会社設立は自分で行える? 方法やかかる費用について解説!

創業手帳

会社設立の手続きや費用。自分で行う場合と専門家に依頼する場合のポイントを詳しく解説します

これから会社を設立しようとしている人にとっては、どのような手続きが必要なのか、また費用はどれくらいかかるのかといった点は疑問に思うところでしょう。

実際には、自分で手続きを行うか専門家に設立代行を依頼するか、また設立する会社の形態によってかかる費用は異なります。自分が経営者となって会社を起ち上げる際には、手続きの内容や費用について、よく理解した上で臨む必要があるのです。今回は、会社設立の手続きの流れや費用について詳しく解説します。

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会社設立の手続きには何があるか

ひとくちに会社設立の手続きといっても、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。必要な手続きについて、項目をあげていきます。

  • 基本事項決定
  • 定款作成
  • 定款の認証を受ける
  • 会社印を作成
  • 出資金の支払い
  • 設立登記の申請

各項目について説明します。

基本事項決定

株式会社では、会社設立の手続きを行う発起人を決定した後、基本事項を決定します。また、特に株式会社では、株式を発行して資本金を得るため、持株比率の決定が必要です。さらに株式会社の基本事項は役員構成に加えて、経営に大きくかかわる役員報酬に関しても決定します。

定款作成

定款とは、会社の経営にあたり重要な根幹となる規則です。定款には絶対的記載事項が設定されており、その記載がない場合は定款の効力を発揮できません。絶対的記載事項の内容は、以下のとおりであり、これらの内容は基本事項決定の段階で決めておく必要があります。

事業目的

これから始める事業の内容について、きちんと記載します。定款に記載した事業目的以外の事業は行うことができないため、事業目的を記載する際は注意してください。もし、将来的に事業を拡大する予定がある場合は、事業目的を複数記載しても問題ありません。

社名(商号)

社名(商号)については、本店所在地管轄の法務局にて、同じものが使われている場合は使用することができません。また、社名に使用できる文字も制限があるため、基本事項決定の際に詳細を調べた上で、慎重に決めることが求められます。

本店所在地

本店所在地については、番地など詳細な記載がなくとも、市区町村の記載で問題ありません。もし、本店所在地を移転する場合に、その市区町村内であれば、定款の変更をせずともよくなります。

出資される財産の価額または最低額

会社に出資される金額について、決定している額もしくは最低額を定款に記載します。つまり、出資の履行が一部しか行われていない場合にも、その一部の金額を最低額として記載することが可能なのです。

発起人の住所・氏名

決定した発起人の住所と氏名を明記します。個人から会社を設立する場合は、発起人は個人となりますが、発起人を法人とすることも可能です。

発行可能株式総数

これは、正確には絶対的記載事項には含まれませんが、株式会社を設立する際には必ず盛り込む内容であり、会社が発行できる株式の数を指します。発行可能株式総数は、持株比率に影響を与えるものであることから、設立登記のタイミングまでには定款に記載しておかなければなりません。

定款の認証を受ける

定款が完成すれば、公証役場の公証人により、正しく作成されたものか、法律に抵触しないかなどをチェックされ、問題がなければ認証を受けることができます。定款認証は、本店所在地がある都道府県内、かつ指定公証人が所属する公証役場で受けられます。ちなみに、合同会社の場合は定款の認証は不要です。

会社印を作成

会社設立登記に必要な会社印を作成します。また、会社経営上の契約等に使用する代表者実印や銀行届出印、角印なども同時に作成しておきます。ただし、会社印の作成には時間がかかる場合もあるため、定款作成の前に注文しておくのがいいでしょう。印鑑ができあがったら、取締役全員(合同会社の場合は代表社員)の印鑑証明書を取得します。

出資金の支払い

株式会社の場合、発起人が株数に応じた資本金を金融機関に支払います。会社設立前では会社名義の銀行口座を作ることができないため、支払いを行う口座は、発起人個人の口座で構いません。このとき、発起人が複数いる場合は、発起人代表の銀行口座に資本金を振込みます。発起人が1人の場合は、自らの銀行口座に預入れる形で問題ありません。

合同会社の場合は、出資者の個人口座に支払いを行います。支払いが済んだ後には、口座通帳のコピー(通帳の表紙・表紙の裏面・振込み記帳ページ)を取り、払込証明書を作成します。ちなみに、支払いを行うのは定款認証を受けた日以降とします。

設立登記の申請

本店所在地の管轄法務局で、設立登記の手続きを行います。設立登記申請は、資本金の支払い後2週間以内と定められているため、タイミングには注意が必要です。そして、設立登記の際には登記すべき事項が定められています。その内容は、以下のとおりです。

  • 社名(商号)
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 資本金額
  • 発行可能株式総数(株式会社のみ)
  • 発行済み株式総数(株式会社のみ)
  • 取締役(合同会社の場合は業務執行社員)氏名
  • 代表取締役(合同会社の場合は代表社員)の住所、氏名
  • 公告方法

ちなみに、設立登記申請の際には、必要書類に加えて会社実印が必要となります。

株式会社設立に必要な全ての手順を詳しく知りたいときは、こちらの記事を参考にしてください。
【保存版】株式会社設立の「全手順」と流れを創業手帳の創業者・大久保が詳しく解説!

株式会社か合同会社かで手続きが異なる

会社設立のためには、しかるべき手続きを順番に踏む必要があります。会社の形態によって若干手続き内容や費用が異なりますが、大まかな流れは同様です。株式会社と合同会社の手続きの違いについて表にまとめると下の通りです。

株式会社 合同会社
基本事項決定 発起人を決定した後、社名・
本店所在地・事業内容・資本金額・
持株比率・役員構成・役員報酬・決算期などを決定
社名・本店所在地・事業内容・
資本金額・決算期などを決定
定款作成 絶対的記載事項を含め基本的な規則を記載 同左
定款の認証を受ける 法務大臣に任命された公証人により、認証を受けることが必要 なし
会社印を作成 会社印・代表者印・銀行届出印などを作成 同左
出資金の支払い 株数に応じた出資金を金融機関に
支払い、払込みを示す書類として通帳をコピー
同左
設立登記の申請 本店所在地の管轄法務局に申請する。
登録免許税は資本金の0.7%もしくは15万円のどちらか高い方
本店所在地の管轄法務局に申請する。登録免許税は資本金の0.7%か
6万円のどちらか高い方

株式会社か合同会社かで費用も異なる

日本国内において、会社の形態は株式会社か合同会社が代表的です。どの形態で会社設立を行うかは迷うところでしょう。以下では、2つの形態の具体的な違いや、会社設立にかかる費用の違いについて説明します。

株式会社

まずは、株式会社の仕組みや設立費用について解説します。

株式会社とは

株式会社の特徴は、株主が会社に資本金を提供して、経営者がその資本金をもとに経営していく形態であることです(所有と経営の分離)。そして、会社に利益が発生した場合は、株主に利益の配当が行われます。株主は会社経営に直接関与しませんが、株主総会において意見を出すことが可能です。また、会社が倒産した際は、株主は出資額を超える責任を負いません(有限責任)。

株式会社設立にかかる費用

会社設立には、会社法に基づいた法定費用と、各種書類提出などにかかる雑費が必要となります。

株式会社設立 法定費用
定款認証手数料 50,000円
定款謄本手数料(1枚250円・8枚) 2,000円
定款貼付用の収入印紙代 40,000円
設立登記の際の登録免許税 150,000円
合計 242,000円

上記の表は、定款枚数8枚・登録免許税15万円とした場合の費用を一覧にしています。株式会社の登記にかかる登録免許税は、資本金の0.7%もしくは15万円のどちらか高い方です。そして、定款認証に5万円が必要であるほか、謄本手数料が定款の枚数に応じて発生し、さらに定款に貼付する収入印紙税もかかります。これらを合計すると、会社設立にかかる費用は24万円超が相場となることがわかります。

株式会社設立 その他雑費等

その他、株式会社設立の手続きにかかる雑費は以下のとおりです。書類定款か電子定款かで金額が違います。

<書類定款>

単価 必要数 金額
会社実印作成費用 10,000円 10,000円
印鑑証明書取得費用 450円 5 2,250円
登記簿謄本発行費用 600円 5 3,000円
合計 15,250円

<電子定款>

単価 必要数 金額
会社実印作成費用 10,000円 10,000円
印鑑証明書取得費用 450円 5 2,250円
登記簿謄本発行費用 600円 5 3,000円
Adobe Acrobat 35,000円 1 35,000円
ICカードリーダー 3,000円 1 3,000円
合計 53,250円

印鑑証明書の取得費や登記簿謄本の発行費については、それぞれの必要枚数に応じて変動します。こちらの表では、定款の枚数、印鑑証明書の枚数を5枚として計算しています。また、電子定款を自分で作る場合は、マイナンバーカードの発行(初回無料)と作成ソフト(Adobe Acrobat)、マイナンバーカードを読み取るICカードリーダーが必要であるため、その大まかな費用も含めています。

資本金について

株式会社設立に必要な資本金は、1円からでも問題なく、上限もありません。ただし、登録免許税は資本金を2,140万円超に設定した場合、資本金の0.7%が15万円以上となるため、会社設立費用がさらに上乗せされます。

合同会社

次に、合同会社の仕組みと設立費用について解説します。

合同会社とは

合同会社は、株式会社と異なり、会社経営者が自ら出資者となって、その資本金で会社を経営する持分会社の形態です。出資者が経営者と同じであることから、重要事項の意思決定などを素早く柔軟に行うことが可能です。また、経営者のほかに純粋に出資のみ行う人もいます。そして、経営者を始めとする出資者は、株式会社と同じく有限責任となり、倒産の際には出資額以上の負担を負うことはありません。

合同会社設立にかかる費用

合同会社を設立する際にも、株式会社と同様に法定費用とその他雑費の支払いが必要です。ただし、かかる費用の詳細は株式会社の場合と若干異なります。

合同会社設立 法定費用
定款貼付用の収入印紙代 40,000円
設立登記の際の登録免許税 60,000円
合計 100,000円

上記の表は、登録免許税6万円として費用を一覧できるようにしています。合同会社設立の際の登録免許税は、資本金の0.7%もしくは6万円のどちらか高い方となります。合同会社設立の際は、定款の認証が必要ないため、認証手数料と謄本手数料が発生しません。そのため、株式会社設立の際の費用と比べると、合計で10万円とかなり安価で会社設立が可能となることがわかります。

合同会社設立 その他雑費等

その他、合同会社設立の手続きにかかる雑費は以下のとおりです。株式会社と同様に、書類定款か電子定款かで金額が違ってきます。

<書類定款>

単価 必要数 金額
会社実印作成費用 10,000円 10,000円
印鑑証明書取得費用 450円 5 2,250円
登記簿謄本発行費用 600円 5 3,000円
合計 15,250円

<電子定款>

単価 必要数 金額
会社実印作成費用 10,000円 10,000円
印鑑証明書取得費用 450円 5 2,250円
登記簿謄本発行費用 600円 5 3,000円
Adobe Acrobat 35,000円 1 35,000円
合計 50,250円

合同会社設立に関しても、かかる雑費は株式会社設立のときと特に違いはありません。この表でも、定款の枚数、印鑑証明書の枚数をそれぞれ5枚としました。そして、電子定款作成にかかるAdobe Acrobatは必要ですが、認証を行わないため、マイナンバーカードの読み取りに使うICカードリーダーは除いています。

資本金について

合同会社も、資本金1円から設立が可能で上限もなしです。登録免許税に関しては、資本金の0.7%が6万円を超えるのは資本金857万円超である場合で、その際の設立費用はやはり高くなるのです。

電子定款は収入印紙代0円

収入印紙代は設立する会社形態に関係なく共通しています。
書類で定款を作成した場合、公証役場で認証を受ける際に定款に貼付する収入印紙代が発生します。金額は4万円であり、この金額が会社設立費用に組み込まれます。

電子定款の場合、紙の書類が必要ないことから、定款に貼付する収入印紙代はかかりません。そのため、手間自体は多少かかりますが、会社設立そのものにかかる法定費用自体は抑えられるわけです。電子定款とは、定款をPDFファイルとしてデータ化したもので、法務省のオンライン申請用ソフトで公証役場に送信することができます。

会社設立に必要な書類


会社設立にあたって、必要となる書類は多数あります。数が多いので、大きく3つの部門に分けて説明します。「定款認証関連の書類」「設立登記関連の書類」「年金事務所関連の書類」の3つです。

定款認証にかかる書類

定款を作成した後、認証を受ける際に必要な書類は下の表のとおりです。この中の「実質的支配者となるべき者の申告書」は、暴力団関係者もしくは国際テロリストによる会社設立ではないことを申告するための書類です。そして、合同会社では定款認証を行わないため、表に記した書類はすべて不要です。

必要書類 株式会社 合同会社
定款認証 定款 ×
実質的支配者となるべき者の申告書
定款認証収入印紙(書類定款の場合のみ)
発起人の印鑑証明書
発起人の身分証明書
発起人実印
設立登記 後述

設立登記にかかる書類

設立登記にかかる書類は以下の通りです。
 

必要書類 株式会社 合同会社
設立登記
※()内は
合同会社
の場合
登記申請書
定款
登録免許税分の収入印紙・領収書の貼付台紙
発起人決定書 ×
取締役(代表社員)の就任承諾書
代表取締役の就任承諾書 ×
取締役(代表社員)の印鑑証明書
資本金払込証明書・通帳コピー
印鑑届出書
登記すべき事項をデータ保存した記録媒体
登記申請書

登記申請書には、社名(商号)や本店所在地、資本金額、登録免許税額などに加えて、どの書類を 添付しているかをすべて記載し、会社実印を押印します。株式会社と合同会社では、記載する事項が多少異なるため、それぞれに合ったテンプレートを法務省のホームページなどからダウンロードして使用すると良いでしょう。

定款

会社設立の手順で、あらかじめ作成した定款を用意します。株式会社の場合は、公証役場にて認証を受けたあとの定款を用います。

絶対的記載事項とは定款に必ず記載する事項で、欠けた場合は定款が無効になります。
相対的記載事項はなくても定款の効力に影響はありませんが、定款に定めなかった内容は効力が認められません。
任意的記載事項はなくても定款の効力に影響せず、記載がなくても効力を否定されない事項です。会社が任意であえて記載した事項を指します。

登録免許税分の収入印紙・領収書の貼付台紙

設立登記にかかる登録免許税の納付を示す書類で、金額分の収入印紙、もしくは税務署および金融機関で直接納付した場合の領収書をA4サイズの台紙に貼付します。

収入印紙で納付する場合、会社設立登記手続きの場合は消印を登記機関が行うことと登録免許税法第25条に定められています。提出時に自分で消印をしてはなりません。
登録免許税納付用台紙は、登録免許税分の収入印紙を貼り付けた用紙のことです。株式会社の場合、登録免許税は資本金の額×0.7%または150,000円のどちらか高い方になります。

発起人決定書

株式会社設立における定款作成の際に、本店所在地について番地までの記載がない場合、また公告方法で電子公告を選んだ場合に、発起人が本店所在地の決定に合意したことを示すために必要な書類です。

取締役(代表社員)の就任承諾書

株式会社の場合、取締役全員の役職名と、それぞれに就任を承諾したことを示す就任承諾書を用意します。取締役が1人の場合、後述する代表取締役の就任承諾書を省略し、こちらの書類を手出することになります。
ちなみに、合同会社の場合は代表社員の就任承諾書を作成してください。

代表取締役として就任承諾書を作成しても、別途取締役就任承諾書が必要です。
代表取締役の就任承諾書が不要なケースは、取締役が1人で定款に設立時取締役及び設立時代表取締役の専任・選定の記載があり、かつ発起人でもある場合です。
就任承諾書を作成しないときは、設立登記申請書の「設立時取締役及び設立時代表取締役の就任承諾書」にその旨を記載しましょう。

代表取締役の就任承諾書

株式会社で取締役が複数いる場合、代表取締役の就任承諾書を別途作成します。

取締役(代表社員)の印鑑証明書

取締役会を設置しない株式会社の場合、取締役全員について印鑑証明書が必要です。ただし、取締役会を設置している場合は代表取締役のみ、合同会社の場合は代表社員のみの印鑑証明書で問題ありません。

資本金払込証明書・通帳コピー

資本金の支払いを、発起人の銀行口座に入金したことを示す書類が、払込証明書です。支払った資本金の金額と同一の金額を証明書に記載します。そして、株式会社の場合は払込株数と1株あたりの払込金額も記載が必要です。さらに、支払い時に取った通帳のコピーも合わせて添付します。

印鑑届出書

会社実印を法務局に届出し、登録を行うための書類です。

印鑑登録は、個人の実印を市区町村へ登録することと同じ意味合いを持ちます。登録する印鑑は会社の代表印で、見積書や領収証などに使う社員とは別の印鑑にします。
代表が2人以上の会社の場合は、それぞれの代表印を登録しても、誰かひとりの印鑑を登録しても構いません。ただし、複数名登録するときは別々の印鑑が必要となり、代表者ごとに印鑑届出書を作成します。

登記すべき事項をデータ保存した記録媒体

登記すべき事項を記載した書類をデータとして記録媒体に保存し、その媒体を書類と一緒に提出します。使用される記録媒体はCD-Rが主ですが、CD-ROMやDVD-Rなどでも可能です。

年金事務所関連の書類

会社を設立すると、社会保険に必ず加入しなければなりません。そのため、本店所在地管轄の年金事務所には、以下のような書類を提出します。

健康保険・厚生年金保険新規適用届

新規で健康保険と厚生年金の適用を受けるための書類です。この書類には、会社の登記簿謄本(原本)を添付します。

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

会社の構成人員の中で、社会保険の被保険者全員について資格取得届を提出します。

健康保険被扶養者(異動)届

被保険者の中で配偶者・子供など被扶養者がいる場合に届出を行います。

税務署関連書類

本店所在地管轄の税務署に対しては、会社設立を届け出るための以下の書類を提出します。

法人設立届

これは、会社設立から2ヵ月以内に提出する書類です。添付書類は、主に登記事項証明書や定款のコピーなどです。詳細は、管轄の税務署に問い合わせてください。

給与支払事務所等の開設届出書

従業員に給与を支払う際、この書類が必要となります。

青色申告の承認申請書

確定申告を行うにあたり、青色申告をするために申請を行います。

源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書

給与を支払う従業員が10名以下の会社で、所得税を源泉徴収するときは、この書類の提出により手続きが半年に1回のみで可能になります。

管轄の市区町村役場に提出する書類

本店所在地のある市区町村には、法人設立届出書を提出します。これは、法人住民税と法人事業税を市区町村に納めるための届出です。手続き方法の詳細は、各市区町村に問い合わせてください。

手続きを自分でやるか専門家に依頼するか

会社設立は並び難しそうに感じますが、一つずつ手順を踏めばすべての手続きを自分ですることは可能です。
また、費用も自分で行った方が安く済みます。しかし、実際には手続きは煩雑なものが多いことから、手続きの一部もしくは全部を専門家に依頼するのもひとつの方法です。

自分でやるメリット・デメリット

自分で会社設立手続きをすると、費用や手続き以外の手間を省けます。専門家へ依頼するとコストがかかりますが、自分で行えば依頼料がかかりません。
依頼する専門家を探す手間もかからないため、手続きのために時間を使えます。会社に関する専門知識も身につくので、会社設立後の会社経営にも役立つでしょう。

一方デメリットは、専門的な知識を学び、煩雑な手続きを一つ一つこなしていく手間がかかることです。
設立時期を決めて手続きをしたくても、書類の不備や書き間違いがあるとやり直しになってしまいます。
本業をしながらの会社設立の場合、本業に集中できなくなるかもしれません。

メリットとデメリットを比較し、メリットのほうが大きい場合は、自分で会社設立手続きをしてみましょう。

専門家に依頼するメリット・デメリット

会社設立手続きを専門家へ依頼すると、煩雑な手続きを代わりに行ってくれるだけでなく、知識と経験から会社設立に関するアドバイスも期待できるメリットがあります。
専門的な知識が少なく初めて会社を設立する場合、心強いでしょう。

しかし、専門家へ依頼するには費用がかかります。あらゆる手続きに必要な費用に加えて専門家へ支払う料金も加わり、会社設立のコストが膨らんでしまいます。
また、依頼する専門家の扱う専門分野を誤ると頼みたい手続きが難しいケースもあるため、注意しましょう。

会社設立の手続きを依頼できる専門家

会社設立を依頼できる専門家は、複数存在します。その中でも、手続きの中の一部に特化した職種や全てを依頼できる職種などがあるため、必要に応じて使い分けるといいでしょう。

税理士

税理士は、税務の専門家であるため、会社設立においてできることは税務署への手続きや定款、設立登記の書類作成などとなります。そして、税理士には登記申請代行を行う権限はないため、あくまでサポート程度と考えるといいでしょう。ただし、前述のように顧問契約を前提とした場合は、格安で諸手続きのサポートを受けられる可能性が高いです。

司法書士

司法書士は、会社設立にかかる書類作成から定款認証代行、法務局への登記申請代行などすべての手続きを依頼することができます。特に、登記申請代行に関しては司法書士しか行うことができません。さらに、印鑑作成や雑費の管理などに関してもアドバイスを受けることができるため、会社設立手続きへの不安が大きい人には、強い味方です。

行政書士

行政書士が会社設立をサポートできる範囲は、税理士とほぼ同様に書類作成までとなります。ただし、行政書士は飲食業や運送業など許認可が必要な業種において、申請代行を依頼することが可能です。そのため、許認可が必要な事業を始める人には助かる存在です。

社会保険労務士

社会保険労務士は、その名のとおり社会保険関連の知識に長けた専門家です。そのため、社会保険の諸手続きに必要な書類、また労務に関する書類の作成を依頼することができます。特に、健康保険や厚生年金、雇用保険の相談を受けてもらえるため、これらの仕組みがわからない人は役立ててください。

専門家に依頼したら費用はいくら?

では、専門家に依頼した場合の費用を見ていきましょう。

司法書士に依頼した場合の費用
株式会社 合同会社
定款認証手数料 50,000円
定款謄本手数料(1枚250円・8枚) 2,000円
定款貼付用の収入印紙代
設立登記の際の登録免許税 150,000円 60,000円
会社実印作成費用 10,000円 10,000円
印鑑証明書取得費用(5枚) 2,250円 2,250円
登記簿謄本発行費用(5枚) 3,000円 3,000円
司法書士報酬 100,000円 100,000円
合計 317,250円 175,250円

上記の表は、司法書士に会社設立を依頼した場合にかかる費用の一例です。専門家に定款認証を依頼する場合、ほとんどが電子定款での対応となります。そのため、上記の表でも書類定款の収入印紙代は含めていません。司法書士への報酬は、株式会社設立でおよそ10万円程度、合同会社設立でおよそ8万円程度が相場です。法廷費用と雑費、司法書士への報酬を合わせると、株式会社設立でおよそ30万円強、合同会社設立でおよそ17万5,000円程度となることがわかります。

顧問税理士をつけた場合
株式会社 合同会社
定款認証手数料 50,000円
定款謄本手数料(1枚250円・8枚) 2,000円 2,000円
定款貼付用の収入印紙代
設立登記の際の登録免許税 150,000円 60,000円
司法書士報酬 100,000円 100,000円
特別割引 -100,000円 -100,000円
会社実印作成費用 10,000円 10,000円
印鑑証明書取得費用(5枚) 2,250円 2,250円
登記簿謄本発行費用(5枚) 3,000円 3,000円
合計 217,250円 77,250円

会社設立を専門とした法人に依頼する場合、顧問税理士をつけることを前提として割引プランを提供しているところがあります。上記の表は、法定費用から割引を適用された場合の一例です。多くの場合、法定費用もしくは報酬などから10万円近く割引しており、この表の合計金額に加えて、顧問税理士への月額顧問料(月1万円程度~3万円程度・会社の年間売上による)を支払うこととなります。

これらの費用を高いと見るか安いと見るかは、それぞれ異なると思います。
実際に会社設立をした人は、会社設立手続きを経験することがダイレクトに自社の事業内容と関わるような場合を除き、手続きの一部でも専門家に依頼するケースが多いようです。
頼れるところは専門家に任せ、自分の時間と力は自社の事業に注ぐのが有益なのかもしれません。

まとめ

会社設立の手続きは、自分で行えば費用が安くなるメリットがあります。一方で、必要書類の準備は膨大で、手続きも煩雑であることは否めません。その結果、事業の起ち上げがおろそかになってしまっては本末転倒でしょう。

もちろん自分自身ですべて終えても構いません。しかし、自分の力だけでは理解しづらいところが少しでもあれば、任せられるところを専門家に任せるのが得策です。そして、本業に集中して事業の滑り出しに勢いをつける方が、スムーズな経営や事業拡大にもつなげやすいでしょう。

冊子版「創業手帳」では、会社設立の手続き方法や順序などを詳しく解説しています。これから会社設立を考えている人は、疑問点などの解消にぜひお役立てください。

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(編集:創業手帳編集部)

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