自分で作成する販売計画!戦略と具体的数値の算出方法

漠然としたイメージを具体的な数字にすることの重要性

(2020/06/21更新)

創業を決めたらまず取り組むべきことは、事業計画の作成です。売上や利益を達成するための戦略や目標を設定する「販売計画」は、事業計画の中でも重要なポジションを占めています。

販売計画は具体的な数字を算出して作成するため、苦手意識のある方も多いのではないでしょうか。しかし、作成にはコツや算出方法といった一定のセオリーがあるので、それを理解すれば容易に作成が可能となります。

この記事では、初心者でも自分で「販売計画」が作成できるように詳しく解説しています。

創業手帳では、創業者が抱える悩みや疑問を解決するための方法や、専門家のアドバイスなどを多数紹介しています。そちらも併せてご覧ください。

事業計画書を作成する目的

販売計画を含む事業計画書を作成する目的は2つあります。
「自分自身で納得するため」と「他の人を納得させるため」です。

自分自身で納得する

創業するときは、色々なシナリオを思い描きます。
計画書の作成は、事業内容のシナリオを組み立てながら自分の頭の中を整理し、創業を成功に導くための戦略や行動を明確にします。
自分自身で納得しながら、具体性や実現性を重視した確信のある計画を立てることで、方向性や軸が確立されていきます。

他の人を納得させる

事業は、経営者一人で進めることはできません。パートナー、社員、取引先、金融機関など他の人の理解や協力があってこそ、事業は成功する可能性が高まります。周囲の了解を得たり、開業資金の融資を受けたりするときは、事業の魅力や実現性・将来性をきちんと説明することが求められます。
計画書は、周囲の理解や経営に必要な人材・資金を集めるために、関係者の信頼を獲得できる内容であることが必要です。

事業計画書の中でも重要となる販売計画で決めるべき内容

販売計画とは、「販売戦略」と「数値計画」を決めることで、「販売戦略」と販売戦略に基づく「数値計画」で構成されます。

販売戦略とは「なにを」「だれに」「どのように」売るかを決めること

具体的な数字を出す前に、まずは「なにを」「だれに」「どのように」販売していくのかを整理していくことから始めましょう。

「なにを」は、創業を思い立った商品・サービスのことです。基本的には、自分が経験した分野や得意とする分野、興味のある分野などです。数値計画においては、「販売単価」の基礎情報となります。
創業時には、一つまたは少数の品ぞろえになりますが、事業が拡大するにつれ、商品開発に取り組み、顧客のニーズに沿った品ぞろえが求められます。

「だれに」は、その製品・商品やサービスを販売する顧客ターゲットです。性別、年齢、個人・集団、地理的距離などを考慮して設定(セグメンテーション)します。数値計画においては、「販売数量」の基礎情報となります。
創業時にターゲットを絞り込むのは難しいかもしれませんが、広い範囲の曖昧なターゲットでは商品・サービスの訴求力を失ってしまいます。どのような顧客に自身の商品やサービスを届けたいかをイメージしながら顧客を細分化していきましょう。

「どのように」とは、販売の方法です。製造・仕入、場所、営業時間、対面・無対面、販売条件などを決めていきます。業種にもよりますが、創業段階で大きな店舗を構えるなど大きな初期投資をすると、事業がうまくいかなかった場合のリスクが大きくなります。数値計画においては、「売上原価(売上に直接関連する費用)」の基礎情報となります。

販売戦略に基づく数値計画の立て方

数値計画とは、販売戦略に基づいて「売上」「粗利」を決めることです。

【売上の計算式】
売上 = 販売単価 × 販売数量

【粗利の計算式】
粗利 = 売上 - 売上原価(売上に直接関連する費用)

この計算式は、販売戦略に基づいて当てはめていきます。販売単価は「なにを」から、販売数量は「だれに」から、売り上げに直接関連する費用は、「どのように」から導き出します。

数値計画の立て方(具体的な数字の算出方法)


販売戦略は比較的容易にイメージすることができたかもしれませんが、数値計画となると一気にハードルが上がるような気がしてしまいます。しかし、数値計画にもセオリーがあり、それを知っておけば比較的容易に数値を算出することが可能です。

販売単価算出のための2つの方法

販売単価算出のためには、主力となる商品やサービスの販売価格を設定します。仕入れコストや競合の販売価格を参考に設定しましょう。
価格の設定方法には、コストプラス法とマーケットプライス法があります。

コストプラス法とは、売り上げに直接関連する費用(コスト)を含んだ売上原価に、利益を乗せて販売価格を設定する方法です。利益は確実に取れますが、顧客の値ごろ感からずれてしますと売上が伸び悩むリスクがあります。

マーケットプライス法とは、顧客(マーケット)から受け入れられやすい価格から販売価格を設定する方法です。顧客には受け入れやすい価格であっても、十分な利益が確保できないリスクがあります。

販売数量(顧客数)算出の方法

販売数量の算出には、ターゲットとする顧客をもとに来客人数などを設定します。併せて、購入商品数量の目標値を設定します。
注意する点としては、業種や規模によっては、1日の売上に限界があることです。例えば、席数5人の飲食業に100人の来客を想定することは、非現実的です。
そのため、事業規模や業種ごとの商品・サービスの特性に応じた計算方法(経営指標)を学ぶ必要があります。
日本政策金融公庫では、業種ごとの経営指標調査結果が公開されていますので参考にするといいでしょう。

【業種ごとの計算例】
・飲食業、理容業、整体業など
   1日の売上高 = 顧客単価 × 座席数 × 回転率
   *回転率とは、日当たりで何回お客様が入れ替わったのかを示す数字です。
  
・ケーキ屋など物販業
   1日の売上高 = 来客数 ×  平均購買価格
  
・コンビニなどスペースを要する物販業
   1日の売上高 = 1坪当たり売上高 ×  坪数
  
・清掃業など労働集約型の業種
   1日の売上高 = 一人当たりの販売単価 × サービス員数 × 稼働率  
   *稼働率とは、サービス員数のうち売上に繋がる仕事をしている人の割合です。

売上原価(売上に直接関連する費用)算出のための2つの方法

原価(コスト)や費用は、区分の仕方が2種類あります。

売上原価(売上に直接関連する費用)と販売管理費(売上に間接的に関連する費用)に分ける方法と、変動費と固定費に分ける方法です。変動費とは、売上の増減に伴って増減する費用で、仕入費、梱包・輸送費などが該当します。固定費とは、売上の増減にかかわらず毎月定期的に発生する費用で、家賃や給与などが該当します。

例えば、整体業などの整体師の人件費は、売上原価ですが、毎月発生する固定費でもあります。売上原価=変動費、販売管理費=固定費として計画を作成したほうがわかりやすいでしょう。
なお、販売管理費(売上に間接的に関連する費用)は、費用計画として事業計画書の一構成要素として、別途詳細化・具体化する必要があります。

数値計画作成時の2つのポイント


数値計画は、少なくとも1年間分、月別に作成する必要があります。
赤字から黒字に転換する時期を把握するためと、資金計画を作成するためです。

赤字から黒字に転換する時期を把握できる

創業初期は、売上や粗利の額は小さく、販売管理費を補うことも難しいような状況が続きます。そこから認知度が上がり、少しずつ売上や粗利も増えて黒字転換していきます。
月別の販売計画を立てていれば、赤字から黒字に転換していく状況を計画した数字と照らせ合わせながら確認することが可能です。

資金の動きが予測できる

月々の売上高や仕入高(売上原価)は、会社の資金繰りに大きく影響します。毎月の売上や仕入高を把握することで、いつ資金不足に陥るのか予測することができます。

資金不足に陥る2つの理由
赤字状態から黒字への転換に時間がかかる。
売上の回収条件と仕入の支払い条件の不均衡。(現金払いか掛け払いか)

毎月の売上・仕入・粗利の計画を作ることで、資金繰りを予測する資金計画の作成ができます。それをもとに事業拡大のタイミングなどを見極めていきましょう。

無理のない現実的な販売計画でイメージに沿った事業展開を

販売計画は、創業者自身と周囲の人に事業の成功を納得させるために作成するものです。事業を進めていく上では、収入・支出計画の基礎となります。

「なにを」「だれに」「どのように」の視点から練り上げた販売戦略をもとに、具体的な数字を算出して販売計画を立てていきます。具体的な数字算出のためには、会計的なノウハウも必要となるでしょう。税理士や金融機関などのアドバイスを受けながら精度の高い計画づくりをおすすめします。

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(編集:創業手帳編集部)

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