創業手帳が選ぶ起業経営ニュース
2022年2月16日TANAKA VALUE-PLUS TRADING株式会社 田中良尚|ハラール認証カップラーメン、ヴィーガン向け代替乳製品の製造販売事業が注目の企業
ハラール認証カップラーメン、ヴィーガン向け代替乳製品の製造販売事業で注目なのが、田中良尚さんが創業したTANAKA VALUE-PLUS TRADING株式会社です。
現在、イスラム教人口はキリスト教人口に次ぐ第2位で、今後ますます増加していくと言われています。
イスラム教には独自の教えやルールがいくつか存在し、中でもハラル認証された生活用品や事業についての関心が高まっています。
一方で、欧米諸国を中心に「プラントベース食品」が注目キーワードになっています。
健康志向、環境問題への取り組み意識がが近年急上昇したことも追い風となり、今後若年層を中心にヴィーガン人口が増えるだろうと予測されてもいます。
グローバル社会が進む今、世界中の人々が各国を行き来してビジネスや余暇や生活を送るようになりました。
今後、こうした多様性を受け入れ、いろんな習慣・文化をもつ人々が世界中のどこにいても安心して暮らせる仕組みや当たり前を整えていくことがより一層求められるようになるでしょう。
残念ながら、日本はまだ多様性への理解や受け入れ環境がやや遅れている状態です。いまだからこそ、多様性を受け入れる柔軟な日本社会を改めて築き直し、国内外にきちんと伝えていくことが大事ではないでしょうか?
今、食を通じた多様性文化の受容促進、さらには日本の新しい食ブランドの確立を図る新しい取組に注目が集まっています。
TANAKA VALUE-PLUS TRADING株式会社の田中良尚さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・起業までの経緯を教えて下さい。
2001年に大学院を卒業後、2013年まで国内で外資系不動産ファンドをはじめ、不動産関連の仕事に従事していました。また、2008年に不動産投資の会社を設立し、不動産投資を副業でしていました。
2013年にシンガポールに移住して、2017年まで日系デベロッパーのアジア社に在籍し、マレーシアでアウトレットモールの開発・飲食店誘致の責任者をしていました。
その際に、食の多様性に対して当たり前に対応していることに気づき、また日本ではほとんど対応できていないことに衝撃を受け、日本の外から日本の食の多様性をどのように普及させることができるのかをずっと考えていました。
そしてリサーチしていくうちに、もともと事業の柱となっていた不動産投資とは別の事業の柱になる可能性を感じ、このビジネスは社会貢献にもなるしブルーオーシャンでスケールするビジネスだと思い起業することにしました。
・シンガポールで起業の魅力は?
シンガポールは様々な国から人と物とお金が集まるハブ地域です。法律が整っており、外資でも会社が設立しやすく、銀行についても海外送金もインターネットバンキングの整備もしっかりしており、外国人でも起業しやすいということがあります。ここに海外進出の第一歩を置く食関連事業者も多いです。
・起業で役立った経験はなんですか?
すでに副業として、不動産投資をしてキャッシュフローがあったことです。
また、不動産投資は会社経営と似ている部分もありますので、起業前に擬似的な起業体験ができていたことが役に立ちました。
・何が起業で大変でしたか?
ちゃんと準備すれば、起業は特に大変ではないかと思います。
どの国で、何をやりたくて起業するのか、その前に事前にしっかりとリサーチすれば特に大変なことはないかと思います。
ただし、日本国内での企業と比べて銀行融資や補助金申請などが厳しくなるので、キャッシュの面が大変かもしれません。
また、業種によってはVISAの要件が厳しい可能性がありますが、今までしてきたキャリアとベクトルが一緒であればそこまで問題ないかと思います。
・現在の事業内容を教えて下さい。
引き続き、不動産投資と、不動産の床面積のバリューを最大限にするためのビジネス(食とエンターテイメント)にハンズオンで関わっております。
具体的にいうと、
●不動産投資:国内不動産投資、海外のコンドミニアム投資、カンボジアの農地投資
●食ビジネス:(シンガポール)食の多様性をコンセプトとしたカップ麺の開発・全世界向けへの販売、紋寿司シンガポールをはじめシンガポールの飲食店への投資・運営アドバイス、カシューナッツの販売・代替乳製品の開発
●エンターテイメント:桂文枝の15番目の弟子の桂三輝さんの海外公演のプロデューサー兼ビジネスパートナーとしての事業
・ハラルやヴィーガンの市場の概要や魅力を教えて下さい。
世界の宗教別人口でキリスト教が最も多いが、ついでハラル(ムスリム)は全世界で25%、そのうちアジアが60%を占めるビジネス規模です。
さらにムスリムの平均年齢が低く、出生率も高く2070年にはキリスト教に肩を並べると言われています。日本では気付きにくいですが、世界で勝負するには絶対外せない市場になります。
ヴィーガンは正確な規模は明確になっていませんが、世界で影響力がある有名人がヴィーガンが多いこと、動物愛護や地球環境保全などの観点からイギリス、アメリカで、特に若年層が急激に増えてきています。
すなわち、これから消費をする年代である若い世代が多い市場であるということが食のビジネスをする上で波に乗れるチャンスであり、魅力的です。
・逆に市場の課題や関わる方にとっての注意点はなんですか?
食の戒律であったり、精神的な部分でもあったりしますので、全て同じ答えではないです。
非常に厳格な方から、緩めの方々もいらっしゃいます。したがって、個々の信仰心であったり、ルールがありますので、提供側で決めつけることはせずに聞き出すようにすることが大事です。
マスに勝負するのであれば、ハラール認証やヴィーガン認証などを取得するとよりマーケットには入りやすいと思います。
・なぜ海外向けラーメン事業を始めたのですか?
日本での食の多様性について認知度を上げて、一気に広げていきたいと考えた結果、カップ麺に行きつきました。
理由は以下です。(データや自身の体験をベースにしています。)
・日本人もスムーズに受け入れられる商品であり、食の多様性について広げられる可能性があると感じたのが最初。
・海外からの旅行者は日本でラーメンを食べたい人が多い傾向にある。
・全世界で1000億食、日本でも40億杯以上食べられているため認知度が高い。
・保存性・持ち運びのしやすさ・安い・目につきやすい
→食の多様性を取り入れる場合、とっつきやすい商品である。
・海外でもハラル・ベジタリアン・ヴィーガンマーケットは市場があるが、
日式ラーメン味がコンセプトでハラル・ベジ+ヴィーガンまで対応している商品がなかった。
・カシューナッツの農園ビジネスはどんな状況でしょう?
着実にカシューナッツの樹木が成長しており、生産量は順調に増加しています。
海外販売における衛生基準をクリアした加工工場が増えてきたため、直接消費国へ輸出できる販路が拡大できてきており、チャンスが大きいビジネスだと感じています。
また、カシューナッツは代替乳製品を作るにも非常に使いやすいため、フードテックを取り入れた植物性代替乳製品の開発もチャンスがあると感じています。
・今後の展開を教えて下さい。
カップ麺は、日本の市場に食の多様性についての私の考えが詰まったカップ麺を販売できる体制が取れたので、まずは要望があるところになるべくダイレクトで届けてフィードバックをもらい、より良い商品を開発・提供していく。これを繰り返し、要望があった商品について順次開発し、食の多様性について第一人者となる会社としていきます。コンサルタントとしてではなく、自社で商品を開発・販売していきます。
・今の課題や応援してほしいことはなんですか?
カップ麺もカシューナッツも日本で販売をスタートしました。
なるべくD2Cで販売して消費者とできるだけ近くにいて、フィードバックをもらいそれに答えた商品を展開していく、そのような市場との関係を築いていきたいです。したがって、とにかくまず試食していただきたい!です。
<カップ麺>
食の制限があるような方に、ぜひカップ麺をお勧めください。
不特定多数が利用される施設:ホテル、空港、公共交通機関のハブ、大学、多国籍企業、テーマパーク、グランピングなどとつながっている方々、ぜひご紹介ください。
<カシューナッツ>
世界最高峰のカシューナッツです。農園から加工工場、流通販売なで全てトレーサビリティが取れるとても甘く旨みがある大粒のカシューナッツです。ぜひ、こちらもオンラインで販売しているので応援お願いします!
ベジタリアン・ヴィーガンのレストラン、ローフード関係、バーやホテルへ提案したいので、こちらもぜひご紹介いただけるのであれば、とても嬉しいです。
・読者にメッセージをお願いします。
とにかくパッションを持つこと、起業している友人を多く持つように意識すること、自分がやりたいことかどうかを何度も自答すること。そして、自分のビジネスが社会にどのように役に立つのか、を考えて起業すれば大変なことも全て糧になるので楽しいと思います。とにかく、不確定な時代ですが、ポジティブに、あきらめず、中長期的なビジョンで物事を考えるといいかと思います。
なお、現在私の分身となって、ガシガシ事業をやり遂げる起業家精神があるパートナーを探しています。
我こそは!という方は是非お声かけ下さい。一緒に新しい世界を切り開いていきましょう!
ありがとうございました!
Photo credit / Ayumi Nagami
会社名 | TANAKA VALUE+TRADING株式会社 |
---|---|
代表者名 | 田中良尚 |
創業年 | 平成31年3月14日 |
事業内容 | 食料品の卸・小売り販売、飲食店運営、代替乳製品の開発・販売及び輸出入、ハラル認証食肉・加工食品の卸し小売販売 |
所在地 | 東京都港区元赤坂1‐1‐7‐1006 |
代表者プロフィール | WAOJE シンガポール支部 副支部長 Safari Asset Management Co.,Ltd. Chief Executive Officer (CEO) & Founder 株式会社カンパニー・サンシャイン Executive Director Tanaka Value Plus Trading Inc Chief Executive Officer (CEO) & Founder Curetex corporation Halal Division, Marketing Director Grit Capital (Cambodia) Co, Ltd GRIT CAPITAL PTE LTD Chief Executive Officer (CEO) & Founder 以前の職業: Mitsui Fudosan Asia Pte. Ltd.のLeasing Manager 以前の勤務先: Morgan Stanley |
カテゴリ | 有望企業 |
---|---|
関連タグ | TANAKA VALUE-PLUS TRADING 田中良尚 |
有望企業の創業手帳ニュース
大久保の視点
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…