェアサービスに興味を持っており、あるイベントで偶然にも話す機会があったんです。
話してみると、同じ思いを抱いていることがわかりました。ただ、それぞれ持っている能力が違うため、お互いの能力を合わせればもっと良いサービスが提供できるのではないかという結論に至り、一緒にやることになりました。

それでセールスの私とエンジニア、デザイナーという3人で活動するようになったんです。

しかし、当時は現在に比べて自家用車での相乗り移動に関連した法律の制約もあり、ビジネスとしては厳しく、方針転換せざるを得ませんでした。

ちょうどその頃に、先ほど話した電話対応における課題解決の方法を見出した時期だったので、BtoB向けのサービスを展開していこうと決めたわけなんです。おかげさまで会社としては5期目に入ることができました。

—社員数が少ないことで、生産性向上のために意識していることは何でしょうか?

小俣:私たちは少人数でやっていますから、「あれもこれも」と色んなことにリソースを割くことはできません。リソースの絶対量も決まっているので、やらなくていいことを見極め、無駄をなくすことで、高パフォーマンスを維持しています。リモートワークもその取り組みの一つです。

また、タスク管理ツールを使って、それぞれのタスクを可視化していますが、各々の業務に無駄がないか、優先度が間違っていないかなども確認できるようになっています。日常的に非効率な業務が生まれないように意識しています。

たまに「人を増やさないのですか?」と聞かれることもあるのですが、それぞれ3人が自分の能力を発揮してバランスよく活動できているので、今のところ増やす予定はありません。人を増やせば大きな成果が出せるというわけでもないので、本当に必要になったタイミングで増やすつもりです。自己資金で運営していますし、他のスタートアップとは毛色が異なるかもしれませんね。

「CallConnect」を通して、愛される企業を増やしたい

—提供しているサービスの特性上、WEB上だけで顧客との関わりが完結してしまいますが、信頼関係を築く上で大切にしていることはありますか?

小俣担当者の方にお会いしたことがない新規の企業様には利用状況の確認も含め訪問させていただいたり、私たちとユーザー様が交流を図れるイベントを開催して、日頃の感謝の気持ちや私たちが目指していることを伝えるようにしています。
例えば、雑貨店や八百屋でも作家や農家の顔が見えるだけで安心感や共感が生まれやすくなりますよね。

ただ言うまでもないですが、誠実な対応ありきです。完璧なシステムがあれば良いのですが、時にはトラブルも起きてしまいます。そんな時は早急に原因究明し、迅速にクライアントへ報告することを徹底しています。

現代のようにテクノロジーが発達する社会においても、その中心には人がいます。人同士の信頼関係こそが何よりも重要だと思っています。電話というコミュニケーションチャネルは、感情や温度感も伝えられるツールです。だから、「CallConnect」を通して、もっと良いコミュニケーションを実現してもらいたいです。取引先やパートナーにもその心が伝播していくことで、日本中に”愛される企業”が増えていけば本望です。

—最後に、起業家に向けてメッセージをお願いします!

小俣とにかく信じる道を突き進んで欲しいです。「失敗したらどうしよう」という漠然とした不安はあると思いますが、行動してみなければ気づきを得ることはできません。行動することで課題が明確になります。あとは、その課題解決に向けてさらに行動すればいいんです。例え失敗しても命までは取られません(笑)。

私も会社を一人で立ち上げたときは、不安な日々を過ごしました。けれども行動した結果、素晴らしい仲間にも巡り会えました。行動しなければこの結果はなかったわけです。だから恐れずに信念のままに突き進んで欲しいです。

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(取材協力:合同会社 selfree 代表 小俣隼人)
(編集:創業手帳編集部)

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